JPS6255453B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、スピニング装置に関するものであ
る。

従来技術とその問題点 従来のスピニング装置は、被加工物を回転させ
て、箆、ローラー、切削工具等により、求める形
状に加工するものであるが、いずれも被加工物自
体を回転させるため、被加工物の形状、大きさ、
長さなどに制約があるばかりでなく、装置が大型
化しまた所要動力が増大して不経済であるという
欠点があつた。

この発明の目的は、被加工物を回転させず、逆
に工具を被加工物のまわりに回転させることによ
り、上記の問題を解決し、さらにクラツド・パイ
プを製造するさいも騒音の生じない経済的なスピ
ニング装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段 この発明によるスピニング装置は、上記の目的
を達成するために、水平回転軸と、回転軸に前後
調節自在にはめられたスリーブと、回転軸の前端
部に揺動自在に取付けられるとともに、揺動支点
を境にし、回転軸の前端を越えてのびている前腕
部およびスリーブの方向にのびている後腕部を有
する少なくとも１つの腕と、前腕部の前端に取付
けられた工具と、後腕部の後端とスリーブとを連
結しているリンクとを備えており、回転軸の中心
線に対する前腕部の工具取付部中心からの距離よ
り後腕部のリンク連結部中心からの距離の方が大
となされ、さらに工具に対して被加工物を相対的
に前後動しうるようになされているものである。

実施例 この発明の実施例を、以下図面を参照して説明
する。なお、この明細書において、「前」とは第
１図、第５図ないし第７図において右方向をい
い、「後」とはその逆方向をいう。

実施例 １ この実施例は第１図に示すものである。

第１図に示すスピニング装置は、中空水平回転
軸３２と、回転軸３２に前後調節自在にはめられ
たスリーブ１４と、回転軸３２の前端部にピン１
１により揺動自在に取付けられるとともに、揺動
支点を境にし、回転軸３２の前端を越えてのびて
いる前腕部１２ａ，４１ａおよびスリーブ１４の
方向にのびている後腕部１２ｂを有する２つの腕
１２と、前腕部１２ａの前端に取付けられた工具
１３と、後腕部１２ｂの後端とスリーブ１４とを
連結しているリンク１７とを備えており、回転軸
３２の中心線Ｃに対する前腕部１２ａ，４１ａの
工具取付部中心O₁からの距離l₁より後腕部１２ｂ
のリンク連結部中心O₂からの距離l₂の方が大とな
され、さらに工具１３に対して被加工物２８を相
対的に前後動しうるようになされている。

水平回転軸３２は、その後端部寄り部分がベツ
ド１上に配置されている固定ベース２の中央に設
けられたフレーム３に、ベヤリング３１を介して
支持されている。ベース２の後部には、変速機８
が配設されており、その出力軸に取付けられたプ
ーリ９と、回転軸３２の後端部に取付けられたプ
ーリ３３とにベルト１０がかけわたされている。

フレーム３の頂部には、左右一対のスリーブ移
動用油圧シリンダ１８が前向きに固定せられてい
る。ベース２の前端部には、左右一対のレバー１
９がピン２０により立上り状に揺動自在に取付け
られており、各レバー１９の上端部が２つの油圧
シリンダ１８のピストン・ロツド３７の先端部に
それぞれピン３８により連結されている。

スリーブ１４の後端部には、その円周方向に環
状溝２３が設けられており、スリーブ１４の左右
両側において、２つのレバー１９の長さの中程に
設けられたピン２４が上下動自在にかつスリーブ
１４の回転に支障がないようにはめいれられてい
る。

腕１２の後腕部１２ｂは、これに連結されたリ
ンク１７と組合わされ、回転軸３２に対して山形
になるように傾斜せしめられており、同前腕部１
２ａは後腕部１２ｂに続いてそのまま若干傾斜し
てから水平状となつている。

２つの腕１２は、第２図イに示されているよう
に対向状に配置されているが、同図ロに示されて
いるように正三角形の頂点位置に３つ配置しても
よいし、同図ハに示されているように対向する一
対の腕１２を２対配置してもよい。腕１２はバラ
ンス上第２図イ〜ハのように複数存在することが
好ましいが、１つのみの場合もありうる。

第１図に戻つて、パイプすなわち被加工物２８
は、回転軸３２の前方位置において、ベツド１上
に配置されている可動ベース２５に設けられたフ
レーム２６に具備せしめられているチヤツク２７
に保持されている。チヤツクとしては、たとえば
３つ爪チヤツクが用いられる。チヤツク２７の前
方のベツド１上には、これと所要間隔をおいて補
助受台２９が配置されている。補助受台２９のさ
らに前方のベツド１上には、チヤツク移動用油圧
シリンダ３９が後向きに固定されている。油圧シ
リンダ２９のピストン・ロツド４０の先端部がチ
ヤツク２７のフレーム２６に連結されており、工
具１３に対して被加工物２８を前後動しうるよう
になつている。チヤツク２７と補助受台２９の組
合わせの代わりに、チヤツク２７を２つ用いても
よい。

上記実施例において、回転軸３２を回転する
と、腕１２、リンク１７およびスリーブ１４が回
転軸３２と一体になつて回転する。このさい、回
転軸３２の中心線Ｃに対する前腕部１２ａの工具
取付け部中心O₁からの距離l₁より後腕部１２ｂの
リンク連結部中心O₂からの距離l₂の方が大となさ
れているから、後腕部１２ｂに遠心力が働き、そ
の反動として前腕部１２ａひいては工具１３に求
心力が働くので、被加工物２８が加工されるので
ある。被加工物２８に対する工具１３の力は、変
速機８により回転軸３２の回転速度を変えること
によつて調節できる。

また油圧シリンダ１８のピストン・ロツド３７
を前方へ押出すると、レバー１９を介してスリー
ブ１４が前方へ移動し、図示の状態より回転軸３
２の中心線Ｃに対する後腕部１２ｂのリンク連結
部中心O₂からの距離l₂は大きくなり、逆に前腕部
１２ａの工具取付部中心O₁からの距離l₁は小さく
なる。油圧シリンダ１８のピストン・ロツド３７
を後方へ退入させると、レバー１９を介してスリ
ーブ１４が後方へ移動し、図示の状態より回転軸
３２の中心線Ｃに対する後腕部１２ｂのリンク連
結部中心O₂からの距離l₂は小さくなり、逆に前腕
部１２ａの工具取付部中心O₁からの距離l₁は大き
くなる。このようにして、被加工物２８に対する
工具１３の距離ないし加圧力の調節を行なう。

被加工物２８の加工に応じて油圧シリンダ３９
のピストン・ロツド４０を後方へ押出し、被加工
物２８を徐々に後方に移動させる。

工具１３に対して被加工物２８を相対的に前後
動しうるようになすためには、回転軸３２側のベ
ース２を可動となしてもよいし、両ベース２，２
５ともに可動としてもよく、その移動は油圧シリ
ンダに限らず、ラツク・ピニオン機構、ねじ送り
機構などでもよい。

またチヤツクに被加工物の送り作用を兼ねさせ
ることもできる。すなわち、チヤツク２７におい
て３つの爪の代わりに３つの正逆駆動送りローラ
３０を用いれば（第３図参照）、ローラ３０を正
または逆方向に回転させることにより、被加工物
２８を後方または前方に移動させることができる
（第４図参照）。

実施例 ２ 第１図に示されている実施例では、腕１２を揺
動させた場合、工具１３が前後に若干変位すると
ともに僅に傾くことになる。これを回避した実施
例を第５図および第６図に示す。すなわち、この
実施例では、対向した一対の腕４１の前腕部４１
ａが後腕部４１ｂと逆方向に傾斜してから水平と
なされている。回転軸３２の前端面に２つの前腕
部４１ａに対応しかつ前側スリツト４２を有する
垂直案内筒３４が固着されており、両案内筒３４
に摺動体３５が挿入されている。各摺動体３５
は、これが案内筒３４に案内されて垂直移動しう
るように前部揺動腕４１ａとリンク４３で連結さ
れている。そして、各摺動体３５には、スリツト
４２を通して突出した水平ピン４４が設けられて
おり、水平ピン４４に工具１３が取付けられてい
る。その他の構成は実施例１と同一である。

この実施例によれば、腕４１が図示の位置から
揺動したさい、工具１３は上下方向に移動はする
が、前後方向には移動しないし、かつ傾きもしな
い。

上記２つの実施例では被加工物としてパイプを
示したが、パイプに限らず種々の形状、大きさの
ものも加工されるし、クラツド・パイプ製造のさ
いにもこの発明による装置は適用可能である。

発明の効果 この発明のスピニング装置によれば、被加工物
を回転させず、工具を被加工物のまわりに回転さ
せかつ工具に対して被加工物を前後動しうるもの
であるから、長尺物であつても芯振れすることな
く確実に加工することができる。また加えて回転
軸にはめられているスリーブを前後に調節するこ
とにより被加工物の中心線に対する工具の距離を
調節することができるので、被加工物の前後動と
工具の前記距離調節を適当に組合わせることによ
り、装置を大型化しなくても被加工物の形状、大
きさに制約されることなく加工が可能となる。ま
た被加工物を加工により塑性変形させるのに、回
転軸の回転によつて生じる腕の後腕部に生じる遠
心力の反動により同前腕部ひいては工具に求心力
を生ぜしめ、この力を利用するものであるから、
回転動力のみで加工ができ他の動力を必要とせず
経済的である。さらに、クラツド・パイプをスピ
ニング加工により製造する場合も２重のパイプ自
体は回転しないので、騒音の発生がない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例１を示す一部を切欠
いた側面図、第２図イ〜ハはそれぞれ複数の腕の
配置例を示す略図、第３図はチヤツクに送りロー
ラを用いた例を示す正面図、第４図は同側面図、
第５図はこの発明の実施例２を示す一部を切欠い
た部分側面図、第６図は第５図の−線にそう
断面図である。 ３２……水平回転軸、１４……スリーブ、１１
……揺動支点（ピン）、１２，４１……腕、１２
ａ，４１ａ……前腕部、１２ｂ，４１ｂ……後腕
部、１３……工具、１４……スリーブ、１７……
リンク、２８……被加工物、Ｃ……回転軸の中心
線、O₁……前腕部の工具取付部中心、O₂……後
腕部のリンク連結部中心、l₁……回転軸の中心に
対する前腕部の工具取付部中心O₁からの距離、l₂
……回転軸の中心線に対する後腕部のリンク連結
部中心O₂からの距離。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水平回転軸３２と、回転軸３２に前後調節自
   在にはめられたスリーブ１４と、回転軸３２の前
   端部に揺動自在に取付けられるとともに、揺動支
   点１１を境にし、回転軸３２の前端を越えてのび
   ている前腕部１２ａ，４１ａおよびスリーブ１４
   の方向にのびている後腕部１２ｂ，４１ｂを有す
   る少なくとも１つの腕１２，４１と、前腕部１２
   ａ，４１ａの前端に取付けられた工具１３と、後
   腕部１２ｂ，４１ｂの後端とスリーブ１４とを連
   結しているリンク１７とを備えており、回転軸３
   ２の中心線Ｃに対する前腕部１２ａ，４１ａの工
   具取付部中心O₁からの距離l₁より後腕部１２ｂ，
   ４１ｂのリンク連結部中心O₂からの距離l₂の方が
   大となされ、さらに工具１３に対して被加工物２
   ８を相対的に前後動しうるようになされているス
   ピニング装置。