JPS6318730Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は横型エンジンの潤滑油ポンプ装置に関
する。

（従来技術） シリンダブロツクの底部に油溜を有するエンジ
ンにおいて、この油溜内に潤滑油ポンプを設置
し、カム軸等によりポンプを駆動することは周知
の技術である。その場合は潤滑油ポンプのポンプ
室が常時油溜内に浸漬しているため、サクシヨン
ヘツドがなくなり、運転開始後直ちに注油必要箇
所に給油を開始できるメリツトがあるが、反面シ
リンダブロツク内はスペース上の制約があるため
潤滑油ポンプの組付けが難しく、保守点検にも手
間が掛かる。

その対策として潤滑油ポンプをシリンダブロツ
クの外壁に装着し、カム軸等により直接駆動する
ようにしたものは知られている。ところがその場
合は潤滑油ポンプのポンプ室がシリンダブロツク
内の油溜の油面より上方に位置するためサクシヨ
ンヘツドが生じ、エンジンの始動直後から注油必
要箇所に潤滑油を供給することができないという
問題がある。

（考案の目的） 本考案は潤滑油ポンプの保守点検を容易にする
こと、エンジンの始動と同時に注油必要箇所に潤
滑油を供給できるようにすること、動力取出部分
とポンプ室と吸入濾器等をユニツト化してユニツ
トの製造取扱いを簡素化すること…等を目的とし
ている。

（考案の構成） 本考案はシリンダブロツク内に水平なクランク
軸及びそれと平行なカム軸その他の回転軸を備
え、シリンダブロツクの底部に油溜を有する横型
エンジンにおいて、シリンダブロツク外壁にパツ
キンを介して締着される潤滑油ポンプのポンプケ
ースに、上記回転軸端部の駆動ギヤーが入込む上
端のギヤー室と、上端に上記駆動ギヤーと噛合す
る被動ギヤーを有するポンプ軸と、ポンプ軸を回
転自在に支承する軸受と、ポンプ軸下端のポンプ
ギヤーを収容し油溜の油面より下方に位置するポ
ンプ室と、ポンプケースをシリンダブロツク外壁
に締着した時シリンダブロツク外壁の孔を通して
油溜内へ突出する吸入濾器とを設け、ポンプケー
スをシリンダブロツク外壁に締着することにより
回転軸とポンプ軸が接続し、ポンプ室と油溜が連
通するようにしたことを特徴とする横型エンジン
の潤滑油ポンプ装置である。

（実施例） 第１図は本考案を採用した横型ガスエンジンの
シリンダブロツク部分の側面略図であり、クラン
ク軸１は図示しないクランク軸受を介してシリン
ダブロツク外壁２に支承されている。このクラン
ク軸１はクランク３を有し、クランクピン４、連
結杆５およびピストンピン６を介してシリンダ７
内のピストン８に連結している。クランク軸１の
下方に配置したカム軸９は図示しないブツシユを
介して外壁２に支承され、カムギヤー１０がクラ
ンクギヤー１１に噛み合つている。カムギヤー１
０は一部がシリンダブロツク底部の油溜１２に浸
漬している。１３はシリンダブロツク外壁２に装
着した潤滑油ポンプである。

次にカム軸９を含むシリンダブロツク外壁２近
傍の縦断面図である第２図により本考案による潤
滑油ポンプ装置の主要部を詳しく説明すると、潤
滑油ポンプ１３のポンプケース１４は外壁２にパ
ツキン１５，１６を介して複数個のボルト１７に
より固定されている。ポンプケース１４下部のボ
ス部１８は外壁２に設けた孔２０から油溜１２内
に突出しており、パツキン１６が油密を保持して
いる。ブツシユ２１は外壁２上部の孔２２に外側
から圧入されており、シリンダブロツク内に潤滑
用の油受孔２３を備えている。カム軸９はこのブ
ツシユ２１に回転自在に嵌合している。そしてポ
ンプケース１４上部のギヤー室２４内に突出した
カム軸９の先端小径部９ａにはボルト２５により
駆動ギヤー２６が取り付けられており、キー２７
がギヤー２６と小径部９ａの相対的な回動を阻止
している。

ポンプ軸２８（第３図）はポンプケース１４の
長手（上下）方向に伸びる環状の孔２９を貫通
し、ケース１４に固定した上下１対の軸受３０，
３１がこのポンプ軸２８を支承している。ギヤー
室２４に突出したポンプ軸２８には駆動ギヤー２
６に噛み合う被動ギヤー３２を嵌合し、ナツト３
３をポンプ軸２８上端の雄ねじ３４に螺合するこ
とによりポンプ軸２８に固定すると共に図示しな
いキー又はセレーシヨン等によりギヤー３２とポ
ンプ軸２８の相対的な回動を阻止している。３５
はプラグである。

ポンプケース１４の下部にはポンプ室３６が構
成されている。このポンプ室３６はシリンダブロ
ツク底部の油溜１２（第２図）の油面１２ａより
下方に位置している。ポンプ室３６内に突出した
ポンプ軸２８にはポンプギヤー３７がピン３８に
より固定されている。ポンプギヤー３９は間〓４
０を保ちながらポンプギヤー３７と遊動自在に噛
み合い、ギヤー式のトロコイドポンプを形成して
いる。ポンプケース１４の底部には０リング４１
を介してボルト４２により蓋４３が油密状態で取
り付けられ、ポンプ軸２８および両ポンプギヤー
３７，３９を下側から支持している。

ポンプ室３６の上方にはこのポンプ室３６と連
続して１対の円弧状の室４４，４５が対向位置に
設けられている。室４４はポンプ吸入孔４６（第
２図）に連通し、この吸入孔４６は管継手４７、
吸入管４８および吸入漉４９を介して油溜１２に
連通している。一方室４５（第３図）はポンプ吐
出孔５０に連通し、吐出孔５０は管継手５１を介
して吐出管５２に連通している。吐出管５２は図
示しない給油管を介してクランク軸受（図示せ
ず）等の注油箇所に連通している。又吐出管５２
は給油管５３にも連通し、給油管５３は管接手ボ
ルト５４によりポンプケース１４上部のボス部５
５に接続している。第２図中５６はギヤー室２４
に連通する逃し溝、５７は外壁２に設けた逃し孔
である。

次に作用を説明する。エンジンが起動するとク
ランク軸１の回転に伴つてカム軸９が回転し始め
る。カム軸９の回転力は駆動ギヤー２６、被動ギ
ヤー３２を介してポンプ軸２８に伝達され、ポン
プ軸２８によりポンプ室３６内の両ポンプギヤー
３７，３９が駆動される。油溜１２内の潤滑油は
吸入漉４９、吸入管４８、管接手４７および吸入
孔４６から室４４を経てポンプ室３６内に吸入さ
れ、ポンプ室３６で加圧された後室４５から吐出
孔５０、管接手５１を経て吐出管５２に吐出され
る。吐出管５２内の潤滑油は図示しない給油管を
介してクランク軸受等の注油箇所に供給され、潤
滑後は油溜１２に戻される。吐出管５２内の潤滑
油の一部は給油管５３を介してギヤー室２４内の
駆動ギヤー２６に供給され、駆動ギヤー２６、被
動ギヤー３２を潤滑した後逃し溝５６、逃し孔５
７を介して油溜１２に戻される。又油溜１２内に
浸漬したカムギヤー１０はカム軸９の回転に伴つ
て潤滑油を跳ね上げ、ブツシユ２１等シリンダブ
ロツク内の各部を潤滑する。

（考案の効果） 以上説明したように本考案においては、シリン
ダブロツク内に水平なクランク軸１及びそれと平
行なカム軸９その他の回転軸を備え、シリンダブ
ロツクの底部に油溜１２を有する横型エンジンに
おいて、シリンダブロツク外壁２に締着される潤
滑油ポンプ１３のポンプケース１４に、上記回転
軸端部の駆動ギヤー２６が入込む上端のギヤー室
２４と、上端に上記駆動ギヤー２６と噛合する被
動ギヤー３２を有するポンプ軸２８と、ポンプ軸
２８を回転自在に支承する軸受３０，３１と、ポ
ンプ軸２８下端のポンプギヤー３７を収容し油溜
の油面より下方に位置するポンプ室３６と、ポン
プケース１４をシリンダブロツク外壁２に締着し
た時シリンダブロツク外壁２の孔２０を通して油
溜１２内へ突出する吸入濾器４９とを設け、ポン
プケース１４をシリンダブロツク外壁２に締着す
ることにより回転軸とポンプ軸２８が接続し、ポ
ンプ室３６と油溜１２が連通するようにしたの
で、潤滑油ポンプ１３の組み付けおよび保守点検
が容易になる。しかもポンプ室３６内には油溜１
２のヘツドによりエンジン停止時にも常時潤滑油
が充満しているので、いわゆるサクシヨンヘツド
がなくなり、油溜１２内にポンプ１３を設置した
場合と同様にエンジンの始動と同時に注油必要箇
所に潤滑油を供給することができ、噛合部分、軸
受部分等の異常摩耗、焼損等を未然に防止でき
る。運転継続中も油溜１２のヘツドによりポンプ
室３６に絶え間なく潤滑油が吸入されるので、常
時良好な状態で潤滑が行える。動力取出部分（ギ
ヤー室２４等）とポンプ室３６と吸入濾器４９等
を一体のケース１９に収容したので構造がユニツ
ト化し、前工程でのユニツトの製造取扱いも大幅
に簡素化する。

本考案を具体化する時、実施例として示したト
ロコイドポンプ以外に一般的なギヤーポンプを採
用することも可能である。又クランク軸１の下方
にカム軸９の他にアイドルギヤー軸を備えている
形式のエンジンにおいては、アイドルギヤー軸か
ら潤滑油ポンプの動力を取り出すことも考えられ
る。又本考案はガスエンジンばかりでなく、ガソ
リンエンジンやデイーゼルエンジンにも適用でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を採用した横型ガスエンジンの
シリンダブロツク部分の縦断側面略図、第２図は
第１図の−線に沿う断面図、第３図は第２図
の−線に沿う断面図である。 １……クランク軸、２……シリンダブロツク外
壁、９……カム軸、１２……油溜、１３……潤滑
油ポンプ、１４……ポンプケース、２８……ポン
プ軸、３６……ポンプ室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツク内に水平なクランク軸及びそ
   れと平行なカム軸その他の回転軸を備え、シリン
   ダブロツクの底部に油溜を有する横型エンジンに
   おいて、シリンダブロツク外壁に締着される潤滑
   油ポンプのポンプケースに、上記回転軸端部の駆
   動ギヤーが入込む上端のギヤー室と、上端に上記
   駆動ギヤーと噛合する被動ギヤーを有するポンプ
   軸と、ポンプ軸を回転自在に支承する軸受と、ポ
   ンプ軸下端のポンプギヤーを収容し油溜の油面よ
   り下方に位置するポンプ室と、ポンプケースをシ
   リンダブロツク外壁に締着した時シリンダブロツ
   ク外壁の孔を通して油溜内へ突出する吸入濾器と
   を設け、ポンプケースをシリンダブロツク外壁に
   締着することにより回転軸とポンプ軸が接続し、
   ポンプ室と油溜が連通するようにしたことを特徴
   とする横型エンジンの潤滑油ポンプ装置。