JPS625496Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えばホテル等の広いホール、宴会
場、あるいは会議室等を間仕切する移動壁の上、
下方向の高さ調整を可能にする移動壁の懸吊支持
装置に関する。

一般に、この種の懸吊支持装置は、天井レール
に保持せる走行体から垂下させた雄ねじ体を、移
動壁にこれを吊支しうる状態で設けられた雌ねじ
体に螺挿させると共に、一方のねじ体を移動壁に
回転不能に保持させて、他方のねじ体をこれに一
体形設せる角形短柱状の回転操作部をスパナ等の
工具により操作して、回転操作させることによつ
て、前記両ねじ体を上、下方向に相対螺送せしめ
て前記移動壁の懸吊高さを調節しうるよう構成さ
れている。

ところが、このように構成された懸吊支持装置
にあつては、前記他方のねじ体を回転操作させる
だけで移動壁の高さ調節を簡単に行ないうる反
面、前記他方のねじ体が回転可能な状態にあるこ
と、及び前記両ねじ体の螺合部分が移動壁の移動
に伴う振動や他の移動壁に衝合させたときの衝撃
や移動壁の自重等の影響を受けることから、移動
壁の高さ調節を行なつた後に前記他方のねじ体が
不測に回転せしめられる虞れがある。

このような事態が発生すると、当然に移動壁の
懸吊状態が変化して、衝合された移動壁間に隙間
が生じて遮音或いは遮光効果が著しく低下した
り、外観体裁も悪くなるといつた種々の不都合を
招来する。

したがつて、従来においては移動壁の高さ調節
を頻繁に行なう必要があつた。

本考案は、このような事情に着目してなされた
もので、長期間使用しても移動壁の高さ調節をく
るわすことがなく、しかも再度移動壁の高さ調節
を行ないたい場合にも、その操作に支障を来たす
ことがない移動壁の懸吊支持装置を提供しようと
するものである。

以下、本考案の一実施例を第１図〜第３図を参
照して説明する。

図中１は、天井２に埋設した天井レール３に転
動自在に支持された前後一対の走行体（一方のみ
図示）であり、４は各走行体１に懸吊支持されて
天井レール３の中央案内溝３ａから下方へ垂下さ
れた懸吊具であり、５は枠体つまり上部枠６の前
後２個所を各々懸吊具４により支持された間仕切
用の移動壁である。なお、以下においては、上部
枠６の前部位を懸吊支持させる構造についてのみ
説明し、上部枠６の後部位を懸吊支持させる構造
については、全く同一であるため説明を省略す
る。

前記走行体１は、中央に筒部７ａを備えた支持
台７の前後部位に、各々一対のローラ８，８を回
動自在に軸支９してなり、前記天井レール３に転
動自在に支持されている。

前記懸吊具４は、六角孔１０′ａ付の頭部１０
ａを備えた杆状の雄ねじ体１０と該雄ねじ体１０
に外嵌状に螺着しうる鍔１１ａ付の円筒状の雌ね
じ体１１とからなり、雄ねじ体１０は、前記走行
体１の筒部７ａにその上方から挿通させてあつ
て、頭部１０ａが筒部７ａに係止されることによ
つて走行体１に懸吊支持されている。なお、雄ね
じ体１０は走行体１から天井レール３の中央案内
溝３ａを通つて下方へ垂下されている。

前記移動壁５の上部枠６は、矩形筒状に成形さ
れており、前記懸吊具４を取付ける箇所に、円筒
状の取付筒１２を溶着して、該取付筒１２の内面
でもつて取付孔１２ａを形成してある。そして、
この取付孔１２ａには、適宜の弾性力を有するゴ
ム材製の円筒状の緩衝体１３を内嵌させてあり、
水平方向の衝撃力に対する吸収緩和を図つてい
る。

また、前記雌ねじ体１１の鍔１４上面に座金１
４、更に適当枚数（実施例では３枚）の皿バネ１
５…を挿通させた上で、該雌ねじ体１１を、上部
枠６の下方から取付孔１２ａに嵌着せる緩衝体１
３を嵌通させてあり、さらに走行体１から垂下さ
れた雄ねじ体１０を、その下端部分が雌ねじ体１
１の下端から突出する状態に、雌ねじ体１１に螺
着させてある。

なお、この状態では、移動壁５したがつて上部
枠６が懸吊具４したがつて雌ねじ体１１に皿バネ
１５…を介して受け止め支持されている。また、
移動壁５の上端から突出されている雌ねじ体１１
の上端部には、スパナ操作用の例えば横断面四角
形回転操作部１１ｂが形設されており、一方、雄
ねじ体１０の下端部に形成せる貫通孔１０ｂに、
上部枠６に捲着せる回じ止め杆１７の端部が挿着
されており、これにより雄ねじ体１０の回転阻止
がされている。

また、前記枠体つまり上部枠６の上面には、板
状の回転阻止体１８が備え付けられているととも
に、該回転阻止体１８の有する嵌合切溝１８ｂで
前記雌ねじ体１１の回転操作部１１ｂを嵌合保持
している。すなわち、この回転阻止体１８は、前
記回転操作部１１ｂを所定の位置で回転不能にさ
せるための前記回転操作部１１ｂの角形外周縁と
嵌合保持しうる嵌合切溝１８ｂ（本実施例では矩
形状に切り込み形成したもの）が上板部１８ａに
形成されていると共に、該上板部１８ａから斜め
下方へ折曲形成された折曲板部１８ｃの他端部を
蝶番１９を介して上部枠６に枢着して、前記回転
操作部１１ｂに係脱させるべく傾動可能に備え付
けられている。なお、前記蝶番１９には、線細工
ばね２０が介挿させてあり、この線細工ばね２０
は前記回転阻止体１８を嵌合切溝１８ｂが前記回
転操作部１１ｂに嵌合する方向に弾圧附勢を行な
つて、該回転阻止体１８が不意に回転操作部１１
から離脱しないようにされている。

次に上記における実施例の作用を説明する。

移動壁４の高さ調節を行う場合には、まず回転
阻止体１８を、嵌合切溝１８ｂが雌ねじ体１１の
回転操作部１１ｂから離脱する後方へ傾動させ、
回転操作可能位置までもたらしておく。そして、
この状態で前記回転操作部１１ｂをスパナ等の工
具により回転操作させて、雌ねじ体１１を回転さ
せると、雄ねじ体１０が回り止め杆１７によつて
回転不能に保持されていることから、雌ねじ体１
１が上方或いは下方へ螺送されて、移動壁５の高
さが容易に調節される。

高さ調節終了後は、前記回転阻止体１８を前方
へ傾動させて、嵌合切溝１８ｂが前記回転操作部
１１ｂに嵌合される回転阻止位置までもたらして
おく。

この状態では、回転操作部１１ｂが回転阻止体
１８によつて回転不能に保持されているから、移
動壁５からの衝撃、自重等の影響を受けて雌ネジ
体１１が不測に回転せしめられる虞れは皆無とな
る。

したがつて、移動壁５の高さは、当初に調節さ
れた状態のまゝ変化することなく維持できること
になる。

なお、前記実施例では第２図に示すように、上
部枠６は筒状の雌ねじ体１１に皿ばね１５…を介
して受け止め支持されており、一方、上部枠６に
捲着された回り止め杆１７を杆状の雄ねじ体１０
に形成した貫通孔１０ｂに挿着して雄ねじ体１０
の回転阻止を行なつているが、本考案はこのよう
な構成のものに限られるものではなく、例えば前
記皿ばね１５…を排除して直接前記上部枠６に雌
ねじ体１１を溶接固着し、一方、前記回り止め杆
１７を排除して雄ねじ体１０の上部に回転操作部
を形設すると共に、該回転操作部に前記回転阻止
体１８を嵌合せしめるものであつても本考案は適
用できるものである。なお、上記の実施例におけ
る作用も、前述した作用と同様になることは勿論
である。

また、前記実施例では、回転操作部１１ｂとそ
れに嵌合する回転阻止体１８の嵌合切溝１８ｂと
をそれぞれ四角形状のものとしたが、本考案はこ
のようなものに限らないのは勿論であり、例えば
三角形状、六角形状、星型形状等に形成したもの
であつても同様に適用できるものである。

以上のように本考案は、回転操作される側の雌
ねじ体又は雄ねじ体の回転操作部に、回転不能に
嵌合保持する嵌合切溝を有した回転阻止体を嵌合
させているので、たとえ移動壁からの衝撃力、自
重等が加わつても移動壁の高さ調節がくるうこと
はない。また、回転操作部に嵌合切溝を嵌合させ
て回転を阻止しているから、回転操作部を操作す
る際には必然的に前記嵌合を解除することにな
り、回転阻止体により回転を阻止したままの状態
で回転操作部を操作してしまうようなことがな
い。さらに板状の回転阻止体に形成した嵌合切溝
が回転操作体に嵌合することにより回転を阻止し
ているから、例えばねじ体に線条材やピン等の爪
部材を係合さて回転を阻止しようとした場合に比
べ、その回転阻止力は遥かり大きく回転阻止機能
としての信頼性が極めて高いものである。

さらにまた、従来のものにおいても必ず設へら
れている回転操作部を利用してネジ体の回転を阻
止させるようにしているから、既存の装置も回転
阻止体を設けるだけで簡単に本願考案による装置
に改良することができる。

しかも、前記回転阻止体の嵌合切溝が、雌ねじ
体又は雄ねじ体の回転操作部の後方に離脱した状
態で、該回転操作部をスパナ等で回転操作しうる
ので、再度移動壁の高さ調節を行なう場合にも該
回転阻止体が邪魔になることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案に係る懸吊支持装置の
一実施例を示すもので、第１図は一部断面にて示
した側面図、第２図は第１図の−線断面図、
第３図は本考案の要部を示す斜視図である。 １……走行体、４……懸吊具、５……移動壁、
６……上部枠（枠体）、１０……雄ねじ体、１１
……雌ねじ体、１１ｂ……回転操作部、１８……
回転阻止体、１８ｂ……嵌合切溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天井レールに保持された走行体に、上下方向に
   相対螺挿自在に螺合された杆状の雄ねじ体と筒状
   の雌ねじ体とを介して、移動壁を高さ調整可能に
   懸吊支持させてあり、前記両ねじ体のうちいずれ
   か一方を枠体に取り付けて回転不能に保持させる
   とともに、他方にこれを回転操作させるための角
   形短柱状の回転操作部を一体形設させてなる移動
   壁の懸吊支持装置において、前記枠体に蝶番を介
   して傾動可能に枢着される板状の回転阻止体を設
   け、この回転阻止体に傾動によつて前記回転操作
   部に係脱する嵌合切溝を形成するとともに、回転
   阻止体を前記蝶番取着部において前記嵌合切溝が
   回転操作部に嵌合する方向に弾圧附勢したことを
   特徴とする移動壁の懸吊支持装置。