JPS6256006B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は前輪駆動装置に係り、特に、前輪ケー
スで包まれた減速ベベルギヤー機構を改善したも
のに関する。

トラクタ等の四輪駆動車輌における従来の前輪
駆動装置は、前車軸ケースの両端部に前輪ケース
をキングピン廻りに回動自在に枢着すると共に、
この前輪ケースに、ベベルギヤー機構を介してキ
ングピンに連動する前輪ハブ軸を回転自在に挿支
し、このハブ軸の外端に形成したフランジに前輪
を取付けるようにしていた。

しかし、これでは次のような欠点があつた。即
ち、ハブ軸が回転自在であり、これに前輪を取付
けているため、ベベルギヤーを挟む２箇所でハブ
軸を支持する必要があり、前輪ケースが大型化す
る。その結果、ハブ軸を自ずと長くなり、フラン
ジまでの距離が大となるため、前輪をキングピン
側に近接して配置することができず、前輪の支持
が不安定になると同時に、前輪のトレツドを小さ
くすることができない。また、車軸も両持ち支持
する関係から、前輪ケースの分割等が必要とな
り、構造が複雑化し、組立作業も煩雑化する。

本発明は、このような従来の問題点を解消する
ことを目的としたものであつて、その特徴とする
ところは、前車軸ケースの両端に、キングピンを
内蔵したギヤケースを取付け、このギヤケース
に、前輪を支持する前輪ケースをキングピン廻り
に回動自在に枢着すると共に、前輪ケース内に、
キングピンのベベルピニオンと、該ピニオンと咬
合する歯部を横方向の内端側に有し前輪に動力を
伝達するベベルギヤー体と、を内蔵してなる前輪
駆動装置において、 ギヤケースに、下方向に延設された筒軸部を形
成し、前輪ケースの内側壁における前後方向中央
部分でかつ上下方向中央部分の下方に、該内側壁
で一部を形成した有底嵌合筒部を横方向内方に位
置させて形成し、筒軸部に嵌合筒部を回動自在に
套嵌してギヤケースの下方のみで前輪ケースを傾
動不能に支持させ、 前輪ケースの内側壁に、横方向外方に突出する
筒状の前輪ハブ軸を、該内側壁により横方向内方
側が閉塞され、かつ横方向外方側が開口するよう
に一体に設け、このハブ軸の外周に前記ベベルギ
ヤー体を回転自在に套嵌し、このベベルギヤー体
の横方向外端面に、デイスク取付座を一体に設
け、このデイスク取付座に前輪のホイールデイス
クを横方向外方から取付けた点にある。

以下、図面を参照して本発明の実施例を詳述す
る。

第１図、第２図を参照すると２軸４車輪形トラ
クタ１の前輪２を駆動する場合が示され、３はそ
る後輪で、通常、後輪３は前輪２とともに駆動さ
れる。

４はエンジンで、トラクタ車体となるミツシヨ
ンケース５に内蔵の適宜ミツシヨンを介して後輪
を駆動するとともに、推進軸装置６を介して前輪
２に連動する。

前輪２の前車軸ケース７はその軸長中央部に図
示しないデフ装置が内蔵されて推進軸装置６をデ
フ入力側として左右一対のデフ出力軸を連動可能
で、デフ入力軸と軸心同一とする懸架装置８によ
り本例では左右一対のフレーム９に揺動自在であ
る。

前車軸ケース７の両端にギヤケース１０がそれ
ぞれ固設され、該ギヤケース１０のキングピン廻
りに回転自在の前輪ケース１１をそれぞれ有して
おり、前輪ケース１１のそれぞれを例えばラツク
ピニオン式の舵取装置を有する連動体１２で連結
し、ハンドル１３の舵取力を伝達して前輪２を操
向可能としている。

第３図、第４図を参照すると、片方の前輪駆動
装置の詳細が図示されている。なお、反対側のそ
れは同じ構成である。

ギヤケース１０は本図示例では前車軸ケース７
の端部に一体に形成されて下向に延設の筒軸部１
４を有し上端は傾斜開口部１５とされて該開口部
１５が蓋体１６で開閉自在に施蓋されている。

１７はデフ出力軸で、前車軸ケース７に挿支さ
れ軸受８で支持され、軸端部に駆動ベベルピニオ
ン１９を有する。

２０はキングピンであり、上部に従動ベベルピ
ニオン２１が下部に駆動ベベルピニオン２２を有
し、前記ギヤケース１０の筒軸部１４に縦方向に
挿支されて軸受２３で支持され、従動ベベルピニ
オン２１がデフ出力軸１７の駆動ベベルピニオン
１９に咬合している。

前輪ケース１１は外側方開口の椀状部２５と嵌
合筒部２６および前輪ハブ軸２７を有し、前輪ケ
ース２４の嵌合筒部２６にギヤケース１０の筒軸
部１４が嵌挿されてプシユで示す軸受２８，２９
を介してキングピン２０の廻りに回動自在に支持
されており、椀状部２５に突出され内部を拡大テ
ーパー凹部２４とした前輪ハブ軸２７が横向とさ
れている。

３０は前輪デイスクであり、このデイスク３０
に筒形軸受ケース３１が嵌挿されるとともにデイ
スク３０の内面に周方向所定間隔毎に設けた複数
のボルト３２で締着されており、本例ではケース
内周部に軸方向間隔をおいて軸受嵌合部３３を有
するダクタイル鋳鋼製とされている。

更に、各軸受嵌合部３３，３３に嵌合した軸受
３４，３５を介して前輪ハブ軸２７が相対回転自
在に支持されており、筒形軸受ケース３１の内方
外周部に形成した段部３６には浸炭材よりなり鍛
造品である減速ベベルギヤ３７が套嵌されてボル
ト３８により締着されている。

前記減速ベベルギヤ３７が前記キングピン２０
上に設けた駆動ベベルピニオン２２に咬合してお
り、キングピン２０の下部は前輪ケース１１の嵌
合筒部２６に軸受３９を介して支持されている。

更に、前記ピニオン２２と減速ベベルギヤ３７
で減速ベベルギヤー機構４０が構成され、減速ベ
ベルギヤ３７を前輪ケース１１の椀状部２５で包
んで該ケース１１をリム内に収めている。

すなわち、ギヤケース１０に、下方向に延設さ
れた筒軸部１４を形成し、前輪ケース１１の内側
壁（椀状部２５の底壁）における前後方向中央部
分でかつ上下方向中央部分より下方に、該内側壁
で一部を形成した有底嵌合筒部２６を横方向内方
に位置させて形成し、筒軸部１４に嵌合筒部２６
を回動自在に套嵌してギヤケース１０の下方のみ
で前輪ケース１１を傾動不能に支持させ、前輪ケ
ース１１の内側壁に、横方向外方に突出する筒状
のハブ軸２７を、該内側壁により横方向内方側が
閉塞されかつ横方向外方側が開口されるように一
体に設け、このハブ軸２７の外周にベベルギヤー
体（ベベルギヤ３７と軸受ケース３１よりなる）
を回転自在に套嵌し、このベベルギヤー体３７，
３１の横方向外端面に、デイスク取付座を一体に
設けて、この取付座に前輪２のホイールデイスク
３０を横方向外方からボルト３２によつて取付け
ている。

なお、４１はオイルシールであり、椀状部２５
の開口内周部とギヤ３７および軸受ケース３１外
周との間に嵌合され、外周部は抜止めリング装置
４２で、内周部は軸受ケース３１側に形成の凹周
溝４３に套嵌されている。

又、４４はボルト挿通用凹部で、軸受ケース３
１の外側外方に軸方向として周方向所定間隔毎に
形成してあり、この凹部４４を介してボルト３８
が挿入されてギヤ３７をケース３１に締着してお
り、このとき、ギヤ３７とケース３１の位置決め
のためノツクピン４５を設けることが望ましい。

４６は盲シール蓋であり、筒形軸受ケース３１
の間口端部に嵌合されて軸受３４，３５を防護し
ている。

４７は操向アームで、前輪ケース１１の高さ中
間部より前方突出状に設けられ、これに接手４８
を介して連動体１２の一端を枢支連結している。

第５図は本発明の第２実施例であり、前述した
第１実施例と相違するところは筒形軸受ケース３
１とベベルギヤ３７を共通のボルト４９で前輪デ
イスク３０に共締めした点であり、その余の基本
構成は同じであることから共通部分は共通符号で
示している。

次に前記構成における作用を説明する。

走行するには、動力取出装置を介して連動する
推進軸装置６より前車軸ケース７内のデフ装置へ
と動力が伝達され、デフ出力軸１７から駆動ベベ
ルピニオン１９、キングピン２０、減速ベベルギ
ヤー機構４０を経て前輪ハブ軸２７の廻りに前輪
２が駆動される。

軸受ケース３１とベベルギヤ３７とからなるベ
ベルギヤー体は、両者を一体成形物として構成す
ることもできるが、実施例の如く両者をボルト３
８で組付ける構成としたときには、軸受ケース３
１を鋳造品となし、その軸受嵌合部３３，３３を
所謂小物品として加工できてここに精度を高くで
きたのであり、咬合に伴う衝撃で耐摩性、耐久性
が特に要求されるベベルギヤ３７にあつてはこれ
を浸炭材で鋳造製作でき、このギヤ３７を軸受ケ
ース３１に套嵌固着して前輪デイスク３０に締着
できたのである。

また、旋回動作にあつてはハンドル１３を操作
すると連動体１２を介して操向アーム４７を押引
することになり、前輪ケース１１がキングピン２
０廻りに左右方向に回動し、前輪２が所定方向に
切られる。この場合、前輪ケース１１は筒軸部１
４と嵌合筒部２６との嵌合構造でギヤケース１０
に傾動不能に支持されており、ギヤケース１０の
上側に前輪ケース１１から突出するブラケツト等
がないので、小径の前輪２であつても前輪ケース
１１をそのタイヤリム内に収めることもでき、全
体的に構造がコンパクトになると共に、接向時の
ギヤケース１０側との干渉がなく、前輪２の切れ
角を大にできる。この場合、ギヤケース１０と前
輪ケース１１との上下方向への抜けは、コロ軸受
２３、キングピン２０等、内部の伝動系で規制す
るので、特別な抜止め構造が不要である。

デフ出力軸１７、ベベルピニオン１９，２１等
を組込む際には、ギヤケース１０の傾斜開口部１
５から行なう。即ち、ギヤケース１０には傾斜開
口部１５を設けているので、組立時には、この傾
斜開口部１５からデフ装置にデフ出力軸１７を挿
入すれば良く、従つて、前車軸ケース７及びギヤ
ケース１０を図示のように鋳造等によつて一体化
でき、強度が著しく向上する。また傾斜開口部１
５であるため、開口面積も十分に確保でき、ベベ
ルピニオン１９，２１の組込みも容易である。傾
斜開口部１５は傾斜取付面にボルト付けした蓋体
１６で閉鎖するが、この蓋体１６は単に傾斜開口
部１５を閉鎖するだけで良く、従つて蓋体１６を
板金材等で薄形に形成して、側部ケース即ち、椀
状部２５の内側壁との間の隙間を大きく確保し、
操向時において側部ケース２５と接触することが
なく、前輪２の切れ角を大きく取れる。

本発明では、前輪ケースの内側壁に、横方向外
方に突出するハブ軸を一体に設け、これにベベル
ギヤー体を回転自在に套嵌しているので、ハブ軸
が回転するものに比較して、支持構造が簡単で安
定しており、従つて、片持ち支持を採用できるた
め、ハブ軸の軸長も小さくなり、強度的に有利で
あると共に、前輪ケースの構造も簡素化できる。

また、前輪ケースの内側壁と一体のハブ軸は重
量軽減のために筒状にしているが、横方向の内端
側が内側壁で閉塞されているため、筒状のハブ軸
内に泥等が内方側から詰まることはなく、仮り
に、外方から侵入して詰まつても、これの排除が
容易であり、しかもハブ軸の基部側、即ち、内側
壁の強度も向上する。

特に、前輪ケースの内側壁は筒状のハブ軸と内
側壁で一部が形成された有底嵌合筒部との両者に
より補強され、このさい、筒状のハブ軸が横向
で、有底嵌合部が縦向となることから、前輪ケー
ス全体の剛性も大幅に向上し、従つて、前輪ケー
スを薄肉とすることもできて軽量とできる。

更に、ハブ軸の外周に套嵌したベベルギヤー体
の横方向外端面にデイスク取付座を一体に設け、
このデイスク取付座に前輪のホイールデイスクを
取付けているため、前輪を取付けるためのフラン
ジ等を別に設ける必要がなく、横造的に簡単であ
ると共に、前輪をキングピン側に寄せて配置する
ことができ、小型化が可能であり、また前輪のト
レツドを小さくできる。更に全体の構造が簡単に
なるため、小型にできると共に、組立時の作業も
容易である。

また、前輪ケースをキングピン廻りに回動自在
で傾動不能に支持するのに、ギヤケースの下方に
延設した筒軸部に、前輪ケースの内側壁より横方
向内方に位置する嵌合筒部を套嵌して、ギヤケー
スの下方のみにて傾動不能に支持しているから、
ギヤケースの上側に前輪ケースから突出するブラ
ケツト等が必要でなく、小径の前輪であつても前
輪ケースをそのホイールデイスク内に収めること
ができ、全体的に構造がコンパクトにでき、しか
も操向に際してギヤケースと前輪ケースとの上部
側での干渉もなく、前輪の切れ角を前輪駆動であ
るにも拘らず大きくできる。

特に、有底嵌合筒部は前輪ケースの内側壁にお
ける前後方向中央部分で上下方向中央部分の下方
に、内側壁で一部を形成して設けられているの
で、前輪ケースの剛性は大幅に向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体の概略側面図、第２図は前輪懸架
装置部分の正面図、第３図は前輪駆動部の第１実
施例の縦断背面図、第４図は同横断平面図、第５
図は第２実施例の縦断背面図である。 ２……前輪、７……前車軸ケース、１０……ギ
ヤケース、１１……前輪ケース、１４……筒軸
部、２０……キングピン、２２……ベベルピニオ
ン、２６……嵌合筒部、２７……前輪ハブ軸、３
０……前輪デイスク、３１，３７……ベベルギヤ
体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前車軸ケースの両端に、キングピンを内蔵し
   たギヤケースを取付け、このギヤケースに、前輪
   を支持する前輪ケースをキングピン廻りに回動自
   在に枢着すると共に、前輪ケース内に、キングピ
   ンのベベルピニオンと、該ピニオンと咬合する歯
   部を横方向の内端側に有し前輪に動力を伝達する
   ベベルギヤー体と、を内蔵してなる前輪駆動装置
   において、 ギヤケースに、下方向に延設された筒軸部を形
   成し、前輪ケースの内側壁における前後方向中央
   部分でかつ上下方向中央部分の下方に、該内側壁
   で一部を形成した有底嵌合筒部を横方向内方に位
   置させて形成し、筒軸部に嵌合筒部を回動自在に
   套嵌してギヤケースの下方のみで前輪ケースを傾
   動不能に支持させ、 前輪ケースの内側壁に、横方向外方に突出する
   筒状の前輪ハブ軸を、該内側壁により横方向内方
   側が閉塞され、かつ横方向外方側が開口するよう
   に一体に設け、このハブ軸の外周に前記ベベルギ
   ヤー体を回転自在に套嵌し、このベベルギヤー体
   の横方向外端面に、デイスク取付座を一体に設
   け、このデイスク取付座に前輪のホイールデイス
   クを横方向外方から取付けたことを特徴とする前
   輪駆動装置。