JPH085324Y2 - エンジンのオイルポンプ駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、減速比の調整を可能にしたエンジンのオ
イルポンプ駆動装置に関する。

（従来の技術） クランクシャフトに連動して、エンジンの各部に潤滑
用オイルを供給するオイルポンプは、クランクケース内
に設置されるのが普通であるが、クランクケース外に設
置されるものもある。

後者の場合、第５図に示すように、オイルポンプユニ
ットａがクランクケースｂの外面に取着けられ、一方、
クランクシャフトに連動するポンプドライブシャフトｃ
がクランクケースｂ内に軸装されて、その外端部がクラ
ンクケース外壁部に延び、そこに開設された通孔ｄを介
して、オイルポンプユニット入力軸ｅとジョイント装置
により結合する構造が採られる。

オイルポンプユニットａの吐出量は，ポンプドライブ
シャフトｃのクランクシャフトに対する減速比などを勘
案して、予め設定されている。特に、２サイクルエンジ
ンの潤滑用オイルを供給する場合は、燃料と共に燃焼す
るという特殊な消費が行われるので、その要求値は厳し
いものとなる。

従って、２サイクルエンジン用のオイルポンプユニッ
トａは、各機種ごとに専用のものを備える必要があり、
共通化が難しい、という問題があった。オイルポンプユ
ニット内に減速機構が組み込まれたものでは、その減速
比を変えることによって対策することができるが、コス
ト的にかえって割高を免れないものであった。

（考案が解決しようとする課題） この考案は、上記のように問題に鑑みてなされたもの
で、１種類のオイルポンプユニットを各種のエンジンに
対して広範囲に適応させることができるようにしたエン
ジンのオイルポンプ駆動装置を提供することを目的とす
る。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記目的に沿って、この考案のエンジンのオイルポン
プ駆動装置は、クランクケースの外側にオイルポンプユ
ニットが取着けられ、その入力軸とクランクケース外壁
部に軸装されたポンプドリブンギアの支軸とがジョイン
ト装置により回転一体に結合され、前記入力軸の先端は
ポンプドリブンギアのギア部を貫いてジャーナル部に到
達する位置まで延びて前記ポンプドリブンギアの支軸に
軸方向に嵌合せしめられるとともに、クランクシャフト
に連動し、外端部がクランクケース外壁部に位置するポ
ンプドライブシャフトがクランクケース内側に軸装さ
れ、このポンプドライブシャフトの外端部に形成された
ドライブギアが上記ポンプドリブンギアに噛合わされた
構成になる。

（作用） こうして、ポンプドリブンギアの径を変え、オイルポ
ンプユニットをその軸心に合わせてクランクケースに取
着けることによって、クランクシャフトに対する減速比
が調整される。

これにより、１種類のオイルポンプユニットを備えれ
ば、広い機種範囲のエンジンに対して最適の吐出量をも
って組み付け使用することができる。必要に応じてポン
プドライブギア側（ポンプドライシャフト）を変更する
ことで、さらに細かい調整が可能となる。

オイルポンプユニットに大量生産効果が与えられ、コ
ストの大巾な軽減が得られるものとなる。

（実施例） 以下にこの考案の実施例を示す図において説明する。

第３図において、シリンダ１はほぼ水平に前傾し、そ
の後方に連なるクランクケース２とは合わせ面３で接続
され、シリンダスカート部４はクランクケース２内に深
く侵入する。クランクケース２は左右の半ケースを合わ
せて形成される。５はピストン、６は排気通路、７は掃
気通路、８は副掃気通路である。

吸気通路９は、合わせ面３に近いクランクケース２の
上部にリードバルブ装置10を介して接続される。このリ
ードバルブ装置10は、吸気通路９とクランクケース２と
の合わせ面11の吸気通路９側に取着けられ、クランクケ
ース２内に没入している。

そして、リードバルブ装置10とクランクチャンバ12上
部との間のスペースには、左右の半ケースに設けた鋳抜
き穴を合わせて、クランクシャフト13に平行な小室14が
形成されている。小室14の上壁15はリードバルブ装置10
のバルブストッパ16の下面に沿う形になる。

小室14の両側は、クランクケース２の肉厚部内を通る
オイル通路17が連通し、その下端はクランクシャフト13
の左右の軸受け穴18に通じている。また、吸気通路９の
フランジ部9aに達して、外に開口するオイル導入口19に
通じている。

次に、クランクケース２の上部には、吸気通路９に並
列して、オイルポンプユニット21が設置される。その吐
出口22は、第２図に示すように、吐出導管23により前記
オイル導入口19に接続される。

オイルポンプユニット21は、第１図および第２図に示
すように、クランクケース２の外面に取着けられる。オ
イルポンプユニット21の取付面は第２図に示すように、
吸気通路９とクランクケース２との合わせ面11と共通の
面に形成され、上記オイルポンプユニット21の取付面に
設けられるプレーカカバー29は、ポンプドライブシャフ
ト26の受面を構成している。

クランクケース２内には、クランクシャフト13に直交
してねじギア24により減速して駆動されるポンプドライ
ブシャフト25が軸装され、その外端に形成されたポンプ
ドライブギア26が、クランクケース２の外面の凹室27内
に突出している。凹室27内には、さらにポンプドライブ
ギア26の噛合ったポンプドリブンギア28が収められ、上
面はプレートカバー29が被覆される。

ポンプドライブシャフト25はギヤ部24,26とジャーナ
ル部25a,25bとが一体に形成される一方、ポンプドリブ
ンギア28もギヤ部28aとジャーナル部（軸受部、支軸）2
8bが一体に形成される。

上記オイルポンプユニット21は、入力軸30が下面に突
出している。オイルポンプユニット21の取着けは、その
入力軸30の軸心が上記ポンプドリブンギア28の軸心と一
致する位置に、プレートカバー29と共締めの形で締着さ
れる。

入力軸30は、その先端である下端が非円形に形成され
たものであって、プレートカバー29に開けた通孔31から
凹室27内に突出している。入力軸30の先端は、第１図に
示すように、ポンプドリブンギア28のギア部28aを貫い
てジャーナル部28bに到達する位置まで延びており、ポ
ンプドリブンギア28の支軸（ジャーナル部）28bに形成
された軸方向に非円形の係止孔32に軸方向に嵌合して、
回転方向に結合される。入力軸30の下端側を非円形に形
成し、この入力軸30の下端側をポンプドリブンギア28の
支軸28bに形成された非円形の係止孔32に軸方向に嵌合
させることにより、ジョイント装置が構成され、オイル
ポンプユニット21の入力軸30はポンプドリブンギア28に
転回一体に結合される。

この場合、オイルポンプユニット21の入力軸30の先端
がポンプドリブンギア28のギア部28aを少なくとも貫く
位置まで延び、ポンプドリブンギア28に回転一体に結合
されるので、ポンプドリブンギア28が安定的に支持さ
れ、ポンプドライブシャフト25のポンプドリブンギア26
からの駆動トルクがポンプドリブンギア28のジャーナル
部28bに曲げモーメントを与えることなくトルク伝達が
でき、ポンプドリブンギヤ28のジャーナル部28bにかじ
りや異常摩耗の発生を有効的に防止できる。

クランクシャフトの回転は、ポンプドライブギア26、
ポンプドリブンギア28により、もう１度減速されてオイ
ルポンプユニット21に伝えられる。ポンプドリブンギア
28の径を選定することで、オイルポンプユニット21の減
速比が適当に設定される。必要に応じてポンプドライブ
ギア26の径を変えてもよい。

こうして、１種類のオイルポンプユニット21を備えれ
ば、広い機種範囲のエンジンに対して最適の吐出量をも
って組み付け使用することができるものとなる。

また、オイルポンプユニット21はクランクケース２の
外部に完全に露出しており、しかもクランクケース２の
上側で露出するので、オイルポンプユニット21を取り外
すだけでポンプドリブンギア28とポンプドライブギア26
との噛合部を外部から確認することができ、ギアの摩耗
状況、潤滑状況の良否が容易であり、メンテナンス上便
利である。

さらに、オイルポンプユニット21の組付時、ポンプド
ライブシャフト25およびポンプドリブンギア28のジャー
ナル部25a,25b,28bや相手のボス穴（軸孔）が横方向か
らの組付けでなく上方向からの組付けとなり、組付け時
の嵌合がし易い。また、オイルポンプユニット21の入力
軸30とポンプドリブンギア28のジャーナル部28bとの嵌
合部（ジョイント部）の合せも上方向からだと合せ易
く、組み付けが容易である。

第４図は他の実施例を示すもので、プレーカカバーの
代わりに、ポンプドリブンギア28aを収めたギアボック
ス33からクランクケース２外面に伏着され、ポンプドラ
イブギア26aがギアボックス33内に突入され、オイルポ
ンプユニット21はそのギアボックス33外面に取着けられ
る。この場合、ギアボックス33を取付けたクランクケー
ス２の外面は、ポンプドリブンギア28aのスラスト受面
を形成している。

作用は同じである。

〔考案の効果〕

上記の通り、この考案に係わるエンジンのオイル駆動
装置は、クランクケースの外側にオイルポンプユニット
が取着けられ、その入力軸とクランクケース外壁部に軸
装されたポンプドリブンギアの支軸とがジョイント装置
により結合され、前記入力軸の先端はポンプドリブンギ
アのギア部を少なくとも貫く位置まで延びて上記ポンプ
ドリブンギアのギアの支軸に軸方向に嵌合せしめられる
とともに、クランクシャフトに連動し、外端部がクラン
クケース外壁部に位置するポンプドライブシャフトがク
ランクケース内側に軸装され、このポンプドライブシャ
フトの外端部に形成されたドライブギアが上記ポンプド
リブンギアに噛合わされたもので、１種類のオイルポン
プユニットにより、ポンプドリブンギアの径を選択する
だけで、各種のエンジンの潤滑に対して広範囲に適応さ
せることができる効果がある。

また、オイルポンプユニットの入力軸の先端がポンプ
ドリブンギアのギア一部を少なくとも貫く位置まで延び
てポンプドリブンギアの支軸に軸方向に嵌合せしめられ
るので、ポンプドリブンギアが安定的に支持され、ポン
プドライブシャフト側からの駆動トルクがポンプドリブ
ンギアの支軸（ジャーナル部）に曲げモーメントを与え
ることなく、伝達できるため、ポンプドリブンギアの支
軸にかじりや異常摩耗の発生を有効的に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例になるオイルポンプ駆動装置
を示す縦断側面図、第２図は第１図Ａ矢視の平面図、第
３図は第２図Ｂ−Ｂ矢視の縦断面図、第４図はこの考案
の他の実施例を示すオイルポンプ駆動装置の縦断側面
図、第５図は従来のオイルポンプ駆動装置を示す縦断側
面図である。 １…シリンダ、２…クランクケース、９…吸気通路、10
…リードバルブ装置、12…クランクチャンバ、13…クラ
ンクシャフト、14…小室、17…オイル通路、18…クラン
クシャフト軸受け孔、19…オイル導入口、21…オイルポ
ンプユニット、22…吐出口、23…吐出導管、25…ポンプ
ドライブシャフト、26,26a…ポンプドライブギア、27…
凹室、28,28a…ポンプドリブンギア、33…ギアボック
ス。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クランクケースの外側にオイルポンプユニ
   ットが取着けられ、その入力軸とクランクケース外壁部
   に軸装されたポンプドリブンギアの支軸とがジョイント
   装置により回転一体に結合され、前記入力軸の先端はポ
   ンプドリブンギアのギア部を貫いてジャーナル部に到達
   する位置まで延びて前記ポンプドリブンギアの支軸に軸
   方向に嵌合せしめられるとともに、クランクシャフトに
   連動し、外端部がクランクケース外壁部に位置するポン
   プドライブシャフトがクランクケース内側に軸装され、
   このポンプドライブシャフトの外端部に形成されたドラ
   イブギアが上記ポンプドリブンギアに噛合わされたこと
   を特徴とするエンジンのオイルポンプ駆動装置。
2. 【請求項２】ポンプドライブギアとポンプドリブンギア
   はクランクケースの内側に配置され、オイルポンプユニ
   ットの入力軸とポンプドリブンギアの支軸とがクランク
   ケース外壁に開設された通孔を介して連結されたことを
   特徴とする請求項１記載のエンジンのオイルポンプ駆動
   装置。
3. 【請求項３】クランクケース外側に、ポンプドリブンギ
   アを軸装したギアボックスが取着けられて、その上にオ
   イルポンプユニットが取着けられ、ポンプドライブギア
   はクランクケース外壁を抜けて、ギアボックス内でポン
   プドリブンギアに噛合わされたことを特徴とする請求項
   １記載のエンジンのオイルポンプ駆動装置。