JPS626929B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、超硬合金製のツイストドリルの改
良に関するもので、その目的とするところは、鋼
に対して優れた切削性能を有し、且つまた剛性が
あり、切屑の排出性にも優れたツイストドリルを
提供することである。従来の超硬合金製のツイス
トドリルは、ドリルの強度を確保するためにウエ
ブ先端部を厚くしているので、チゼルの長さが長
くなり、従つて大きな切削抵抗を生じていた。こ
の対策として従来より、チゼルの切刃に近い部分
を研ぎ落としてチゼルの長さを短くする方法が採
られていた。すなわち、第４図ないし第６図に見
るようにチゼルエツジにＳ型、Ｘ型、Ｎ型及びこ
れらの複合型のシンニングを施し、ウエブ先端に
作用する切削抵抗を軽減する所謂ドリルシンニン
グの方法が採られていた、これらのドリルシンニ
ングされた超硬ドリルは被削材が鋳鉄か軽合金で
あれば高速度鋼ドリルに比べて何十倍かの威力を
発揮するが、鋼に対するドリリングには不適当で
あつた。即ち、鋼の硬さと粘りにより、チゼルエ
ツジのシンニング切刃が圧着つぶれによりチツピ
ングを生じると同時に、リツプ切刃部でもドリル
ネジレ溝のすくい角と先端切刃すくい角が合致し
てエツジになるため剛性が不足してチツピングを
生じ、従つて切削時に破損が頻発して安定性が悪
く実用には適さなかつた。そこでこの発明は、上
述の如き問題点を解消するものである。

この発明は、切刃のすくい面側にアキシヤルレ
ーキが５゜以下となるようにシンニング部を形成
すると共に、切刃の逃げ面に１゜〜５゜の傾斜角
を有するランドとそれよりも大きい傾斜角を有す
る３番面を連続して形成し、さらに、ドリル中心
軸付近に切刃に連続して先端ランド角部を形成し
たことを特徴とするもので、以下その構成を実施
例として示した図面に従つて詳細に説明する。

先ず、第１図に見る様に、このツイストドリル
１は、ストレートシヤンク２に続いて刃部３が設
けられており、刃部３にはねじれ溝４，４が形成
されている。また、刃部３の先端には、第２図に
も見る如く１対の切刃５，５が形成されている。
この１対の切刃５，５は互いに平行に設けられ、
しかもそれぞれに接してランド（２番面）６，６
が設けられている。このランド６，６は３mm以下
の細幅とし、傾斜角（２番角）を約１゜〜５゜と
している。尚、ランド６，６の中心よりの先端辺
がチゼルエツジ７を形成している。

さらに、前記ランド６，６に接して３番面１
０，１０が形成されており、その傾斜角（３番
角）を約５゜〜30゜としている。

前記ランド６，６の反対側には、前記切刃５，
５に接し、且つドリル中心軸を越えてドリル中心
軸とほぼ平行にシンニングが施されており、第２
図及び第３図に見る様に、前記切刃５，５に連続
して横中央線Ａ―Ａを越えた部分に１対の先端ラ
ンド角部８，８が形成されている。すなわち、切
刃５，５と先端ランド角部８，８に接して、ラン
ド６，６と反対側の側面（切刃５，５のすくい
面）にシンニング部９，９が形成されている。前
記先端ランド角部８，８は、切刃として形成され
ておらず、またその長さはドリル中心軸より約２
mm以下としている。尚、シンニング９，９のアキ
シヤルレーキは、約５゜以下としている。

次に、上記構成としたツイストドリル１の使用
状態について説明する。

ストレートシヤンク２を機械（図示せず）に取
り付け、ツイストドリル１を高速回転させて被加
工材に押圧させると、切刃５，５が被加工材を切
削する。このツイストドリル１の切刃５，５は、
約５゜以下のアキシヤルレーキを有するシンニン
グ部９，９と、約１゜〜５゜の傾斜角を有するラ
ンド６，６とで形成されているので、切刃５，５
はその全長にわたり厚肉であり、従つて鋼に対し
てもチツピングを起こすことがない。

また、シンニング部９，９は切刃５，５からド
リル中心軸を越えて形成されているので、切刃
５，５のすくい角はその全長にわたり一定に保た
れている。従つて、切刃５，５のチゼルエツジ７
に近い部分も切れ味が良く、圧着つぶれにより切
刃５，５やチゼルエツジ７がチツピングを起こす
ことがない。

さらに、切刃５，５と先端ランド角部８，８
は、シンニング部９，９がドリル中心軸とほぼ平
行に形成されているので、ねじり溝のない鉾状の
切刃をもつ平ぎりと同様の役目を果たす。すなわ
ち、切刃５，５により切削された被加工材（切
屑）は、すぐには後方に送られずシンニング部
９，９に溜り、次にねじれ溝４，４を通つて外部
に排出される。この際に、シンニング部９，９の
すくい角とねじれ溝４，４のすくい角とが異なつ
ているため、切屑はシンニング部９，９で小さく
切断されてねじれ溝４，４に送られることにな
る。従つて切屑は、ねじれ溝４，４に詰まること
がない。

このツイストドリル１は、切刃５，５が鋭いエ
ツジ状でないため、切削角をあまり大きくせず、
従来のツイストドリルよりも高速で回転させて鋼
のドリリングを行うようにする。

この発明は、上述の様な構成を有するものであ
り、従つて、切刃５，５のすくい角をその全長に
わたつて容易に一定にすることができると共にシ
ンニング加工も容易に行うことができ、しかも、
切刃５，５及びチゼルエツジ７のチツピングを防
止するとともに切削抵抗を軽減し、また切屑の排
出も良好な優れたツイストドリルを提供するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係るツイストドリルの正
面図。第２図は、その先端面の説明図。第３図
は、その先端部分の拡大正面図。第４図のイは従
来のＳ型シンニングが施されたツイストドリルの
先端面の説明図。第４図のロは、その先端部の正
面図。第５図のイは、従来のＮ型シンニングが施
されたツイストドリルの先端面の説明図。第５図
のロは、その先端部の正面図。第６図のイは、従
来のＸ型シンニングが施されたツイストドリルの
先端面の説明図。第６図のロは、その先端部の正
面図。 ３……刃部、５……切刃、６……ランド、８…
…先端ランド角部、９……シンニング部、１０…
…３番面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 刃部３の先端に互いに平行な一対の切刃５，
   ５を有するツイストドリルにおいて、 上記一対の切刃５，５の各すくい面側に、当該
   切刃５，５に接してその外周部からドリル中心軸
   を越えてアキシヤルレーキが５゜以下となるよう
   に形成した一対のシンニング部９，９と、 上記一対の切刃５，５の各逃げ面に、当該切刃
   ５，５に接して帯状に形成した１゜〜５゜の傾斜
   角を有する一対のランド６，６と、 上記一対のランド６，６に連続して形成した上
   記ランド６，６よりも大きい傾斜角を有する一対
   の３番面１０，１０と、 上記一対の切刃５，５に連続してドリル中心軸
   付近に形成した互いに平行な一対の先端ランド角
   部８，８とを有することを特徴とするツイストド
   リル。