JPS6256032B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、メインフレームに燃料タンクを跨
設するとともに、各気筒を前後方向に配列した空
冷式Ｖ型エンジンを備える自動二輪車の、エンジ
ン冷却構造に関するものである。

空冷式Ｖ型エンジンを、各気筒が前後方向に配
列されるように塔載した自動二輪車においては、
特に後気筒が前気筒のかげになつて走行風が当た
りにくい。このため後気筒の温度が上昇し勝ちに
なり、動力性能が下がるおそれがある。

この発明はこのような不都合に鑑みなされたも
のであり、このような自動二輪車における、後気
筒の冷却性能を向上させ、後気筒の温度上昇を効
果的に抑制することができるエンジン冷却構造を
提供するものである。そして、この発明はこの目
的達成のため、メインフレームのタンクレール
と、このタンクレールに跨設された燃料タンクの
内側面との間に、通風路を形成すると共に、この
通風路内には後気筒のほぼ上方に走行風を下方へ
導く導風部材を設け、走行風をこの通風路を通し
て後気筒へ導くように構成したものである。以下
図面に基いて、この発明を詳細に説明する。

第１図はこの発明の一実施例の自動二輪車を一
部省略して示す側面図、第２図はその−線端
面図、第３図は同じく−線端面図である。こ
れらの図において符号１はメインフレームであ
り、このメインフレーム１は左右一対の金属板部
材１ａ，１ｂを結着することにより、断面路箱形
に形成されている。このメインフレーム１はタン
クレール部２とその後端付近の屈曲部３とを備え
る。タンクレール部２の前端にはステアリング・
ヘツドパイプ４が溶着されている。タンクレール
部２の後半から屈曲部３の上部にかけては二股状
になつていて、この内部に緩衝器装填室５が形成
されている。この緩衝器装填室５には減衰器付き
緩衝器６が装填されている。屈曲部３の下部は左
右の金属板部材１ａ，１ｂが重合結着されてい
る。金属板部材１ａの屈曲部３に対応する位置に
は、円形の開口７が形成されている。この開口７
の側方には不図示の空気清浄器が配設され、外気
はこの空気清浄器、開口７を通りメインフレーム
１内に入る。第１図において８と９はタンクレー
ル部２に形成された吸入管であり、前記開口７か
らメインフレーム１内に入つた空気はこの吸入管
８，９から後記エンジン２０の各気筒に吸入され
る。

１０は左右一対のブラケツトであり、前記のメ
インフレーム１の屈曲部３から垂下するように強
固に固定され、実質的にメインフレーム１の一部
となつている。

１１は側面が略三角形に形成されたリヤアーム
であり、このリヤアーム１１は前記一対のブラケ
ツト１０間に、上下方向へ回動可能に軸支されて
いる。このリヤアーム１１は左右一対の三角形で
後輪１２を挾むように保持する。このリヤアーム
１１の左側の三角形を構成する底辺はプロペラ軸
ケース１３となり、その後端にはギヤケース１４
が連結されている。プロペラ軸ケース１３内には
不図示のプロペラ軸が挿通され、ギヤケース１４
にはこのプロペラ軸に噛合する大減速歯車（図示
せず）が内装されている。すなわちシヤフトドラ
イブ方式の駆動機構が形成されている。リヤアー
ム１１の頂点には前記緩衝器６の後端が軸支され
ている。この緩衝器６の前端は前記緩衝器装填室
５内面に軸支されている。

前記ブラケツト１０の外側には車体の前後方向
に延在する側板１５が強固に固定され、その後端
にはリヤステー１６の下端がボルトによつて固定
されている。このリヤステー１６の上端はシート
レール１７に溶着され、シートレール１７の前端
はメインフレーム１にボルトにより固定されてい
る。すなわちリヤステー１６とシートレール１７
との結合体はメインフレーム１から着脱可能とな
つている。このため各部品の製造が容易になると
共に、車体の仕様変更も簡単になる。

２０は空冷式Ｖ型エンジンであり、その各気筒
２１，２２は前後方向に並ぶように塔載されてい
る。すなわち前気筒２１のシリンダヘツドには、
メインフレーム１のタンクレール部２を間隔をお
いて挾むよう略コ字状に折曲されたブラケツト２
３が固定され、このブラケツト２３がカラー２４
を介してタンクレール部２に固定されている。後
気筒２２のシリンダヘツドには下方へ傾斜した取
付面を左右に有するブラケツト２５が固定される
一方、メインフレーム１にもブラケツト２６が固
着され、両ブラケツト２５，２６が不図示のゴム
弾性部材を介して連結されている。またクランク
ケース２７の後部は前記ブラケツト１０に固定さ
れている。

２８と２９は左右一対の気化器であり、左側の
気化器２８は前記吸入管９と後気筒２２との間
に、右側の気化器２９は吸入管１０と前気筒２１
との間にそれぞれ装着されている。３０および３
１はそれぞれ前気筒２１および後気筒２２に連結
された排気管であり、両排気管３０，３１に導か
れた排気はブラケツト１０後方で集合されて消音
器３２に導かれる。なお後気筒２２の排気管３１
は左右一対のブラケツト１０間およびリヤフレー
ム１１間を通つて配管されている。

４０は燃料タンクであり、断面が逆Ｕ字状の液
室４１を備える。この燃料タンク４０はメインフ
レーム１のタンクレール部２に跨設されている。
この燃料タンク４０のタンクレール部２に対向す
る面、すなわち内側面４２とタンクレール部２と
の間隙は十分に大きく、ここが通風路４３となつ
ている。詳述すれば、通風路４３は、燃料タンク
４０の内側面４２およびタンクレール部２の外側
面を側壁として断面Ｕ字状に形成されている。す
なわち、燃料タンク４０、タンクレール部２間に
形成されている空間は、全部が通風路４３として
利用されており、通風路４３を形成することによ
つて燃料タンク４０の容量が減少するのが抑えら
れている。換言すれば、燃料タンク４０の容量を
減少させることなく通風路４３が確保されてい
る。

４４は導風板であり、ステアリング・ヘツドパ
イプ４の下から走行風を通風路４３に取込むよう
ブラケツト２３とメインフレーム１とに跨つて左
右一対固定されている。ブラケツト２３内面の底
部には２本の点火コイル４５が車体前後方向へ平
行に固定されている。この点火コイル４５の上方
には、ブラケツト２３を横断するように整流板４
６が固定されている。この整流板４６は走行風を
上方へ向け通風路４３への流入を良好にする。

４７は導風部材であり、後気筒２２の上方に通
風路４３を閉塞するように装着されている。すな
わちこの導風部材４７はゴムまたはネオプレン発
泡ゴムにより作られ、その両端はタンクレール部
２の下面に側方へ突出するように固着された一対
の係止ピン４８に係止されている。この導風部材
４７の前面は、第１図に明らかなように前方へ傾
斜している。この導風部材４７は通風路４３内に
流入した走行風を下降させて後気筒２２に導くと
同時に、燃料タンク４０の防振材としての作用も
持つ。

なお第１図で４８はシートを示す。この車体の
走行中においては、走行風がステアリング・ヘツ
ドパイプ４下方から導風板４４、整流板４６、ブ
ラケツト２３等によつて通風路４３に導かれる。
この走行風は通風路４３を通り、導風部材４７の
前面に当つて下方へ導かれ、後気筒２２に当た
る。後気筒２２を冷却しつつ通過した走行風は、
後気筒２２後方の排気管３１に沿い後輪１２方向
へぬける。従つて、後気筒２２の排気管３１の冷
却性も良好になる。

この実施例ではタンクレール部２は断面箱型に
形成されているが、この発明はパイプからなるタ
ンクレールにおいても適用可能なことは明らかで
ある。また導風板４４や整流板４６は通風路４３
内への走行風の流入を一層促進する。

この発明は以上のようにタンクレールと燃料タ
ンクとの間に、タンクレールの外側面および燃料
タンクの内側面を側壁とする断面Ｕ字状の通風路
を形成し、この通風路内の後気筒の上方に対応す
る部位に導風部材を設けたから、燃料タンク、タ
ンクレール間の空間全部を通風路として利用する
ことによつて燃料タンクの容量を減少させること
なく通風路を確保することができると共に、この
通風路を流れる走行風を導風部材で後気筒へ導く
ことができる。

したがつて、後気筒の冷却性能が向上し、後気
筒の温度上昇による動力性能の低下が起こらなく
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を一部省略して示
す側面図、第２図と第３図はそれぞれ−線端
面図と−線端面図である。 １…メインフレーム、２…タンクレール部、２
０…エンジン、２１…前気筒、２２…後気筒、４
０…燃料タンク、４７…導風部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ メインフレーム１のタンクレール２に燃料タ
   ンク４０を跨設するとともに、各気筒２１，２２
   を前後方向に配列した空冷式Ｖ型エンジン２０を
   備える自動二輪車において、タンクレール２と燃
   料タンク４０との間にタンクレール２の外側面お
   よび燃料タンク４０の内側面４２を側壁とする断
   面Ｕ字状の通風路４３を形成し、この通風路４３
   内には後気筒２２のほぼ上方に走行風を下方へ導
   く導風部材４７を設け、走行風を前記通風路４３
   を介して後気筒２２へ導くようにしたことを特徴
   する自動二輪車のエンジン冷却構造。