JP3282865B2 - 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法 - Google Patents
高強度極細線用高炭素鋼の製造方法Info
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- JP3282865B2 JP3282865B2 JP00318893A JP318893A JP3282865B2 JP 3282865 B2 JP3282865 B2 JP 3282865B2 JP 00318893 A JP00318893 A JP 00318893A JP 318893 A JP318893 A JP 318893A JP 3282865 B2 JP3282865 B2 JP 3282865B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非延性の介在物が少
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼の製造方法に関するも
のである。
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】自動車用タイヤコード等に使用されてい
る高炭素鋼線材は、直径約5.5mmまで熱間圧延し、
その後、パテンティングを施しながら数回の冷間引抜加
工(伸線加工)を行い、最終的に直径0.15mmの極
細線まで伸線される。この伸線加工時に、鋼中に伸延し
にくい硬質な非金属介在物が存在していると断線の原因
となる。このため、伸線加工時に断線の原因とならない
よう鋼中の介在物を微細化するために、脱酸生成物の形
態を熱間圧延時に延性の良好な組成であるAl2 O3 −
SiO2 −MnOの3元系状態図のスペサータイト領域
に制御する必要があった。
る高炭素鋼線材は、直径約5.5mmまで熱間圧延し、
その後、パテンティングを施しながら数回の冷間引抜加
工(伸線加工)を行い、最終的に直径0.15mmの極
細線まで伸線される。この伸線加工時に、鋼中に伸延し
にくい硬質な非金属介在物が存在していると断線の原因
となる。このため、伸線加工時に断線の原因とならない
よう鋼中の介在物を微細化するために、脱酸生成物の形
態を熱間圧延時に延性の良好な組成であるAl2 O3 −
SiO2 −MnOの3元系状態図のスペサータイト領域
に制御する必要があった。
【0003】このように、脱酸生成物の形態をAl2 O
3 −SiO2 −MnOの3元系状態図のスペサータイト
領域に制御する方法として精錬時の溶鋼内のAl,S
i,Mn量を制御する方法が提案されている(特公昭5
4−7252号公報)。また、溶鋼中に添加する合金鉄
中のAl量を溶鋼1ton当り10〜50gに規制する
ことによってスペサータイト領域の介在物に制御する方
法(特公昭52−17490号公報)、それに加えて、
Mn/Si>1.7に規制し制御する方法(特公昭57
−22969号公報)が提案されている。
3 −SiO2 −MnOの3元系状態図のスペサータイト
領域に制御する方法として精錬時の溶鋼内のAl,S
i,Mn量を制御する方法が提案されている(特公昭5
4−7252号公報)。また、溶鋼中に添加する合金鉄
中のAl量を溶鋼1ton当り10〜50gに規制する
ことによってスペサータイト領域の介在物に制御する方
法(特公昭52−17490号公報)、それに加えて、
Mn/Si>1.7に規制し制御する方法(特公昭57
−22969号公報)が提案されている。
【0004】上記の方法では、Al量が規制され精錬中
の溶鋼の脱酸は添加されたMn,Siで行われるため、
脱酸後の溶鋼中の溶存酸素量は高く鋳片の清浄性が悪化
する問題がある。近年、タイヤコードの極細線化と高強
度化の一層の進行により、介在物の軟質化だけでなく、
介在物量,酸素量の低減が要求されるようになり、介在
物の組成制御のみでは不十分となっている。また組成制
御についても、スペサータイト領域の介在物になるよう
にAl量を規制はしているが、脱酸前の溶鋼中の溶存酸
素量の差によるAl2 O3 生成量のばらつきや、Al溶
解時の局部的なAlの濃化により、精錬中、鋳造中に生
成する介在物の形態がばらつく問題がある。
の溶鋼の脱酸は添加されたMn,Siで行われるため、
脱酸後の溶鋼中の溶存酸素量は高く鋳片の清浄性が悪化
する問題がある。近年、タイヤコードの極細線化と高強
度化の一層の進行により、介在物の軟質化だけでなく、
介在物量,酸素量の低減が要求されるようになり、介在
物の組成制御のみでは不十分となっている。また組成制
御についても、スペサータイト領域の介在物になるよう
にAl量を規制はしているが、脱酸前の溶鋼中の溶存酸
素量の差によるAl2 O3 生成量のばらつきや、Al溶
解時の局部的なAlの濃化により、精錬中、鋳造中に生
成する介在物の形態がばらつく問題がある。
【0005】溶鋼の脱酸方法の改善方法としては、真空
アーク脱ガス装置にてCaO−SiO2 系スラグ、フラ
ックスを用い、溶鋼中に添加されるAl総量を10g/
ton以下に規制する方法(特公昭63−18646号
公報)、使用する耐火物を非Al2 O3 系にする方法
(特開昭62−203647号公報)が提案されてい
る。
アーク脱ガス装置にてCaO−SiO2 系スラグ、フラ
ックスを用い、溶鋼中に添加されるAl総量を10g/
ton以下に規制する方法(特公昭63−18646号
公報)、使用する耐火物を非Al2 O3 系にする方法
(特開昭62−203647号公報)が提案されてい
る。
【0006】上記のように真空アーク脱ガス装置を用い
て処理を行うと、低酸素化は可能であるが、真空処理中
に溶鋼中の炭素の脱酸力がAlの脱酸力より強まり、こ
のため、耐火物、スラグ等に含まれるAl2 O3 が炭素
により還元され、溶鋼中の溶存Al濃度が増加する。こ
の溶存Alは処理後の温度低下により鋳造中に酸素と結
びついて再びAl2 O3 となり、鋳片中に非延性な介在
物として残留する問題がある。たとえ、非Al2 O3 系
の耐火物を用いても、転炉スラグの混入や、合金鉄中の
Alによるスラグ中のAl2 O3 の存在は不可避であ
り、このため溶鋼中のAl量を低位にすることは難し
い。
て処理を行うと、低酸素化は可能であるが、真空処理中
に溶鋼中の炭素の脱酸力がAlの脱酸力より強まり、こ
のため、耐火物、スラグ等に含まれるAl2 O3 が炭素
により還元され、溶鋼中の溶存Al濃度が増加する。こ
の溶存Alは処理後の温度低下により鋳造中に酸素と結
びついて再びAl2 O3 となり、鋳片中に非延性な介在
物として残留する問題がある。たとえ、非Al2 O3 系
の耐火物を用いても、転炉スラグの混入や、合金鉄中の
Alによるスラグ中のAl2 O3 の存在は不可避であ
り、このため溶鋼中のAl量を低位にすることは難し
い。
【0007】また、他の溶鋼の脱酸方法の改善方法とし
て、Arガス吹込みによる取鍋精錬法において、酸素の
混入を規制し、高融点のCaC2 等を含む還元性スラグ
に、滓化促進のため低融点のアルカリ金属の弗化物、酸
化物、アルカリ土類金属の弗化物を5〜30重量%(以
下単に%と記す)添加した合成スラグを用いて脱酸した
後、Mg、Ca、Ti、Al、Zrを適量添加して、延
性の良好な介在物に制御する方法(特開昭53−761
96号公報)や、Al量完全規制の下(5g/溶鋼to
n)でCaO含有フラックスを吹込んで予備脱酸した
後、Ca、Mg又は希土類元素を微量吹き込んで延性の
良好な介在物に制御する方法(特公昭57−35234
号公報)が提案されている。
て、Arガス吹込みによる取鍋精錬法において、酸素の
混入を規制し、高融点のCaC2 等を含む還元性スラグ
に、滓化促進のため低融点のアルカリ金属の弗化物、酸
化物、アルカリ土類金属の弗化物を5〜30重量%(以
下単に%と記す)添加した合成スラグを用いて脱酸した
後、Mg、Ca、Ti、Al、Zrを適量添加して、延
性の良好な介在物に制御する方法(特開昭53−761
96号公報)や、Al量完全規制の下(5g/溶鋼to
n)でCaO含有フラックスを吹込んで予備脱酸した
後、Ca、Mg又は希土類元素を微量吹き込んで延性の
良好な介在物に制御する方法(特公昭57−35234
号公報)が提案されている。
【0008】上記の方法では、介在物の形態制御に使用
する脱酸元素の活性度が極めて高く、脱酸元素の添加量
が介在物の形態に大きく影響するため、延性の良好な介
在物に安定して制御することが困難である。また、予備
脱酸に使用するCaC2 等を含む還元性スラグやCaO
含有フラックスは、巻込まれたり、吹込まれた際に完全
には浮上できず、その後の脱酸生成物と凝集、合体しな
ければ硬質な介在物になる問題がある。
する脱酸元素の活性度が極めて高く、脱酸元素の添加量
が介在物の形態に大きく影響するため、延性の良好な介
在物に安定して制御することが困難である。また、予備
脱酸に使用するCaC2 等を含む還元性スラグやCaO
含有フラックスは、巻込まれたり、吹込まれた際に完全
には浮上できず、その後の脱酸生成物と凝集、合体しな
ければ硬質な介在物になる問題がある。
【0009】また、溶鋼の酸素量の低減方法として、溶
鋼中のAl総量を溶鋼ton当り10g以下にし、炉外
精錬時のスラグ組成をCaO−SiO2 −Al2 O3 系
で、(CaO/SiO2 )≧1.5、(FeO+Mn
O)≦3%とすると共に、介在物の組成制御の点から、
CaO量の増加につれスラグ中のAl2 O3 が還元され
鋼中のAl濃度が高まり、鋳造時に生成する介在物のA
l2 O3 量が増え硬質化するのを防ぐため、スラグ中の
Al2 O3 量の上限として、3.0≧(CaO/SiO
2 )≧1.5のときAl2 O3 ≧16%−4(CaO/
SiO2 )%、(CaO/SiO2 )>3.0のときA
l2 O3 ≦4%とし、かつ、精錬後溶鋼中のAl総量を
10g/ton(溶鋼)以下にすることが提案されてい
る(特開昭60−184617号公報)。
鋼中のAl総量を溶鋼ton当り10g以下にし、炉外
精錬時のスラグ組成をCaO−SiO2 −Al2 O3 系
で、(CaO/SiO2 )≧1.5、(FeO+Mn
O)≦3%とすると共に、介在物の組成制御の点から、
CaO量の増加につれスラグ中のAl2 O3 が還元され
鋼中のAl濃度が高まり、鋳造時に生成する介在物のA
l2 O3 量が増え硬質化するのを防ぐため、スラグ中の
Al2 O3 量の上限として、3.0≧(CaO/SiO
2 )≧1.5のときAl2 O3 ≧16%−4(CaO/
SiO2 )%、(CaO/SiO2 )>3.0のときA
l2 O3 ≦4%とし、かつ、精錬後溶鋼中のAl総量を
10g/ton(溶鋼)以下にすることが提案されてい
る(特開昭60−184617号公報)。
【0010】上記の方法によれば、スラグが(CaO/
SiO2 )≧1.5とスラグasio2が低いため、溶鋼の
酸素量は低下し、また、スラグ中のAl2 O3 量を(C
aO/SiO2 )の上昇にともない上限を低下させてい
るため、溶鋼中のAl濃度の上昇は抑えられ、Al2 O
3 濃度の高い介在物の生成は防止できる。しかし、スラ
グ中のCaO量が高く、SiO2 、Al2 O3 量が低い
ため、スラグの融点が上昇し滓化性が悪く、精錬中のス
ラグ−溶鋼間の反応が十分には進行しない。また、スラ
グが精錬中に溶鋼内に巻込まれ、浮上できず鋳片内に取
込まれ介在物となった場合、介在物はCaO量が高く非
延性で硬質になる問題がある。スラグの滓化性を良くす
るため、CaF2 等の弗化物を混合することが考えられ
るが、弗化物を混合すると耐火物の溶損が増加し、耐火
物が非延性で硬質な介在物として鋼中に混入する問題が
ある。
SiO2 )≧1.5とスラグasio2が低いため、溶鋼の
酸素量は低下し、また、スラグ中のAl2 O3 量を(C
aO/SiO2 )の上昇にともない上限を低下させてい
るため、溶鋼中のAl濃度の上昇は抑えられ、Al2 O
3 濃度の高い介在物の生成は防止できる。しかし、スラ
グ中のCaO量が高く、SiO2 、Al2 O3 量が低い
ため、スラグの融点が上昇し滓化性が悪く、精錬中のス
ラグ−溶鋼間の反応が十分には進行しない。また、スラ
グが精錬中に溶鋼内に巻込まれ、浮上できず鋳片内に取
込まれ介在物となった場合、介在物はCaO量が高く非
延性で硬質になる問題がある。スラグの滓化性を良くす
るため、CaF2 等の弗化物を混合することが考えられ
るが、弗化物を混合すると耐火物の溶損が増加し、耐火
物が非延性で硬質な介在物として鋼中に混入する問題が
ある。
【0011】また、溶鋼中のAl総量を溶鋼トン当り
0.010kg以下にし、アーク加熱式取鍋精錬設備に
より、スラグ組成を(CaO/SiO2 )=0.7〜
0.9、Al2 O3 ≦10%として処理を行ったのち、
連続鋳造設備にて鋳型内及び凝固末期で電磁撹拌しなが
ら連続鋳造を行う方法が提案されている(特開平4−1
10413号公報)。
0.010kg以下にし、アーク加熱式取鍋精錬設備に
より、スラグ組成を(CaO/SiO2 )=0.7〜
0.9、Al2 O3 ≦10%として処理を行ったのち、
連続鋳造設備にて鋳型内及び凝固末期で電磁撹拌しなが
ら連続鋳造を行う方法が提案されている(特開平4−1
10413号公報)。
【0012】上記の方法では、溶鋼中のAl量を規制
し、また、スラグ組成を(CaO/SiO2 )=0.7
〜0.9とasio2を小さくし、Al2 O3 ≦10%とa
Al2o3の上限を決め、溶鋼中のAl量を非常に低位に保
つことにより、Al2 O3 濃度の高い介在物の生成を防
止している。しかし、やはり、スラグのasio2が大きい
ため鋼中の酸素量は高く、また、溶鋼中のAl量が低す
ぎる場合、脱酸生成物のSiO2 濃度は高くなり、介在
物は延性が悪く、熱延後に多量に微小な介在物が残存す
る問題がある。
し、また、スラグ組成を(CaO/SiO2 )=0.7
〜0.9とasio2を小さくし、Al2 O3 ≦10%とa
Al2o3の上限を決め、溶鋼中のAl量を非常に低位に保
つことにより、Al2 O3 濃度の高い介在物の生成を防
止している。しかし、やはり、スラグのasio2が大きい
ため鋼中の酸素量は高く、また、溶鋼中のAl量が低す
ぎる場合、脱酸生成物のSiO2 濃度は高くなり、介在
物は延性が悪く、熱延後に多量に微小な介在物が残存す
る問題がある。
【0013】これら鋼中の酸素量、非延性で硬質な介在
物、介在物個数の問題の他に、鋳片の中心部の成分偏析
の問題がある。特に炭素濃度の高い、高強度で極細線ま
で伸線される鋳片においては、中心偏析により延性が著
しく悪化し、伸線時の断線につながる。中心偏析は、鋳
片の最終凝固部となる厚み中心部で、C,P,S等の溶
鋼成分が濃化して正偏析となって現れるもので、従来の
連続鋳造法では避け難い品質欠陥のひとつであった。こ
のような連続鋳造により得られる鋳片の中心偏析を軽減
する技術としては、溶鋼の過熱度を低下させたり鋳型内
溶鋼へ線材片を添加したりして等軸晶からなる凝固組織
を鋳片内に形成する方法、鋳型内溶鋼やストランド内溶
鋼を電磁撹拌することにより等軸晶を得る方法が広く普
及している。しかし、これらの方法は、いずれも等軸晶
からなる凝固組織を得ることで溶質の微細分散化を図り
中心偏析を軽減しようとするものであるが、それぞれ一
長一短があり、広く普及しているとはいえ偏析改善効果
は必ずしも十分ではない。特開平4−110413号公
報では連続鋳造設備にて鋳型内及び凝固末期で電磁撹拌
しながら連続鋳造を行う方法が提案されているが、中心
偏析率は1.05を越え、炭素濃度の高い極細線まで伸
線される素材においては不十分なものである。
物、介在物個数の問題の他に、鋳片の中心部の成分偏析
の問題がある。特に炭素濃度の高い、高強度で極細線ま
で伸線される鋳片においては、中心偏析により延性が著
しく悪化し、伸線時の断線につながる。中心偏析は、鋳
片の最終凝固部となる厚み中心部で、C,P,S等の溶
鋼成分が濃化して正偏析となって現れるもので、従来の
連続鋳造法では避け難い品質欠陥のひとつであった。こ
のような連続鋳造により得られる鋳片の中心偏析を軽減
する技術としては、溶鋼の過熱度を低下させたり鋳型内
溶鋼へ線材片を添加したりして等軸晶からなる凝固組織
を鋳片内に形成する方法、鋳型内溶鋼やストランド内溶
鋼を電磁撹拌することにより等軸晶を得る方法が広く普
及している。しかし、これらの方法は、いずれも等軸晶
からなる凝固組織を得ることで溶質の微細分散化を図り
中心偏析を軽減しようとするものであるが、それぞれ一
長一短があり、広く普及しているとはいえ偏析改善効果
は必ずしも十分ではない。特開平4−110413号公
報では連続鋳造設備にて鋳型内及び凝固末期で電磁撹拌
しながら連続鋳造を行う方法が提案されているが、中心
偏析率は1.05を越え、炭素濃度の高い極細線まで伸
線される素材においては不十分なものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点の解決を図ったもので、非延性の介在物が少な
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼を製造することを目的
とするものである。
問題点の解決を図ったもので、非延性の介在物が少な
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼を製造することを目的
とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量組成で、
C:0.7〜1.0%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.3〜0.9%を含む高炭素鋼の製造方法にお
いて、溶銑予備処理を施しP:<0.020%、S:<
0.020%に低減した溶銑を転炉にて吹錬し、出鋼時
にSi,Mnを含む合金を添加して脱酸並びに成分調整
を行った溶鋼に、CaO−SiO2 −Al2 O3 系のフ
ラックスを加え不活性雰囲気内にてArガスを吹込み撹
拌精錬処理を行う際に、 a:撹拌精錬処理後の溶鋼中のAl量が5g/ton以
下であること。
C:0.7〜1.0%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.3〜0.9%を含む高炭素鋼の製造方法にお
いて、溶銑予備処理を施しP:<0.020%、S:<
0.020%に低減した溶銑を転炉にて吹錬し、出鋼時
にSi,Mnを含む合金を添加して脱酸並びに成分調整
を行った溶鋼に、CaO−SiO2 −Al2 O3 系のフ
ラックスを加え不活性雰囲気内にてArガスを吹込み撹
拌精錬処理を行う際に、 a:撹拌精錬処理後の溶鋼中のAl量が5g/ton以
下であること。
【0016】b:撹拌精錬処理後の溶鋼中のMn/Si
が1.7以上であること。 c:撹拌精錬処理後のスラグ組成が 0.9≦(CaO/SiO2 )≦1.5 …(1) 9−5(CaO/SiO2 )≦Al2 O3 (%) ≦17−7(CaO/SiO2 ) …(2) であること。
が1.7以上であること。 c:撹拌精錬処理後のスラグ組成が 0.9≦(CaO/SiO2 )≦1.5 …(1) 9−5(CaO/SiO2 )≦Al2 O3 (%) ≦17−7(CaO/SiO2 ) …(2) であること。
【0017】d:撹拌精錬処理時に非Al2 O3 系耐火
物を内張りした取鍋を使用すること。 として撹拌精錬処理し、その後、得られた溶鋼を直ちに
連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了する前の段階で連続
的に鍛圧加工し、得られた鋳片の中心部の炭素の偏析率
が0.80〜1.05、全酸素量が25ppm以下の鋳
片を製造することにより、熱間圧延後、冷間引抜伸線加
工で断線することなく直径0.15mmの極細線まで伸
線化することを可能とするものである。なお、偏析率と
は(鋳片中心部の濃度)/(周辺部の濃度)である。
物を内張りした取鍋を使用すること。 として撹拌精錬処理し、その後、得られた溶鋼を直ちに
連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了する前の段階で連続
的に鍛圧加工し、得られた鋳片の中心部の炭素の偏析率
が0.80〜1.05、全酸素量が25ppm以下の鋳
片を製造することにより、熱間圧延後、冷間引抜伸線加
工で断線することなく直径0.15mmの極細線まで伸
線化することを可能とするものである。なお、偏析率と
は(鋳片中心部の濃度)/(周辺部の濃度)である。
【0018】
【作用】本発明における、C:0.7〜1.0%、S
i:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜0.9%、
P:<0.020%、S:0.020%を含有する鋼材
は、自動車用タイヤコード等に使用される高強度極細線
用の高炭素鋼として好適なものである。
i:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜0.9%、
P:<0.020%、S:0.020%を含有する鋼材
は、自動車用タイヤコード等に使用される高強度極細線
用の高炭素鋼として好適なものである。
【0019】前述したように、非延性の硬質な介在物は
第1にAl2 O3 系介在物である。そのため、脱酸生成
物としてAl2 O3 系介在物を生成させないためには、
鋼中のAl濃度を低減させておくことが前提条件とな
る。そのためには、特公昭63−18646号公報、特
開昭60−184617号公報、特開平4−11041
3号公報で提案しているように、溶鋼中に混入するAl
総量を規制する必要があり、このため、本発明では5g
/ton以下にする必要がある。Alの混入源として脱
酸材であるFe−Si、Fe−Mn等の合金は高純度
(Al<0.01%)のものを用いるのがよく、また、
耐火物としてAl2 O3 質のものは避ける必要がある。
第1にAl2 O3 系介在物である。そのため、脱酸生成
物としてAl2 O3 系介在物を生成させないためには、
鋼中のAl濃度を低減させておくことが前提条件とな
る。そのためには、特公昭63−18646号公報、特
開昭60−184617号公報、特開平4−11041
3号公報で提案しているように、溶鋼中に混入するAl
総量を規制する必要があり、このため、本発明では5g
/ton以下にする必要がある。Alの混入源として脱
酸材であるFe−Si、Fe−Mn等の合金は高純度
(Al<0.01%)のものを用いるのがよく、また、
耐火物としてAl2 O3 質のものは避ける必要がある。
【0020】このように、溶鋼中のAl濃度が低い場合
は、溶鋼中はCO脱酸平衡、Si脱酸平衡となるため酸
素濃度が高くなり、酸素量として50ppm以上にな
る。そこで、溶鋼の酸素濃度を低下させる方法として、
スラグ中のasio2を下げてスラグ−溶鋼スラグ反応によ
り鋼中の酸素量を低下させる方法を試みた。CaO−S
iO2 −Al2 O3 系スラグでは、CaO/SiO2 を
大きくすることによりa sio2は小さくなる。図1に、精
錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )と連続鋳造後の
酸素量の関係を示す。鋳片の酸素量は(CaO/SiO
2 )を大きくするとともに低下する。鋳片での酸素量を
25ppm以下にするには(CaO/SiO2 )を0.
9以上にする必要があることがわかった。
は、溶鋼中はCO脱酸平衡、Si脱酸平衡となるため酸
素濃度が高くなり、酸素量として50ppm以上にな
る。そこで、溶鋼の酸素濃度を低下させる方法として、
スラグ中のasio2を下げてスラグ−溶鋼スラグ反応によ
り鋼中の酸素量を低下させる方法を試みた。CaO−S
iO2 −Al2 O3 系スラグでは、CaO/SiO2 を
大きくすることによりa sio2は小さくなる。図1に、精
錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )と連続鋳造後の
酸素量の関係を示す。鋳片の酸素量は(CaO/SiO
2 )を大きくするとともに低下する。鋳片での酸素量を
25ppm以下にするには(CaO/SiO2 )を0.
9以上にする必要があることがわかった。
【0021】多種のスラグ組成による実験結果より、精
錬中のスラグ組成は溶鋼中の酸素量に影響を与えるだけ
でなく、鋼中の介在物組成、介在物個数にも影響を与え
ることがわかった。図2に示すように、精錬処理後スラ
グの(CaO/SiO2 )を増加させると、直径5.5
mmに熱間圧延された線材中の3μm以上のAl2 O 3
系介在物(Al2 O3 濃度>50%)の個数は増加し、
その増加傾向はスラグ中のAl2 O3 濃度が高いほど大
きいことが分かった。なお、介在物指数とは線材断面で
の単位面積当たりの3μm以上の介在物個数である。
錬中のスラグ組成は溶鋼中の酸素量に影響を与えるだけ
でなく、鋼中の介在物組成、介在物個数にも影響を与え
ることがわかった。図2に示すように、精錬処理後スラ
グの(CaO/SiO2 )を増加させると、直径5.5
mmに熱間圧延された線材中の3μm以上のAl2 O 3
系介在物(Al2 O3 濃度>50%)の個数は増加し、
その増加傾向はスラグ中のAl2 O3 濃度が高いほど大
きいことが分かった。なお、介在物指数とは線材断面で
の単位面積当たりの3μm以上の介在物個数である。
【0022】精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )を増加させるとスラグ中のasio2は低下し、その結
果、下式の(3)式のように、スラグ中のAl2 O3 が
Siにより還元され、溶鋼中のAl濃度が増加するa
sio2が低く、スラグ中のAl2 O 3 濃度が高い程その傾
向は強い。このため、脱酸生成物としてAl2 O3 濃度
の高い介在物が生成し、介在物の熱間圧延時の延性が低
下するため、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の
3μm以上の介在物の個数は増加することになる。
2 )を増加させるとスラグ中のasio2は低下し、その結
果、下式の(3)式のように、スラグ中のAl2 O3 が
Siにより還元され、溶鋼中のAl濃度が増加するa
sio2が低く、スラグ中のAl2 O 3 濃度が高い程その傾
向は強い。このため、脱酸生成物としてAl2 O3 濃度
の高い介在物が生成し、介在物の熱間圧延時の延性が低
下するため、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の
3μm以上の介在物の個数は増加することになる。
【0023】 Al2 O3 +3/2Si=2Al+3/2SiO2 …(3) よって、非延性のAl2 O3 系介在物がほとんど生成し
ないスラグ中のAl2O3 量の上限を下式(4)のよう
に決めた。 Al2 O3 (%)≦17−7(CaO/SiO2 ) …(4) また、図3に示すように、精錬処理後スラグの(CaO
/SiO2 )を低下させると、直径5.5mmに熱間圧
延された線材中の3μm以上のSiO2 系介在物(Si
O2 濃度>80%)の個数が増加し、その増加傾向はス
ラグ中のAl2O3 濃度が低いほど大きいことがわかっ
た。特に(CaO/SiO2 )を0.9未満にすると鋼
中酸素量が増加するため、SiO2 系介在物の個数は著
しく増加する。
ないスラグ中のAl2O3 量の上限を下式(4)のよう
に決めた。 Al2 O3 (%)≦17−7(CaO/SiO2 ) …(4) また、図3に示すように、精錬処理後スラグの(CaO
/SiO2 )を低下させると、直径5.5mmに熱間圧
延された線材中の3μm以上のSiO2 系介在物(Si
O2 濃度>80%)の個数が増加し、その増加傾向はス
ラグ中のAl2O3 濃度が低いほど大きいことがわかっ
た。特に(CaO/SiO2 )を0.9未満にすると鋼
中酸素量が増加するため、SiO2 系介在物の個数は著
しく増加する。
【0024】精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )を低下させるとスラグ中のasio2は増加し、その結
果、(3)式のようにはスラグ中のAl2 O3 がSiに
より還元されないため、溶鋼中のAl濃度は低位のまま
となる。スラグ中のAl2 O3濃度が低いほどその傾向
は強い。このため、脱酸生成物としてSiO2 濃度の高
い介在物が生成し、介在物の熱間圧延時の延性が低下す
るため、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の3μ
m以上の介在物の個数は増加することになる。
2 )を低下させるとスラグ中のasio2は増加し、その結
果、(3)式のようにはスラグ中のAl2 O3 がSiに
より還元されないため、溶鋼中のAl濃度は低位のまま
となる。スラグ中のAl2 O3濃度が低いほどその傾向
は強い。このため、脱酸生成物としてSiO2 濃度の高
い介在物が生成し、介在物の熱間圧延時の延性が低下す
るため、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の3μ
m以上の介在物の個数は増加することになる。
【0025】よって、非延性のSiO2 系介在物がほと
んど生成しないスラグ中のAl2 O 3 量の下限を下式
(5)のように決めた。 9−5(CaO/SiO2 )≦Al2 O3 (%) …(5) 図4に示すように、精錬処理後のスラグの(CaO/S
iO2 )を増加させると、直径5.5mmに熱間圧延さ
れた線材中の3μm以上のCaO系介在物(CaO濃度
>50%)の個数は増加し、特に(CaO/SiO2 )
が1.5を越えるとCaO系介在物の個数は著しく増加
することがわかった。
んど生成しないスラグ中のAl2 O 3 量の下限を下式
(5)のように決めた。 9−5(CaO/SiO2 )≦Al2 O3 (%) …(5) 図4に示すように、精錬処理後のスラグの(CaO/S
iO2 )を増加させると、直径5.5mmに熱間圧延さ
れた線材中の3μm以上のCaO系介在物(CaO濃度
>50%)の個数は増加し、特に(CaO/SiO2 )
が1.5を越えるとCaO系介在物の個数は著しく増加
することがわかった。
【0026】精錬処理中にスラグが溶鋼中に巻込まれ、
浮上せずに鋳片内に残存した場合、精錬処理後のスラグ
の(CaO/SiO2 )が高いと、CaO濃度の高い介
在物となり、介在物の熱間圧延時の延性が低下するた
め、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の3μm以
上の介在物の個数は増加することになる。よって、スラ
グは溶鋼中に巻込まれ鋳片内に残存しても熱間圧延時に
延性があるように、スラグ中のCaO/SiO2 1.5
以下と決めた。
浮上せずに鋳片内に残存した場合、精錬処理後のスラグ
の(CaO/SiO2 )が高いと、CaO濃度の高い介
在物となり、介在物の熱間圧延時の延性が低下するた
め、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の3μm以
上の介在物の個数は増加することになる。よって、スラ
グは溶鋼中に巻込まれ鋳片内に残存しても熱間圧延時に
延性があるように、スラグ中のCaO/SiO2 1.5
以下と決めた。
【0027】なお、溶鋼中のMn/Siを1.7以上と
したのは、1.7未満ではSiO2濃度の高い介在物が
急増し伸線性を阻害するためである。一方、本発明では
連続鋳造工程において、鋳片内部が凝固を完了する前の
段階で連続的に鍛圧加工を行う連続鍛圧法を適用し、得
られた鋳片の中心部の炭素の偏析率が0.80〜1.0
5にすることが必要である。連続鍛圧法は広範囲の濃化
溶鋼の移動を阻止して中心偏析を有利に防止するもの
で、連続鋳造用の鋳型より引抜いた鋳片を連続鋳造する
に当り、鋳片内部が凝固を完了する前の段階であって、
固相率が0.5〜0.9を示す位置でδ/d≧0.5
(ここに、δ:鍛圧加工による総圧下量(mm)、d:
鍛圧位置における未凝固厚み(mm))を満足する圧下
を施すものである。この方法によれば、内部割れや著し
い負偏析の発生なしに中心偏析を容易に軽減し、偏析率
を0.80〜1.05にすることができる。図5に本発
明の精錬方法を施した後、連続鋳造工程における連続鍛
圧の有無による鋳片中心部の炭素偏析率の変化と、その
線材を直径0.15mmまで伸線した際の断線指数の関
係を示す。断線指数とは製品単位重量当たりの断線回数
である。連続鍛圧を行うことにより偏析率を1.05以
下にすると断線指数を著しく軽減することがわかった。
なお、製品の強度を確保するため、偏析率を0.80以
上とする。
したのは、1.7未満ではSiO2濃度の高い介在物が
急増し伸線性を阻害するためである。一方、本発明では
連続鋳造工程において、鋳片内部が凝固を完了する前の
段階で連続的に鍛圧加工を行う連続鍛圧法を適用し、得
られた鋳片の中心部の炭素の偏析率が0.80〜1.0
5にすることが必要である。連続鍛圧法は広範囲の濃化
溶鋼の移動を阻止して中心偏析を有利に防止するもの
で、連続鋳造用の鋳型より引抜いた鋳片を連続鋳造する
に当り、鋳片内部が凝固を完了する前の段階であって、
固相率が0.5〜0.9を示す位置でδ/d≧0.5
(ここに、δ:鍛圧加工による総圧下量(mm)、d:
鍛圧位置における未凝固厚み(mm))を満足する圧下
を施すものである。この方法によれば、内部割れや著し
い負偏析の発生なしに中心偏析を容易に軽減し、偏析率
を0.80〜1.05にすることができる。図5に本発
明の精錬方法を施した後、連続鋳造工程における連続鍛
圧の有無による鋳片中心部の炭素偏析率の変化と、その
線材を直径0.15mmまで伸線した際の断線指数の関
係を示す。断線指数とは製品単位重量当たりの断線回数
である。連続鍛圧を行うことにより偏析率を1.05以
下にすると断線指数を著しく軽減することがわかった。
なお、製品の強度を確保するため、偏析率を0.80以
上とする。
【0028】以上のように、本発明は主要な条件を限定
した各工程を組合せることにより、はじめて極細線まで
伸線性が優れている鋳片を生産することができる。
した各工程を組合せることにより、はじめて極細線まで
伸線性が優れている鋳片を生産することができる。
【0029】
【実施例】溶銑予備処理によりP:<0.020%、
S:<0.020%に低減した溶銑を複合吹錬転炉にて
180ton吹錬し、出鋼時にAl含有量の少ない
(0.01%以下)Fe−Si合金を500kg、Fe
−Mn合金を1000kg添加して脱酸並びに成分調整
を行った。溶鋼はAl2 O3 を含有してない耐火物を使
用した取鍋に受鋼した。耐火物のスラグラインはマグネ
シア・カーボンレンガ、その他の壁、敷にはジルコン流
し込み材を用いた。除滓後、CaO−SiO2 −Al2
O3 系のフラックス2000kgを加え、不活性雰囲気
内にてArガスを吹込み撹拌精錬処理を行った。その
後、この溶鋼を連続鋳造設備にて鋳造し、鋳片の中心部
の炭素濃度を測定した。この鋳片は熱間圧延にて直径
5.5mmまで圧延され、線材中の3μm以上の非金属
介在物個数を測定し、引き続き伸線加工して直径0.2
5、0.20、0.15mmの最終製品にした。
S:<0.020%に低減した溶銑を複合吹錬転炉にて
180ton吹錬し、出鋼時にAl含有量の少ない
(0.01%以下)Fe−Si合金を500kg、Fe
−Mn合金を1000kg添加して脱酸並びに成分調整
を行った。溶鋼はAl2 O3 を含有してない耐火物を使
用した取鍋に受鋼した。耐火物のスラグラインはマグネ
シア・カーボンレンガ、その他の壁、敷にはジルコン流
し込み材を用いた。除滓後、CaO−SiO2 −Al2
O3 系のフラックス2000kgを加え、不活性雰囲気
内にてArガスを吹込み撹拌精錬処理を行った。その
後、この溶鋼を連続鋳造設備にて鋳造し、鋳片の中心部
の炭素濃度を測定した。この鋳片は熱間圧延にて直径
5.5mmまで圧延され、線材中の3μm以上の非金属
介在物個数を測定し、引き続き伸線加工して直径0.2
5、0.20、0.15mmの最終製品にした。
【0030】表1〜表8に、実施例と比較例の精錬処理
後の溶鋼組成、精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )及びAl2 O3 濃度、直径5.5mm線材中の3μ
m以上の形態別介在物個数指数、連続鋳造後の酸素量、
連続鍛圧の有無、鋳片のCの中心偏析率及び最終製品径
まで伸線した時の断線指数を示す。
後の溶鋼組成、精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )及びAl2 O3 濃度、直径5.5mm線材中の3μ
m以上の形態別介在物個数指数、連続鋳造後の酸素量、
連続鍛圧の有無、鋳片のCの中心偏析率及び最終製品径
まで伸線した時の断線指数を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】図6に精錬処理後スラグ中(CaO/Si
O2 )及びAl2 O3 濃度と直径5.5mmの線材中の
3μm以上の合計介在物個数指数の関係を、図7に精錬
処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及びAl2 O3 濃
度と直径0.25mmの最終製品径まで伸線した時の断
線指数の関係を、図8に精錬処理後スラグ中(CaO/
SiO2 )及びAl2 O3 濃度と直径0.20mmの最
終製品径まで伸線した時の断線指数の関係を、図9に精
処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及びAl 2 O3 濃
度と直径0.15mmの最終製品径まで伸線した時の断
線指数の関係を示す。
O2 )及びAl2 O3 濃度と直径5.5mmの線材中の
3μm以上の合計介在物個数指数の関係を、図7に精錬
処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及びAl2 O3 濃
度と直径0.25mmの最終製品径まで伸線した時の断
線指数の関係を、図8に精錬処理後スラグ中(CaO/
SiO2 )及びAl2 O3 濃度と直径0.20mmの最
終製品径まで伸線した時の断線指数の関係を、図9に精
処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及びAl 2 O3 濃
度と直径0.15mmの最終製品径まで伸線した時の断
線指数の関係を示す。
【0040】本発明のスラグ組成では、直径5.5mm
の線材中の3μm以上の合計介在物個数指数は10以下
と非常に低位となる。また、鋳片酸素量が低く、中心偏
析のない線材を製造することが可能となる。その結果、
伸線過程での断線も皆無にすることができ、特に直径
0.15mmの極細線まで伸線する際にその効果は著し
く現れる。
の線材中の3μm以上の合計介在物個数指数は10以下
と非常に低位となる。また、鋳片酸素量が低く、中心偏
析のない線材を製造することが可能となる。その結果、
伸線過程での断線も皆無にすることができ、特に直径
0.15mmの極細線まで伸線する際にその効果は著し
く現れる。
【0041】
【発明の効果】本発明により、非延性の介在物が少な
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼を容易に製造すること
ができる。
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼を容易に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、連続鋳造後の酸素量の関係を示した
グラフである。
Al2 O3 濃度と、連続鋳造後の酸素量の関係を示した
グラフである。
【図2】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のAl2 O3 系介在物(Al2 O3 濃
度>50%)の個数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のAl2 O3 系介在物(Al2 O3 濃
度>50%)の個数の関係を示したグラフである。
【図3】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のSiO2 系介在物(SiO2 濃度>
80%)の個数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のSiO2 系介在物(SiO2 濃度>
80%)の個数の関係を示したグラフである。
【図4】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のCaO系介在物(CaO濃度>50
%)の個数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のCaO系介在物(CaO濃度>50
%)の個数の関係を示したグラフである。
【図5】本発明の精錬方法を施した後の連続鋳造工程に
おける連続鍛圧の有無による鋳片中心部のCの偏析率の
変化と、その線材を直径0.15mmまで伸線した際の
断線指数の関係を示したグラフである。
おける連続鍛圧の有無による鋳片中心部のCの偏析率の
変化と、その線材を直径0.15mmまで伸線した際の
断線指数の関係を示したグラフである。
【図6】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmの線材中の3μm以
上の合計介在物個数指数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径5.5mmの線材中の3μm以
上の合計介在物個数指数の関係を示したグラフである。
【図7】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径0.25mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径0.25mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
【図8】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径0.20mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径0.20mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
【図9】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al2 O3 濃度と、直径0.15mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
Al2 O3 濃度と、直径0.15mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/076
Claims (1)
- 【請求項1】 重量組成で、C:0.7〜1.0%、S
i:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜0.9%を
含む高炭素鋼の製造方法において、溶銑予備処理を施し
P:<0.020%、S:<0.020%に低減した溶
銑を転炉にて吹錬し、出鋼時にSi,Mnを含む合金を
添加して脱酸並びに成分調整を行った溶鋼に、CaO−
SiO2 −Al2 O3 系のフラックスを加え不活性雰囲
気内にてArガスを吹込み撹拌精錬処理を行う際に、 a:撹拌精錬処理後の溶鋼中のAl量が5g/ton以
下であること。 b:撹拌精錬処理後の溶鋼中のMn/Siが1.7以上
であること。 c:撹拌精錬処理後のスラグ組成が 0.9≦(CaO/SiO2 )≦1.5 9−5(CaO/SiO2 )≦Al2 O3 (%) ≦17−7(CaO/SiO2 ) であること。 d:撹拌精錬処理時に非Al2 O3 系耐火物を内張りし
た取鍋を使用すること。 として撹拌精錬処理し、その後、得られた溶鋼を直ちに
連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了する前の段階で連続
的に鍛圧加工し、得られた鋳片の中心部の炭素の偏析率
が0.80〜1.05、全酸素量が25ppm以下の鋳
片とすることを特徴とする高強度極細線用高炭素鋼の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00318893A JP3282865B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00318893A JP3282865B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06212237A JPH06212237A (ja) | 1994-08-02 |
JP3282865B2 true JP3282865B2 (ja) | 2002-05-20 |
Family
ID=11550432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00318893A Expired - Fee Related JP3282865B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3282865B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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---|---|---|---|---|
WO2007114100A1 (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | 伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材用鋼の製造方法 |
CN109234487B (zh) * | 2018-09-25 | 2020-10-09 | 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 | 一种海底管线钢x65mo的生产方法 |
CN110629132B (zh) * | 2019-09-26 | 2020-11-17 | 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 | 超高强度钢帘线用盘条及其制造方法 |
CN115786645A (zh) * | 2022-12-07 | 2023-03-14 | 芜湖新兴铸管有限责任公司 | 一种10b21钢精炼渣系及10b21钢的冶炼方法 |
-
1993
- 1993-01-12 JP JP00318893A patent/JP3282865B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06212237A (ja) | 1994-08-02 |
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