JP3550924B2 - 高炭素鋼線材の製造方法および同線材 - Google Patents

高炭素鋼線材の製造方法および同線材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延後の線材中の幅1μm 以上の介在物量が少なく、その後の冷間引抜加工性(伸線加工性)および耐時効性に優れた高炭素鋼線材の製造方法および同線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のタイヤコード等に使用されている高炭素鋼線材は、約 5.5mmφまで熱間圧延し、その後パテンティングを施しながら数回の冷間引抜加工(伸線加工)を行い最終的に0.15mmφの極細線まで伸線される。この伸線加工時に、鋼中に硬質な粒状の非金属介在物が存在していると、マトリックスが伸延されても介在物が伸延せず、そのままの形状で存在すると、介在物の周辺にミクロボイドが形成され、線材の延性が低下し断線の原因となる。
【0003】
伸線加工時に断線の原因とならないよう鋼中の介在物を微細化するには、脱酸生成物の形態を熱間圧延時に延性の良好な組成であるAl−SiO−MnO の3元系状態図のスペサタイト(spessartite )領域に制御する必要があった。
脱酸生成物の形態をAl−SiO−MnO の3元系状態図のスペサタイト領域に制御する方法として、溶鋼中に添加する合金鉄中のAl量を10〜50g/溶鋼ton に規制する方法(特公昭52−17490 号公報参照)、それに加えて、Mn/Si>1.7 に規制し制御する方法(特公昭57−22969 号公報参照)が提案されている。これらの方法では、Al量が規制され精錬中の溶鋼の脱酸は専ら添加されたMn,Siで行われるため、脱酸後の溶鋼中の溶存酸素量は高く鋳片の清浄性が悪化する問題がある。
【0004】
近年、タイヤコードの極細線化と高強度化の一層の進行により、介在物の微細化の要求は強くなり、熱間圧延後の線材で幅1μm 以上の介在物量,酸素量の低減が必要になり、介在物の組成制御のみでは不十分となっている。また、組成制御についても、スペサタイト領域の介在物になるようにAl量を規制してはいるが、溶鋼中の溶存酸素量が高く、溶存酸素がばらつくため、介在物中のAl濃度が変わり、精錬中、鋳造中に生成する介在物の形態がばらつき、介在物を熱間圧延時に微細にすることが難しいという問題がある。
【0005】
前記溶鋼脱酸方法の改善を目的として、真空アーク脱ガス装置にてCaO − SiO系スラグ、フラックスを用い、溶鋼中に添加されるAl総量を10g/溶鋼ton 以下に規制する方法(特公昭63−18646 号公報参照)、使用する耐火物を非Al系にする方法(特開昭62−203647号公報参照)が提案されている。しかし、真空アーク脱ガス装置を用いて処理を行うと、低酸素化は可能であるが、真空処理中に溶鋼中のCの脱酸力がAlの脱酸力より強まり、このため、耐火物、スラグ等に含まれるAlがCにより還元され、溶鋼中の溶存Al濃度が増加する。この溶存Alは処理後の温度低下、また、連続鋳造時において溶存酸素と結び付いて再びAlとなり、鋳片中に熱間圧延時に非延性な介在物として残留する問題がある。たとえ、非Al系の耐火物を用いても、転炉スラグの混入や、合金鉄中のAlによるスラグ中のAlの存在は不可避であり、このため連続鋳造におけるタンディッシュ内溶鋼の溶存Al濃度を低位にすることは難しい。
【0006】
また、これらの他に、Ar吹込みによる取鍋精錬法において、酸素の混入を規制し、高融点のCaC等を含む還元性スラグに、滓化促進のため低融点のアルカリ金属弗化物、酸化物、アルカリ土類金属弗化物を5〜30%添加した合成スラグを用いて脱酸した後、Mg,Ca,Ti,Al,Zrを適量添加して、延性の良好な介在物に制御する方法(特開昭53−76916 号公報参照)、Al完全規制の下(5g/溶鋼ton 以下)でCaO 含有フラックスを吹き込んで予備脱酸した後、Ca,MgまたはREMを微量吹込んで延性の良好な介在物に制御する方法(特公昭57−35243 号公報参照)、あるいはAl完全規制下の溶鋼にREMを0.015 〜0.040 %添加し鋼中介在物を軟質化する方法(特公昭59−43966号公報参照)も提案されている。
【0007】
これらの方法では、予備脱酸に使用するCaC等を含む還元性スラグやCaO 含有フラックスが巻込まれたり、吹込まれた際に完全に浮上できず、その後の脱酸生成物と凝集・合体しなければ硬質な介在物になる問題がある。また、Mg,Ca,Zr,REMの元素は活性度が極めて高く、脱酸元素の添加量が介在物の形態に大きく影響し、添加量が多いと高融点の硬質な介在物が生成するため、溶鋼中の濃度制御が重要となる。
【0008】
また、溶鋼中のAl総量を0.010kg/溶鋼ton 以下にし、アーク加熱式取鍋精錬設備により、スラグ組成を( CaO/SiO2 )= 0.7〜0.9 、Al2O3 ≦10%として処理を行ったのち、連続鋳造設備にて鋳型内および凝固末期で電磁攪拌しながら連続鋳造を行う方法が提案されている(特開平4−110413号公報参照)。この方法では、溶鋼中のAl量を規制し、スラグ組成を CaO/SiO2 = 0.7〜0.9 とし、Al2O3 ≦10% Al 2O3 の上限を決め、溶鋼中のAl量を低位に保つことにより、Al2O3 濃度の高い介在物の生成を防止している。しかし、スラグ SiO2が大きいため溶鋼中の溶存酸素は高く、精錬後の溶鋼の溶存酸素濃度が20ppm を超え介在物量が増える。さらに、タンディッシュでの溶存Al濃度が低位になりやすく、そのため、凝固時に生成する介在物はSiO2濃度の高い硬質な介在物となり、熱間圧延時に変形せず、熱間圧延後の線材中に幅1μm 以上の介在物として存在する。
【0009】
また、溶鋼の酸素量の低減方法として、溶鋼中のAl総量を10g/溶鋼ton 以下にし、炉外精錬時のスラグ組成をCaO −SiO−Al系で、(CaO/SiO)≧1.5 、(FeO +MnO )≦3%とすると共に、介在物の組成制御の点から、CaO 量の増加につれスラグ中のAlが還元され鋼中のAl濃度が高まり、鋳造時に生成する介在物のAl量が増え硬質化するのを防ぐため、スラグ中のAl量の上限として、 3.0≧(CaO/SiO)≧1.5 の時、Al≦16%−4(CaO/SiO)%、(CaO/SiO)>3.0 の時、Al≦4%とし、かつ、精錬済溶鋼中のAl総量を10g/溶鋼ton 以下にすることが提案されている(特開昭60−184617号公報参照)。
【0010】
これによれば、スラグが(CaO/SiO)≧1.5 とスラグのa SiOが低いため溶鋼の酸素量は低下し、また、スラグ中のAl量は CaO/SiOの上昇にともない上限を低下させているため、鋼中のAl濃度の上昇は抑えられ、Al濃度の高い介在物の生成は防止できる。しかし、スラグ中のCaO 量が高く、SiO量、Al量が低いため、スラグの融点が上昇し、滓化性が悪く、精錬中のスラグ−溶鋼間の反応が十分には進行しない。また、スラグが精錬中に溶鋼内に巻込まれ、浮上できず鋳片内に残存し介在物となった場合、介在物はCaO 量が高く、非延性で硬質になる問題がある。スラグの滓化性を良くするため、CaF等の弗化物を混合することが考えられるが、弗化物を混合すると、耐火物の溶損が増加し、耐火物が非延性で硬質な介在物として鋼中に存在する問題がある。また、精錬済溶鋼中のAl総量を10g/溶鋼ton 以下であるとしているが、タンディッシュでの溶存酸素濃度に対し溶鋼の溶存Al濃度が高いと、鋼中にAl濃度の高い介在物が生成する恐れがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前項で通覧した従来技術内容から明らかなように、線材の伸線加工性を害する非延性の硬質な介在物は第1にAl系介在物である。よって、脱酸生成物としてAl系介在物を生成させないためには、鋼中のAl濃度を低減させておくことが前提条件となる。そのためには、特公昭63−18646 号公報、特開昭60−184617号公報、特開平4−110413号公報に開示されるように、溶鋼中に混入するAl総量を規制する必要がある。しかし、単に添加するAlの量を規制するだけでは、Al濃度のバラツキにより、脱酸生成物の組成は大きく変わり、所望の延性の介在物は得られない。
【0012】
また、特開昭53−76916 号公報、特公昭57−35243 号公報、特公昭59−43966 号公報に開示されるように、Mg,Ca,Ti,ZrやREM を添加して、介在物を3元系以上の酸化物、硫化物からなる複合介在物とすることにより介在物を軟質化する技術が提案されているが、添加量が多いと高融点の硬質な介在物が生成するため、溶鋼中の濃度制御はAlと同様に重要である。特に、連続鋳造で凝固時に析出してくる脱酸生成物の組成制御は困難である。
【0013】
このように、従来にあっては、前記問題点が未解決のため安定した極細伸線加工性を有しさらにはこれも要求度の高い耐時効性をも兼ね備えた高炭素鋼線材が提供できるに至っていない。
そこで本発明は、前記問題点を解決し、とくに全酸素量を低減させかつREMによる形態制御を行って非延性の介在物を減少させ、伸延性に優れかつ高強度で耐時効性にも優れた極細線用高炭素鋼線材の製造方法および同線材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、低O濃度に調整したT/D内溶鋼中の溶存REM濃度を適切な範囲に制御すれば前記目的を達成できるとの知見を得て、次に述べる本発明をなした。
本発明は、重量比にてCを0.50〜1.00%含む高炭素鋼線材の製造方法において、転炉あるいは電気炉での脱C、脱P処理後に行う取鍋内二次精錬に際し、スラグ中の CaO/SiOを1.0 〜1.5 に調整し、攪拌処理を行いスラグ−メタル反応を進行させて溶鋼中のO濃度を20ppm 以下にした後、Ca,Mgを適宜含むAl−REM含有Fe合金を添加して精錬後の溶鋼中のAl濃度を3.0ppm以下、溶存REM濃度を1.5 〜5.0ppmとし、Ca,Mgを添加する場合にはそれぞれ3.0ppm以下とし、さらにN濃度を40ppm 未満にし、その後連続鋳造し、熱間圧延することを特徴とする高炭素鋼線材の製造方法である。
【0015】
また本発明は、前記方法で製造され、熱間圧延後に重量比にてC 0.50 〜1.00%、Si 0.15 〜0.50%、Mn 0.3〜0.9 %、P 0.020%未満、S 0.020%未満、N40ppm未満、O 20ppm以下、REM 0.5〜3.0ppm、Al 3.0ppm 以下を含み、さらに必要に応じてCa,Mg各 3.0ppm 以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高炭素鋼線材である。
【0016】
【発明の実施の形態】
前記従来の技術では、タンディッシュ(T/D)内溶鋼中のO濃度に対して該溶鋼中のAl,Mg,Ca,Ti,Zrや溶存REMの濃度が高い場合、連続鋳造で凝固時に析出してくる脱酸生成物は、数μm のAlまたはMgO, CaO, TiO, ZrOやREM酸化物を高濃度に含む硬質の介在物となる。逆に、T/D内溶鋼中のO濃度に対してAl濃度が低い場合、連続鋳造で凝固時に析出してくる脱酸生成物は、数μm のSiOを高濃度に含む硬質の介在物となる。すなわち従来の技術では、溶鋼中のO濃度が制御されていないので、脱酸生成物の量、および、Al,Mg,Ca,Ti,ZrやREMによる脱酸生成物の質の安定制御が困難である。
【0017】
これに対し、本発明によれば、重量比にてCを0.50〜1.00%含む高炭素鋼線材の製造方法において、転炉あるいは電気炉での脱C、脱P処理後に行う取鍋内二次精錬に際し、スラグ中のCaO/SiOを1.0 〜1.5 に調整し、攪拌処理を行いスラグ−メタル反応を進行させて溶鋼中のO濃度を20ppm 以下にした後、Ca,Mgを適宜含むAl−REM含有Fe合金を添加して精錬後の溶鋼中Al濃度を3.0ppm以下、溶存REM濃度を1.5 〜5.0ppmとし、さらにN濃度を40ppm 未満にし、その後連続鋳造し、熱間圧延するようにしたので、脱酸生成物を、熱間圧延で微細化しやすい伸延性のスペサタイト系のものに安定的に組成制御できる。
【0018】
そして、この方法で製造され、熱間圧延後に重量比にてC 0.50 〜1.00%、Si0.15 〜0.50%、Mn 0.3〜0.9 %、P 0.020%未満、S 0.020%未満、N 40ppm未満、O 20ppm以下、REM 0.5〜3.0ppm、Al 3.0ppm 以下を含み、さらに必要に応じてCa,Mg各 3.0ppm 以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する高炭素鋼線材は、介在物を微細形態に制御できているので極細伸線加工時に断線しにくくなり、またNの低減により耐時効性にも優れる。
【0019】
例えば図1は、O含有量を変化させた以外は本発明を満たす 5.5mmφ熱延後線材のO含有量と同線材の0.15mmφへの伸線過程での断線回数指数との関係を示すグラフである。
同図に示すように、断線回数指数は、O含有量が 20ppm以下で大きく低減し、15ppm 以下では一層低減する。よって、溶製時に溶鋼中のO濃度を20ppm 以下好ましくは15ppm 以下にしておくことが肝要である。
【0020】
また例えば図2は、REM含有量を変化させた以外は本発明を満たす 5.5mmφ熱延後線材のREM含有量と同線材の0.15mmφ伸線過程での断線回数指数との関係を示すグラフである。なお、REM含有量は、例えばMIBK等の有機溶媒で鉄を分離除去した後ICP質量分析法(ICP−MS:定量下限0.1ppm)により定量分析して得た。同図に示すように、Oが20ppm 以下であっても、REMが0.5ppm未満または3.0ppm超えであると断線回数指数が増大する。すなわち熱延圧延線材中のREM含有量の好適範囲は0.5 〜3.0ppmであり、また図2より、より好ましくは0.5 〜2.5ppmである。
【0021】
図3は、図2と同じ 5.5mmφ熱延後線材のREM含有量と同線材中の幅1μm以上の介在物個数指数との関係を示すグラフである。
同図は、1μm以上の介在物個数指数が図2と同じREMの好適範囲(0.5 〜3.0ppm)で低いが、この範囲を外れると劇的に高くなる傾向を示しており、図2との対比から明らかなように伸線加工時の断線回数指数を悪化させているのは1μm以上の粒状介在物である。すなわち、線材の伸線加工時に、この硬質・粒状の非金属介在物が多く存在すると、マトリックスが伸延されても介在物は伸延しないために介在物の周辺にミクロボイドが形成され、線材の延性が低下して遂には断線に至る頻度が高くなる。
【0022】
そこで、線材中のREMを0.5 〜3.0 ppm に収めるための溶製方法を多くの実験により把握した。その結果の一例を図4に示す。
図4は、二次精錬後T/D内溶鋼中のREM濃度と 5.5mmφ熱延後線材中の幅1μm以上の介在物個数指数との関係を示すグラフである。溶鋼の溶存REM濃度はT/Dから採取したサンプルについて、線材の場合と同じ分析方法により測定した。同図に示すように、熱延後線材中の幅1μm 以上の介在物は、T/D内溶鋼中のO濃度(=全O濃度)を20ppm 以下の条件下で溶鋼中の溶存REM濃度が 1.5ppm 未満および 5.0ppm 超えであると劇的に個数指数を増す。
【0023】
本発明者らは鋭意調査した結果、熱延後線材中の幅1μm 以上の介在物は粒状で、T/D内溶鋼中の溶存REM濃度が1.5ppmの領域ではSiOの比率が高く、5.0ppm超えの領域ではREM酸化物の比率が高い硬質・非延性のものであること、また、1.5 〜5.0ppmの領域では、上記粒状介在物は減少し、代わって1μm 未満の微細な介在物が大部分を占めそれらはREM酸化物を適度な比率で含む軟質のスペサタイト系のものであることを知見した。
【0024】
すなわち、取鍋内二次精錬において、溶鋼中のO量を20ppm 以下にし、かつREM濃度を1.5 〜5.0ppmとすることにより、熱延後線材中の幅1μm 以上の介在物、すなわち SiOあるいはREM酸化物を多く含む硬質・非延性の介在物を低減でき、適度にREM酸化物を含むスペサタイト系の介在物を多く存在せしめ得ることにより図2に示したように伸線時の断線を防止できる。なお、図4から、T/D内溶鋼中のREM濃度の上限は4.0ppmとするのがさらに好ましい。
【0025】
さて、全O濃度と溶存REM濃度とが適正範囲にある場合でも、溶鋼中のAl濃度が3.0ppmよりも高いと、硬質・非延性のAl系介在物が増えて本発明の効果が損なわれるため、溶鋼中のAl濃度は3.0ppm以下にする必要がある。このことから、本発明においては、Al脱酸法は避けるべきであり、スラグ−メタル(溶鋼)反応を利用したSi脱酸法で行う必要がある。
【0026】
それには、CaO −SiO2−Al2O3 系スラグまたはそれにCaF2を加えたスラグを攪拌処理しながら該スラグのCaO/SiO2を 1.0〜1.5 に調整することによ SiO2を適量に維持するのが好適である。
なお、溶鋼中のAl濃度を低位に保つには、溶鋼中に混入するAl総量を規制する必要があり、とくに本発明では3g/溶鋼ton 以下に規制するのがよい。Alの混入源となるFe−Si, Fe−Mn等脱酸材合金は高純度(Al<0.01%)のものを用いるのがよく、かつ、溶鋼が接触する耐火物はAl2O3 質以外のものを用いるのが望ましい。
【0027】
本発明者らはさらに、鋼中3.0 ppm 以下のMgおよび/またはCaによるMgO および/またはCaO が介在物中にさらに存在すると、熱延後の線材中の介在物がより一層微細化することを知見した。これは、スペサタイト系に組成制御された脱酸生成物(酸化物)が、これに微量のMgO, CaOが付加されて伸延性のより安定したものとなることによる。よって、取鍋内二次精錬後の溶鋼中にさらにMgおよび/またはCaを3.0ppm以下の濃度で溶存させることがより好ましい。
【0028】
また、溶鋼中のREM濃度を1.5 〜5.0ppmに、またさらにはMg濃度、Ca濃度を3.0ppm以下に制御するには、これらを単味添加するのでなく、Fe−Si, Fe−Mn等脱酸材合金中に微量含有させて添加するほうが歩留りがよく濃度制御が容易である。
一方、伸線加工後の耐時効性はN含有量に支配され、N含有量が高いと伸線後の熱処理による時効後の伸びが低下する。図5は、請求項3または4に記載の組成においてN含有量 18 55ppm の範囲で種々変えた組成をもつ150 ℃×30min 熱処理時効後の0.15mmφ線材のR.A.(引張破断面の断面収縮率)とN含有量との関係を示すグラフである。同図に示すように、N含有量が40ppm 以上になると時効後の伸びが大きく低下する。よって本発明にあっては、N含有量は40ppm 未満とする。これは、例えば取鍋内二次精錬時または精錬後に不活性ガスバブリングによる脱ガス処理を施すこと等によって達成できる。
【0029】
他の成分については、Cは線材の強度を確保するため少なくとも0.5 %以上必要であり、1.0 %を超えると伸線加工性が悪化するので0.5 〜1.0 %とした。
Si、Mnは脱酸材として投与されまた鋼の強度にも寄与するが、鋼中含有量が低すぎると強度が低下し、高すぎると徒に脱酸生成物の量が増えて清浄度が損なわれる。適量は、それぞれSi:0.15〜0.50%、Mn:0.3 〜0.9 %である。
【0030】
P、Sは高いと伸線加工性が悪化するのでP<0.020 %、S<0.020 %とするが、極力低下するのが好ましい。
【0031】
【実施例】
溶銑予備処理によりPを0.020 %未満、Sを0.020 %未満に低減した溶銑を複合吹錬転炉にて180ton吹錬し、Al非含有耐火物を使用した取鍋に出鋼後、低Al含有量(0.01%以下)のFe−Siを500kg 、Fe−Mnを1000kg添加して脱酸並びに成分調整を行った。取鍋耐火物は、スラグラインにマグネシア・カーボンレンガ、その他の壁、敷にはジルコン流し込み材を用いた。T/Dへの出鋼前にCaO −SiO−Al系のフラックスを2000kg添加し、スラグのCaO/SiOを表1に示す範囲で種々変えて脱酸処理後、溶鋼中のO濃度への影響を調査した。さらに、この溶鋼に不活性雰囲気内にてArガスを吹きこみ攪拌精錬処理を行うとともに、REM,Mg, Caを含有したFe−Siを添加し、二次精錬終了後のAl,REM,Mg,Ca,O,Nの濃度が変わるように成分調整を行った。
【0032】
その後、この溶鋼を連続鋳造設備にて鋳造した。鋳造する際にT/D溶鋼中の溶存REM濃度を調査した。この鋳片を 5.5mmφに熱間圧延し、線材中の1μm 以上の非金属介在物個数を測定し、引続き冷間引抜加工して0.15mmφの最終製品とした。
本発明範囲を満たす実施例と該範囲を外れる比較例について溶製条件、組成、5.5mmφ線材中の1μm 以上の介在物個数指数、冷間引抜加工時の断線回数指数、最終製品150 ℃×30min 熱処理時効後のR.A.を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003550924
【0034】
実施例(試験No.7〜15)は介在物個数指数が5以下と非常に低位で断線回数指数も4以下と低く極細伸線加工性に優れ、また、時効後R.A.が56〜63%と耐時効性にも優れている。
【0035】
これに対し、Nのみ本発明を外れる試験No.19,20を除く比較例は、介在物個数指数が16以上、断線回数指数が5.3 以上と実施例より劣り、時効後R.A.は54〜60%と耐時効性にもやや劣る。また、試験No.19,20の比較例は、介在物個数指数と断線回数指数とで実施例に匹敵するが、時効後R.A.が27〜35%と耐時効性は大幅に劣化する。
【0036】
このように、本発明によれば、極細伸線加工性および耐時効性に優れた高炭素鋼線材が得られる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、熱間圧延後の線材中に幅1μm 以上の介在物量が少なく、その後の冷間引抜で極細線に加工する際の断線危険性が低く、さらに冷間引抜後の時効性にも優れた高炭素鋼線材が得られるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】5.5mmφ熱延後線材のO含有量と同線材の0.15mmφへの伸線過程での断線回数指数との関係を示すグラフである。
【図2】5.5mmφ熱延後線材のREM含有量と同線材の0.15mmφ伸線過程での断線回数指数との関係を示すグラフである。
【図3】5.5mmφ熱延後線材のREM含有量と同線材中の幅1μm以上の介在物個数指数との関係を示すグラフである。
【図4】二次精錬後T/D内溶鋼中の溶存REM濃度と 5.5mmφ熱延後線材中の幅1μm以上の介在物個数指数との関係を示すグラフである。
【図5】150 ℃×30min 熱処理時効後の0.15mmφ線材のR.A.とN含有量との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 重量比にてCを0.50〜1.00%含む高炭素鋼線材の製造方法において、転炉あるいは電気炉での脱C、脱P処理後に行う取鍋内二次精錬に際し、スラグ中のCaO/SiOを1.0 〜1.5 に調整し、攪拌処理を行いスラグ−メタル反応を進行させて溶鋼中のO濃度を20ppm 以下にした後、Al−REM含有Fe合金を添加して精錬後の溶鋼中のAl濃度を3.0ppm以下、溶存REM濃度を1.5 〜5.0ppmとし、さらにN濃度を40ppm 未満にし、その後連続鋳造し、熱間圧延することを特徴とする高炭素鋼線材の製造方法。
  2. 重量比にてCを0.50〜1.00%含む高炭素鋼線材の製造方法において、転炉あるいは電気炉での脱C、脱P処理後に行う取鍋内二次精錬に際し、スラグ中のCaO/SiOを1.0 〜1.5 に調整し、攪拌処理を行いスラグ−メタル反応を進行させて溶鋼中のO濃度を20ppm 以下にした後、Ca,Mgを含むAl−REM含有Fe合金を添加して精錬後の溶鋼中のAl濃度を3.0 ppm 以下、溶存REM濃度を1.5 〜5.0ppm、Ca,Mgをそれぞれ3.0ppm以下とし、さらにN濃度を40ppm 未満にし、その後連続鋳造し、熱間圧延することを特徴とする高炭素鋼線材の製造方法。
  3. 請求項1記載の方法で製造され、熱間圧延後に重量比にてC0.50 〜1.00%、Si 0.15 〜0.50%、Mn 0.3〜0.9 %、P 0.020%未満、S 0.020%未満、N 40ppm未満、O 20ppm以下、REM 0.5〜3.0ppm、Al 3.0ppm 以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高炭素鋼線材。
  4. 請求項2記載の方法で製造され、熱間圧延後に重量比にてC0.50 〜1.00%、Si 0.15 〜0.50%、Mn 0.3〜0.9 %、P 0.020%未満、S 0.020%未満、N 40ppm未満、O 20ppm以下、REM 0.5〜3.0ppm、Al 3.0ppm 以下を含み、さらにCa,Mg各3.0ppm以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高炭素鋼線材。
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