JPS631087Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は軸封技術に係るメカニカルシール組立
体の改良に関するもので、シールリングとフロー
テイングシートの摺動面における熱、圧力あるい
は機械的な要因によつて生ずる面歪の少ないメカ
ニカルシール組立体を提供し、安定した軸封効果
を確保することを目的とするものである。

従来、シールリングとフローテイングシートを
摺接して軸封するようになるメカニカルシール組
立体は、上記シールリングおよびフローテイング
シートを外径方向からピンまたは焼嵌め等によつ
て担持するとともにベローズに回り止め作用を行
なわしめるものが多く、摺動面に発生する面歪が
大きいばかりでなく、ベローズに対する繰り返し
捩り力によつて寿命が短かくなる等の問題を有し
ていた。

本考案は上記問題に鑑みてなされたもので、シ
ールリングおよびフローテイングシートの背面に
Ｏリングを介装し、リテーナからの熱、圧力ある
いは機械的歪等を吸収せしめるとともに、シール
リングとハウジング側部材との間に回り止め手段
を構成して、ベローズに捩り荷重が加わらないよ
うにしたものである。

以下、本考案メカニカルシール組立体の実施例
を図面にしたがつて説明すると、第１図は第１の
実施例を示し、１はハウジング２に内挿したシヤ
フトであつて、該シヤフト１のメカニカルシール
組立体はシヤフト１の段部１ａに係合外挿すると
ともにキー３を介して回動方向に固着されたシヤ
フト側部材であるパーシヤルインペラ４と上記ハ
ウジング２端にＯリング５を介して嵌合固着した
ハウジング側部材であるフランジ６間に構成する
ようになる。７は上記シヤフト１に外挿したスリ
ーブであり、８はこのスリーブ７に外挿したフロ
ーテイングシートであつてカーボン、超硬合金ま
たはSiC等からなる。そして、パーシヤルインペ
ラ４の後端外周には環状凹部が形成されるととも
に凹溝４ａが設けられている。また、上記フロー
テイングシート８の外周にはこの凹溝４ａと対応
する凹溝８ａが設けられていて、これらの凹溝４
ａ，８ａに係合する突条９ａが内径方向に突設さ
れているストツパーリング９によつて、上記フロ
ーテイングシート８は上記パーシヤルインペラ４
に軸方向摺動自在に回り止めされているもので、
該フローテイングシート８の背面にはパーシヤル
インペラ４の端面に形成した環状溝４ｂに半埋設
したＯリング１０が密接するようになる。また当
該フローテイングシート８の摺動面８ｂにはシー
ルリング１１の前面に形成した環状の摺動突起１
１ａが密接摺動するようになり、該背面にはリテ
ーナ１２の端面に構成した環状凹溝１２ａに半埋
設したＯリング１３が密接するようになるととも
に、前記フランジ６の内端に嵌着したアダプタ１
４と該リテーナ１２間に介装したベローズ１５に
よりシールリング１１をフローテイングシート８
に弾性的に押圧せしめる。１６は上記フランジ６
の内端に対し軸方向と平行になるように複数個等
配突設したドライブピンであり、該各ドライブピ
ン１６は上記シールリング１１の周縁１１ｂに形
成した各係合溝１１ｃに対して軸方向摺動自在に
係合し、回り止め手段を構成するとともに、フラ
ンジ６の内段部６ａに嵌合固着したバツフルスリ
ーブ１７を上記フローテイングシート８とシール
リング１１の摺動部外周に位置するようにＯリン
グ１８を介して気密的にハウジング２の軸孔２ａ
に内挿して構成する。

上記構成になるメカニカルシール組立体はシヤ
フト１が回動するとキー３を介してパーシヤルイ
ンペラ４が回転し、したがつてストツパーリング
９を介してフローテイングシート８が回転せしめ
られるもので、これに対してシールリング１１は
ハウジング２側に固定されたフランジ６に突設し
たドライブピン１６を係合溝１１ｃに係合して回
り止めしているため、フローテイングシート８に
対してシールリング１１が密接するようになり、
軸封機構を構成する。このときフローテイングシ
ート８とシールリング１１はそれぞれＯリング１
０，１３を介してパーシヤルインペラ４とリテー
ナ１２に押圧支持するようになるため、フローテ
イングシート８とシールリング１１に対して外部
からの熱の伝幡が少なく、両部材の熱による歪を
解消し、摺動面の気密を保持することができるも
のである。また上記両Ｏリング１０，１３はパー
シヤルインペラ４およびリテーナ１２からの機械
的振動を吸収するようになるため、摺動面にその
機械的振動による悪影響が及ぶことがない。さら
に上記構成によれば、シールリング１１がドライ
ブピン１６を介して直接ハウジング２側に回り止
めされるため、ベローズ１５に捩り荷重が掛かる
ことがなく、したがつてベローズ１５の寿命が長
くなり、長期間安定したシール効果を発揮するも
のである。なお、上記実施例ではベローズ１５の
弾性押圧によりフローテイングシート８とシール
リング１１の摺接圧力を得るように構成している
が、該ベローズ１５と平行にアダプタ１４とリテ
ーナ１２間にコイルスプリングを弾装付加しても
良い。

つぎに、第３図はシールリング１１′の回り止
め手段の他の実施例を示すもので、前記第１の実
施例と異なる部分について説明する。フローテイ
ングシート８と環状の摺動突起１１′ａを密封摺
動するようになるシールリング１１′の外周に形
成した周縁１１′ｂには軸方向に延びる係合溝１
１′ｃが複数個構成され、該各係合溝１１′ｃには
フランジ６の内段部６ａに嵌合固着したバツフル
スリーブ１７′の内周に対し軸方向に延びるごと
く形成した各係止突条１７′ａを軸方向にのみ摺
動可能に係合したものである。したがつて、シヤ
フト１が回転駆動し、フローテイングシート８が
回転してもシールリング１１′はその追従回転を
阻止され摺動するようになり、前記第１の実施例
と同様の効果を呈する。

以上説明したように、本考案はフローテイング
シートおよびシールリングをＯリングを介して支
持しているので、摺動面に歪が発生するおそれが
なく密封性に優れたものとなる。そして、回り止
め手段はシールリングとハウジング側部材との間
に構成されているので、ベローズに捩り荷重が加
わることがない。したがつて、本考案のメカニカ
ルシール組立体は耐久性に優れたものとなる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案メカニカルシール組立体の実施例
を示すもので、第１図は第１の実施例を示す要部
正断面図、第２図は同要部分解斜視図、第３図は
他の実施例を示す要部正断面図である。 １……シヤフト、１ａ……段部、２……ハウジ
ング、２ａ……軸孔、３……キー、４……パーシ
ヤルインペラ、４ａ，８ａ，１２ａ……凹溝、４
ｂ……環状溝、５，１０，１３，１８……Ｏリン
グ、６……フランジ、７……スリーブ、８……フ
ローテイングシート、８ｂ……摺動面、９……ス
トツパーリング、９ａ，１７′ａ……突条、１１，
１１′……シールリング、１１ａ，１１′ａ……摺
動突起、１１ｂ，１１′ｂ……周縁、１１ｃ，１
１′ｃ……係合溝、１２……リテーナ、１４……
アダプタ、１５……ベローズ、１６……ドライブ
ピン、１７，１７′……バツフルスリーブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フローテイングシートにベローズを用いてシー
   ルリングを圧接するメカニカルシール組立体にお
   いて、上記フローテイングシートはシヤフト側部
   材にＯリングを介して支持され、さらに上記フロ
   ーテイングシートと上記シヤフト側部材との間に
   は回り止め手段が構成されていて、上記シールリ
   ングはベローズが配されたリテーナにＯリングを
   介して支持され、さらに上記シールリングとハウ
   ジング側部材との間には回り止め手段が構成され
   ていることを特徴とするメカニカルシール組立
   体。