JPS631456Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は電子回路の一部に不平衡型電子回路
を具備し、その不平衡型電子回路に対して平衡型
又は不平衡型給電線を選択的に接続し得るように
した端子構造を有する不平衡型電子回路に関する
ものである。

従来不平衡型電子回路に給電線を接続する場合
は、不平衡型給電線を用いてこれに接続すること
が好ましいとされている。しかし、需要者によつ
ては、平衡型給電線の接続を可能にする構成を具
備させることが要求される場合がある。

その場合はインピーダンス変成回路を付設する
ことによつてその要求に応えることができる。し
かし、上記の如き変成回路を付設した場合におい
ては、そのままの状態で不平衡型電子回路に対応
する不平衡型給電線を接続すれば、第４図に破線
で示す如く挿入損失が極めて大きくなり、所望の
電気的特性が得られない悩みがある。

これを解決するものとしてインピーダンス変成
回路を切離すことも考えられるが、切離し作業を
忘れた場合は上記の欠点を具備したままの電子回
路が形成される悩みがある。

そこで本考案は、上記のような手間を煩わすこ
となく、不平衡型電子回路に対して平衡或は不平
衡型の何れの給電線を接続しても、極めて優れた
電気的特性が得られるようにした不平衡型電子回
路を提供しようとするものである。

以下本願の実施例を示す図面について説明す
る。第１図乃至第３図において、１は回路基板
で、周知の如く絶縁板１ａの裏面に銅箔１ｂを貼
付けて構成してある。又、この銅箔１ｂには図示
されるような回路パターンが形成されている。
尚、本例においてはUHF信号とVHF信号との混
合回路が形成されている。

次に３はUHF信号を入力するようにした入力
端子を示す。この入力端子３において、４は外部
導体接続片を示し、銅箔１ｂに形成されたアース
回路２に接続してある。５は押え片で、止着ねじ
棒６，６をもつて第２図或は第３図に示されるよ
うに種々の給電線を止着し得るようにしてある。
７は第１端子で、金属材料で形成され且つ回路基
板１に対し機械的に固定された座板７ａと、この
座板７ａに螺合させた止着ねじ棒７ｂとにより構
成されている。８は第２端子で、前記第１端子と
同様座板８ａと止着ねじ棒８ｂとにより構成され
ている。９は前記第１端子７及び第２端子８間に
接続したインピーダンス変成用の半波長迂回線路
で、銅箔１ｂに対し図示されるようなパターンを
形成することによつて作られている。１０はジヤ
ンパー線を示し、半波長迂回線路の両側のアース
回路のアース電位を同電位にする為のもので、導
電性の良い線材又は板材が使用される。

次に１１はVHF信号の入力端子で、同軸ケー
ブルの接続が可能なように中心導体接続部１１ａ
と外部導体接続部１１ｂとから構成してある。１
２は出力端子で、前記入力端子１１と同様、中心
導体接続部１２ａと外部導体接続部１２ｂとから
成つている。次に１３は不平衡型（一例として75
Ω、他に50Ωの場合もある）電子回路を示し、本
例においては混合回路が形成されている。この電
子回路１３（混合回路）は、UHF信号のみを通
過させるようにした高域通過ろ波回路１４と、
VHF信号のみを通過させるようにした低域通過
ろ波回路１５とから成つており、高域通過ろ波回
路１４の入力端１４ａは前記入力端子３における
第２端子８に接続してある。又低域通過ろ波回路
１５の入力端１５ａは前記入力端子１１における
中心導体接続部１１ａに接続してある。

次に上記構成のものにおいて、入力端子３に対
する給電線の接続方法を説明する。

先ず、平衡型給電線１７（300Ωのリボン型フ
イーダ或は200Ωのメガネ型フイーダ）を接続す
る場合には、第２図に示されるように二つの導線
１７ａ，１７ａを夫々第１端子７及び第２端子８
に接続する。すると、この給電線１７から入来す
る信号は、半波長迂回線路９によりインピーダン
ス変成がなされて損失少なく高域通過ろ波回路１
４の入力端１４ａに入力される。

次に不平衡給電線１８（75Ωや50Ωの同軸ケー
ブル）を用いる場合には、第３図に示されるよう
にその中心導体１８ａを第１端子７に止着ねじ棒
７ｂをもつて接続すると共に、外部導体１８ｂを
外部導体接続片４に押え片５及び止着ねじ棒６，
６をもつて接続する。この様に接続することによ
り、不平衡型給電線１８から入来する信号は、半
波長迂回線路９を介して損失少なく高域通過ろ波
回路１４における入力端１４ａに伝達される。

次に、上記の様な信号の伝達の状態を実験によ
つて確かめたところ、第４図に示されるような結
果が得られた。第４図において、実線は不平衡給
電線１８から第１端子７を介して電子回路の入力
端１４ａに信号を伝達させた場合の損失特性を示
し、一点鎖線は平衡型給電線１７から第１端子７
及び第２端子８を介して前記入力端１４ａに信号
を伝達させた場合の損失特性を示す。又破線は従
来構成のもの、即ち不平衡型給電線から、インピ
ーダンス変成回路が接続されたままの第２端子８
を介して前記入力端に信号を伝達させた場合の損
失特性を示す。

この第４図から明らかな様に、本例のものにお
いては従来例のものに比べその損失が極めて小さ
くなつていることが理解される。

次に第５図は前記第４図に示された場合におけ
る各端子のVSWR特性を示すもので、この
VSWRに関しても本例のものが従来例のものと
比べて格段に優れていることが理解される。

次に第６図は本願の異なる実施例を示すもの
で、Ａ，Ｂ，Ｃ夫々半波長迂回線路の異なる形態
の例を示すものである。

なお、機能上前図のものと同一又は均等構成と
考えられる部分には、前図と同一の符号にアルフ
アベツトのｅを付して重複する説明を省略した。

以上のように本考案にあつては、基板１に備え
させる不平衡型電子回路１３に対して信号を入力
させる場合、入力用の給電線が平衡型給電線１７
のときは、上記第１端子７と第２端子８とにそれ
を単純に接続することによつて上記不平衡型電子
回路１３に対して電気的特性良好に入力させるこ
とができ、その上入力用の給電線が不平衡給電線
１８のときにおいてもまた、上記第１端子７と外
部導体接続片４とにその給電線を単純に接続する
ことによつて（上記のように平衡型給電線１７の
接続を可能にしてあることについては何らの煩わ
しさを受けることなく）上記不平衡型電子回路１
３に対して電気的特性良好に入力させることがで
きる優れた特長がある。

このように本考案においては、上記不平衡型電
子回路１３に対して入力する場合、平衡、不平衡
の両方の給電線を、相互間で何らの煩わしさをも
たらすことなく夫々を単純に接続して給電できる
ようにしたものであつてもその構成は、端子数が
「３」という最も少ない数量で簡易に構成できる
ようにしたものであり、実用上誠に有益な考案で
ある。

その上上記の如き有益な構成であつても、ラン
ド状の半波長迂回線路９も不平衡型給電線の外部
導体接続片４も共に電子回路用の基板におけるア
ース面２を利用しているので、それらの回路を特
段形成したり特段の配線を行なつたりすることを
不要化できる経済効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本願の実施例を示すもので、第１図は回
路基板の裏面図、第２図及び第３図は夫々接続端
子部分の表面図、第４図は損失特性を示すグラ
フ、第５図はVSWR特性を示すグラフ、第６図
は半波長迂回線路の異なる形状の例を示す図。 ７……第１端子、８……第２端子、１３……不
平衡型電子回路、９……半波長迂回線路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 不平衡型電子回路は一面にアース面を備える基
   板上に構成されており、上記基板の他面には入力
   用の平衡型給電線を接続し得るようにした第１端
   子と第２端子とを並設し、かつ上記第２端子を不
   平衡型電子回路に接続し、更に上記基板の一面に
   おけるアース面においては、上記第１端子及び第
   ２端子間にインピーダンス変成の為のランド状の
   半波長迂回線路を形成し、更に上記第１端子を入
   力用の不平衡型給電線の中心導体の接続を可能な
   構造にすると共に、上記基板における第１端子の
   近くの同一面には、上記アース面に接続された上
   記不平衡型給電線の外部導体接続片を備えさせた
   ことを特徴とする不平衡型電子回路。