JPS6314690Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のシート特にフロントシート
に装着するのに好適なヘツドレストに関する。

例えば、自動車のシートには、衝突事故等によ
り乗員がむち打ち症になることを防止するため、
通常、ヘツドレストが装着されている。このヘツ
ドレストは、乗員がその頭部を当てる枕を有して
おり、最近では、枕を上下方向だけでなく前後方
向にも移動調節できるようにしたものが開発され
ている。一方、シートバツクの上部を延長してそ
こを枕とすると共に、該枕に前後方向の貫通穴を
設け、後方視界及び前方視界を向上させるという
提案もなされている。しかし、枕の移動調節が可
能なタイプのヘツドレスト即ちシートバツクと一
体型でないヘツドレストには、前記の透視用貫通
穴を設けたものは存在しない。その理由は、従来
の前後方向の移動調整が可能なタイプのヘツドレ
ストでは、枕の前後方向の厚みが大きく、一定の
視界を得ようとすると貫通穴として大きなものを
穿設しなければならないが、枕内の前後方向移動
調整機構の一部の構成部分が枕の中央部分にも存
在するため、大きな貫通穴を設けられないからで
ある。又、従来のヘツドレストは、枕にハンドル
を枕から突出した形で付設し、該ハンドルを操作
することにより枕の前後方向の移動を行うように
構成されていた。このため、事故の際上記の突出
したハンドルにぶつかつて負傷するという問題
や、ヘツドレストを構成する部品点数が多いとい
う問題があつた。

本考案は、この点に鑑みてなされたもので、そ
の目的は、ハンドルを用いることなく枕の前後方
向の移動調整が可能で且つ該移動調整機構が枕の
中央部分には存在しないヘツドレストを提供する
ことにある。

この目的を達成する本考案のヘツドレストは、
一端がステーに回動可能に枢着された一対のリン
クと該リンクが互いに逆方向の回動を行うように
該リンクの他端をガイドする略上下方向の長穴が
穿設されたサイドブラケツトとを枕の両側部に配
設し、前記サイドブラケツトの少なくとも一方に
はラチエツトを固着し、該ラチエツトに係脱する
ポールを前記ステー側に配設して、前記枕の前後
方向の移動を可能にしたことを特徴とするもので
ある。

以下、図面を用いて本考案の実施例を詳細に説
明する。

第１図乃至第３図において、１，２はそれぞれ
一端がステー３（ステー本体３ａに固着した門型
のブラケツト３ｂから成つている）にピン４，５
でもつて回動可能に枢着された一対のリンクで、
このリンク１，２は、互いに逆方向の回動が可能
となるようにサイドブラケツト６に取り付けられ
ている。即ち、リンク１，２の他端は、ブラケツ
ト６に穿設された略上下方向の長穴６ａ，６ｂに
緩挿されたピン７，８に固着されている。このサ
イドブラケツト６の中間部には、ラチエツト９が
固着され、該ラチエツト９と係脱するポール１０
が、ピン１１及びスペーサ１２を用いてステー３
に回動可能に取り付けられている。１３は通常は
ポール１０をラチエツト９側に付勢するような回
動力を付与するコイルスプリングで、ステー３・
ポール１０間に掛止されている。又、１４はサイ
ドブラケツト６を後方（第１図の左方）に移動さ
せるような引張力をリンク１・２間に与えるコイ
ルスプリングである。

１５はステー３の上面に配設されたローラ（又
はピース）で、その取付はピン１６によつて行わ
れる。このローラ１５と嵌合し、サイドブラケツ
ト６の前後方向の動きを案内するガイド１７は、
サイドブラケツト６に固着されている。尚、ステ
ー３の支柱は２本あり、各支柱に上述の如き構成
の機構が対称的に装着されている。しかし、ラチ
エツト９，ポール１０及びコイルスプリング１
３，１４は、何れか一方の支柱側にあれば足り
る。又、サイドブラケツト６には、折り曲げた金
属板等でなるカバー（図示せず）が装着されてお
り、このカバーの表面を弾性体及び布で覆うこと
により、枕２０が構成される。

以上のような構成のヘツドレストの作動を次に
設明する。

まず、第１図の如く、ポール１０がラチエツト
９と噛み合つている状態では、前方（第１図の右
方）から後方に向けて枕２０に力が加わつても枕
２０が後方に移動することはなく、調整操作を行
わない限り、この位置は保持される。この位置か
ら枕２０を前方に移動するには、枕２０に前方へ
の力を手で加えればよい。ポール１０にはコイル
スプリング１３によつて第１図の時計回り方向の
力が与えられているが、枕２０にこの付勢力に打
ち勝つ前方への操作力を加えると、ポール１０が
ラチエツト９から第１図の反時計回り方向の力を
受け、ラチエツト９の前方への動きに応じて回動
する。即ち、ポール１０は、まず反時計回り方向
に回動し、１歯越える毎に時計回り方向に逆回動
してラチエツト９に係入し、その後再び時計回り
方向の回動を開始するという揺動動作を操り返
す。これにより、ポール１０とラチエツト９との
噛合位置は、順次ラチエツト９の後方の歯へと移
ることになる。そこで、最適位置にて枕２０から
手を離すことにより、該位置に最も近い安定位置
に枕２０がロツクされる。上述の説明は枕２０の
前方への移動についてであつたが、後方への移動
は、枕２０を最前方の安定位置（第３図の位置）
より前方の位置まで手で引き出す操作から始め
る。この引出し操作により、ポール１０がラチエ
ツト９の最後部の突出歯９ａに押され、所定角度
（コイルスプリング１３のステー３への掛止点と
ポール１０の枢着点とを結んだ直線上に、コイル
スプリング１３のポール１０への掛止点が来る角
度；前述までの動作では、コイルスプリング１３
のポール１０への掛止点は、第１図において、常
に上記直線の右方にあり、これを越えることはな
い）を越えるため、ポール１０に作用するコイル
スプリング１３の回動付勢力の方向が逆になり、
ポール１０は第１図の反時計回り方向に回動し、
ラチエツト９との噛合が解かれる。従つて、この
操作後、枕２０はコイルスプリング１４の力によ
り後方に押し戻される。この戻り動作は、ラチエ
ツト９の先頭部の突出歯９ｂによつてポール１０
が引き起こされ、ポール１０とラチエツト９とが
再び噛み合うまで続く。この場合のポール１０の
停止位置は、枕２０の最後方安定位置であるか
ら、前方への移動調整時の操作と全く同一の操作
で枕２０を前方に移動することにより、後方移動
操作開始時よりも後方に枕２０の位置を移すこと
ができる。この構成の場合、ローラ１５とガイド
１７とが嵌合しているので、サイドブラケツト６
が左右方向（第１図の紙面に垂直な方向）に振れ
ることはない。

尚、振動に対する安定性を更に向上させるに
は、例えば、第２図の補強部材１８の下側にもロ
ーラ及びガイドを設ければよい。又、ローラ１５
とガイド１７の取付位置を入れ替えてもよい。

以上説明したように、本考案は、中間部を回動
可能に連結した一対のリンクでもつて枕の両側部
に配設したサイドブラケツトを前後方向に移動さ
せる構成のため、移動機構が両サイドのみに存在
することになり、枕の中央に前後方向の大きな貫
通穴を設けることができる。又、移動機構へのサ
イドブラケツトの取り付けは各リンクの一端で済
むから、狭幅のサイドブラケツトを採用でき、薄
型の枕を実現できる。以上のことから、本考案に
よれば、大幅な視界の向上が可能になる。又、ハ
ンドルがないため、前述の負傷の問題もなく、
又、部品点数も少なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２
図は第１図で示したヘツドレストの要部の分解斜
視図、第３図は他の作動状態を示す側面図であ
る。 １，２……リンク、３……ステー、４，５，
７，８，１１，１６……ピン、６……サイドブラ
ケツト、９……ラチエツト、１０……ポール、１
２……スペーサ、１３，１４……コイルスプリン
グ、１５……ローラ、２０……枕。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一端がステーに回動可能に枢着された一対の
   リンクと該リンクが互いに逆方向の回動を行う
   ように該リンクの他端をガイドする略上下方向
   の長穴が穿設されたサイドブラケツトとを枕の
   両側部に配設し、前記サイドブラケツトの少な
   くとも一方にはラチエツトを固着し、該ラチエ
   ツトに係脱するポールを前記ステー側に配設し
   て、前記枕の前後方向の移動を可能にしたこと
   を特徴とするヘツドレスト。 ２ 前記枕には前後方向の貫通穴が設けられてい
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のヘツドレスト。