JPS626605B2 - - Google Patents
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- JPS626605B2 JPS626605B2 JP57011262A JP1126282A JPS626605B2 JP S626605 B2 JPS626605 B2 JP S626605B2 JP 57011262 A JP57011262 A JP 57011262A JP 1126282 A JP1126282 A JP 1126282A JP S626605 B2 JPS626605 B2 JP S626605B2
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21C—PROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
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-
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- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Description
この発明はスチールコードワイヤ等の鋼線材に
使用される鋼の製造方法に関し、特に伸線性の優
れた鋼を得るべくその溶鋼を処理する方法に関す
るものである。 一般にスチールコードワイヤに使用される鋼線
は、0.1mmφ程度の極細線まで伸線する必要があ
るが、このような極細線に伸線する場合、その鋼
中の非金属介在物、主として酸化物系介在物が伸
線性に大きな影響を及ぼす。すなわちAl2O3や
Al2O3―MgO系の介在物は延性が低いから、この
種のAl2O3含有量が高い介在物を多く含む場合に
は極細線まで伸線する際に破断してしまうことが
あり、一方Al2O3含有量が少ない介在物、例えば
MnO―Al2O3―SiO2系介在物あるいはCaO―
Al2O3―SiO2系介在物は延性が優れているから、
伸線加工時にその介在物が細長く伸ばされるため
線の破断を招くおそれが少ない。 ところで鋼中の介在物としては、転炉等の精錬
炉から出鋼した後の脱酸処理時に生じた脱酸生成
物(一次脱酸生成物)の一部が浮上分離されずに
溶鋼中に浮遊して残留し、また鋳込時迄の温度降
下により生じた二次脱酸生成物が溶鋼中に浮遊残
留して、それらの脱酸生成物が凝固時に鋼塊もし
くは鋳片に捕捉されたものが主体となる。そこで
Al2O3含有量が高い介在物を減少させるために
は、合金鉄等から溶鋼中に入るAl量を極力少な
くし、例えば溶鋼中のAl量を5ppm程度以下にす
れば良いと考えられる。しかしながらこのように
溶鋼中Al量を5ppm程度以下まで下げるために
は、使用する合金鉄としても通常のFe―Siに代
えて、高価な金属Siを用いる必要があり、そのた
め鋼の製造コストが著しく高くなる欠点があつ
た。また鋼中の介在物としては、前述のような脱
酸生成物のほか、転炉等の精錬炉から取鍋に出鋼
する際に精錬炉内のスラグが流出してその一部が
浮上分離されずに溶鋼中に浮遊残留し、そのスラ
グが凝固時に鋼塊もしくは鋳片に捕捉されたもの
も多く、この種の介在物としてもAl2O3含有量が
多い延性に欠けるものが多いが、これに対しては
前述のように合金鉄として金属Siを使用する等の
手段は有効ではない。 一方、溶鋼中の酸素含有量を溶鋼中Al含有量
よりも充分に高い値となるように脱酸を制御し
て、2次脱酸生成物として生成されるMnO,
SiO2等によつてAl2O3を希釈し、Al2O3含有量が
少ない介在物、すなわち前述のように延性が良好
なMnO―Al2O3―SiO2系介在物を生成させること
によつて、介在物による伸線性の低下を防止する
ことも考えられている。しかしながらこの場合に
は鋼中酸素含有量が高くなつて介在物の総量が多
くなり、それに伴つて必然的に大径の介在物の量
も多くなる。すなわちこの場合には介在物自体は
延性が高いが、介在物の総量、大きさが大きくな
り、その結果伸線性も実際にはさほど向上せず、
また強度的に問題が生じる。したがつて単に介在
物の組成をAl2O3含有量が少ない延性が良好なも
のとするばかりでなく、鋼中酸素量も低下させて
鋼の清浄性をも良好にする必要がある。 鋼中酸素量を低下させる方法としては、従来か
ら溶鋼をRH脱ガス装置等によつて真空処理する
方法が知られている。すなわち、Si、Mnを含
み、Al含有量の少ない溶鋼を真空処理すれば、
脱酸生成物の浮上分離とともに C+O→CO(gas) の反応が同時に生じて、鋼中酸素量20ppm以下
のものが容易に得られ、鋼の清浄性も飛躍的に向
上する。しかしながらこの場合には介在物の組成
も変化し、Al2O3含有量の少ないMnO―Al2O3―
SiO2系の介在物がAl2O3の富化した延性の低い介
在物となつてしまい、その結果伸線性を阻害する
こととなる。また鋼中酸素量を低下させるための
従来の他の方法としては、溶鋼中にフラツクスを
添加して撹拌する方法も試みられており、この場
合には鋼中介在物の組成はフラツクス組成に近い
ものとなるから、フラツクス組成を適切に選ぶこ
とにより介在物組成を延性のすぐれたものとする
ことが可能である。しかしながらこの場合鋼中酸
素を20ppm以下にまで低下させることは困難で
あり、したがつて真空処理の場合と比較して介在
物量が多くなる欠点がある。 この発明は以上の事情に鑑みてなされたもの
で、鋼中の酸素量を低くして介在物量を少なくす
ると同時に、介在物組成を延性に優れたものと
し、これによつて伸線性の優れた線材用鋼を製造
し得るようにすることを目的とするものである。 本発明者等は上述の目的を達成するべく種々実
験・検討を行つた結果、特定成分のフラツクスを
溶鋼に添加してRH脱ガス装置等により溶鋼を真
空処理することによつて鋼中酸素量を低くすると
同時に介在物組成を延性の優れたものとし得るこ
とを見出し、この発明をなすに至つたのである。 具体的にはこの発明の線材用鋼の製造方法は、
C0.3〜0.8%、Si0.1〜0.6%、Mn0.3〜0.9%、
P0.030%以下、S0.030%以下、Al0.003%以下、
残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼に、
CaO20〜50%、SiO240〜70%、Al2O320%以下の
組成のフラツクスを溶鋼1トン当り0.3Kg以上添
加して真空脱ガス処理することを特徴とするもの
であり、このように処理することによつて鋼中の
酸素量を20ppm以下に低下させ、かつ鋼中に残
留する酸化物系介在物も延性に欠けるAl2O3や
MgO―CaO、あるいはMgO―Al2O3ではなく、
CaO―Al2O3―SiO2系の延性に富んだものとする
ことができたのである。 以下さらにこの発明の線材用鋼製造方法を詳細
に説明する。 この発明の方法で対象とする鋼はスチールコー
ドワイヤ等に使用される線材用の鋼であり、前述
の溶鋼成分のうち、C,Si,Mn,P,Sは極細
線として用いられる線材用鋼の一般的な成分範囲
を示す。また溶鋼中のAlが0.003%を越えれば、
鋳込み時等の温度降下によりわずかに二次酸化が
生じただけでもAl2O3が析出し、伸線性を害する
から、溶鋼中のAl量は0.003%以下に規制した。 一方溶鋼に添加するフラツクスの組成は、
CaO20〜50%、SiO240〜70%の範囲を外れれ
ば、フラツクスの軟化点が高くなつてその流動性
が欠け、その結果溶鋼との反応性が低くなつて脱
酸素の効果が少なくなる。またフラツクス中の
Al2O3が20%を越えれば、処理後の溶鋼中に
Al2O3含有量の高い介在物が残留して伸線性を害
するおそれがある。したがつてフラツクスの組成
はCaO20〜50%、SiO240〜70%、Al2O320%以下
とした。 溶鋼に対するフラツクスの添加量は、溶鋼1ト
ン当り0.3Kg未満の場合には鋼中の酸素量は低く
なるものの、介在物の形態を延性に富むものに変
えるには充分ではなく、したがつて溶鋼1トン当
り0.3Kg以上とした。 なおフラツクスの添加方法としては、フラツク
スを溶鋼中にインジエクシヨンした後真空処理す
る方法、あるいは真空処理中にフラツクスを取鍋
内溶鋼中にインジエクシヨンする方法、さらには
真空処理中にフラツクスを真空処理槽内に添加す
る方法など、いずれの方法を採用しても良く、要
は添加されたフラツクスが溶鋼と充分に撹拌され
る方法であれば良い。 また真空処理方式としてはRH脱ガス装置を使
用する方式が一般的であるが、その他の方式も適
用可能である。 上述のようにして溶鋼にフラツクスを添加して
真空処理を行うことにより、その減圧下の影響に
より溶鋼中からの脱酸素が生じて酸素量が低下
し、同時にフラツクスと溶鋼中に浮遊する介在物
とが合体してその浮上分離が促進され、かつまた
浮上分離せずに残留する介在物もその組成がフラ
ツクス組成に近いもの、すなわちCaO―Al2O3―
SiO2を主とする延性に優れたものとなる。した
がつてその溶鋼が凝固された鋳片もしくは鋼塊中
の介在物の総量が少なく、しかもその介在物も延
性に優れたものが主体となる。 次にこの発明の実施例および従来法による比較
例を記す。 実施例 1 175トン転炉から取鍋内に出鋼したC0.73%、
Si0.26%、Mn0.56%、P0.015%、S0.008%、
Al0.002%の溶鋼中に、CaO43%、SiO247%、
Al2O310%からなるフラツクス200Kg(溶鋼1ト
ン当り1.1Kg)をアルゴンガスをキヤリヤガスと
して吹込み、続いてRH脱ガス装置により15分間
真空処理した。処理後の溶鋼中酸素量は13ppm
であつた。その溶鋼をブルーム連鋳機にて300×
400mm断面の鋳片に連続鋳造し、80mm角のビレツ
トに圧延した後、5.5mmφの線材に圧延した。 実施例 2 175トン転炉から取鍋内に出鋼したC0.68%、
Si0.25%、Mn0.60%、P0.013%、S0.010%、
Al0.003%の溶鋼をRH脱ガス装置により18分間真
空処理した。またこの真空処理に際して真空槽中
にCaO38%、SiO243%、Al2O319%の組成のフラ
ツクスを250Kg(溶鋼1トン当り1.4Kg)添加し
た。処理後の溶鋼中の酸素量は10ppmであつ
た。その溶鋼をブルーム連鋳機で連続鋳造して、
300×400mm断面の鋳片とし、続いて80mm角のビレ
ツトに圧延し、さらに5.5mmφの線材に圧延し
た。 実施例 3 175トン転炉から取鍋中に出鋼したC0.72%、
Si0.30%、Mn0.59%、P0.018%、S0.011%、
Al0.002%の溶鋼中に、CaO43%、SiO247%、
Al2O310%からなる組成のフラツクス210Kg(溶
鋼1トン当り1.2Kg)をアルゴンガスをキヤリヤ
ガスとして吹込み、続いてRH脱ガス装置を用い
て13分間真空処理した。処理後の溶鋼中の酸素量
は15ppmであつた。その溶鋼を3トンの鋼塊に
鋳込み、250×250mm断面のブルームに圧延し、さ
らに80mm角のビレツトに圧延し、5.5mmφの線材
に圧延した。 比較例 1 175トン転炉から取鍋中に出鋼したC0.73%、
Si0.29%、Mn0.56%、P0.021%、S0.007%、
Al0.001%の溶鋼をRH脱ガス装置を用いて18分間
真空処理した。処理後の溶鋼中酸素量は12ppm
であつた。この溶鋼をブルーム連鋳機により300
×400mm断面の鋳片に連続鋳造し、80mm角のビレ
ツトに圧延し、さらに5.5mmの線材に圧延した。 比較例 2 175トン転炉から取鍋中に出鋼したC0.72%、
Si0.25%、Mn0.58%、P0.017%、S0.008%、
Al0.003%の溶鋼中に、CaO43%、SiO247%、
Al2O310%の組成のフラツクス250Kg(溶鋼1ト
ン当り1.4Kg)をアルゴンガスをキヤリヤガスと
して吹込み処理した。処理後の溶鋼中酸素量は
27ppmであつた。その溶鋼をブルーム連鋳機で
連続鋳造して300×400mm断面の鋳片とし、80mm角
ビレツトに圧延し、さらに5.5mmφに圧延した。 上述の各実施例および比較例における80mm角の
ビレツトの縦断面からサンプルを採取し、その縦
断面における酸化物系介在物の形態および数を調
べた。但しこの調査は倍率400倍の顕微鏡を用い
て行ない、またその測定視野面積は48cm2であつ
た。なお介在物の形態については、第1図A,B
に示すように圧延方向の長さlとその圧延方向に
対し直角な方向の最大厚みdとの比/dを調べ
た。但し介在物の圧延方向の長さは、その介在
物が延性に富むものであつて第1図Aに示すよう
に圧延方向にそのまま伸ばされている場合にはそ
の介在物の全長をとし、一方介在物が延性に欠
けるものであつて第1図Bに示すように圧延方向
に分断された場合にはその分断された介在物群の
全体の長さをとした。 さらに上述の各実施例および比較例により得ら
れた5.5mmφの線材を0.175mmφの極細線に伸線し
て、その伸線加工時における断線回数を調べた。
但しこの断線回数は、5.5mmφの線材1トン当り
の断線回数を調べ、実施例1の場合の断線回数を
1.0として指数化して比較した。 上述のようにして調べた介在物の形態および
数、伸線加工時の断線回数(指数)を第1表に示
す。
使用される鋼の製造方法に関し、特に伸線性の優
れた鋼を得るべくその溶鋼を処理する方法に関す
るものである。 一般にスチールコードワイヤに使用される鋼線
は、0.1mmφ程度の極細線まで伸線する必要があ
るが、このような極細線に伸線する場合、その鋼
中の非金属介在物、主として酸化物系介在物が伸
線性に大きな影響を及ぼす。すなわちAl2O3や
Al2O3―MgO系の介在物は延性が低いから、この
種のAl2O3含有量が高い介在物を多く含む場合に
は極細線まで伸線する際に破断してしまうことが
あり、一方Al2O3含有量が少ない介在物、例えば
MnO―Al2O3―SiO2系介在物あるいはCaO―
Al2O3―SiO2系介在物は延性が優れているから、
伸線加工時にその介在物が細長く伸ばされるため
線の破断を招くおそれが少ない。 ところで鋼中の介在物としては、転炉等の精錬
炉から出鋼した後の脱酸処理時に生じた脱酸生成
物(一次脱酸生成物)の一部が浮上分離されずに
溶鋼中に浮遊して残留し、また鋳込時迄の温度降
下により生じた二次脱酸生成物が溶鋼中に浮遊残
留して、それらの脱酸生成物が凝固時に鋼塊もし
くは鋳片に捕捉されたものが主体となる。そこで
Al2O3含有量が高い介在物を減少させるために
は、合金鉄等から溶鋼中に入るAl量を極力少な
くし、例えば溶鋼中のAl量を5ppm程度以下にす
れば良いと考えられる。しかしながらこのように
溶鋼中Al量を5ppm程度以下まで下げるために
は、使用する合金鉄としても通常のFe―Siに代
えて、高価な金属Siを用いる必要があり、そのた
め鋼の製造コストが著しく高くなる欠点があつ
た。また鋼中の介在物としては、前述のような脱
酸生成物のほか、転炉等の精錬炉から取鍋に出鋼
する際に精錬炉内のスラグが流出してその一部が
浮上分離されずに溶鋼中に浮遊残留し、そのスラ
グが凝固時に鋼塊もしくは鋳片に捕捉されたもの
も多く、この種の介在物としてもAl2O3含有量が
多い延性に欠けるものが多いが、これに対しては
前述のように合金鉄として金属Siを使用する等の
手段は有効ではない。 一方、溶鋼中の酸素含有量を溶鋼中Al含有量
よりも充分に高い値となるように脱酸を制御し
て、2次脱酸生成物として生成されるMnO,
SiO2等によつてAl2O3を希釈し、Al2O3含有量が
少ない介在物、すなわち前述のように延性が良好
なMnO―Al2O3―SiO2系介在物を生成させること
によつて、介在物による伸線性の低下を防止する
ことも考えられている。しかしながらこの場合に
は鋼中酸素含有量が高くなつて介在物の総量が多
くなり、それに伴つて必然的に大径の介在物の量
も多くなる。すなわちこの場合には介在物自体は
延性が高いが、介在物の総量、大きさが大きくな
り、その結果伸線性も実際にはさほど向上せず、
また強度的に問題が生じる。したがつて単に介在
物の組成をAl2O3含有量が少ない延性が良好なも
のとするばかりでなく、鋼中酸素量も低下させて
鋼の清浄性をも良好にする必要がある。 鋼中酸素量を低下させる方法としては、従来か
ら溶鋼をRH脱ガス装置等によつて真空処理する
方法が知られている。すなわち、Si、Mnを含
み、Al含有量の少ない溶鋼を真空処理すれば、
脱酸生成物の浮上分離とともに C+O→CO(gas) の反応が同時に生じて、鋼中酸素量20ppm以下
のものが容易に得られ、鋼の清浄性も飛躍的に向
上する。しかしながらこの場合には介在物の組成
も変化し、Al2O3含有量の少ないMnO―Al2O3―
SiO2系の介在物がAl2O3の富化した延性の低い介
在物となつてしまい、その結果伸線性を阻害する
こととなる。また鋼中酸素量を低下させるための
従来の他の方法としては、溶鋼中にフラツクスを
添加して撹拌する方法も試みられており、この場
合には鋼中介在物の組成はフラツクス組成に近い
ものとなるから、フラツクス組成を適切に選ぶこ
とにより介在物組成を延性のすぐれたものとする
ことが可能である。しかしながらこの場合鋼中酸
素を20ppm以下にまで低下させることは困難で
あり、したがつて真空処理の場合と比較して介在
物量が多くなる欠点がある。 この発明は以上の事情に鑑みてなされたもの
で、鋼中の酸素量を低くして介在物量を少なくす
ると同時に、介在物組成を延性に優れたものと
し、これによつて伸線性の優れた線材用鋼を製造
し得るようにすることを目的とするものである。 本発明者等は上述の目的を達成するべく種々実
験・検討を行つた結果、特定成分のフラツクスを
溶鋼に添加してRH脱ガス装置等により溶鋼を真
空処理することによつて鋼中酸素量を低くすると
同時に介在物組成を延性の優れたものとし得るこ
とを見出し、この発明をなすに至つたのである。 具体的にはこの発明の線材用鋼の製造方法は、
C0.3〜0.8%、Si0.1〜0.6%、Mn0.3〜0.9%、
P0.030%以下、S0.030%以下、Al0.003%以下、
残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼に、
CaO20〜50%、SiO240〜70%、Al2O320%以下の
組成のフラツクスを溶鋼1トン当り0.3Kg以上添
加して真空脱ガス処理することを特徴とするもの
であり、このように処理することによつて鋼中の
酸素量を20ppm以下に低下させ、かつ鋼中に残
留する酸化物系介在物も延性に欠けるAl2O3や
MgO―CaO、あるいはMgO―Al2O3ではなく、
CaO―Al2O3―SiO2系の延性に富んだものとする
ことができたのである。 以下さらにこの発明の線材用鋼製造方法を詳細
に説明する。 この発明の方法で対象とする鋼はスチールコー
ドワイヤ等に使用される線材用の鋼であり、前述
の溶鋼成分のうち、C,Si,Mn,P,Sは極細
線として用いられる線材用鋼の一般的な成分範囲
を示す。また溶鋼中のAlが0.003%を越えれば、
鋳込み時等の温度降下によりわずかに二次酸化が
生じただけでもAl2O3が析出し、伸線性を害する
から、溶鋼中のAl量は0.003%以下に規制した。 一方溶鋼に添加するフラツクスの組成は、
CaO20〜50%、SiO240〜70%の範囲を外れれ
ば、フラツクスの軟化点が高くなつてその流動性
が欠け、その結果溶鋼との反応性が低くなつて脱
酸素の効果が少なくなる。またフラツクス中の
Al2O3が20%を越えれば、処理後の溶鋼中に
Al2O3含有量の高い介在物が残留して伸線性を害
するおそれがある。したがつてフラツクスの組成
はCaO20〜50%、SiO240〜70%、Al2O320%以下
とした。 溶鋼に対するフラツクスの添加量は、溶鋼1ト
ン当り0.3Kg未満の場合には鋼中の酸素量は低く
なるものの、介在物の形態を延性に富むものに変
えるには充分ではなく、したがつて溶鋼1トン当
り0.3Kg以上とした。 なおフラツクスの添加方法としては、フラツク
スを溶鋼中にインジエクシヨンした後真空処理す
る方法、あるいは真空処理中にフラツクスを取鍋
内溶鋼中にインジエクシヨンする方法、さらには
真空処理中にフラツクスを真空処理槽内に添加す
る方法など、いずれの方法を採用しても良く、要
は添加されたフラツクスが溶鋼と充分に撹拌され
る方法であれば良い。 また真空処理方式としてはRH脱ガス装置を使
用する方式が一般的であるが、その他の方式も適
用可能である。 上述のようにして溶鋼にフラツクスを添加して
真空処理を行うことにより、その減圧下の影響に
より溶鋼中からの脱酸素が生じて酸素量が低下
し、同時にフラツクスと溶鋼中に浮遊する介在物
とが合体してその浮上分離が促進され、かつまた
浮上分離せずに残留する介在物もその組成がフラ
ツクス組成に近いもの、すなわちCaO―Al2O3―
SiO2を主とする延性に優れたものとなる。した
がつてその溶鋼が凝固された鋳片もしくは鋼塊中
の介在物の総量が少なく、しかもその介在物も延
性に優れたものが主体となる。 次にこの発明の実施例および従来法による比較
例を記す。 実施例 1 175トン転炉から取鍋内に出鋼したC0.73%、
Si0.26%、Mn0.56%、P0.015%、S0.008%、
Al0.002%の溶鋼中に、CaO43%、SiO247%、
Al2O310%からなるフラツクス200Kg(溶鋼1ト
ン当り1.1Kg)をアルゴンガスをキヤリヤガスと
して吹込み、続いてRH脱ガス装置により15分間
真空処理した。処理後の溶鋼中酸素量は13ppm
であつた。その溶鋼をブルーム連鋳機にて300×
400mm断面の鋳片に連続鋳造し、80mm角のビレツ
トに圧延した後、5.5mmφの線材に圧延した。 実施例 2 175トン転炉から取鍋内に出鋼したC0.68%、
Si0.25%、Mn0.60%、P0.013%、S0.010%、
Al0.003%の溶鋼をRH脱ガス装置により18分間真
空処理した。またこの真空処理に際して真空槽中
にCaO38%、SiO243%、Al2O319%の組成のフラ
ツクスを250Kg(溶鋼1トン当り1.4Kg)添加し
た。処理後の溶鋼中の酸素量は10ppmであつ
た。その溶鋼をブルーム連鋳機で連続鋳造して、
300×400mm断面の鋳片とし、続いて80mm角のビレ
ツトに圧延し、さらに5.5mmφの線材に圧延し
た。 実施例 3 175トン転炉から取鍋中に出鋼したC0.72%、
Si0.30%、Mn0.59%、P0.018%、S0.011%、
Al0.002%の溶鋼中に、CaO43%、SiO247%、
Al2O310%からなる組成のフラツクス210Kg(溶
鋼1トン当り1.2Kg)をアルゴンガスをキヤリヤ
ガスとして吹込み、続いてRH脱ガス装置を用い
て13分間真空処理した。処理後の溶鋼中の酸素量
は15ppmであつた。その溶鋼を3トンの鋼塊に
鋳込み、250×250mm断面のブルームに圧延し、さ
らに80mm角のビレツトに圧延し、5.5mmφの線材
に圧延した。 比較例 1 175トン転炉から取鍋中に出鋼したC0.73%、
Si0.29%、Mn0.56%、P0.021%、S0.007%、
Al0.001%の溶鋼をRH脱ガス装置を用いて18分間
真空処理した。処理後の溶鋼中酸素量は12ppm
であつた。この溶鋼をブルーム連鋳機により300
×400mm断面の鋳片に連続鋳造し、80mm角のビレ
ツトに圧延し、さらに5.5mmの線材に圧延した。 比較例 2 175トン転炉から取鍋中に出鋼したC0.72%、
Si0.25%、Mn0.58%、P0.017%、S0.008%、
Al0.003%の溶鋼中に、CaO43%、SiO247%、
Al2O310%の組成のフラツクス250Kg(溶鋼1ト
ン当り1.4Kg)をアルゴンガスをキヤリヤガスと
して吹込み処理した。処理後の溶鋼中酸素量は
27ppmであつた。その溶鋼をブルーム連鋳機で
連続鋳造して300×400mm断面の鋳片とし、80mm角
ビレツトに圧延し、さらに5.5mmφに圧延した。 上述の各実施例および比較例における80mm角の
ビレツトの縦断面からサンプルを採取し、その縦
断面における酸化物系介在物の形態および数を調
べた。但しこの調査は倍率400倍の顕微鏡を用い
て行ない、またその測定視野面積は48cm2であつ
た。なお介在物の形態については、第1図A,B
に示すように圧延方向の長さlとその圧延方向に
対し直角な方向の最大厚みdとの比/dを調べ
た。但し介在物の圧延方向の長さは、その介在
物が延性に富むものであつて第1図Aに示すよう
に圧延方向にそのまま伸ばされている場合にはそ
の介在物の全長をとし、一方介在物が延性に欠
けるものであつて第1図Bに示すように圧延方向
に分断された場合にはその分断された介在物群の
全体の長さをとした。 さらに上述の各実施例および比較例により得ら
れた5.5mmφの線材を0.175mmφの極細線に伸線し
て、その伸線加工時における断線回数を調べた。
但しこの断線回数は、5.5mmφの線材1トン当り
の断線回数を調べ、実施例1の場合の断線回数を
1.0として指数化して比較した。 上述のようにして調べた介在物の形態および
数、伸線加工時の断線回数(指数)を第1表に示
す。
【表】
第1表から、この発明の実施例により得られた
鋼線材は、いずれも介在物の/dの値が大き
く、したがつて介在物の延性が良好でしかも介在
物数も少なく、その結果0.175mmφまで伸線加工
しても断線発生が少なく、伸線性が良好であるこ
とが明らかである。なお比較例2はフラツクス処
理のみを行ない、真空処理しなかつたものである
が、この場合介在物の延在は比較的良好なもの
の、介在物数が著しく多く、その結果伸線加工時
における断線が発生し易くなつている。一方比較
例1はフラツクスを添加せずに真空処理を行つた
ものであるが、この場合には介在物の延性が低
く、また介在物数は比較例2よりも少ないもの
の、この発明の各実施例の場合よりも多く、その
結果伸線加工における断線が極めて発生し易くな
つていることが明らかである。 以上の説明で明らかなようにこの発明の方法に
よれば、適切なフラツクスを添加して溶鋼を真空
処理することによつて鋼中酸素量を低下させると
同時に介在物を延性に富んだものに変えることが
でき、したがつて鋼中に残留する介在物の量を少
なくすると同時にその介在物の形態を延性に富ん
だものとすることができ、そのため伸線性に極め
て優れた鋼を得ることができる。したがつてこの
発明はスチールコードワイヤ等に使用される極細
線用の鋼を製造する上において工業上極めて有益
なものである。
鋼線材は、いずれも介在物の/dの値が大き
く、したがつて介在物の延性が良好でしかも介在
物数も少なく、その結果0.175mmφまで伸線加工
しても断線発生が少なく、伸線性が良好であるこ
とが明らかである。なお比較例2はフラツクス処
理のみを行ない、真空処理しなかつたものである
が、この場合介在物の延在は比較的良好なもの
の、介在物数が著しく多く、その結果伸線加工時
における断線が発生し易くなつている。一方比較
例1はフラツクスを添加せずに真空処理を行つた
ものであるが、この場合には介在物の延性が低
く、また介在物数は比較例2よりも少ないもの
の、この発明の各実施例の場合よりも多く、その
結果伸線加工における断線が極めて発生し易くな
つていることが明らかである。 以上の説明で明らかなようにこの発明の方法に
よれば、適切なフラツクスを添加して溶鋼を真空
処理することによつて鋼中酸素量を低下させると
同時に介在物を延性に富んだものに変えることが
でき、したがつて鋼中に残留する介在物の量を少
なくすると同時にその介在物の形態を延性に富ん
だものとすることができ、そのため伸線性に極め
て優れた鋼を得ることができる。したがつてこの
発明はスチールコードワイヤ等に使用される極細
線用の鋼を製造する上において工業上極めて有益
なものである。
第1図A,Bはそれぞれ圧延材中における介在
物の形態の一例を示すものである。
物の形態の一例を示すものである。
Claims (1)
- 1 C0.3〜0.8%(重量%、以下同じ)、Si0.1〜
0.6%、Mn0.3〜0.9%、P0.030%以下、S0.030%
以下、Al0.003%以下、残部Feおよび不可避的不
純物よりなる溶鋼に、CaO20〜50%、SiO240〜
70%、Al2O320%以下の組成のフラツクスを溶鋼
1トン当り0.3Kg以上添加して真空脱ガス処理す
ることを特徴とする線材用鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP57011262A JPS58130225A (ja) | 1982-01-27 | 1982-01-27 | 線材用鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP57011262A JPS58130225A (ja) | 1982-01-27 | 1982-01-27 | 線材用鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58130225A JPS58130225A (ja) | 1983-08-03 |
JPS626605B2 true JPS626605B2 (ja) | 1987-02-12 |
Family
ID=11773032
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP57011262A Granted JPS58130225A (ja) | 1982-01-27 | 1982-01-27 | 線材用鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58130225A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0651711U (ja) * | 1992-12-11 | 1994-07-15 | 三菱アルミニウム株式会社 | 調理台用飛散防止具 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101726134B1 (ko) * | 2016-03-31 | 2017-04-12 | 주식회사 포스코 | 용접성이 우수한 선재 및 그 제조방법 |
JP7156041B2 (ja) * | 2019-01-10 | 2022-10-19 | 日本製鉄株式会社 | 高Al含有鋼の溶製方法 |
-
1982
- 1982-01-27 JP JP57011262A patent/JPS58130225A/ja active Granted
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0651711U (ja) * | 1992-12-11 | 1994-07-15 | 三菱アルミニウム株式会社 | 調理台用飛散防止具 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58130225A (ja) | 1983-08-03 |
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