JPH0129329Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、機器の回転部分を軸封するマルチス
プリング型メカニカルシールにおける、シールリ
ング押圧機構に関する。

〔従来の技術〕

従来から、第４図に示すように、シヤフト２１
に気密的に外挿されて該シヤフト２１とともに回
転するシールリング２２が、周方向等配状に配設
された複数のコイルスプリング２３によつて軸方
向に押圧付勢され、ハウジング２４に気密的に嵌
着固定された非回転のフローテイングシート２５
と互いに密接摺動することによつて軸封機能を営
むマルチスプリング型メカニカルシールにおい
て、各コイルスプリング２３の一端が、シヤフト
２１に外挿固着されてなるカラー２６段部に等配
形成されたスプリング穴２７の各々に内挿支持さ
れた構造のものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記構成によれば、カラー２６段部
に、コイルスプリング２３を挿入するスプリング
穴２７を設ける必要上、該カラー２６の径方向幅
Ｗを大きくせざるを得ず、したがつてギヤポンプ
のように、軸封部空間の径方向幅が小さい機器に
は、上記したような、複数のコイルスプリングを
有するマルチスプリング型のメカニカルシールを
取付けることができなかつた。

本考案は、このような問題に鑑み、マルチスプ
リング型メカニカルシールを狭い軸封部空間への
取付けを可能とするシールリング押圧機構を提供
するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題を解決するため、本考案のシールリン
グ押圧機構は内周筒状部と該筒状部外周に形成さ
れた径方向部とよりなるカラーの前記内周筒状部
に、軸方向に延びる複数の切欠を形成し、前記内
周筒状部に軸方向移動自在に外挿されメカニカル
シールのシールリングと係合するコンプレツシヨ
ンリングに、前記切欠と互いに周方向に係合する
突片を形成し、該コンプレツシヨンリングと前記
カラー径方向部との間に、少なくとも一部を前記
切欠内にそれぞれ対応位置させた複数のコイルス
プリングを弾装し、該各コイルスプリングが、カ
ラーおよびコンプレツシヨンリングのうちのいず
れか一方に突設したスプリングガイドで支持され
てなる構成とした。

〔作用〕

本考案の構成において、回転体からシールリン
グへの回転力の伝達は、回転体に外挿固着される
カラーの内周筒状部に設けた切欠と、シールリン
グと係合するコンプレツシヨンリングに形成した
突片との係合によつてなされる。また、コンプレ
ツシヨンリングを介してシールリングを軸方向に
押圧付勢する各コイルスプリングの少なくとも一
部を、前記切欠内に入り込ませるよう、スプリン
グガイドの径方向における突設位置を設定するこ
とによつて、各コイルスプリングが比較的内径側
に配設された構造となるため、該各コイルスプリ
ングの後端を支承するカラーの径方向部を小径に
することができる。

〔実施例〕

次に、本考案のシールリング押圧機構を、図示
の一実施例に基いてさらに詳しく説明する。

第１図および第２図において、符号１は回転体
たるシヤフト１１に外挿固着される内周筒状部２
および該筒状部２外周に鍔状に形成された径方向
部３よりなるカラーで、内周筒状部２には軸方向
に延びる所要数の切欠４が周方向等配形成される
とともに、径方向部３には、該各切欠４と周方向
位置を一致させてスプリングガイドピン５が軸方
向に螺合突設されている。６はカラー１の内周筒
状部２に軸方向移動自在に外挿されるコンプレツ
シヨンリングで、その内周面には前記内周筒状部
２の切欠４と周方向に互いに係合する突片７が等
配形成されるとともに、その一側面における周方
向等配位置には、ノツクピン８が螺合突設されて
いる。９は前記各スプリングガイドピン５に外挿
支持され、カラー１の径方向部２とコンプレツシ
ヨンリング６との間に弾装されてなるコイルスプ
リングである。１０はカラー１の内周筒状部２前
端に位置させてシヤフト１１に外挿される環状の
スペーサである。

本実施例押圧機構は、以上のごとく構成されて
なり、第３図に示すように、それぞれスプリング
ガイドピン５によつて支持された各コイルスプリ
ング９が、シヤフト１１にＯリング１６を介して
気密的に外挿されたシールリング１２をコンプレ
ツシヨンリング６を介して軸方向に押圧付勢する
とともに、カラー１の切欠４とコンプレツシヨン
リング６の突片７との係合および該コンプレツシ
ヨンリング６に突設したノツクピン８とシールリ
ング１２背面に形成した係合凹部１３との係合に
よつてシヤフト１１の回転トルクをシールリング
１２に伝達し、該シールリング１２を、機器ハウ
ジング１４内周面にＯリング１７，１８を介して
気密的に嵌着固定された非回転のフローテイング
シート１５に対して密接摺動せしめるようになる
ものである。

また、コイルスプリング９は、その一部がカラ
ー１の切欠４内に入り込んだ状態となるようスプ
リングガイドピン５によつて径方向位置が設定さ
れているため、該コイルスプリング９の後端を支
承するカラー１の径方向部３の径方向幅Ｗはコイ
ルスプリング９の径よりも1.5mm程度大きく設定
するだけで十分であり、したがつて、従来に比較
して著しく小径にすることができる。スペーサ１
０は、シールリング１２とシヤフト１１との間に
装着したＯリング１６が、メカニカルシール内周
空間の液体圧力によつてカラー１の切欠４に食い
込み、破損するのを防止する作用を担つている。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり、本考案に係るマルチスプ
リング型メカニカルシールのシールリング押圧機
構は、カラーの内周筒状部に、コンプレツシヨン
リングと周方向に係合する複数の切欠を設け、該
カラーとコンプレツシヨンリングの間に弾装され
るコイルスプリングを、スプリングガイドによつ
て、前記切欠内に位置させて支持した構成とした
ため、各コイルスプリングが内径側に接近して存
することとなり、かつ各コイルスプリングを従来
のようにカラーに形成した穴によつて支持するも
のではないため、当該押圧機構の径方向幅を著し
く小さくすることができる。したがつて、狭小な
軸封部空間にもマルチスプリング型メカニカルシ
ールの装着が可能になるという優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例シールリング押圧機
構を示す要部斜視図、第２図は同じく要部分解斜
視図、第３図は同じく取付け状態の半裁断面図、
第４図は従来のマルチスプリング型メカニカルシ
ールを示す半裁断面図である。 １……カラー、２……内周筒状部、３……径方
向部、４……切欠、５……スプリングガイドピ
ン、６……コンプレツシヨンリング、７……突
片、８……ノツクピン、９……コイルスプリン
グ、１０……スペーサ、１１……シヤフト、１２
……シールリング、１３……係合凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内周筒状部と該筒状部外周に形成された径方向
   部とよりなるカラーの前記内周筒状部に、軸方向
   に延びる複数の切欠を形成し、前記内周筒状部に
   軸方向移動自在に外挿されメカニカルシールのシ
   ールリングと係合するコンプレツシヨンリング
   に、前記切欠と互いに周方向に係合する突片を形
   成し、該コンプレツシヨンリングと前記カラー径
   方向部との間に、少なくとも一部を前記切欠内に
   それぞれ対応位置させた複数のコイルスプリング
   を弾装し、該各コイルスプリングが、カラーおよ
   びコンプレツシヨンリングのうちのいずれか一方
   に突設したスプリングガイドで支持されてなるこ
   とを特徴とするマルチスプリング型メカニカルシ
   ールのシールリング押圧機構。