JPS6311230Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は横葺き屋根材、詳しくは１枚の屋根材
が他の屋根材に接合する接合部において、両屋根
材の端部に形成した円弧状突部が当接する横葺き
屋根材に関する。

従来、家屋等の屋根の野地板等の下地上に金属
板を横葺きする場合、各金属板の接合継目部や釘
穴等から雨水等が侵入し易く、水切り性、防水性
が劣つていることが多かつた。また、接合継目部
は積雪荷重や人間の歩行その他の外力によつて変
形、破損し易かつた。また、従来の屋根葺き用金
属板は、各金属板同士の接合が充分に強固でな
く、接合部にズレやゆるみが起きることが多かつ
た。

本考案は上記欠点を解決し、特に耐圧強度並び
に水切り、防水性、接合強度を高め、さらに施工
も極めて容易で、美観にも優れる横葺き屋根材を
提案することを目的とする。

以下、図面にもとづいて本考案について詳しく
説明する。

なお、第１図は本考案の一つの実施例に係る屋
根材の説明図であり、第２図は第１図の屋根材の
接合状態の説明図であり、第３図は本考案の他の
実施例に係る屋根材の説明図であり、第４図は第
３図の屋根材の接合状態の説明図である。

まず、第１図に於て符号１は金属製の屋根材本
体であり、この屋根材本体１は水平基板２と傾斜
基板３を有し、水平基板２の外側端縁には被係止
部Ａが、また傾斜基板３の外側端縁には係止部Ｂ
がそれぞれ一体的に形成されている。

前記被係止部Ａは、水平基板２の外側端縁をコ
字形状に折返して成る差込溝形成片４と、該差込
溝形成片４の終端縁を直立させ且つ傾斜基板３側
に突出する円弧状突部５ａをそなえて成る起立片
５と、この起立片５の上端縁を外方へ水平に屈曲
させた上部水平片６と、その先端縁を下方外側へ
傾斜させて成る傾斜片７と、その端縁を前記水平
基板２の延長面上に水平に外方へ屈曲させた下部
水平片８とから一体形成されている。

次に、係止片Ｂは傾斜基板３の外側端縁に連設
された上部水平片９と、該上部水平片９の先端縁
を垂下させ且つ水平基板２側に突出する円弧状突
部１０ａをそなえて成る垂下片１０と、該垂下片
１０の下端縁を内方へ水平に屈曲させた下部水平
片１１と、その先端縁をＶ字状に下方へ折返すと
ともに溝部４ａ内に圧入される折返片１２とから
一体形成されている。そして前記下部水平片１１
と折返片１２は併せて差込片１３を形成する。

上記構成の屋根材本体１を屋根の下地材１４上
に取付け施工する場合には、各屋根材の被係止部
Ａを棟側に、そして係止部Ｂを軒先側に向けてそ
れぞれ配置し、上方の屋根材の係止部Ｂで下方の
屋根材の被係止部Ａを包み込むように接合を行な
う。

これを第２図によつて詳しく説明すると、ま
ず、被係止部の下部水平片８を釘、その他の固定
具１６によつて下地材１４に固定する。つづい
て、上方に配置する屋根材の係止部Ｂの差込片１
３を図示するように差込溝形成片４の差部４ａ内
に圧入る。このとき、折返片１２のバネ効果によ
り差込片１３は溝部４ａ内に強固に保持され、接
合強度を大きくし、脱落、ズレ、ゆるみを完全に
防止する。

また、被係止部Ａ及び係止部Ｂにそれぞれ形成
された円弧状突部５ａ及び１０ａは、接合時に於
て、互いにその頂部で突合された状態で当接する
ので、上方からの押圧力Ｐに対しては、図示する
ような反対方向の抗力P₁，P₂が発生して、互い
に均衡を保つので接合部の変形、破損が防止され
る。

上述のように、差込片１３の折返片１２のバネ
効果により、溝部４ａ内に確実に保持されるの
で、接合部に脱落、ズレ、ゆるみが発生すること
が防止され、また、円弧状突部５ａ及び１０ａの
頂部が互いに当接して互いに反対方向の押圧力を
与えるので、耐圧強度が大きく、積雪や人の歩行
等を原因とした接合部の変形、破損が防止され
る。

また、雨水等が溝部４ａから毛細管現象によつ
て侵入した場合でも、円弧状突部５ａと１０ａの
突合わせ部の上下部分に形成される空間１５の存
在によつて、雨水はこれ以上進行できない。

また、接合後は釘等の固定具１６が露出しない
ので、美観も損なわれない。

次に、第３図及び第４図に示す本考案の他の実
施例に係る横葺き屋根材について説明すると、こ
の屋根材は前記の第１図及び第２図に示した屋根
材の被係止部Ａの下部水平片８に補強部Ｃを形成
したもので、この補強部Ｃが加わつた点を除けば
前記実施例と全く同一であるので、相違点のみを
説明すると、補強部Ｃは前記水平片８の終端縁を
外方上向に傾斜させた傾斜片１７と、該傾斜片１
７の先端縁を傾斜基板３の傾斜面内側と面接触す
るように外方へ屈曲させた支持片１８と、該支持
片１８の端縁を下方外側へ屈曲させた傾斜片１９
と、この傾斜片１９の端縁を前記下部水平片８の
延長上に水平に外方へ屈曲させた端部水平片２０
とから一体形成されている。

この補強部Ｃの支持片１８は、上方に位置する
屋根材の傾斜基板３の内側に面接触していると同
時に、傾斜片１７と１９により支承されているの
で、傾斜基板３に対して押圧力、その他の外力が
加えられた場合に、その変形、破損等を防止し、
その耐圧強度を高める。また、端部水平片２０は
釘等の固定具１６により下地１４に固定する。

以上詳しく説明した通り、本考案は水切り性、
防水性に優れ、また耐圧強度が大きいため、接合
部は勿論、屋根材全体においても変形、破損を生
じることがなく、また、接合強度も大きいため接
合部に脱落、ズレ、ゆるみ等が生じることがな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一つの実施例に係る屋根材の
説明図であり、第２図は第１図の屋根材の接合状
態の説明図であり、第３図は本考案の他の実施例
に係る屋根材の説明図であり、第４図は第３図の
屋根材の接合状態の説明図である。 符号、Ａ……被係止部、Ｂ……係止部、１……
屋根材本体、２……水平基板、３……傾斜基板、
４……差込溝形成片、５……起立片、６……水平
片、７……傾斜片、８……下部水平片、９……上
部水平片、１０……垂下片、５ａ，１０ａ……円
弧状突部、１１……下部水平片、１２……折返し
片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 水平基板２とこれに連続する傾斜基板３とを
   そなえ、上記水平基板２及び傾斜基板３の端縁
   部には、それぞれ被係止部Ａ及び係止部Ｂが一
   体に形成され、前記被係止部Ａは前記水平基板
   ２の外側端縁をコ字形状に折返して成る差込溝
   形成片４と、該差込溝形成片４の終端縁を直立
   させ且つ傾斜基板３側に突出する円弧状突部５
   ａをそなえて成る起立片５と、該起立片５の上
   端縁を外方へ水平に屈曲させた上部水平片６
   と、その先端縁を下方外側へ傾斜させて成る傾
   斜片７と、その端縁を前記水平基板２の延長面
   上に水平に外方へ屈曲させた下部水平片８とか
   ら一体形成され、また、前記係止部Ｂは傾斜基
   板３の外側端縁に連設された上部水平片９と、
   該上部水平片９の先端縁を垂下させ且つ水平基
   板２側に突出する円弧状突部１０ａをそなえて
   成る垂下片１０と、該垂下片１０の下端縁を内
   方へ水平に屈曲させた下部水平片１１と、その
   先端縁をＶ字状に下方へ折返してなるとともに
   上記差込溝形成片４によつて形成される溝部４
   ａ内に圧入される折返片１２とから一体形成さ
   れていることを特徴とする横葺き屋根材。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項記載の横葺き
   屋根材において、下部水平片８の終端縁を外方
   上向に傾斜させた傾斜片１７と、その先端縁を
   傾斜基板３の内側傾斜面と面接触するように屈
   曲させた支持片１８と、その端縁を下方外側に
   屈曲させた傾斜片１９と、その端縁をさらに水
   平に外方へ屈曲させた端部水平片２０とから一
   体形成されていることを特徴とする請求の範囲
   第１項記載の横葺き屋根材。