JPS6312791A - キヤストコ−ト紙用塗被液組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はキャストコート紙用の塗被液組成物に関するも
ので、更に詳しくは操業性が良好で、且つ耐水性に優れ
るキャストコート紙を得るための塗被液組成物に係るも
のである。

〔従来の技術〕

キャストコート紙は顔料及び接着剤を主成分とする水系
塗被液を基紙に塗工して後、湿潤状態において可塑性を
有する塗被層を、鏡面仕上げされた加熱ドラムの表面に
圧着、乾燥させ、鏡面を塗被層に写し取ることにより製
造されている。

この様にして得られたキャストコート紙は、スーパーカ
レンダー仕上げされた通常のコート紙に比べて高い白紙
光沢と優れた表面の平滑性を有するため、極めて優れた
印刷効果が得られ高級な印刷物或いは高級な紙器などの
用途に向けられている。

しかし、湿潤状態にある塗被層を直接加熱ドラムに圧着
して乾燥させるため、品質上或いは操業上のトラブルが
発生し易く、また一般に生産性も低い。

之等のトラブルは塗被液組成物との関係が密接であり、
特に塗被液組成物中の接着剤の種類及び配合割合の影響
が大きい。

之等に用いられる接着剤は通常合成系のものと天然のも
のとが併用され、前者にはスチレン・ブタジェンなどの
共役ジエン系重合体、アクリル酸エステルなどのアクリ
ル系重合体、エチレン・酢酸ビニルなどのビニル系重合
体などのラテックスがあり、後者にはカゼイン、大豆蛋
白、変性澱粉などがある。通常、塗被液組成物に配合さ
れる之等の接着剤の割合は塗被顔料１００重量部に対し
て５〜５０重量部で、特に１０〜３５重量部の範囲が好
んで用いられている。之等の接着剤の中で、カゼイン、
大豆蛋白などの天然蛋白質系接着剤は塗被層の鏡面仕上
げされた加熱ドラム表面からのキャストコート紙の剥離
をスムーズに行ない、且つ生産性を高めるため塗被液中
に含まれている必要があった。

しかしながら、この天然蛋白質系の接着剤はそれ自身が
吸湿性を有しているために、天然蛋白質系接着剤を使用
したキャストコート紙は比較的耐水性に乏しく、特に水
を介してキャストコート層同志が圧着された場合にキャ
ストコート層が膠着して雛れなくなる所謂ブロッキング
現象が起こる欠点を有していた。

上記の様な天然蛋白質系接着剤の欠点を解消するために
幾つかの提案がなされている。例えばキャスト塗被液組
成物の助剤として亜鉛、マグネシウム、アルミニウムな
どの塩をカゼインの耐水化剤やゲル化剤として使用し、
キャストコート層の耐水性を向上させることが図られて
いる。

しかしながら、この分法ではキャスト塗被液組成物中の
カゼインが部分的に凝集を起こす傾向が強いためキャス
ト塗被液組成物の粘度が上昇し、カゼインの接着剤とし
ての機能を低減させ、また長時間の運転によりドラムに
曇りが生じてキャストコート紙の白紙光沢が低下するな
どの欠点を有していた。

また、天然タンパク質系接着剤の代わりにデンプン変性
物や水溶性合成高分子共重合体を使用することが提案さ
れている。しかし上記提案の接着剤では加熱ドラムから
の剥離性において天然タンパク質系の接着剤に劣り、ま
た印刷強度、白紙光沢などの紙質においても劣っている
。

〔本発明が解決しようとする問題点〕

上に述べた様に、従来のキャストコート紙では品質面、
操業面で種々の問題を抱えていた。その中で、キャスト
コート紙の耐水性付与は特に重要な問題であり、耐水性
と白紙光沢、印刷強度及び操業性との関係から白紙光沢
や印刷強度及び操業性を低下させること無く耐水性を高
めることがキャストコート紙品質向上の重要な問題点と
なっていた。

本発明者等は、この様に従来の塗被液組成物では不可能
であった耐水性が高く且つ白紙光沢、印刷強度及び操業
性を低下させることの無いキャストコート紙用塗被液組
成物について検討を重ねた結果、バインダーの一部とし
て使用されている天然タンパク質系接着剤を特定の酵素
処理を行なったカゼインと置き換えることにより斯かる
問題が解決されることを見出した。

Ｃ問題点を解決するための手段〕 本発明は接着剤の一部として特定の酵素処理を施すこと
により２０重量％濃度のアルカリ性水溶液（ｐ）１１０
）における粘度を１，０００〜１０，０００ｃｐｓとな
る様に変性させたカゼインを塗被顔料の１００重量部に
対して５〜２０重量部配合されて塗被液が調製されてい
ることから成り、之によって耐水性が高く、且つ白紙光
沢・印刷強度、及び操業性に優れるキャストコート紙を
得ることが出来た。

本発明に使用される酵素としてはタンパク質を分解する
酵素であれば何れを使用してもよいが、本発明のカゼイ
ンが中性若しくはアルカリ性の条件下で溶解・使用され
ることから、中性若しくはアルカリ性プロテアーゼが好
ましく使用される。

中性プロテアーゼとしてはパパインやブロメラインの様
な植物に由来するもの、動物、カビ及びバクテリアに由
来するものがあるが、それ等の何れを使用してもよい。

アルカリ性プロテアーゼとしてはトリプシンやパンクレ
アチンの様な動物に由来するもの；植物。

カビ及びバクテリアに由来するものがあるが、それ等の
何れを使用してもよい。

また効果的に粘度を低下させるためにエンド型の酵素で
あることが好ましい。

本発明の酵素処理を施した変性カゼインの２０重量％濃
度のアルカリ性水溶液（ｐＨ１０）の粘度は１　、００
０〜１０，０００ｃｐｓであることが好ましい。粘度が
１．０００ｃｐｓより低くなるまで変性が進められた変
性カゼインを用いたキャストコート紙は耐水性には優れ
るものの白紙光沢、印刷強度が低く好ましくない。粘度
が１０，０００ｃｐｓを超える変性カゼインを用いたキ
ャストコート紙では白紙光沢、印刷強度が優れているも
のの耐水性が劣り、また塗被液の粘度が高くなりハンド
リング及び塗被性の面で好ましくない。

本発明の塗被液組成物の接着剤としては上記変性カゼイ
ンを塗被顔料１００重量部に対し５〜２０重量部配合す
る。配合量が５重量部未満では得ら九たキャストコート
紙の白紙光沢・印刷強度が低下し好ましくない。また２
０重量部を超すと白紙光沢。

印刷強度が優れるものの耐水性が劣り好ましくない。

また、従来の処方で用いられているスチレン・ブタジェ
ンなどの共役ジエン系、アクリル酸エステルなどのアク
リル系、エチレン・酢酸ビニルなどのビニル系重合体な
どのラテックスを顔料１００重量部に対し５〜２０重量
部併用して配合する。

尚、塗被顔料としては通常のキャストコート紙用に用い
られているクレー、炭酸カルシウム、サテンホワイト、
水酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどを一種または二
種以上混合して使用する。

更に必要に応じて従来のキャストコート紙用の塗被液組
成物に用いられている剥離剤、消泡剤。

分散剤なども使用することが出来る。

本発明のキャストコート紙用塗被液組成物を使用してキ
ャストコート紙を製造する方法としては公知のキャスト
コート法即ちウェットキャスト法。

リウェツトキャスト法、ゲル化キャスト法の何れの方法
を使用してもよい。

〔作用及び効果〕

本発明の塗被液組成物を使用したキャストコート紙にお
いて耐水性の向上する理由は明らかではないが、実施例
に記載した如く本発明の塗被液組成物を使用することに
より耐水性、白紙光沢及び印刷強度に優れ、なお且つ操
業性の良好なキャストコート紙を製造することが可能と
なった。

〔実施例〕

次に本発明を更に具体的に説明するために、実施例を挙
げて説明するが、之等によって本発明は何等制約を受け
るものではない６尚、実施例中の部数は特に断わらない
限り全て重量部を示す。また実施例中の印刷強度、白紙
光沢、印刷光沢、耐水性及び操業性は次の様にして求め
た値である。

印刷強度： Ｒｆ−４型印刷試験機を用い、東洋インキピッキングテ
スト用インキ（ＴＶ　＝　１８）を用いて印刷を行ない
、ピッキングの程度を肉眼で判定した。

結果は１（最も悪いもの）から５（全くピッキングを起
こさないもの）の５段階に次の様に１＝最も悪いもの ２：可成り悪いもの ３：稍々悪いもの ４：殆んどピッキングの無いもの ５：全くピッキングを起こさないもの 評価し、５回の試験の平均を求めた数値で示した。

白紙光沢： 村上色彩技術研究所層の光沢度計を用い、７５゜光沢を
測定した。

印刷光沢： ＲＩ−ｎ型印刷試験機を用い、坂出商会製オフセット印
刷用インキ（商品名ダイアトーンＧＳＬ紅）（ＴＶ＝１
２）を０．２５ｃｃ使用して印刷を行ない一昼夜放置後
、村上色彩技術研究所層の光沢度計を用いて７５°光沢
を測定した。

耐水性： キャストコート紙の表面に水を１滴置き、直ちにキャス
トコート面同志が向き合う様に更に他の一枚のキャスト
コート紙を重ね、１００ｇ／■２の荷重を掛ける。１分
、２分及び３分間荷重を掛けた後、両方のキャストコー
ト紙を引き離し、コート層の破壊の程度を目視で評価し
た。結果は、Ｏ（全く破壊されない）、Δ（部分的にコ
ート層が取られる）、×（コート層が完全に膠着し。

全体が破壊される）の３段階で示した。

操業性： キャストコーターにより２４時間の連続塗工を行ない、
塗工終了後のキャストドラムの曇りの程度を目視で評価
した。結果は、 ◎二全く曇りの生じないもの ○：殆んど曇りの生じないもの △：稍々曇りを生じたもの Ｘ：全面に曇りを生じたもの 上記の如く４段階で評価した。

実施例１ 攪拌装置を備えた反応タンク中にカゼイン１００部、Ｉ
Ｎ水酸化ナトリウム水溶液　７０部、水　３００部を加
え、カゼインを完全に溶解した。次いで酵素を添加し、
攪拌しなから４０°Ｃ１時間反応を行なわせた後、２Ｎ
水酸化ナトリウム水溶液　３０部を添加し、６５℃３０
分間加熱処理を行なって酵素変性カゼイン水溶液を得た
。ただし、反応の際に使用する酵素としてプロテアーゼ
・アマノＡ’（玉野製薬社製）０．１部使用したものを
、酵素変性カゼイン（Ａ）とし、０．０２部使用したも
のを酵素変性カゼイン（Ｂ）とした。またプロテアーゼ
ニュートラル（協和発酵社製）０．０２部使用したもの
を酵素変性カゼイン（Ｃ）とし、プロチア−ゼアマノＮ
（玉野製薬社製）０．００１部使用したものを酵素変性
カゼイン（Ｄ）とした。更にプロチンＡＹ（大和化成社
製）０．０２部使用したものを酵素変性カゼイン（Ｅ）
とし、ｏ、ｏｏｓ部使用したものを酵素変性カゼイン（
Ｆ）とした。

之等の酵素変性カゼイン（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）。

（Ｄ）、（Ｅ）、（Ｆ）を用いて下記配合の塗被液組成
物を調製した。

塗被液組成物配合　（乾燥重量部） カオリンクレー　　　　　　　　　　　　１００酵素変
性カゼイン　　　　　　　　　　　１５共重合体ラテッ
クス　　　　　　　　　　１５分　散　剤（東亜合成社
製。

商品名アロンＴ　−４０）　　　０．１剥　離　剤（サ
ンノプコ社製。

商品名ノブコートＣ１０４）　　５ 消　泡　剤（サンノプコ社製。

商品名ノプコ１４０７）　　　　０．５全固形分　　　
　４５％ 上記により調製された塗被液組成物を坪量７０ｇ／ｍ２
のキャストコート紙用ｙＸ紙に塗被量が乾燥重量で１５
ｇ／ｍ２となる様に塗被し、直ちに８５℃のクロムメッ
キ仕上げされた熱板に密着させて乾燥し各キャストコー
ト紙を得た。上記酵素変性カゼインの２０重量％濃度の
アルカリ性水溶液（ｐＨ１０）における粘度、上記塗被
液の粘度、各キャストコート紙の塗被紙評価の結果を第
１表に示す。

第１表 第１表の結果から明らかな様にカゼイン溶液の粘度が１
　、０００〜ＩＱ、０００ｃｐｓの範囲に在る酵素変性
カゼインを用いた本発明の塗被液組成物によりキャスト
塗工されたキャストコート紙は印刷強度、白紙光沢、印
刷光沢、耐水性に優れなお且つ操業性が良好であった。

之に対してカゼイン溶液粘度が本発明の範囲より低い酵
素変性カゼイン（Ａ）を用いたキャストコート紙では耐
水性に優れているものの印刷強度、白紙光沢、印刷光沢
が低く、しかも操業性が悪化し好ましくなかった。また
カゼイン溶液の粘度が本発明の範囲より高い酵素変性カ
ゼイン（Ｆ）を用いたキャストコート紙では印刷強度。

白紙光沢、印刷光沢に優れ、操業性も良好であるが、耐
水性が低く好ましくなかった。

実施例２ 実施例１と同様な手順により第２表に示した酵素変性カ
ゼイン（Ｇ）、（Ｈ）、（Ｊ）、（Ｋ）を得た。

第２表 得られた酵素変性カゼイン（Ｇ）、（Ｈ）、（Ｊ）。

（Ｋ）を用いて実施例１と同様の方法で塗被液組成物を
調製し、同様に塗被して評価を行なった。得られた結果
を第３表に示した。

第３表 第３表の結果から明らかな様にカゼイン溶液の粘度が１
　、０００〜１０，０００ｃｐｓの範囲に在る酵素変性
カゼインを用いた本発明の塗被液組成物によりキャスト
塗工されたキャストコート紙は印刷強度、白紙光沢、印
刷光沢、耐水性に優れ、なお且つ操業性が良好であった
。之に対してカゼイン溶液粘度が本発明の範囲より高い
酵素変性カゼイン（Ｇ）を用いたキャストコート紙では
印刷強度、白紙光沢。

印刷光沢に優れ、操業性も良好であるが、耐水性が低く
好ましくなかった。一方、カゼイン溶液粘度が本発明の
範囲より低い酵素変性カゼイン（Ｋ）を用いたキャスト
コート紙では耐水性に優れているものの印刷強度、白紙
光沢、印刷光沢が低く、しかも操業性が悪化し好ましく
なかった。

実施例３ 実施例１で作成した酵素変性カゼイン（Ｅ）及び未変性
のカゼインを使用し、第４表に示した組成の塗被液組成
物を得た。尚、表中の部数は、乾燥重量部を示す。

以下余白 第４表 第４表により調製した塗被液を実施例１と同様の方法で
塗被し、各キャストコート紙を得た。得られたきキャス
トコート紙の塗被紙評価の結果を第５表に示す。

以下余白 第５表 第５表より明らかな様に本発明の塗被液組成物でキャス
ト塗工されたキャストコート紙は印刷強度、白紙光沢、
印刷光沢、耐水性に優れ、しかも操業性が良好であった
。

之に対し、塗被液組成物中の酵素変性カゼインの量が本
発明の範囲より少ない塗被液組成物（Ｉ）でキャスト塗
工されたキャストコート紙では耐水性に優れているもの
の印刷強度、白紙光沢、印刷光沢が低く、また操業性が
悪化し好ましくなかった。

また、塗被液組成物中の酵素変性カゼインの量が本発明
の範囲より多い塗被液組成物（ＩＶ）でキャスト塗工さ
れたキャストコート紙では印刷強度。

白紙光沢、印刷光沢に優れ操業性も良好であるが、耐水
性が劣り好ましくなかった。

特許出願人　山陽国策パルプ株式会社 手続補正書 昭和６１年９月２６日

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １　顔料と接着剤とを主成分とするキャストコート紙用
   塗被液組成物において、接着剤の一部としてカゼインが
   酵素変性されて２０重量％濃度のアルカリ性水溶液（ｐ
   Ｈ１０）における粘度を１，０００〜１０，０００ｃｐ
   ｓに調整された酵素変性カゼインが、塗被顔料１００重
   量部に対して５〜２０重量部配合されていることを特徴
   とするキャストコート紙用塗被液組成物。 ２　カゼインの処理に使用される酵素が中性プロテアー
   ゼである特許請求の範囲第１項記載のキャストコート紙
   用塗被液組成物。 ３　カゼインの処理に使用される酵素がアルカリ性プロ
   テアーゼである特許請求の範囲第１項記載のキャストコ
   ート紙用塗被液組成物。