JPS6257708B2 - - Google Patents
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- JPS6257708B2 JPS6257708B2 JP61005898A JP589886A JPS6257708B2 JP S6257708 B2 JPS6257708 B2 JP S6257708B2 JP 61005898 A JP61005898 A JP 61005898A JP 589886 A JP589886 A JP 589886A JP S6257708 B2 JPS6257708 B2 JP S6257708B2
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- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、ダイヤモンド状のきわめて硬質の炭
素を合成する方法に関するものである。 〔従来技術〕 超高圧、高温を用いずに減圧下の炭化水素と水
素との混合気流から加熱した基材の表面に、ダイ
ヤモンド状の硬質炭素を析出させる従来の技術と
して、たとえば特公昭59−27753号公報に示され
るように炭化水素と水素の混合ガスを1000℃以上
に加熱した熱電子放射材によつて予備加熱した
後、この加熱混合ガスを500〜1300℃に加熱した
基板表面に導入して炭化水素の熱分解によつて、
ダイヤモンドを析出させる方法、特公昭59−
27754号公報に示されるように水素ガスをマイク
ロ波無極電放電中を通過させた後、炭化水素と混
合したガス、または炭化水素と水素との混合ガス
をマイクロ波無極電放電中を通過させた混合ガス
を300〜1300℃に加熱した基板表面上に導入し、
炭化水素の熱分解によりダイヤモンドを析出させ
る方法などがある。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ダイヤモンドを超高圧、高温を用いずに炭化水
素と水素との減圧下の混合ガスより加熱した基材
の表面に析出させる技術の原理は、炭化水素をプ
ラズマもしくは高温によつて高エネルギー状態に
励起させ、この高エネルギー励起炭化水素が基材
表面で熱分解して、安定相のグラフアイトではな
く準安定相のダイヤモンドが析出する。又添加さ
れた水素は、プラズマもしくは高温によつて一部
が原子状の水素に解離するが、この原子状水素が
基材表面上に、ダイヤモンドと共析出したダイヤ
モンド以外の炭素のみを選択エツチングするた
め、結果として純度の高いダイヤモンドを基材表
面上に合成しうるといわれている。 従来の超高圧、高温を用いないダイヤモンド合
成法のうち、マイクロ波無極電放電を用いるもの
(以下μ波プラズマ法と称す)は、μ波プラズマ
によつて、該炭化水素がきわめて高エネルギー状
態に励起されることから基板上に析出するもの
は、ほとんどダイヤモンドに近似の結晶質硬炭素
が主で、それ以外の炭素はほとんど析出しないと
いう特徴をもつ。 しかしながら、μ波プラズマを用いるため、プ
ラズマの特徴である鋭利な先端部に、プラズマが
集中するという欠点をもつ。そのため先端部は他
の部分に比べ異常に温度が上昇してしまう。 ダイヤモンドの合成にとつて基板の表面温度は
きわて重要で基材表面が1300℃以上では、ほとん
どグラフアイトおよび/又は無定形の炭素しか析
出しないことが知られている。また基材表面が
500℃以下ではほとんど炭化水素の熱分解が生じ
ないことも知られている。したがつてμ波プラズ
マ法によると、いかに基材表面温度を工業生産
上、限界ともいえる低温に保つても鋭利な基材先
端部は、プラズマの集中によつて1300℃以上に加
熱されてしまい、ダイヤモンドがほとんど析出せ
ず、グラフアイトおよび/又は無定形の炭素のみ
が析出してしまう。そのためμ波プラズマ法によ
るダイヤモンドの合成は、その基材形状が平面に
限定され、かつ平面でもその端の部分は満足なダ
イヤモンドが析出しないため均一性という意味か
ら、工業上、その応用範囲はきわめて限定された
ものであつた。 一方、熱電子放射材によつて混合ガスを予熱す
るもの(以下Wフイラメント法と称す)は、プラ
ズマをいつさい用いないため、μ波プラズマ法の
ような基材の鋭利な先端部へプラズマが集中する
といつた問題は、まつたくないため基材形状に関
しては、きわめて柔軟な選択が可能であり、かつ
平面の基材においても、その端部まで均一にダイ
ヤモンドを析出しうる。 しかしながら、このWフイラメント法では、炭
化水素の励起が加熱した熱電子放射材(一般には
Wフイラメントを通電加熱して用いる)によるた
め、その励起はμ波プラズマ法に比べ、はなはだ
不十分であり、基材の表面にはダイヤモンド状の
結晶質硬質炭素以外の炭素が、かなりの量共析出
するという欠点をもつ。 この欠点を解消するためには、炭化水素を高エ
ネルギー状態に励起すべく、Wフイラメントの温
度を出来るだけ高温に保てばよいわけであるが、
Wフイラメントの温度を高温にすると、直下に設
置された基材表面が1300℃以上の高温になつてし
まうという問題が生じる。 これは基材表面がWフイラメントの輻射によつ
て加熱されることによるため、基材表面を1300℃
以下に保つためには、Wフイラメントと基材との
間隔を広くするしか対策はありえない。しかしな
がら、Wフイラメントと基材との間隔を広くする
と、Wフイラメントの近辺で高温によつて高エネ
ルギー状態に励起された炭化水素が、基材表面に
到達するまでに、低エネルギー状態へ遷移してし
まい、かえつて、ダイヤモンドの析出をみない。
したがつて、実際には、Wフイラメントの温度の
上限はほゞ2100℃に限られていた。 〔発明の構成〕 (a) 問題点を解決するたの手段 Wフイラメント法の欠点である炭化水素の励起
が不充分であることを解決するためには、混合ガ
スの予熱温度を高くする。すなわちWフイラメン
トの温度を出来る限り高いものにしなければなら
ない。ところがWフイラメントの温度を2100℃以
上に上げると輻射のため、基材表面温度が高温に
なりすぎるという問題が生じる。そこで発明者
は、この基材の表面温度がいかなる理由によつて
定まるか、種々の検討を加えた。 その結果、たしかにWフイラメントからの輻射
が基材表面を加熱する熱源として重要ではある
が、それ以外に混合ガスそのものが、Wフイラメ
ントによつて加熱され、Wフイラメントの下流に
設置された基材が、この混合ガスによつて加熱さ
れる割合がけつこう大きいことがわかつた。 これはダイヤモンドの合成にもちいる炭化水素
(一般にはCH4を用いるので以下CH4で説明す
る)およびH2がいずれもきわめて、熱伝導が良
いため、Wフイラメントによつてきわめて容易に
高温に加熱するためと考えられる。そこで発明者
は、まず混合ガスの熱伝導を小さくするため、反
応系の混合ガスの圧力を、通常Wフイラメント法
が用いられている20〜200Torrよりも、高真空で
ある0.1Torrに保つて実験をこころみた。 たしかに混合ガスの圧力を0.1Torrに保つと、
Wフイラメントの温度を2100℃以上に上げても、
基材表面の温度を1300℃以下に保つことは可能で
あつた。しかしながら反応系の圧力と高真空にし
ていくと、析出するダイヤモンドのつきまわりが
極端に悪くなり、実用上、基材の回転機構が必要
となること、さらには得られるダイヤモンドの析
出粒子がきめて粗粒化してしまい、成膜しがたく
なるという欠点を持つことがわかつた。そこで発
明者は、反応系の混合ガスの圧力を20〜200Torr
に保つたままで、混合ガスの熱伝導を低下させる
方法として、CH4やH2よりも熱伝導の低いガス
で、かつ炭化水素の熱分解反応に関与しないガス
で希釈すればよいのではないかと考えた。 具体的には、N2,Ar,Kr,Xe,Rnからなる群
より選んだ1種以上のガス、特に経済点の見地か
らN2および/又はArにて、希釈することが好ま
しい。なお、ガスの混合比に関する制限である
が、混合ガスにしめる割合で炭化水素は容積で10
%を越えると、ダイヤモンド状の結晶質硬質炭素
以外の炭素の析出が著しいため好ましくない。 又水素については容積で90%以上では、最も熱
伝導のよい水素の量が圧倒的になるため、Wフイ
ラメントの上限温度上昇効果が認められず、10%
以下になると水素(原子状水素といわれている)
によるダイヤモンド状結晶質硬質炭素以外の炭素
の選択エツチング効果が不充分で好ましくない。 (b) 作用効果 上記のようなN2,Ar,Kr,Xe,Rnからなる群
より選んだ1種以上のガスで、CH4とH2の混合ガ
スを希釈したところ、従来技術であるCH4とH2の
混合ガスをWフイラメントにて予熱する場合と、
同様の装置(Wフイラメントと基材との間隔をか
えずに)において、Wフイラメント温度を従来の
2100℃以上、例えば2400℃に加熱しても、基材表
面温度は1300℃以下に保つことが可能であつた。 以上のような理由により、硬質の炭素膜を被覆
するには、炭化水素と水素の混合ガスをN2,
Ar,Kr,Xe,Rnからなる群より選んだ1種以上
のガスで希釈することが好ましいことがわかつ
た。 以下実施例によつて説明する。 実施例 1 石英製の(内径60mm)反応容器内に、超硬合金
チツプ(TPGR332)を保持、その直上10mmのと
ころにWフイラメントをおいた。Wフイラメント
上方よりCH40.5c.c./min、H25c.c./min、Ar5c.c./
min反応容器内に導入するとともに、真空排気装
置で反応容器内で80Torrに保つた。 Wフイラメントに通電し、Wフイラメントの温
度を2300℃に保つとともに、反応容器外に設置し
た電気炉で基材を加熱し、基材の表面温度を950
℃に保つた。この状態で6時間被覆したのち、試
料を冷却し、被覆膜を反射電子線回折,X線回折
で調べたところダイヤモンド構造の結晶質のみが
被覆されていることがわかつた。次にLEELS−
ESCAおよびラマン分光にて、被覆膜を調べたと
ころ、ダイヤモンド以外の炭素の共存量は25%
(容積)以下であることがわかつた。なおSEMに
よるとダイヤモンド状結晶質の炭素膜の平均粒径
は約1.5μ、膜厚は3μであつた。 この試料をAとする。全く同じ装置で同じ基材
を用い、CH4を1c.c./min、H2を10c.c./min、導
入し、反応容器内を80Torrに保つた場合、Wフ
イラメントの温度を2300℃にすると、反応容器外
の電気炉にまつたく通電しなくとも、基材の表面
温度は1350℃にまで上昇した。この状態で6時間
被覆すると試料表面にはダイヤモンドは全く析出
しなかつた。 そこで基材の表面温度を950℃になるように、
Wフイラメントの温度を調整したところ、Wフイ
ラメントの温度は2050℃であつた。この状態で6
時間被覆した。この試料をBとし、BもやはりA
と同様の分析を行つた結果、ダイヤモンド以外の
炭素が容積で25〜50%共存していることがわかつ
た。 AとBとで性能を比較するために、以下の条件
で切削テストをおこなつた。 被削材 :AC4C 切削速度:1500m/min 送り :0.1mm/rev 切り込み:1mm ホルダー:PTGNR2525−33 Aは30分間切削してフランク摩耗が0.03mmであ
つたのに対し、Bは16分25秒間切削したとき、被
覆膜が剥離してしまい、18分間切削した時点でフ
ランク摩耗は0.34mmとなつてしまつた。 実施例 2 実施例1と同じ装置、同じ基材にて種々の条件
で硬質炭素膜の被覆を行つた。被覆条件および
LEELS−ESCAによつて測定した。被覆膜中の
ダイヤモンド以外の炭素の存在量(容積%)およ
び実施例1と同じ条件での切削テストの結果を表
−1に記す。
素を合成する方法に関するものである。 〔従来技術〕 超高圧、高温を用いずに減圧下の炭化水素と水
素との混合気流から加熱した基材の表面に、ダイ
ヤモンド状の硬質炭素を析出させる従来の技術と
して、たとえば特公昭59−27753号公報に示され
るように炭化水素と水素の混合ガスを1000℃以上
に加熱した熱電子放射材によつて予備加熱した
後、この加熱混合ガスを500〜1300℃に加熱した
基板表面に導入して炭化水素の熱分解によつて、
ダイヤモンドを析出させる方法、特公昭59−
27754号公報に示されるように水素ガスをマイク
ロ波無極電放電中を通過させた後、炭化水素と混
合したガス、または炭化水素と水素との混合ガス
をマイクロ波無極電放電中を通過させた混合ガス
を300〜1300℃に加熱した基板表面上に導入し、
炭化水素の熱分解によりダイヤモンドを析出させ
る方法などがある。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ダイヤモンドを超高圧、高温を用いずに炭化水
素と水素との減圧下の混合ガスより加熱した基材
の表面に析出させる技術の原理は、炭化水素をプ
ラズマもしくは高温によつて高エネルギー状態に
励起させ、この高エネルギー励起炭化水素が基材
表面で熱分解して、安定相のグラフアイトではな
く準安定相のダイヤモンドが析出する。又添加さ
れた水素は、プラズマもしくは高温によつて一部
が原子状の水素に解離するが、この原子状水素が
基材表面上に、ダイヤモンドと共析出したダイヤ
モンド以外の炭素のみを選択エツチングするた
め、結果として純度の高いダイヤモンドを基材表
面上に合成しうるといわれている。 従来の超高圧、高温を用いないダイヤモンド合
成法のうち、マイクロ波無極電放電を用いるもの
(以下μ波プラズマ法と称す)は、μ波プラズマ
によつて、該炭化水素がきわめて高エネルギー状
態に励起されることから基板上に析出するもの
は、ほとんどダイヤモンドに近似の結晶質硬炭素
が主で、それ以外の炭素はほとんど析出しないと
いう特徴をもつ。 しかしながら、μ波プラズマを用いるため、プ
ラズマの特徴である鋭利な先端部に、プラズマが
集中するという欠点をもつ。そのため先端部は他
の部分に比べ異常に温度が上昇してしまう。 ダイヤモンドの合成にとつて基板の表面温度は
きわて重要で基材表面が1300℃以上では、ほとん
どグラフアイトおよび/又は無定形の炭素しか析
出しないことが知られている。また基材表面が
500℃以下ではほとんど炭化水素の熱分解が生じ
ないことも知られている。したがつてμ波プラズ
マ法によると、いかに基材表面温度を工業生産
上、限界ともいえる低温に保つても鋭利な基材先
端部は、プラズマの集中によつて1300℃以上に加
熱されてしまい、ダイヤモンドがほとんど析出せ
ず、グラフアイトおよび/又は無定形の炭素のみ
が析出してしまう。そのためμ波プラズマ法によ
るダイヤモンドの合成は、その基材形状が平面に
限定され、かつ平面でもその端の部分は満足なダ
イヤモンドが析出しないため均一性という意味か
ら、工業上、その応用範囲はきわめて限定された
ものであつた。 一方、熱電子放射材によつて混合ガスを予熱す
るもの(以下Wフイラメント法と称す)は、プラ
ズマをいつさい用いないため、μ波プラズマ法の
ような基材の鋭利な先端部へプラズマが集中する
といつた問題は、まつたくないため基材形状に関
しては、きわめて柔軟な選択が可能であり、かつ
平面の基材においても、その端部まで均一にダイ
ヤモンドを析出しうる。 しかしながら、このWフイラメント法では、炭
化水素の励起が加熱した熱電子放射材(一般には
Wフイラメントを通電加熱して用いる)によるた
め、その励起はμ波プラズマ法に比べ、はなはだ
不十分であり、基材の表面にはダイヤモンド状の
結晶質硬質炭素以外の炭素が、かなりの量共析出
するという欠点をもつ。 この欠点を解消するためには、炭化水素を高エ
ネルギー状態に励起すべく、Wフイラメントの温
度を出来るだけ高温に保てばよいわけであるが、
Wフイラメントの温度を高温にすると、直下に設
置された基材表面が1300℃以上の高温になつてし
まうという問題が生じる。 これは基材表面がWフイラメントの輻射によつ
て加熱されることによるため、基材表面を1300℃
以下に保つためには、Wフイラメントと基材との
間隔を広くするしか対策はありえない。しかしな
がら、Wフイラメントと基材との間隔を広くする
と、Wフイラメントの近辺で高温によつて高エネ
ルギー状態に励起された炭化水素が、基材表面に
到達するまでに、低エネルギー状態へ遷移してし
まい、かえつて、ダイヤモンドの析出をみない。
したがつて、実際には、Wフイラメントの温度の
上限はほゞ2100℃に限られていた。 〔発明の構成〕 (a) 問題点を解決するたの手段 Wフイラメント法の欠点である炭化水素の励起
が不充分であることを解決するためには、混合ガ
スの予熱温度を高くする。すなわちWフイラメン
トの温度を出来る限り高いものにしなければなら
ない。ところがWフイラメントの温度を2100℃以
上に上げると輻射のため、基材表面温度が高温に
なりすぎるという問題が生じる。そこで発明者
は、この基材の表面温度がいかなる理由によつて
定まるか、種々の検討を加えた。 その結果、たしかにWフイラメントからの輻射
が基材表面を加熱する熱源として重要ではある
が、それ以外に混合ガスそのものが、Wフイラメ
ントによつて加熱され、Wフイラメントの下流に
設置された基材が、この混合ガスによつて加熱さ
れる割合がけつこう大きいことがわかつた。 これはダイヤモンドの合成にもちいる炭化水素
(一般にはCH4を用いるので以下CH4で説明す
る)およびH2がいずれもきわめて、熱伝導が良
いため、Wフイラメントによつてきわめて容易に
高温に加熱するためと考えられる。そこで発明者
は、まず混合ガスの熱伝導を小さくするため、反
応系の混合ガスの圧力を、通常Wフイラメント法
が用いられている20〜200Torrよりも、高真空で
ある0.1Torrに保つて実験をこころみた。 たしかに混合ガスの圧力を0.1Torrに保つと、
Wフイラメントの温度を2100℃以上に上げても、
基材表面の温度を1300℃以下に保つことは可能で
あつた。しかしながら反応系の圧力と高真空にし
ていくと、析出するダイヤモンドのつきまわりが
極端に悪くなり、実用上、基材の回転機構が必要
となること、さらには得られるダイヤモンドの析
出粒子がきめて粗粒化してしまい、成膜しがたく
なるという欠点を持つことがわかつた。そこで発
明者は、反応系の混合ガスの圧力を20〜200Torr
に保つたままで、混合ガスの熱伝導を低下させる
方法として、CH4やH2よりも熱伝導の低いガス
で、かつ炭化水素の熱分解反応に関与しないガス
で希釈すればよいのではないかと考えた。 具体的には、N2,Ar,Kr,Xe,Rnからなる群
より選んだ1種以上のガス、特に経済点の見地か
らN2および/又はArにて、希釈することが好ま
しい。なお、ガスの混合比に関する制限である
が、混合ガスにしめる割合で炭化水素は容積で10
%を越えると、ダイヤモンド状の結晶質硬質炭素
以外の炭素の析出が著しいため好ましくない。 又水素については容積で90%以上では、最も熱
伝導のよい水素の量が圧倒的になるため、Wフイ
ラメントの上限温度上昇効果が認められず、10%
以下になると水素(原子状水素といわれている)
によるダイヤモンド状結晶質硬質炭素以外の炭素
の選択エツチング効果が不充分で好ましくない。 (b) 作用効果 上記のようなN2,Ar,Kr,Xe,Rnからなる群
より選んだ1種以上のガスで、CH4とH2の混合ガ
スを希釈したところ、従来技術であるCH4とH2の
混合ガスをWフイラメントにて予熱する場合と、
同様の装置(Wフイラメントと基材との間隔をか
えずに)において、Wフイラメント温度を従来の
2100℃以上、例えば2400℃に加熱しても、基材表
面温度は1300℃以下に保つことが可能であつた。 以上のような理由により、硬質の炭素膜を被覆
するには、炭化水素と水素の混合ガスをN2,
Ar,Kr,Xe,Rnからなる群より選んだ1種以上
のガスで希釈することが好ましいことがわかつ
た。 以下実施例によつて説明する。 実施例 1 石英製の(内径60mm)反応容器内に、超硬合金
チツプ(TPGR332)を保持、その直上10mmのと
ころにWフイラメントをおいた。Wフイラメント
上方よりCH40.5c.c./min、H25c.c./min、Ar5c.c./
min反応容器内に導入するとともに、真空排気装
置で反応容器内で80Torrに保つた。 Wフイラメントに通電し、Wフイラメントの温
度を2300℃に保つとともに、反応容器外に設置し
た電気炉で基材を加熱し、基材の表面温度を950
℃に保つた。この状態で6時間被覆したのち、試
料を冷却し、被覆膜を反射電子線回折,X線回折
で調べたところダイヤモンド構造の結晶質のみが
被覆されていることがわかつた。次にLEELS−
ESCAおよびラマン分光にて、被覆膜を調べたと
ころ、ダイヤモンド以外の炭素の共存量は25%
(容積)以下であることがわかつた。なおSEMに
よるとダイヤモンド状結晶質の炭素膜の平均粒径
は約1.5μ、膜厚は3μであつた。 この試料をAとする。全く同じ装置で同じ基材
を用い、CH4を1c.c./min、H2を10c.c./min、導
入し、反応容器内を80Torrに保つた場合、Wフ
イラメントの温度を2300℃にすると、反応容器外
の電気炉にまつたく通電しなくとも、基材の表面
温度は1350℃にまで上昇した。この状態で6時間
被覆すると試料表面にはダイヤモンドは全く析出
しなかつた。 そこで基材の表面温度を950℃になるように、
Wフイラメントの温度を調整したところ、Wフイ
ラメントの温度は2050℃であつた。この状態で6
時間被覆した。この試料をBとし、BもやはりA
と同様の分析を行つた結果、ダイヤモンド以外の
炭素が容積で25〜50%共存していることがわかつ
た。 AとBとで性能を比較するために、以下の条件
で切削テストをおこなつた。 被削材 :AC4C 切削速度:1500m/min 送り :0.1mm/rev 切り込み:1mm ホルダー:PTGNR2525−33 Aは30分間切削してフランク摩耗が0.03mmであ
つたのに対し、Bは16分25秒間切削したとき、被
覆膜が剥離してしまい、18分間切削した時点でフ
ランク摩耗は0.34mmとなつてしまつた。 実施例 2 実施例1と同じ装置、同じ基材にて種々の条件
で硬質炭素膜の被覆を行つた。被覆条件および
LEELS−ESCAによつて測定した。被覆膜中の
ダイヤモンド以外の炭素の存在量(容積%)およ
び実施例1と同じ条件での切削テストの結果を表
−1に記す。
この発明は以上説明したように、ダイヤモンド
減圧下の炭化水素と水素より合成する際に、反応
に関与しないが熱伝導のきわめて少ないガスで希
釈することによつて、基材表面温度を所定の温度
以下に保つたままで、十分に混合ガスと予熱しう
るという効果がある。
減圧下の炭化水素と水素より合成する際に、反応
に関与しないが熱伝導のきわめて少ないガスで希
釈することによつて、基材表面温度を所定の温度
以下に保つたままで、十分に混合ガスと予熱しう
るという効果がある。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 炭化水素と水素と、窒素、アルゴン、クリプ
トン、キセノン、ラドンからなる群より選んだ1
種以上の気体の混合ガスを、2000℃以上に加熱し
た発熱体によつて予熱した後で、この加熱混合ガ
スを500〜1300℃に加熱した基板表面に導入し
て、炭化水素の熱分解によつて、硬質炭素膜を基
板表面上に析出させることを特徴とする硬質炭素
膜合成法。 2 特許請求の範囲第1項記載の硬質炭素膜合成
法において、混合ガスにおける炭化水素のしめる
割合が、容積で10%以下であり、かつ水素のしめ
る割合が容積で10%以上90%以下であることを特
徴とする硬質炭素膜合成法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61005898A JPS62164878A (ja) | 1986-01-14 | 1986-01-14 | 硬質炭素膜合成法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61005898A JPS62164878A (ja) | 1986-01-14 | 1986-01-14 | 硬質炭素膜合成法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62164878A JPS62164878A (ja) | 1987-07-21 |
JPS6257708B2 true JPS6257708B2 (ja) | 1987-12-02 |
Family
ID=11623708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61005898A Granted JPS62164878A (ja) | 1986-01-14 | 1986-01-14 | 硬質炭素膜合成法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62164878A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4981717A (en) * | 1989-02-24 | 1991-01-01 | Mcdonnell Douglas Corporation | Diamond like coating and method of forming |
-
1986
- 1986-01-14 JP JP61005898A patent/JPS62164878A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62164878A (ja) | 1987-07-21 |
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