JP3036362B2 - 酸化物分散鋼の製造法 - Google Patents

酸化物分散鋼の製造法

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JP3036362B2
JP3036362B2 JP6141961A JP14196194A JP3036362B2 JP 3036362 B2 JP3036362 B2 JP 3036362B2 JP 6141961 A JP6141961 A JP 6141961A JP 14196194 A JP14196194 A JP 14196194A JP 3036362 B2 JP3036362 B2 JP 3036362B2
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    • C22CALLOYS
    • C22C1/00Making alloys
    • C22C1/10Alloys containing non-metals
    • C22C1/1036Alloys containing non-metals starting from a melt

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い溶接熱影響部靱性
が要求される厚板用鋼種である酸化物分散鋼の製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、溶接工程の合理化のため厚鋼板等
の鋼材の大入熱溶接化が指向されているが、一般に大入
熱溶接では鋼材溶接時には母材側熱影響部 (以後、HAZ
部と呼ぶ) の結晶粒が粗大化し、靱性が著しく低下する
ことが知られており、厚鋼板にあっても上述のような大
入熱溶接法を実用化するにはHAZ 部の結晶粒粗大化の問
題の解決を図らなければならない。
【0003】ところで、従来より、鋼材中に適当な酸化
物や窒化物などの微細粒子を分散させることにより、組
織が微細化され、HAZ 部靱性が著しく改善されることが
知られている。
【0004】このような微細な分散粒子を利用する方法
として、特公平5−17300 号公報には、鋼中のSi量およ
びAl量を規定し、Tiを添加することにより凝固過程でTi
O やTi2O3 といった微細なTi系酸化物を析出、分散させ
る、HAZ 部が高い靱性を有する鋼の製造法が提案されて
いる。
【0005】このようなTi酸化物を凝固過程で鋼材内に
微細に析出、分散させる方法としては、その他、特開平
3−267311号公報および同4−2713号公報に示されてい
るような、第1脱酸元素にSi、Mnを用い、第2脱酸元素
にTi、Zr、Caを添加して酸素濃度を重量割合にて、50pp
m 以下にしてTi、Zrを主成分とするTi−Zr系酸化物粒子
を析出させる方法がある。
【0006】また、特開平4−191314号公報には、凝固
時にTi系酸化物を微細に析出させるために、未脱酸の溶
鋼を真空処理して溶存酸素濃度を、重量割合で、0.002
〜0.015 %に調整した後、Tiを添加する方法が開示され
ている。
【0007】さらにこのようなTi系酸化物の析出粒子を
微細化するために、特公平3−67467 号公報には鋳造後
の冷却速度を制御する方法が、特開平4−6243号公報に
はTi添加後の出鋼までの時間を規定する方法が提案さ
れている。
【0008】また特公平5−25580 号公報および特開平
3−177535号公報などでは、さらにZrやYなどを添加す
ることが、凝固過程で析出する粒子を微細に分散させる
ために効果的であることが述べられている。
【0009】ところでこれらの方法は、いずれもTi系酸
化物を凝固過程で微細に析出、分散させる方法であり、
酸化物組成がTi系酸化物を有するものについて示されて
いるのみであった。
【0010】また、Ti系酸化物を主体とする粒子を析
出、分散させることによって得られるHAZ 部の靱性の改
善は、本発明者らの知る限り、実際の効果として充分で
はなく、さらに効果的にHAZ 部を高靱化させる分散粒子
を含有する材料およびそれを安定して容易に製造する方
法の開発が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本件出願人
は、このような安定してHAZ 部を高靱化させる厚板用鋼
として、特願平6−77057 号においてAl−Mn系酸化物相
を有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼を提案
した。すなわち、直径0.2 〜20μmの分散粒子が鋼材断
面の1mm2 当たり4個以上1000個未満分散しており、か
つその分散粒子を構成する酸化物相として金属元素の原
子割合で (Al+Mn) が40%以上、Al:Mnの比率が1:1
以上5:1未満という特徴を有するAl−Mn酸化物相を有
する酸化物を鋼中に分散させた酸化物分散鋼である。
【0012】しかしながら、かかる酸化物分散鋼は安定
して製造できる方法がまだ確立していないため、工業的
に十分な特性が発揮できず、その製造方法について更な
る改良が求められている。
【0013】したがって、本発明の目的は、溶接熱影響
部に高い靱性が要求される厚板用鋼として高い性能を有
するAl−Mn系酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散さ
れた酸化物分散鋼のより安定した製造法を提供すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、予備脱酸
に際してSiおよびMnを添加して、一次脱酸生成物からな
る介在物組成をMnO −SiO2系にすることによって、介在
物が10μm より大きいものは浮上、除去されやすく効果
的な予備脱酸が可能となるばかりでなく、残留した介在
物は5μm 以下の小径介在物となること、また次の工程
でAlを添加する際に酸素ポテンシャルを制御できる酸化
物を一緒に添加することにより、それらが微小なAl−Mn
系介在物形成のための核となることを知り、溶鋼中酸素
ポテンシャルおよび溶鋼中微量Al濃度の制御を同時に行
うことによって、Al−Mn系酸化物を鋼中に微細に分散さ
せることができることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
【0015】かくして、本発明の要旨とするところは、
分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存す
る酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、
SiおよびMnで溶鋼を予備脱酸して全酸素濃度を0.0020%
以上0.0100%以下に調整した後、Al含有合金と溶鋼中酸
素ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または
溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを
含有する酸化物のいずれかを前記溶鋼に添加することに
より溶鋼中Al濃度を重合割合にて0.0001%以上0.0030%
以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼
の製造法である。
【0016】別の面からは、本発明は、分散粒子として
Al−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有
する酸化物分散鋼を溶製するに際して、転炉もしくは電
気炉にて炭素濃度を調整し、出鋼中もしくは取鍋中でSi
およびMnで溶鋼を予備脱酸するとともにスラグ改質を行
い、取鍋炉の取鍋精錬設備にて全酸素濃度を0.0020%以
上0.0100%以下に調整した後、Al含有合金と溶鋼中酸素
ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または酸
素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを含有する
酸化物のいずれかを取鍋精錬中に前記溶鋼に添加するこ
とにより、溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001%以上0.
0030%以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物
分散鋼の製造法である。
【0017】本発明の好適態様によれば、上述のAl含有
合金と酸化物またはAlを含有する酸化物を溶鋼に添加し
てから、該溶鋼にTiを重量割合にて0.050 %以下添加す
るようにしてもよい。
【0018】また、本発明の別の好適態様によれば、出
鋼中もしくは取鍋中でSiおよびMnで予備脱酸するととも
にスラグ改質を行った後に、さらに取鍋炉の取鍋精錬設
備にてイオウ濃度を0.002 %以下にまで脱硫してもよ
い。
【0019】かくして、本発明によれば、Al−Mn系酸化
物相および不可避的に存在する酸化物相を有する酸化物
であって、より詳細には、直径が0.2 〜20μm の大きさ
で、金属元素のモル分率として (Al+Mn) が40%以上で
あり、かつAl:Mn の比率が1,0 以上5.0 未満という特徴
を備えるAl−Mn系酸化物相を含む酸化物が分散した酸化
物分散鋼が安定して製造される。
【0020】
【作用】次に、本発明の作用についてさらに具体的に説
明する。本発明において使用する溶鋼としては目的とす
る最終鋼組成を実現できる所要組成をもって溶製された
溶鋼であれば、いずれであってもよく、例えば適宜溶解
炉で単に溶製されただけのものであっても、あるいは転
炉、電気炉で脱炭製錬されたものであってもよい。
【0021】好ましくは炭素含有量0.05〜0.08%、酸素
含有量0.04〜0.07%に予め調製させたものである。特に
転炉、電気炉によって溶鋼を準備する場合にはC:0.01
〜0.25%に調製したものが好ましい。
【0022】予備脱酸:まず、鋼中に分散粒子としてAl
−Mn系酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有
する酸化物分散鋼を溶製するためには、上述のように準
備された溶鋼の溶製初期においては、溶鋼中で酸素と親
和力を有するSiおよびMnにて予備脱酸を行い、全酸素濃
度を所定範囲内に来るよう調整する。SiおよびMnは通常
の脱酸のように合金鉄 (Fe−Si、Fe−Mn)、Mn鉱石等の形
態で溶鋼に投入すればよく、特に制限はない。
【0023】ここで、予備脱酸に際して、SiおよびMnの
添加量は、全酸素濃度を20〜100ppmとする限りにおいて
特に制限ないが、好ましくは、溶鋼濃度がSi:0.05〜0.
60%およびMn:0.3 〜3.0 %となるようにする。その理
由は、予備脱酸で形成される一次脱酸生成物が凝集しや
すく効果的な脱酸が可能なMnO-SiO2系にし、かつこの予
備脱酸によって全酸素濃度を0.0020〜0.0100%にして分
散酸化物の核を形成するためである。
【0024】すなわち、上記好適態様にあって、Si濃度
が0.60%より大きくなるとMn濃度が3.0 %以下であって
も介在物はSiO2系が多くなるとともに、全酸素濃度が20
ppm未満となってしまうことがあるために分散させる酸
化物の核となる一次脱酸生成物の量が不十分となるため
である。一方、Si濃度が0.05%未満ではMn濃度が0.3%
以上であっても介在物は FeO−MnO 系となりAl−Mn系酸
化物の核には不適であるばかりか、全酸素濃度は100 pp
m を超えてしまい、未脱酸状態に近い酸素供給源が過多
の状態となり溶鋼の清浄性が不十分となる。
【0025】Mn濃度についても同様で、Mn濃度0.3 %未
満ではSi脱酸領域となり介在物はSiO2系となり、Al−Mn
系酸化物の生成に不適である。一方、Mn濃度が3.0 %を
超えるとSi濃度が0.60%以下でも酸素濃度が20ppm 未満
となり、分散酸化物の核となるようなMnO-SiO2系介在物
を残留させることができなくなってしまうことがある。
【0026】ところで、一般に鋼中Si濃度を増加させる
とSi脱酸が強くなり、後工程で行うAl添加前の全酸素濃
度低下が大きく、結果としてAl添加前に鋼中に分散する
必要がある微小なMnO-SiO2系介在物量が低下してしまう
ので、低Siであることが望ましい。さらに鋼中Si濃度が
0.20%を越えると低温靱性の劣化を招くことが知られて
いるので、鋼質的にも低Siであることが望ましく、これ
らのことからSi量はSi:0.20%以下がよい。
【0027】従って、これらの点を考慮にいれると、本
発明の好適態様では、Si濃度0.05〜0.20%、Mn濃度0.8
〜2.0 %に制御するものである。この濃度域でより安定
して介在物をMnO-SiO2系にし、かつ全酸素濃度を0.0020
〜0.0100%とすることができる。
【0028】ところで、介在物をMnO-SiO2系にする理由
は、この介在物が10μmより大きいものは浮上、除去さ
れやすく効果的な予備脱酸が可能となるばかりでなく、
残留した介在物は10μm以下の小径介在物となり、溶存
酸素とともに次の工程での微小なAl−Mn系介在物形成の
ための核となるからである。なお、全酸素濃度を0.0020
〜0.0100%とするのは、分散する酸化物の核となるMnO-
SiO2系を残留させ、かつ充分な清浄性を確保するためで
ある。
【0029】Al+酸化物またはAl含有酸化物添加:本発
明によれば、上述のようにしてSiおよびMnを添加して予
備脱酸を行い全酸素濃度を制御した後、溶鋼中酸素ポテ
ンシャルおよび溶鋼中微量Al濃度の制御を同時に行うこ
とで、Al−Mn系酸化物を鋼中に微細に分散させることが
できる。
【0030】本発明によれば、そのためにAl含有合金と
溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な酸化
物、または溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可
能な、Alを含有する酸化物のいずれかを前記溶鋼に添加
するのである。
【0031】そのような溶鋼中酸素ポテンシャルの制御
と溶鋼中微量Al濃度の制御を行う手段として、Al添加と
ともにAl−Mn系酸化物と同程度の酸素ポテンシャルを有
する酸化物を溶鋼へ添加して、溶鋼中酸素ポテンシャル
と溶鋼中Al濃度を同時に制御する。
【0032】このとき、溶鋼中のAl濃度の制御を行うた
めには、合金鉄中に含有されるAl量で制御するか、もし
くは上記酸化物にAlを含有する酸化物を用いて制御する
のである。
【0033】図1には、製鋼温度における種々の酸化物
の酸素1モル当たりの生成自由エネルギー変化をグラフ
で示す。ここで、今目標とするAl−Mn系酸化物のうち、
最も代表的な複合酸化物としてAl2O3・MnO について考
えると次の通りである。
【0034】まず、目標とする Al2O3・MnO の生成自由
エネルギーは、代表的な製鋼用酸化物であるSiO2より小
さく、Al2O3 より大きい。一般に、SiO2はSi−Mn脱酸鋼
のような弱脱酸溶鋼であってもSiO2の還元が生じ溶鋼汚
染を生じることが知られている。一方、Al2O3 は、 Al2
O3・MnO と比較して安定であり、弱脱酸鋼では溶鋼に対
して影響を及ぼさない。
【0035】したがって、溶鋼中に MnO・SiO2を核とし
てAl−Mn系酸化物を生じさせるためには、第1にSiO2
Al2O3 の間の酸素ポテンシャルを有する酸化物であり、
Al2O3・MnO と同様の酸素ポテンシャルを有する酸化物
を用いることが望ましいと考えられる。
【0036】したがって、本発明において「溶鋼中酸素
ポテンシャルを制御することが可能」との趣旨は、例え
ば図1の生成自由エネルギーがSiO2より小さく、Al2O3
より大きいことであると言うことができる。
【0037】さらに第2には、溶鋼とわずかに反応して
溶鋼中に極微量のAlを供給する酸化物であることが望ま
しい。このような酸化物として前者は、ZrO2・SiO2、 M
gO・SiO2、2MgO・SiO2、 MgO・2TiO2 、 MgO・TiO2、Ti
O2、 CaO・MgO・2SiO2 、 Ce2O3・Cr2O3 等が考えられ
る。
【0038】また、Alも供給し得る後者の化合物には、
それ自身である Al2O3・MnO 以外にAl2O3・TiO2、3Al2O
3・2SiO2 、 CaO・Al2O3・2SiO2 、 FeO・Al2O3 が適用
できることが分かった。
【0039】第1の酸化物を添加剤として使用する際
は、溶鋼へ微量Al分を供給できる別の供給源を設ける必
要がある。溶鋼中への微量Al分の供給には、合金鉄とし
て利用されるFe−Siのほか厚板用の成分として利用され
るFe−Nb、Fe−V、Fe−Mo、Fe−B等がある。
【0040】ここで、微量のAl供給に、金属Alではなく
合金鉄を用いる理由は、本鋼種が厚板用であるのでSi、
Nb、V、Moを添加する機会があるのみならず、これら合
金鉄に含まれるAl量は重量割合にして高々1〜5%程度
でありAl2O3 系介在物を生成する可能性が低減されるこ
と、その結果、添加されたAlは溶存成分となり緩やかに
Mn0-SiO2系介在物や溶存酸素と反応してAl−Mn系酸化物
の分散形成が可能になること、および鋼種の必要成分量
にもよるが、合金鉄としての添加量が多くなり微量のAl
成分調整し易いことがあげられる。
【0041】一方、第2の酸化物については、酸化物自
身がAl供給源として作用する。すなわち、酸化物自身が
一部分解して溶鋼中へ微量Alを供給できる、もしくは懸
濁したMnO-SiO2系酸化物と反応して、鋼中への分散酸化
物としてAl−Mn系酸化物を形成できる。
【0042】添加する酸化物は、いずれも当該酸化物
を、重量割合にて、90%以上含有すれば充分であり、粒
度についても特に限定されないが、添加時の取扱いを考
えれば、平均粒径0.05mmないし0.5 mmが適当と考えられ
る。
【0043】酸化物を添加する方法は、その酸化物を溶
鋼と接触、反応させることが主たる目的であるので、一
括添加、粉体吹き込み等特に方法は問わない。次に、溶
存Al量を規定する理由は以下のようである。本発明で
は、一時脱酸過程でMnO-SiO2系介在物を核として溶存酸
素を消費しながら、Al−Mn系酸化物を溶鋼内に分散生成
させようとするものである。
【0044】ここに、1527℃から1723℃の製鋼温度域で
Al−Mn系酸化物の酸素ポテンシャルはおおよそ図2の傾
斜部分のようになる。なお、同図には併せて、溶存酸素
濃度[%O]=0.002 〜0.01%での酸素ポテンシャル領域お
よび[%Al] =0.001 %添加時のAl2O3 酸化物 (活量Al2O
3 =0.1)の時の酸素ポテンシャルも示している。
【0045】Al −Mn系酸化物の上限は、[%Mn] =0.3
%、[%Al] =0.0001%の時、また下限は[%Mn] =3%、
[%Al] =0.003 %の時で、この間で示されるAl−Mn系酸
化物生成領域は、おおよそ溶存酸素濃度0.002 〜0.01%
の酸素ポテンシャル領域と重なる。
【0046】したがって、[%Mn] =0.3 %、[%Al] =0.
0001%未満では、酸素濃度が高くなりすぎて脱酸不足と
なり、[%Mn] =3%、[%Al] =0.003 %を超えるとAl2O
3 系酸化物が生成する可能性が急速に高まることがわか
る。
【0047】転炉または電気炉を用いる精錬プロセスに
ついて:次に、本発明にしたがってAl−Mn酸化物が分散
した酸化物分散鋼を転炉または電気炉を用いて溶製する
場合の具体的処理操作に従って述べる。もちろん、本発
明は高周波溶解炉のような溶解炉を用いることで実施す
ることもできる。
【0048】例えば慣用法によって転炉もしくは電気炉
にて製錬された溶鋼は、炭素濃度を、好ましくは、0.01
〜0.25%に調整する。この理由は、本発明で対象として
いる鋼種が厚板材として利用されているために、通常
は、炭素濃度に上限があり、0.25%以下である必要があ
るからである。一方、炭素を0.01%以上に制限すること
により溶鋼およびスラグが過酸化状態にならず、後工程
であるSiおよびMnによる予備脱酸工程およびスラグ改質
工程が容易に行えるからである。
【0049】次に、SiおよびMnが出鋼中もしくは取鍋内
にて添加調整される。このときの組成範囲の理由につい
ては前述したが、ここで実際の操業プロセスでは、転炉
もしくは電気炉からの出鋼時に不可避的に持ち来される
スラグにより予備脱酸の制御が困難になる。そこで、ス
ラグ流出を極力抑制するとともに、望ましくはスラグ改
質によりスラグの低酸素ポテンシャル化を実現する。
【0050】さらに、実際の操業プロセスでは溶鋼量が
多く予備脱酸による酸素濃度の調整に時間を要する。例
えば、RH脱ガス装置による還流によって脱酸生成物の浮
上を促進したり、LF加熱装置により溶鋼を加熱しながら
生成物の浮上時間を充分に与えたり、もしくはVOD 炉に
よりガス攪拌で大型脱酸生成物の浮上を促進し酸素濃度
を制御することが有効となる。
【0051】これらいわゆる二次精錬設備は、スラグ改
質も含めて予備脱酸を促進し全酸素濃度を制御すること
に有効であるばかりでなく、脱ガスや熱付与の効果もあ
り、トータルとしてのプロセスの最適化に役立つ。
【0052】スラグ改質:このときのスラグ改質方法お
よびスラグ改質剤については、特に限定されないが、例
えばAl-CaCO3剤、Al灰、Si系改質剤等を使用することが
できる。このスラグ改質によって、予備脱酸を容易にす
るために、スラグ中 (T.Fe+%MnO) 濃度を重量割合にし
て2%以下にすることが好ましい。
【0053】Ti添加:次にTi添加量を限定する理由につ
いて述べる。全酸素濃度を[%O]:0.002 〜0.010 %に調
整した後、前述したような作用でAlを含有する合金を添
加するとともに溶鋼中酸素ポテンシャルを制御する酸化
物を添加するか、もしくは酸素ポテンシャルを制御し得
るAlを含有する酸化物を取鍋精錬中に添加することによ
り溶鋼中Al濃度を重量割合にして[%Al]:0.0001%以上0.
0030%以下に調整して、Al−Mn系酸化物を鋼中に分散さ
せる。
【0054】ここで、Al濃度調整後にTiを重量割合にし
て0.050 %以下になるように添加すると、耐火物あるい
は雰囲気からの影響によりAl−Mn系酸化物が吸収、消滅
したり、他の介在物組成に変化することを抑制できる効
果がある。これによりAl−Mn系酸化物は、微小な介在物
としてより分散しやすくなり、Al−Mn系酸化物の微細分
散がより効果的に行われることになる。
【0055】一方、Tiは分散酸化物の微細化に寄与する
ために、望ましくは0.005 %以上添加し、また脱酸に影
響を及ぼさないために、0.02%以下であることが良い。
また、Tiを0.050 %を越えて添加するとTiによる脱酸が
優勢となり、Al−Mn系酸化物の生成、分散を阻害してし
まう。
【0056】ところでTiを添加することにより、Al−Mn
系介在物の一部は不可避的にTi酸化物およびTi−Mn系酸
化物と複合することもあるが、本発明では鋼中にAl−Mn
系酸化物を含有する酸化物を分散させることが主たる目
的であるためそのような酸化物が共存しても問題はな
い。
【0057】脱硫:本発明によれば、適切なスラグ改
質、予備脱酸およびAl+酸化物添加を行う過程で本鋼種
のような弱脱酸鋼であってもスラグに生石灰などの脱硫
剤をスラグ改質剤とともに投入することによりイオウを
除去することができる。そこで、イオウを重量割合にし
て0.002 %以下にすると、Al−Mn系酸化物はより安定に
存在することができる。その理由は、Mnを多量に含有し
てもイオウを20ppm 以下に抑制した鋼種ではMnS 系介在
物が生成し難いためである。さらに、このMnS は鋼質的
には応力腐食割れを起こしたりすることがよく知られて
おり、付随的に鋼質改善も期待できる。
【0058】本発明が対象とする鋼種は特に制限されな
いが、代表例として例示すればほぼ次のような組成を有
するものである。C:0.05〜0.20%、Si:0.05〜0.02
%、Mn:0.8 〜2.0 %、S:0.005 %以下、P:0.03%
以下、Cu:0.2 〜1.0 %、Ni:0.1 〜1.0 %、Nb:0.01
〜0.15%、V:0.01〜0.2 %、B:0.00005 〜0.0004
%、Ti:0.005 〜0.02%、N:0.0005〜0.0100%、残部
Feおよび不可避不純物である。ただし、Cu、Nb、V 、B
、Tiについては少なくとも1種含有されていればよ
い。
【0059】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに具体的
にその作用を説明する。 (実施例1)本発明の効果を確認するために150 kg高周波
加熱炉を用いて本発明の実施例および比較例を示す試験
を行った。
【0060】炭素濃度:0.05〜0.08%、初期酸素濃度:
0.04〜0.07%の溶鋼を1550℃から1650℃でMgO スタンプ
耐火物中で溶解した。この溶鋼を用いて金属形態のSi、
Mnを添加して、SiおよびMn濃度を調整して予備脱酸を行
い、全酸素濃度を確認した。
【0061】次いで、酸化物粉体としてAl濃度を合金鉄
中Al分等で調整する場合には、ZrO2・SiO2、2MgO・Si
O2、 MgO・2TiO2 、MgO ・TiO2、TiO2、 CaO・MgO・2Si
O2 、Ce2O3・Cr2O3 等の酸化物粉末を用い、特にAl濃度
の調整を行わない (合金鉄中Al分を考慮し上限は越えな
い) 場合には、 Al2O3・MnO 、 Al2O3・TiO2、3Al2O3
2SiO2 、 CaO・Al2O3・2SiO2 、および FeO・Al2O3
の酸化物を用いた。
【0062】粉体はいずれも上記酸化物が90mass%以上
含有され、粒度は直径0.05〜0.5 mmを主体とする酸化物
で、添加量は10gないし100 gであった。酸化物添加
後、5分ないし30分で出鋼、鋳造した。
【0063】鋼塊中の分散酸化物の個数と組成を光学顕
微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調
べた。なお、この溶鋼には、その上記成分以外にCu:0.
2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8 %、Nb:0.02〜0.8 %、
V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%が含ま
れていた。また、イオウ濃度は、0.0001〜0.004 %、Ti
濃度は0.005 〜0.05%であった。本例の実施例および比
較例の処理条件および介在物の形態観察結果の一覧を表
1にまとめて示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1には、本実施例の処理条件と介在物形
態の調査結果を示した。同表中、介在物の形態は直径0.
2 μm以上20μm以下のAl−Mn酸化物主体の介在物で、
溶鋼もしくは鋼塊内で10個/mm2以上1000個/mm2未満ある
ものを◎、4個/mm2以上10個/mm2未満あるものを○とし
た。
【0066】表1の本発明例1から7に示したように、
いずれの例でも、[%Si] および[%Mn] 量を調整して全酸
素濃度を調整し、かつ合金鉄中に含有されるAl分を考慮
してAl濃度を制御し該酸化物を添加すれば、Al−Mn系酸
化物が鋼塊中へ分散されることが分かる。
【0067】また、本発明例8から12に示すように、[%
Si] および[%Mn] 量を調整して全酸素濃度を調整し、か
つ合金鉄中に含有されるAl分を考慮しつつAlを含有する
該酸化物を添加すれば、酸素ポテンシャルの制御が可能
となるとともにAl濃度の制御も可能となり、結果として
Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されることが分かる。
【0068】一方、表1に比較例13および14として示し
たように、酸化物を添加しない場合、SiとMn複合脱酸に
より酸素濃度を調整してもAl濃度の制御が難しく、結果
としてAl濃度が制御しきれずに、Al−Mn系酸化物が鋼塊
中へ分散されないことがわかる。
【0069】比較例15、16および17に示したように、該
酸化物 (この場合Alを含有しないZrO2・SiO2酸化物また
は2MgO・SiO2酸化物) を添加しても溶鋼中のAl濃度を制
御できないか、もしくは上限を越えると、Al−Mn系酸化
物が鋼塊中へ分散されないことが分かる。
【0070】また、Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを
制御できる該酸化物を添加した場合でも、Si量およびMn
量の制御が不適切で全酸素濃度が下限を下回る場合、も
しくは上限を上回る場合には、Al−Mn系酸化物が鋼塊中
へ分散されないことが分かる。
【0071】(実施例2)本例では250t転炉、LF加熱装置
およびRH脱ガス真空装置を用いて本発明を実施した。
【0072】予備処理により重量割合にしてP:<0.03
%以下にした溶銑を用いて、転炉で脱炭を行った。転炉
により炭素濃度を0.01%以上0.25%以下にした後、転炉
スラグ流出を抑制するとともに、出鋼時に流出したスラ
グへ、Al−CaCO3 剤あるいはAl灰等の改質剤を添加して
スラグ改質を行った。また出鋼時に、予備脱酸を主たる
目的としてSiおよびMnを添加して所定の濃度に調整し
た。
【0073】その後、取鍋炉加熱装置により15ないし30
分間の加熱処理を行ってから、RH脱ガス装置による全酸
素濃度の調整は、RHにより真空度1〜5torr程度を維持
しながら20分ないし40分の還流処理によって行った。こ
の際、処理途中に試料採取を行い、全酸素濃度を調べる
とともに、真空槽内にFe−Si、Fe−Nb、Fe−VおよびFe
−B等の合金鉄によりAl濃度の調整を行った。
【0074】次に、全酸素濃度を調整してからZrO2・Si
O2、2MgO・SiO2、 Al2O3・MnO もしくは3Al2O3・2SiO2
の各酸化物を1〜12kg/tの量だけ真空槽内で溶鋼に添加
し、さらに5分ないし20分の環流を行った。また、Tiを
添加する場合には、その後真空槽内にて合金鉄とともに
添加を行った。
【0075】精錬終了後、取鍋内で試料を採取し、分散
酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X
線マイクロアナライザーで調べた。また連続鋳造により
スラブ形状に鋳造後、鋳片試料中に分散した酸化物につ
いても個数と組成を同様の手法で調査した。
【0076】なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。本例の実施例および比較例の処理条件お
よび介在物の形態観察結果の一覧を表2にまとめて示
す。
【0077】
【表2】
【0078】表2には、本実施例の条件と介在物形態の
調査結果を示した。同表中、介在物の形態の分類は、表
1と同様である。分散酸化物については、溶製末期の溶
鋼および連続鋳造後のスラブ中での状態を調査した。溶
製末期試料と連続鋳造スラブ内では、分散酸化物の組成
形態および個数、直径分布に多少の差はあるものの、本
発明に影響を与える本質的な差は認められなかった。
【0079】表2に示した結果のうち、本発明例1、2
および3に示したように、[%Si] および[%Mn] 量を調整
して全酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御した後、Al濃度
を調整しかつ各酸化物を添加した結果、溶鋼中Al濃度は
0.0001〜0.003 %に制御され、結果的に、Al−Mn系酸化
物が鋼塊中へ分散されたことがわかる。
【0080】また、表2に示した結果のうち、本発明例
4および5に示したように[%Si] および[%Mn] 量を制御
して全酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御した後、Alを含
有する各酸化物を添加した結果、溶鋼中Al濃度は0.0001
〜0.003 %に制御され、結果的にAl−Mn系酸化物が鋼塊
中に分散されることがわかる。
【0081】さらに、本発明例6から9に示したよう
に、[%Si] および[%Mn] 量を制御して全酸素濃度調整
し、Al濃度を調整しかつ酸化物を添加する、もしくはAl
を含有する各酸化物を添加して溶鋼中Al濃度は0.0001〜
0.003 %に制御された後、Tiを0.05%以下添加すること
により、Al−Mn系酸化物は鋼塊中への分散されたことが
わかる。
【0082】一方、比較例10および11に示したように、
SiおよびMnによる予備脱酸後、全酸素濃度が0.002 %未
満もしくは0.01%を越えた場合には、Al濃度を調整して
各酸化物を添加してもAl−Mn系酸化物が鋼中に必要量分
散しなかった。
【0083】また比較例12および13に示したように、Si
およびMnによる予備脱酸後、全酸素濃度が0.002 %未満
もしくは0.01%を越えた場合には、Alを含有する各酸化
物を添加しても、溶鋼中Al濃度は0.0030%を越える、も
しくは0.0001%未満となり、Al−Mn酸化物が鋼中に必要
量分散しなかった。
【0084】次に、比較例14および15に示したように、
SiおよびMnによる予備脱酸により酸素濃度を0.002 〜0.
01%に制御しても、Al濃度0.0001〜0.003 %に調整しな
いとAlを含有しない酸化物の添加では、Al−Mn酸化物が
必要量生成しなかった。
【0085】比較例16および17には、Ti濃度を0.05%を
越えて添加した場合を示したが、この場合もAl−Mn系酸
化物が鋼中に必要量生成しなかった。さらに、比較例18
および19に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸に
より酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御しても、Alを含有
する酸化物を添加しない場合にはAl濃度の調整が困難で
あり、結果としてAl−Mn系酸化物が必要量生成しなかっ
た。
【0086】比較例20および21には、転炉出鋼時にスラ
グ改質を実施しなかった場合であるが、SiおよびMnによ
る予備脱酸濃度が高くなる傾向にあり、Al濃度を制御し
てかつ該酸化物を添加する、もしくはAlを含有する酸化
物を添加しても、Al−Mn系酸化物が鋼中に必要量生成し
なかった。
【0087】図3に、本例における重量割合での分散酸
化物中平均イオウ濃度と溶鋼中イオウ濃度の関係を示
す。分散介在物中イオウはMnS もしくはMnを含有するオ
キシサルファイドを形成しているため、図に示したよう
に溶鋼中イオウ濃度を減少させて分散酸化物中平均イオ
ウ濃度が少なくしたものほど、Al−Mn系酸化物の割合が
多くなり、脱硫が進んだ0.002 %以下ではほとんどAl−
Mn酸化物となっている。
【0088】(実施例3)次に30t電気炉およびVOD 装置
を用いて本発明を実施した。電気炉により炭素濃度を0.
01〜0.25%に調整した後、電気炉からのスラグ流出を抑
制するとともに、出鋼時に流出したスラグへ、Al−CaCO
3 改質剤を添加してスラグ改質を行った。この出鋼時に
予備脱酸を主たる目的としてSiおよびMnを添加して所定
の濃度に調整した。
【0089】その後、VOD 装置により減圧下でArガス攪
拌を行いながら全酸素濃度を調整した。この場合には、
真空度1〜50torr程度を維持しながら10分ないし40分の
処理を行った。この際、処理途中に試料採取を行い全酸
素濃度を調べるとともに、真空槽内にFe−Si、Fe−Nb、
Fe−VおよびFe−B等のAl含有合金鉄によりAl濃度の調
整を行うとともに酸化物を添加するか、もしくはAlを含
有する酸化物を添加した。また、Tiを添加する場合に
は、真空槽内にて合金鉄とともに添加を行った。
【0090】精錬終了後、取鍋内で試料を採取し、分散
酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X
線マイクロアナライザーで調べた。また連続鋳造により
スラブ形状に鋳造後、鋳片試料中に分散した酸化物につ
いても個数と組成を同様の手法で調査した。
【0091】なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。
【0092】
【表3】
【0093】表3の本発明例1および2に示したよう
に、電気炉出鋼後、VOD 装置内でSiおよびMnによる予備
脱酸を行い酸素濃度を0.002 〜0.01%に調整した後、さ
らにAl濃度を調整しつつ、ZrO2・SiO2を添加すれば、鋼
塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができる。
【0094】また表3の本発明例3に示したように、電
気炉出鋼後、VOD 装置内でSiおよびMnによる予備脱酸を
行い酸素濃度を0.002 〜0.01%に調整した後、さらにAl
を含有する Al2O3・TiO2酸化物を添加すれば、Al濃度は
0.0001〜0.003 %に制御され、結果として鋼中にAl−Mn
系酸化物を分散させることができる。
【0095】さらに表3の本発明例4および5に示した
ように、SiおよびMnによる予備脱酸後に各酸化物を添加
し、さらにTiを添加しても、鋼塊中にAl−Mn系酸化物を
分散させることができる。
【0096】一方、表3の比較例6および7に示したよ
うに、電気炉出鋼後、VOD 装置内でSiおよびMnによる予
備脱酸で酸素濃度を0.002 〜0.01%に調整できなかった
場合、さらにAl濃度を調整しつつZrO2・SiO2を添加す
る、もしくはAlを含有するAl2O3 ・TiO2酸化物を添加し
ても、鋼塊中Al−Mn系酸化物を分散させることができな
かった。
【0097】比較例8に示したように、SiおよびMnによ
る予備脱酸後、Al濃度を調整することなくAlを含有しな
い該酸化物を添加しても、鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分
散させることができなかった。
【0098】また、比較例9に示したように、Siおよび
Mnによる予備脱酸後Al濃度を調整しながら各酸化物を添
加しても、Ti濃度が重量割合にして0.05%を越えると、
鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができなかっ
た。
【0099】さらに比較例10および11に示したように、
SiおよびMnによる予備脱酸を行い酸素濃度を調整して
も、各酸化物を添加しなかった場合、Al濃度は所定の濃
度に調整されない、もしくは必要溶存Al濃度は達成され
ず、結果として鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させるこ
とができなかった。
【0100】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、高い溶接熱影響部靱性が要求される厚板用鋼とし
て、Al−Mn酸化物相を有する酸化物が鋼中に微細に分散
されたAl−Mn系酸化物分散鋼を溶製する際において、Al
−Mn酸化物相を含む酸化物が鋼中に微細に分散したAl−
Mn系酸化物分散鋼を安定して溶製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製鋼温度において種々の酸化物によって形成さ
れ酸素ポテンシャルを比較したグラフである。
【図2】製鋼温度において溶鋼中にAl−Mn系酸化物が安
定に存在する領域を示すグラフである。
【図3】溶鋼中イオウ濃度が分散酸化物中イオウ濃度に
及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製
    するに際して、SiおよびMnで溶鋼を予備脱酸して全酸素
    濃度を0.0020%以上0.0100%以下に調整した後、Al含有
    合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な
    酸化物、または溶鋼中酸素ポテンシャルを制御すること
    が可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを前記溶鋼に
    添加することにより溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001
    %以上0.0030%以下に制御することを特徴とするAl−Mn
    系酸化物分散鋼の製造法。
  2. 【請求項2】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製
    するに際して、転炉もしくは電気炉にて炭素濃度を調整
    し、出鋼中もしくは取鍋中でSiおよびMnで溶鋼を予備脱
    酸するとともにスラグ改質を行い、取鍋炉の取鍋精錬設
    備にて全酸素濃度を0.0020%以上0.0100%以下に調整し
    た後、Al含有合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御する
    ことが可能な酸化物、または酸素ポテンシャルを制御す
    ることが可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを取鍋
    精錬中に前記溶鋼に添加することにより、溶鋼中Al濃度
    を重量割合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御するこ
    とを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法。
  3. 【請求項3】 前記Al含有合金と酸化物またはAlを含有
    する酸化物を溶鋼に添加してから、該溶鋼にTiを重量割
    合にて0.050 %以下添加することを特徴とする請求項2
    記載のAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法。
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