JPS6318494Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案、移動農機用変速装置に関する。

一般に移動農機の変速装置には、走行系及び作
業機系の２つの変速機構が設けられ、入力軸から
入力された回転動力を前記各変速機構を介して走
行系及び作業機系へとそれぞれ出力するごとくし
ている。

ところが、従来の変速装置においては、前記走
行系及び作業機系の２つの変速機構を設けるに際
し、入力軸とPTO軸との間に作業機系変速機構
を、また入力軸と走行系出力軸との間にカウンタ
ー軸を介してそれぞれ別個に設けるように構成し
ており、このため、前記入力軸とPTO軸とは別
に走行系変速機構を設けるカウンター軸が必要
で、軸数が多くコスト高となるばかりか、ミツシ
ヨンが大型となり重量も大となる問題を有してい
た。

本考案は以上の如き問題に鑑みて考案したもの
で、その目的は、入力軸とPTO軸に作業機系変
速機構と走行系変速機構とを同時に設けて、両者
を入力軸及びPTO軸上で独立して変速並びに動
力の伝達が行なえるようにして、前記作業機系変
速機構と走行系変速機構とを設けるための軸数を
減らし、ミツシヨンの小型軽量化を図り得る変速
装置を提供することにある。

しかして、本考案は入力軸と走行系出力軸との
間にPTO軸を平行に設けて、前記入力軸に歯数
の異なる複数の作業機系変速ギヤを取付けると共
に、前記PTO軸に、前記変速ギヤの一つに選択
的に連動する作業機系クラツチギヤを、前記
PTO軸に軸方向の移動のみ自由に支持して、該
作業機系クラツチギヤの移動により作業機系の変
速を可能と成す一方、前記PTO軸上に歯数の異
なる複数の走行系変速ギヤを回転自由に支持する
と共に、前記入力軸上に前記走行系変速ギヤの各
歯部に選択的に噛合する歯部をもつセレクトギヤ
を軸方向の移動のみ自由に支持し、かつ、前記
PTO軸上で前記走行系変速ギヤの側部に、該変
速ギヤと選択的に噛合う走行系クラツチギヤを回
転及び軸方向に移動自由に嵌合して、該走行クラ
ツチギヤの軸方向への移動により走行系の変速を
可能と成したことを特徴とするものである。

以下本考案にかかる移動農機用変速装置を図面
の実施例によつて説明する。

図面は移動農機の一例として田植機を示し、機
体１の前方上部にエンジン２を搭載し、かつ、前
記機体１に前記エンジン２から伝動ベルトを介し
て入力されるミツシヨンケース３を支持すると共
に、該ケース３の両側にスイングチエン４を介し
て走行車輪５を上下スイング可能に設ける一方、
前記機体１の後部には複数の植付爪６と苗載台７
などから成る植付部８を、前記ミツシヨンケース
３に連動させて設けている。

また前記ミツシヨンケース３内には、変速装置
を設け、該変速装置により前記エンジン２から前
記走行車輪５及び植付部８に至る回転動力をそれ
ぞれ変速するごとくしている。

しかして前記ミツシヨンケース３内の変速装置
を、次のごとく構成したのである。

即ち、前記ミツシヨンケース３内に、入力軸９
とPTO軸１０とをそれぞれ平行に支持し、前記
入力軸９に、前記ケース３の内壁側から所定間隔
をおいて、歯数の異なる３つの作業機系第１乃至
第３変速ギヤ１１，１２，１３を一体結合すると
共に、前記PTO軸１０に前記第１ギヤ１１に常
時噛合う中継ギヤ１４を回転自由に支持する。

また、前記PTO軸１０上には、前記第２及び
第３ギヤ１２，１３に選択的に噛合する作業機系
クラツチギヤ１５を軸方向に移動のみ自由にスプ
ライン嵌合させると共に、このクラツチギヤ１５
と前記中継ギヤ１４との間に、前記クラツチギヤ
１５の移動により係脱可能とした係合手段１６を
設け、前記クラツチギヤ１５の軸方向移動によ
り、該ギヤ１５を前記第２及び第３ギヤ１２，１
３と、前記係合手段１６を介して前記中継ギヤ１
４とに選択的に噛合させて、３段変速可能とした
のである。

前記係合手段１６は、例えば第２図に示したご
とく、前記クラツチギヤ１５の中継ギヤ１４との
対向面側に、複数の係合突起１６ａを突設し、か
つ前記中継ギヤ１４に前記突起１６ａを受入れる
係合孔１６ｂを設けて形成し、前記クラツチギヤ
１５の軸方向移動により、前記突起１６ａを前記
係合孔１６ｂに係合、離脱させるごとくなすので
ある。

また、前記PTO軸１０上で、前記中継ギヤ１
４の反対側端部には、ベベルギヤ１７を一体結合
すると共に、前記ミツシヨンケース３に前記
PTO軸１０と直交状に取出軸１８を支持し、該
取出軸１８に前記ベベルギヤ１７に噛合するベベ
ルギヤ１９を設けて、これら各ベベルギヤ１７，
１９を介して前記PTO軸１０から取出軸１８に
回転動力を伝達し、該取出軸１８から前記植付部
８に回転動力を取出すごとくしている。

また前記クラツチギヤ１５の前記突起１６ａと
は反対側で中心ボス部に、シフトフオーク（図示
せず）の挿入溝１５ａを形成し、該挿入溝１５ａ
に前記シフトフオークを介入させて、該フオーク
を操作することにより、前記クラツチギヤ１５を
軸方向に移動させて、前述した３段変速を行なう
ごとくしている。

図中２０は前記ミツシヨンケース３の外側方に
突出する入力軸９の軸端に設けた入力プーリで、
該プーリ２０と前記エンジン２との間をベルト伝
動して、このエンジン２の回転動力を前記入力軸
９に入力するごとくしている。

そして、前記PTO軸１０上に大、小２つの歯
部２１ａ，２１ｂをもつ走行系変速ギヤ２１を回
転自由に支持させると共に、前記入力軸９上に前
記各歯部２１ａ，２１ｂに選択的に噛合する２つ
の歯部２２ａ，２２ｂをもつセレクトギヤ２２を
軸方向移動自由にスプライン嵌合させる一方、前
記PTO軸１０上で前記変速ギヤ２１の側部に、
走行系クラツチギヤ２３を回転及び軸方向移動自
由に嵌合し、このクラツチギヤ２３と前記変速ギ
ヤ２１との間に、それぞれクラツチ爪２３ａ，２
１ｃを形成し、前記作業系とは独立した走行系変
速機構を構成している。

また、前記ミツシヨンケース３には、前記入力
軸９及びPTO軸１０と平行に車輪軸（走行系出
力軸）２４，２４を支持し、該軸２４，２４上に
前記PTO軸１０上のクラツチギヤ２３に常時噛
合する駆動ギヤ２５を設けている。

斯くして前記入力軸９上のセレクトギヤ２２の
移動により、その歯部２２ａ，２２ｂを前記
PTO軸１０に支持する変速ギヤ２１の各歯部２
１ａ，２１ｂに選択的に噛合させ、この状態で前
記クラツチギヤ２３を移動させて、前記各クラツ
チ爪２３ａ，２１ｃを互に係合させることによ
り、前記入力軸９の回転動力を高低２段変速し
て、前記車輪軸２４，２４に伝達することができ
るのである。

また、前記車輪軸２４，２４の各外側軸端に
は、前記スイングチエンケース４を支持してお
り、該ケース４内に設けるチエン伝動手段を介し
て、前記車輪軸２４，２４から走行車輪５，５に
回転動力をそれぞれ独立的に伝達するごとくして
いる。

さらに、前記ミツシヨンケース３には、前記入
力軸９及びPTO軸１０と平行にリヤ軸２６を支
持し、該軸２６上に前記変速ギヤ２１の一方の歯
部２１ｂと常に噛合する伝動ギヤ２７と、前記セ
レクトギヤ２２の移動により、その他方の歯部２
２ａと噛合するリヤギヤ２８とを設け、前記セレ
クトギヤ２２の移動で、その他方の歯部２２ａを
前記リヤギヤ２８に噛合させることにより、前記
伝動ギヤ２７及び変速ギヤ２１を介して車輪軸２
４を逆回転させ、走行車輪５を後進させるごとく
している。

また、前記PTO軸１０に連動する取出軸１８
には、第４図に示すごとく、安全クラツチ機構を
設けており、即ち取出軸１８上に筒体２９をスプ
ライン嵌合させると共に、前記取出軸１８の外端
側に伝動体３０を設け、この伝動体３０と前記筒
体２９との間にクラツチ爪係合手段を設ける一
方、前記筒体２９をスプリング３１により常に外
方側に、前記係合手段が係合される方向に付勢さ
せ、該係合手段により、前記筒体２９と伝動体３
０を介して前記取出軸１８の回転動力を外部に取
出すごとくしている。

尚、第２図において３２，３３は、前記車輪軸
２４，２４に摺動自由に設け、前記駆動ギヤ２５
から前記車輪軸２４，２４にそれぞれ独立的に動
力を伝達する左右サイドクラツチギヤである。

本考案の変速装置は以上のごとく構成したもの
で、作業機系例えば植付部８に至る回転動力を変
速する場合には、PTO軸１０上に設けるクラツ
チギヤ１５を軸方向に移動させて、入力軸９上に
設けた第２及び第３ギヤ１２，１３に選択的に噛
合させ、または入力軸９上の第１ギヤ１１に常に
噛合状態にPTO軸１０上に支持される中継ギヤ
１４に係合手段１６を介して係合させるのであ
り、すると前記入力軸９の回転動力が前記２，第
３ギヤ１２，１３及びクラツチギヤ１５を介し
て、また中継ギヤ１４及びクラツチギヤ１５を介
して、それぞれ３段に変速され、この変速動力が
前記植付部８に伝達されるのである。

以上説明したごとく、本考案にかかる変速装置
では、入力軸と走行系出力軸との間にPTO軸を
平行に設けて、前記入力軸に歯数の異なる複数の
作業機系変速ギヤを取付けると共に、前記PTO
軸に、前記変速ギヤの一つに選択的に連動する作
業機系クラツチギヤを、前記PTO軸に軸方向の
移動のみ自由に支持して、該作業機系クラツチギ
ヤの移動により作業機系の変速を可能と成す一
方、前記PTO軸上に歯数の異なる複数の走行系
変速ギヤを回転自由に支持すると共に、前記入力
軸上に前記走行系変速ギヤの各歯部に選択的に噛
合する歯部をもつセレクトギヤを軸方向の移動の
み自由に支持し、かつ、前記PTO軸上で前記走
行系変速ギヤの側部に、該変速ギヤと選択的に噛
合う走行系クラツチギヤを回転及び軸方向に移動
自由に嵌合して、該走行クラツチギヤの軸方向へ
の移動により走行系の変速を可能と成したもので
あるから、前記作業機系変速機構と走行系変速機
構とを設けるための軸数を減らすことができ、こ
れによりミツシヨンの小型軽量化を図ることがで
き、コストも安価にできるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の変速装置を適用する移動農機
例として示す田植機の側面図、第２図は同変速装
置の縦断面図、第３図はその側面図、第４図は
PTO軸部分の断面図である。 ９……入力軸、１０……PTO軸、１１，１２，
１３……作業機系変速ギヤ、１５……作業機系ク
ラツチギヤ、２１……走行系変速ギヤ、２２……
セレクトギヤ、２３……走行系クラツチギヤ、２
４……車軸（走行系出力軸）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入力軸と走行系出力軸との間にPTO軸を平行
   に設けて、前記入力軸に歯数の異なる複数の作業
   機系変速ギヤを取付けると共に、前記PTO軸に、
   前記変速ギヤの一つに選択的に連動する作業機系
   クラツチギヤを、前記PTO軸に軸方向の移動の
   み自由に支持して、該作業機系クラツチギヤの移
   動により作業機系の変速を可能と成す一方、前記
   PTO軸上に歯数の異なる複数の走行系変速ギヤ
   を回転自由に支持すると共に、前記入力軸上に前
   記走行系変速ギヤの各歯部に選択的に噛合する歯
   部をもつセレクトギヤを軸方向の移動のみ自由に
   支持し、かつ、前記PTO軸上で前記走行系変速
   ギヤの側部に、該変速ギヤと選択的に噛合う走行
   系クラツチギヤを回転及び軸方向に移動自由に嵌
   合して、該走行クラツチギヤの軸方向への移動に
   より走行系の変速を可能と成したことを特徴とす
   る移動農機用変速装置。