JPS6258051B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、信号を電荷注入の形で記録し、こ
れを検出して信号を再生する信号記録再生装置に
関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

ビデオ信号、オーデイオ信号、データ信号等の
信号を電荷注入の形で記録する装置として、シリ
コン単結晶基板上に絶縁層を形成した記録媒体
（デイスク）を用い、この記録媒体上を相対的に
移動する導電性ヘツドを介して信号に応じた電荷
を注入するものが知られている（特開昭55−
153140）。

この方式のものは、信号を幾何学的形状変化
（凹凸、ピツト等）として記録するものと比べ
て、記録内容の書替えが可能であるという利点を
有する。しかしながら、シリコン単結晶基板とし
て例えば直径20cm〜30cmというような大面積のも
のは技術的に実現が難しいことから、デイスク１
枚当りの記録容量が十分に得られないという問題
がある。

〔発明の目的〕 この発明の目的は、記録内容の書替えが可能で
あるとともに、記録媒体の記録容量を十分上げる
ことができる信号記録再生装置を提供することで
ある。

〔発明の概要〕

この発明では、透明導電性基板上に光導電層お
よび絶縁層を順次形成してなる記録媒体を用い、
この記録媒体の光導電層と絶縁層との界面に記録
すべき信号に応じて空間電荷を蓄積せしめて信号
を記録し、一方、再生は記録媒体上を導電性ヘツ
ドを相対的に移動させて例えば空間電荷を直接ま
たは間接的に検出することで行なう。

〔発明の効果〕

この発明によれば、信号を空間電荷の蓄積の形
で記録するため、記録内容の消去、新たな記録を
容易に行なうことができるとともに、シリコン単
結晶半導体基板に代えて光導電層を用いるため、
記録媒体の大容量化が容易である。即ち、光導電
層は導電性基板上に蒸着、スパツタ等の膜形成技
術により形成できるため、記録媒体をデイスク状
にすする場合、直径30cmといつたような大面積の
ものも容易に実現することができる。

そしてさらに、記録媒体において光導電層に光
を照射するために、導電性基板側を透明にしたこ
とにより、絶縁層を透明にした場合に比べて、記
録状態を保持する上で重要な絶縁層として、電荷
保持能力にすぐれた材料を透光性の制約を受ける
ことなく任意に選択することが可能である。

また、光導電層への光照射を基板側から行なう
ことができるので、絶縁層側にある導電性ヘツド
によつて光がさえぎられることがないという利点
もある。

〔発明の実施例〕

第１図はこの発明の一実施例における記録動作
を示す図である。図において、記録媒体１０はガ
ラス板等の透明基板１１上に透明導電膜１２を被
着させた導電性基板上に、光導電層１３を蒸着ま
たはスパツタ等により形成し、さらにその上に絶
縁層１４を形成したもので、全体として例えばデ
イスク状に形成されている。絶縁層１４の材料は
特に限定されないが、例えばテフロン（商品
名）、ポリイミド、ポリプロピレン等のエレクト
レツト材料が電荷保持能力の点から望ましい。こ
れらの材料は特に透明であることは要求されな
い。

信号記録に際しては、まず第１図ａに示すよう
に記録媒体１０上に針状の導電性ヘツド１５を当
接し、これを記録媒体１０の回転により矢印Ａ方
向に相対的に移動させながら、ヘツド１５と透明
導電膜１２との間に、記録すべき信号に応じた変
化をもつパルス状の信号電圧１６を印加する。こ
れによつて、絶縁層１４上および基板１１上に互
いに逆極性の電荷１７，１８が付与される。

そして次に、第１図ｂに示すように記録媒体１
０全面に基板１１側から光１９を照射し、光導電
層１３を導電化せしめる。ここで、光導電層１３
がＰ型の場合は、第１図ａにおける信号電圧１６
を正極性とすると、第１図ｂのプロセスで基板１
１側から光導電層１３に信号に応じた負極性の空
間電荷２０が注入され、光導電層１３と絶縁層１
４との界面に蓄積される。光導電層１３がＮ型の
場合は、信号電圧１６を負極性とすることで、同
様に空間電荷が蓄積される。

このようにして、記録媒体１０に空間電荷２０
の形で信号が記録される。この記録された信号の
再生は例えば第２図の如き構成の再生回路２２に
よつて記録媒体１０の静電容量を検出することで
行なう。即ち、第１図ｂの状態において光導電層
１３中には空間電荷２０が蓄積された部分に空乏
層が生じ、この空乏層の静電容量は空間電荷２０
の電荷量に依存する。このとき記録媒体１０の厚
み方向の静電容量は絶縁層１４の静電容量と、空
乏層容量の変化分を含む光導電層１３の静電容量
との直列合成容量となる。

そこで、第２図に示すように記録媒体１０上を
第１図ａと同様に導電性ヘツド１５を矢印Ａ方向
に相対的に移動させるようにすると共に、このヘ
ツド１５にインダクタンス素子２５を接続して、
記録媒体１０の静電容量とこのインダクタンス素
子２５とで共振回路を構成すると、この共振回路
の共振周波数は空乏層容量の変化に伴い変化す
る。ここでインダクタンス素子２５に結合させた
インダクタンス素子２４を介して高周波発振器２
３より共振回路に基本共振周波数の高周波信号を
供給するとともに、もう１つのインダクタンス素
子２６を介して共振回路の出力を取出すと、共振
回路の出力は共振周波数の変化によつて変化す
る。従つて、この出力変化をダイオード２７、コ
ンデンサ２８および抵抗２９からなる検波回路を
通して取出すことにより、周波数変調された再生
信号V₀を得ることができる。

なお、この再生に際して第２図に示すように光
２１を照射し光導電層１３を導電化せしめると、
空乏層容量の変化が記録媒体１０の静電容量変化
として大きく取出されるので、Ｓ／Ｎの良好な再
生信号が得られる。この場合、光２１を基板１１
側から照射できるため、導電性ヘツド１５により
影が生じることなく、良好な光照射を行なうこと
ができる。

第３図はこの発明の他の実施例における記録動
作を説明するための図で、導電性ヘツド１５を用
いずにレーザビームのような光ビームを用いて信
号を記録する場合である。即ち、まず第３図ａに
示すように記録媒体１０上全面に基板１１側から
光３０を照射し光導電層１３を導電化させた状態
で、絶縁層１４上に一定極性の電荷３１を付与
し、光導電層１３と絶縁層１４との界面にこれと
逆極性の電荷３２を付与する。このとき、光導電
層１３がＰ型の場合は、電荷３１を負極性、電荷
３２を正極性とし、Ｎ型の場合は逆にする。

次に、第３図ｂに示すように記録媒体１０上に
電荷３１とは逆極性の電荷を与えながら、記録す
べき信号により変調されたレーザビーム等の光ビ
ーム３４とレンズ３３により細く絞り、且つ記録
媒体１０に対し矢印Ａ方向に相対的に移動させつ
つ記録媒体１０上に基板１１側から照射する。こ
のとき、光ビーム３４が照射された部分では絶縁
層１４上および光導電層１３と絶縁層１４との界
面にそれぞれ電荷３５，３６が蓄積され、また光
ビーム３４が照射されなかつた部分では光導電層
１３の絶縁層１４および基板１１との両界面に電
荷３７，３８が蓄積される。これらの電荷のう
ち、光ビーム３４が照射された部分の光導電層１
３と絶縁層１４との界面の電荷３６は空間電荷と
なる。

そして、第３図ｃに示すように記録媒体１０上
全面に再び基板１１側から光３９を照射すること
により、第１図ｂの場合と同様に空間電荷３６が
残り、信号が記録される。

従つて、このような記録を行なつた場合も、第
２図で説明したのと全く同様に再生を行なうこと
ができる。

なお、この発明において記録媒体に記録された
信号は、例えば記録媒体に交番電荷を付与するこ
とによつて空間電荷を除去することで、容易に消
去される。これにより、信号を何回も繰返し記録
し直すことが可能である。

また、実施例では空間電荷による空乏層容量変
化に伴う記録媒体の静電容量変化を検出して再生
を行なつたが、空間電荷を直接検出して再生を行
なつてもよい。

第４図はこの発明を適用した信号記録再生装置
の概略図で、４０は記録媒体１０（デイスク）を
回転駆動するモータ、４１，４４はヘツド部であ
り、前述した導電性ヘツド１５等を含む記録再生
ヘツド４２と、第２図の記録を行なうための光学
ヘツド４５および消去用の交番電荷発生器４３等
からなり、矢印Ｂに対する記録媒体１０の半径方
向に移動可能となつている。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂはこの発明の一実施例に係る信号
記録再生装置の記録動作を示す図、第２図は同じ
く再生動作を示す図、第３図ａ〜ｃはその発明の
他の実施例における記録動作を示す図、第４図は
この発明を適用した信号記録再生装置の概略図で
ある。 １０……記録媒体、１１……透明基板、１２…
…透明導電膜、１３……光導電層、１４……絶縁
層、１５……導電性ヘツド、１６……信号電圧、
２０……空間電荷、２２……再生回路、３４……
光ビーム、３６……空間電荷。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透明導電性基板上に光導電層および絶縁層を
   順次形成してなる記録媒体と、この記録媒体の光
   導電層と絶縁層との界面に記録すべき信号に応じ
   て空間電荷を蓄積せしめて信号を記録する記録手
   段と、この手段により信号が記録された前記記録
   媒体上を相対的に移動する導電性ヘツドを介して
   信号を再生する再生手段を備えることを特徴とす
   る信号記録再生装置。 ２ 記録媒体の絶縁層はエレクトレツト材料から
   なるものである特許請求の範囲第１項記載の信号
   記録再生装置。 ３ 記録手段は導電性ヘツドを介して記録媒体に
   信号電圧を印加する手段と、記録媒体に透明導電
   性基板側から光を照射して光導電層を導電化せし
   める手段とを含むものである特許請求の範囲第１
   項記載の信号記録再生装置。 ４ 記録手段は記録媒体の絶縁層上に一定極性の
   電荷を付与する手段と、記録媒体にこの電荷と逆
   極性の電荷を付与しつつ記録すべき信号より変調
   された光ビームを記録媒体上を相対的に移動させ
   て透明導電性基板側から照射する手段とを含むも
   のである特許請求の範囲第１項記載の信号記録再
   生装置。 ５ 再生手段は記録媒体上を相対的に移動する導
   電性ヘツドを介して記録媒体の光導電層と絶縁層
   との界面に蓄積された空間電荷による静電容量変
   化を検出して、記録された信号を再生するもので
   ある特許請求の範囲第１項記載の信号記録再生装
   置。 ６ 再生手段は記録媒体上を導電性ヘツドを相対
   的に移動させつつ記録媒体に透明導電性基板側か
   ら光を照射するものである特許請求の範囲第１項
   または第４項記載の信号記録再生装置。