JPS6316617B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば自動車用ドアロツクの施設錠
レバー等を自動的に操作するのに用いられるアク
チユエータに関する。

〔従来の技術〕

従来、この種の自動車用ドアロツク等に使用さ
れるアクチユエータとしては、例えば、特公昭58
−47551号公報に記載されているようなものがあ
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上述の従来のアクチユエータにおいては、平歯
車列により減速を行つているため、設定された減
速比を得るためには、どうしても歯車列が多くな
り、全体の寸法が大きくなるという問題点があ
る。

また、作動終了後、最終歯車を弾性体の撓み力
を利用して、原位置に戻すため、作動が終了した
後においても、異音が発生するとか、構造が複雑
である等の問題もある。

本発明は、これらの問題点を解決したアクチユ
エータを提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明のアクチユエータは、 ケースと、 該ケースに設けられたモータと、 該モータの回転軸に固嵌され、かつ偏心カムを
備えるカムシヤフトと、 前記ケース内に、前記回転軸を中心として回転
可能なように配設された内歯歯車と、 前記偏心カムに相対回転可能として外嵌され、
かつ前記内歯歯車の内歯の歯数よりわずかに少な
い歯数の外歯をもつて、前記内歯歯車に噛合し、
偏心カムの回転により、偏心運動しつつ、内歯歯
車に対して内サイクロイド運動する外歯歯車と、 前記ケースと内歯歯車に設けられ、通電時に
は、前記内歯歯車をケースに結合して、内歯歯車
の回転を阻止し、かつ非通電時には、前記結合を
解除する電磁クラツチと、 前記外歯歯車と噛合して、該外歯歯車により回
転させられる出力部材 とを備えることを特徴としている。

〔作用〕

本発明のアクチユエータにおいては、電磁クラ
ツチに通電して、内歯歯車をケースに対して固定
した状態で、モータを作動させて、その回転軸を
一方向に回転させると、偏心カムの回転により、
外歯歯車が偏心運動させられ、内歯歯車に対して
内サイクロイド運動をする。

このとき、外歯歯車は、内歯歯車に対して、回
転軸の１回転あたり、内歯歯車の内歯の歯数と外
歯歯車の外歯の歯数との差に相当する歯数分だ
け、回転軸の回転方向と逆方向に、わずかに相対
回転する。

この外歯歯車の回転により、出力部材は所要の
方向に回転させられ、例えば自動車のドアロツク
の施解錠レバーを、施錠位置から解錠位置に切換
える等の仕事をする。

電磁クラツチに通電した状態で、回転軸が上述
の場合と逆方向に回転するようにモータを作動さ
せたときには、各部材の回転方向が逆になるだけ
で、上述の場合と同様な作動で、出力部材が上述
の場合と逆方向に、きわめて大きな減速比をもつ
て回転させられ、例えばドアロツクの施解錠レバ
ーを、解錠位置から施錠位置に切換える等の仕事
をする。

モータ及び電磁クラツチに通電していないとき
に、例えば、自動車のドアの施解錠ノブを手動操
作することにより、ドアロツクの施解錠レバーを
施解位置から解錠位置へ、又はその逆方向へ切換
え、それに伴つて、出力部材が従動させられる場
合には、内歯歯車がケースに対して回転自在とな
つているので、外歯歯車は、停止しているカムシ
ヤフトの偏心カムを中心として、また内歯歯車
は、回転軸を中心として、それぞれ遊転するだけ
で、手動操作による出力部材の回転力は、モータ
の回転軸までは伝達されない。

したがつて、モータと電磁クラツチとを作動さ
せて、出力部材を回転させる際には、著しく大き
な減速比で、出力部材を強力に回転させることが
できるのに対して、モータ及び電磁クラツチの不
作動時には、手動操作等により、出力部材を軽力
で回転させることができる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を、添付図面に基づい
て説明する。

１は、有底筒状のケースで、その上半部には、
拡径段部１ａが形成され、また下端には、左右方
向を向く取付け片１ｂが連設されている。

ケース１の上端開口部は、実質的にケース１の
一部をなすほぼ円板状の蓋板２をもつて閉塞され
ている。

ケース１内の下部には、正逆回転可能なモータ
３が固嵌されており、そのモータ３の回転軸４
は、ケース１内において上向きに突出している。

回転軸４には、中位部に偏心円板状の偏心カム
５ａを備え、かつその上下部に軸部５ｂ，５ｃを
備えるカムシヤフト５が、相対回転不能なように
固嵌されている。

カムシヤフト５の下方の軸部５ｃには、上部内
面に内歯６ａを備える内歯歯車６が、相対回転自
在に外嵌されている。

内歯歯車６の下面には、中央にボス部６ｂが、
またそのまわりの同一円周上には、４個又は適数
個の下向きのピン７がそれぞれ連設されている。

ボス部６ｂには、磁性体よりなる円板状のアー
マチユア８が、上下方向に摺動自在に外嵌されて
いる。

アーマチユア８には、上記各ピン７に嵌合する
適数個の孔９が穿設されており、このピン７と孔
９との係合により、アーマチユア８は、内歯歯車
６に対して、軸線方向には若干移動可能である
が、相対回転はしないように拘束されている。

ケース１の拡径段部１ａ内におけるアーマチユ
ア８の下方で、かつモータ３の外周には、環状の
コイル１０を備えるフイールドコア１１が固嵌さ
れている。

コイル１０に通電すると、フイールドコア１１
が励磁されて、アーマチユア８を吸着し、内歯歯
車６の回転を阻止し、コイル１０への通電を停止
すると、フイールドコア１１が消磁されて、アー
マチユア８の吸着力が消失し、アーマチユア８は
内歯歯車６とともに自由に回転することができる
ようになつている。

かくして、アーマチユア８とフイールドコア１
１とにより、内歯歯車６をケース１に結合して、
内歯歯車６の回転を阻止したり、又はその結合を
解除して、内歯歯車６を自由に回転し得るように
する電磁クラツチ１２が形成されている。

カムシヤフト５における偏心カム５ａの外周に
は、内歯歯車６の内歯６ａの歯数より１又は２程
度のわずかに少ない歯数の外歯１３ａをもつて、
内歯６ａに噛合するようにした外歯歯車１３の中
央孔１３ｂが、相対回転自在に外嵌されており、
この外歯歯車１３は、カムシヤフト５の回転によ
り、偏心カム５ａとともに偏心運動しつつ、内歯
歯車６に対して、内サイクロイド運動するように
なつている。

外歯歯車１３の上面における中央孔１３ｂを中
心とする同一円周上には、４個の有底状の孔１４
が、等間隔に穿設されている。

蓋板２の中央には、上下方向を向く出力軸１５
が、回転自在に貫設されており、その出力軸１５
の上端には、半径方向を向く出力レバー１６の基
部が固着されている。

この実施例では、出力軸１５と出力レバー１６
とが出力部材である。

出力軸１５の下端には、回転板１７の中央部が
一体的に連設されており、その下面中央に形成さ
れた軸受孔１８には、カムシヤフト５の上方の軸
部５ｂが、ブツシユ１９を介して、回転自在に嵌
合されている。

回転板１７の下面における軸受孔１８を中心と
する同一円周上には、外歯歯車１３における各孔
１４内に突入する４個の円柱状の突起２０が、等
間隔にそれぞれ突設されている。

各突起２０の外径は、外歯歯車１３が偏心運動
するとき、各突起２０が各孔１４内において相対
的に遊動し得る程度に、孔１４の内径より小とし
てある。

この孔１４と突起２０と回転板１７とにより、
外歯歯車１３の偏心運動を許容しつつ、外歯歯車
１３の回転力を出力軸１５側に、及び出力軸１５
の回転力を外歯歯車１３側にそれぞれ伝達する回
転力伝達手段が形成されている。

なお、この回転力伝達手段は、例えばオルダム
継手としてもよい。

２１，２２は、出力レバー１６の回動範囲を規
制するために、蓋板２上に突設された１対のスト
ツパピンである。

以上のような構成としたアクチユエータは、例
えば取付け片１ｂをドアパネル等にねじ止めする
ことにより、自動車のドア（図示略）内に配設さ
れ、かつ出力レバー１６の先端に、一端がドアロ
ツクの施解錠レバー（図示略）に連結されたロツ
ド（図示略）の他端を連結し、出力レバー１６が
第２図に実線で示す第１作動位置にあるときは、
施解錠レバーを例えば施解位置に保持し、また出
力レバー１６を第２図に想像線で示す第２作動位
置まで回動させることにより、施解錠レバーが解
錠位置に切換えることができるようにして使用さ
れる。

次に、このようにして使用した場合のアクチユ
エータの作用について説明する。

出力レバー１６が、例えば第１作動位置に停止
している状態で、電磁クラツチ１２のコイル１０
に通電して、アーマチユア８を、フイールドコア
１１側に吸着させ、内歯歯車６をケース１に対し
て固定し、それと同時か又はその後に、モータ３
を作動させて、回転軸４を、第３図における反時
計方向（以下、時計方向又は反時計方向というと
きは、第３図におけるものをいうものとする。）
に回転させると、カムシヤフト５が回転軸４と一
体に回転し、それに伴つて、外歯歯車１３は、反
時計方向に偏心運動させられ、内歯歯車６に対し
て、内サイクロイド運動する。

このとき、外歯歯車１３は、不動の内歯歯車６
に対して、回転軸４の１回転あたり、内歯歯車６
の内歯６ａの歯数と外歯歯車１３の外歯１３ａの
歯数との差に相当する歯数分だけ、回転軸４の回
転方向と逆方向の時計方向にわずかに相対回転す
る。

この外歯歯車１３の回転に伴つて、孔１４と突
起２０との係合関係により、回転板１７と出力軸
１５と出力レバー１６とが、第２図における時計
方向に回転させられる。

このときの出力レバー１６の第２図における時
計方向への回動により、ロツドを介して、ドアロ
クの施解錠レバーが解錠位置側に移動させられ
る。

出力レバー１６が、ストツパピン２２に当接し
て、第２作動位置に達したとき、そのことを、リ
ミツトスイツチ等の適宜のセンサ（図示略）をも
つて検知し、それに基づいて、電磁クラツチ１２
のコイル１０への通電と、モータ３への通電とを
停止すると、カムシヤフト５、内歯歯車６、外歯
歯車１３及び出力レバー１６等はそのままの位置
で停止する。

この状態から、出力レバー１６を第１作動位置
まで戻して、施解錠レバーを旋錠位置に復帰させ
たい場合には、電磁クラツチ１２のコイル１０に
通電させるとともに、モータ３に、回転軸４が上
述の場合と逆方向に回転するように通電させれば
よい。

すると、各部の回転方向が逆となるだけで、上
述の場合とほぼ同様な作動で、出力レバー１６
は、第２図における反時計方向に回動させられ
る。

出力レバー１６がストツパピン２１に当接し
て、第１作動位置に復帰させられたとき、そのこ
とを適宜のセンサ（図示略）で検知して、コイル
１０及びモータ３への通電を停止させれば、すべ
てもとの状態に戻る。

出力レバー１６が第１作動位置に停止してお
り、かつコイル１０及びモータ３には通電されて
いない状態で、例えばドアロツクを施解錠ノブ
（図示略）等の手動操作により解錠し、施解錠レ
バーが解錠位置に移動させられた場合には、それ
に伴つて、出力レバー１６が第２作動位置まで回
転させられ、また、出力レバー１６とともに、回
転板１７が時計方向に回転させられる。

このときコイル１０には通電されておらず、内
歯歯車６はフリーとなつているので、回転板１７
の回転により、外歯歯車１３は、停止したままの
カムシヤフト５の偏心カム５ａを中心として、ま
た内歯歯車６は軸部５ｃを中心として、それぞれ
遊転するだけで、出力レバー１６側からの回転力
は、モータ３の回転軸４には伝達されない。

したがつて、コイル１０及びモータ３への非通
電時には、手動操作により、出力レバー１６を時
計方向に移動させる際に、ほとんど抵抗なく操作
することができる。

また、手動操作により、出力レバー１６を、第
２作動位置から、第１作動位置まで、第２図にお
ける反時計方向に回動させる場合にも、上述の場
合と同様な作用により、ほとんど抵抗は生じな
い。

〔発明の効果〕

本発明によると、必要な歯車は外歯歯車と内歯
歯車との２個だけで済み、この２個の歯車で、モ
ータの回転力を著しく減速して出力部材に伝達す
ることができるので、従来のアクチユエータより
以上に、小型高出力化を計ることができる。

また、モータ及び電磁クラツチへの非通電時に
は、手動操作等により、出力部材を軽力で操作で
きるので、自動車のドアロツクの施解錠レバー等
の操作用のアクチユエータとして最適である。

さらに、本発明のアクチユエータは、部品数が
少なくて済み、かつ構造が簡単で、安価に製造で
きるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例の縦断正面図、第
２図は、同じく一部切欠平面図、第３図は、第１
図のＡ−Ａ線断面図、第４図は、第３図示の状態
から、回転軸が反時計方向に若干回転したときの
状態を示す、第３図と同様の断面図である。 １……ケース、３……モータ、４……回転軸、
５……カムシヤフト、５ａ……偏心カム、６……
内歯歯車、８……アーマチユア、１０……コイ
ル、１１……フイールドコア、１２……電磁クラ
ツチ、１３……外歯歯車、１４……孔、１５……
出力軸、１６……出力レバー、１７……回転板、
２０……突起。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケースと、 該ケースに設けられたモータと、 該モータの回転軸に固嵌され、かつ偏心カムを
   備えるカムシヤフトと、 前記ケース内に、前記回転軸を中心として回転
   可能なように配設された内歯歯車と、 前記偏心カムに相対回転可能として外嵌され、
   かつ前記内歯歯車の内歯の歯数よりわずかに少な
   い歯数の外歯をもつて、前記内歯歯車に噛合し、
   偏心カムの回転により、偏心運動しつつ、内歯歯
   車に対して内サイクロイド運動する外歯歯車と、 前記ケースと内歯歯車との間に設けられ、通電
   時には、前記内歯歯車をケースに結合して、内歯
   歯車の回転を阻止し、かつ非通電時には、前記結
   合を解除する電磁クラツチと、 前記外歯歯車と噛合して、該外歯歯車により回
   転させられる出力部材 とを備えることを特徴とするアクチユエータ。