JPS6313908B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は自動低速運転機能を備えた非常用エ
レベータの運転装置に関するものである。

最近のエレベータは、走行中に何らかの原因で
階間停止した場合でも、自動的に低速運転に切り
換わり、最寄階まで走行させ、かご内のエレベー
タ利用者を救出する自動低速運転機能を備えてい
る。この自動低速運転は非常時にカゴ内のエレベ
ータ利用者を救出することが目的であることか
ら、その運転方向は例えば必ず降り方向に設定す
るなどの方式が一般的である。また、従来非常用
エレベータには、かご内に非常停止ボタンが設置
されている。

この非常停止ボタンは、かご内乗客が意図的に
操作するものであるから、この停止ボタンを操作
した場合は、かごは階間等に急停止することにな
り、この時は、自動低速運転は機能せず、また、
非常停止ボタンを復帰させれば、非常用エレベー
タの自動低速運転は動作することになる。

しかし、非常用エレベータが消防活動中に非常
停止ボタンを操作して急停止した後、ボタンを復
帰した場合にエレベータが自動低速運転に入つて
かごが意図する方向と逆に走行すると問題があ
る。例えばエレベータかごに乗つた消防士の意図
した方向と逆方向に自動低速走行すると、消火活
動に大きな支障をきたすことになり、また運悪く
く自動低速走行により着床した階が火災階であつ
たりすると、消防士を危険な状態に陥れることも
考えられる。このような問題点は、安全を最優先
とする非常用エレベータにとつて極めて不具合な
ことである。

この発明は、上記の欠点を解消するもので、非
常停止ボタンが操作された非常用エレベータが急
停止した後、非常用ボタンが復帰されたときに、
エレベータが自動低速運転で勝手に走行すること
のない非常用エレベータの運転装置を提供しよう
とするものである。

以下、第１図によつてこの発明の一実施例を説
明する。

第１図は１階から４階までを運転する非常用エ
レベータにおいて、この発明の一実施例を示す電
気回路図であつて、＋、−は直流電源、１は高速−
低速切換スイツチ、２は切換スイツチ１を介して
直流電源ラインに並列に接続された高速−低速切
換リレーで、付勢されたとき高速運転指令とな
り、消勢されたとき低速運転指令となり、また、
該高速−低速切換リレー２の常開接点２ａ，２ｂ
を備えている。３は上記接点２ａを介して直流電
源ラインに並列に接続された自動低速運転リレー
で、ドロツプアウト動作で自動低速運転指令を出
す。３ａ，３ｂ，３ｃは前記自動低速運転リレー
３の常閉接点、４は前記接点２ａを介して直流電
源ラインに並列に接続された自動低速運転管制リ
レー、４ａは前記自動低速運転管制リレー４の常
開接点である。また、５は前記接点２ａを介して
直流電源ラインに並列に接続した自動低速運転タ
イマリレーで、オン−デイレー・タイマからな
り、通常は５秒程度に設定され、そして該タイマ
リレー５は常開接点５ａ，５ｂ、及び常閉接点５
ｃ，５ｄ，５ｅを備えている。６は非常用エレベ
ータのかご内に設けた押ボタン形の非常停止スイ
ツチであり、７はこの非常停止スイツチ６を介し
て直流電源ラインに並列に接続した非常停止リレ
ーで、通常はピツクアツプの状態にあり、ドロツ
プアウトしたときエレベータを非常停止させるも
のである。７ａ，７ｂは前記非常停止リレー７の
常開接点、７ｃは同じくリレー７の常閉接点、８
は前記接点７ｃを介して直流電源ラインに並列に
接続した非常停止保持リレーであり、該非常停止
保持リレー８は、その自己保持接点８ａ及び他の
常開接点８ｂ，８ｃは、常閉接点８ｄ，８ｅ，８
ｆを備えている。９はかご呼による上昇方向運転
指令リレー、９ａは前記運転指令リレー９の常閉
接点、１０はかご呼による下降方向運転指令リレ
ー、１０ａは前記運転指令リレー１０の常閉接
点、１１はかご呼登録回路用リレーで、ピツクア
ツプ動作でかご呼登録回路が有効となり、ドロツ
プ・アウト動作で前記かご呼登録回路が無効とな
る。

１２ａ，１２ｂはドアゾーン検出リレー（図示
せず）の常閉接点であり、ドアゾーンを検出する
と、開路するものである。１３ａは走行リレー
（図示せず）にの常閉接点である。１Fa，２Fa，
２Fb，３Fa，３Fb，４Faはそれぞれ１〜４階の
階床検出接点であり、かごが該当階へ到達すると
開路する。３０１ａ，３０２ａ，３０３ａ，３０
４ａはそれぞれ１〜４階のかご呼登録リレー（図
示せず）の常開接点である。

上記の構成に基づき、この発明の一実施例の動
作を以下に説明する。

まず、通常運転の場合の動作について述べる。
切換スイツチ１をONさせれば、＋電源→切換ス
イツチ１→リレー２→−電源の回路で高速−低速
切換リレー２がピツクアツプ状態になり、これに
より、高速運転指令が発令され、その常開接点２
ａ，２ｂは閉路する。ここで、非常用エレベータ
が１階のドアゾーン内に停止していると、ドアゾ
ーン検出リレーの常閉接点１２ａは開路している
ので、自動低速運転管制リレー４はドロツプアウ
ト状態にあり、これに伴いその常開接点４ａも開
路し、自動低速運転タイマリレー５もドロツプア
ウトしている。従つて、この自動低速運転タイマ
リレー５の常開接点５ａ，５ｂは開路し、常閉接
点５ｃ，５ｄ，５ｅは閉路している。タイマリレ
ー５がドロツプアウトしていることで、＋電源→
常開接点２ａ→常閉接点５ｃ→運転リレー３→−
電源の回路が閉成され、自動低速運転リレー３は
ピツクアツプ動作する。

通常、非常停止スイツチ６は閉路しているの
で、＋電源→スイツチ６→停止リレー７→−電源
の閉回路で非常停止リレー７はピツクアツプ動作
状態にあり、その常開接点７ａ，７ｂは閉路し、
常開接点７ｃは開路する。前記常閉接点７ｃが開
路すると、非常停止保持リレー８は付勢されず、
従つてその接点８ａ，８ｂ，８ｃは開路し、常閉
接点８ｄ，８ｅ，８ｆは閉路している。また、常
開接点７ｂが閉路していると、＋電源→常開接点
２ｂ→常開接点７ｂ→リレー１１→−電源の閉回
路によりかご呼登録回路リレー１１は付勢し、か
ご呼登録回路が動作する。

ここで、例えば、３階のかご呼を登録すると、
３階のかご呼登録リレーの常開接点３０３ａが閉
路し、これにより、＋電源→接点３０３ａ→接点
３Fb→接点４Fa→接点８ｄ→接点５ｄ→接点１
０ａ→リレー９→−電源の閉回路で上昇方向運転
指令リレー９を付勢し、エレベータかごを上昇方
向に走行する。以上はエレベータの通常運転時の
シーケンスである。

次に、非常事態発生の場合の動作について述べ
る。

いま、何らかの原因でエレベータが２階と３階
の途中で停止したとすると（階床検出接点２Fa，
２Fbは開路しているとする）、これに伴いドアゾ
ーン検出リレーの常閉接点１２ａ，１２ｂ及び走
行リレー１３の常閉接点１３ａが閉路する。この
ため、＋電源→接点２ａ→接点７ａ→接点１２ａ
→接点１３ａ→リレー４→−電源の閉回路が形成
され、自動低速運転管制リレー４が付勢し、その
常開接点４ａは閉路する。これにより、＋電源→
接点２ａ→接点４ａ→リレー５→−電源の閉回路
で自動低速運転タイマリレー５が励磁され、５秒
経過するとピツクアツプ動作し、同時にその常開
接点５ａ，５ｂが閉路し、常閉接点５ｃ，５ｄ，
５ｅは開路する。常開接点５ａが閉路すると、前
記自動低速運転管制リレー４はかご走行開始され
てもピツクアツプ状態を保持する。また、常閉接
点５ｃが開路することにより自動低速運転リレー
３がドロツプアウトし、これによりエレベータを
低速運転させる。さらにまた、常閉接点５ｄ，５
ｅの開路することでかご呼による方向設定が解除
される。一方、前記常開接点５ｂの開路と自動低
速運転リレー３の常閉接点３ａの閉路により、＋
電源→接点８ｆ→接点５ｂ→接点３ａ→接点９ａ
→リレー１０→−電源の閉回路が成立し、下降方
向運転指令リレー１０が付勢して、エレベータか
ごを下降方向に走行させる。そして、最寄の階、
例えばこの場合は２階のドアゾーンにエレベータ
かごが到達すると、ドアゾーン検出リレーの常閉
接点１２ａが開路し、自動低速運転管制リレー４
が消勢することで、エレベータの自動低速運転を
終了する。

次に、非常停止を非常用エレベータの利用者が
行う場合について述べる。

今、非常用エレベータのかご内に設けた非常停
止押ボタンスイツチ６を開放して、２階と３階の
階間に停止したとする。このとき、階床検出接点
２Fa，２Fbは開路している。エレベータかごが
停止すると、ドアゾーン検出リレーの常閉接点１
２ａ，１２ｂ及び走行リレー１３の常閉接点１３
ａは閉路するため、非常停止リレー７はドロツプ
アウトし、これによりその常開接点７ａ，７ｂは
開路し、常閉接点７ｃは閉路する。したがつて、
＋電源→接点７ｃ→リレー８→−電源の閉回路が
成立し、非常停止保持リレー８は付勢されるとと
もに、その常開接点８ａの閉路で自己保持され
る。このとき非常停止リレー７は停止スイツチ６
の開放によつてドロツプアウトされているため、
その常開接点７ａは開となり、自動低速運転管制
リレー４は付勢されない。また、非常停止リレー
７の常開接点７ｂの開で、かご呼登録回路用リレ
ー１１がドロツプアウト状態となり、かご呼びは
打消され、新たな登録も出来なくなる。

一方、非常停止スイツチ６を復帰させると、前
記非常停止リレー７がピツクアツプ動作し、その
常開接点７ａ，７ｂが閉じ、常閉接点７ｃが開成
する。以下は、上述した異常発生時と同様の自動
低速運転シーケンスが成立する。ただし、前記非
常停止保持リレー８の常閉接点８ｆが開始したま
まなので、運転方向の自動設定は行われない。

そして、自動低速運転リレー３がドロツプアウ
トした後、例えば３階のかご呼を登録すると、＋
電源→接点３０３ａ→接点３Fb→接点４ａ→接
点８ｂ→接点３ｂ→接点１０ａ→リレー９→−電
源の閉回路が形成され、これにより上昇方向運転
指令リレー９がピツクアツプ動作し、エレベータ
は３階まで自動的に低速で走行し、停止する。

すなわち、この発明の一実施例では、非常停止
スイツチ６が操作されて階間停止したときは、こ
のスイツチが復帰された場合、自動低速運転で勝
手に走行させるのではなく、上述のかご呼登録の
如く、人的操作を加味して走行させるようにした
ので、エレベータかごが意図した方向と反対方向
に走行するようなことがなく、安全な運転を確保
することができる。なお、上述の実施例では人的
操作をかご呼登録としたが、戸閉ボタン等を利用
してもよい。さらに、前記人的操作では非常用エ
レベータが消防活動を行つているときに限定して
も良い。

この発明は以上説明したとおり、非常用エレベ
ータの高速運転から自動低速運転の切換え動作に
おいて、非常停止ボタンが操作されてエレベータ
が階間停止した場合に、非常ボタンが復帰されて
も、人的操作によつて所定条件が成立するまで自
動低速運転の動作を禁止する技術的手段を付加し
たことにより、勝手にエレベータを自動低速運転
で走行させないようにすることができ、その結
果、非常用エレベータの運転の安全性と信頼性を
著しく高めることができるという効果を奏するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す電気回路図
である。 １……高速−低速切換スイツチ、２……高速−
低速切換リレー、３……自動低速運転リレー、４
……自動低速運転管制リレー、５……自動低速運
転タイマリレー、６……かご内に備えた非常停止
ボタン、７……非常停止リレー、８……非常停止
保持リレー、９……かご呼による上昇方向運転指
令リレー、１０……かご呼による下降方向運転指
令リレー、１１……かご呼登録回路用リレー、１
Fa，２Fa，２Fb，３Fa，３Fb，４Fa……１〜
４階の階床検出接点。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エレベータが階間停止したとき、自動的に最
   寄階まで低速で走行する自動低速運転手段と、か
   ご内にエレベータを非常停止させる非常停止ボタ
   ンとを備えているエレベータにおいて、前記非常
   停止ボタンが操作されてエレベータが階間停止し
   たときに、前記非常停止ボタンを復帰させても所
   定条件が成立するまで前記自動低速運転を禁止さ
   せる手段を設けたことを特徴とする非常用エレベ
   ータの運転装置。 ２ 所定条件が、運転方向が設定されたときであ
   る、特許請求の範囲第１項記載の非常用エレベー
   タの運転装置。 ３ 所定条件が、戸閉釦が操作されたときであ
   る、特許請求の範囲第１項記載の非常用エレベー
   タの運転装置。