JPS6248700B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は良好なIECトラツキング性を有すると
共に、機械特性のすぐれたポリエステル組成物に
関するものである。 エンジニアリング樹脂の１種であるポリアルキ
レンテレフタレートは機械的性質をはじめとする
すぐれた特性を生かして種々の用途に使用されて
おり、今後も自動車部品、電気部品などの分野に
おいて、その需要が一層拡がるものと予測され
る。 またポリアルキレンテレフタレートはそれ自
身、体積固有抵抗が大きいなどすぐれた電気的特
性を有しているが、使用される条件によつては一
層高度な電気的特性が期待され、とくに高電圧下
での使用においては、良好な耐トラツキング性が
要求される。さらにポリアルキレンテレフタレー
トを高電圧下の条件で使用する際に、表面の湿潤
や汚染などを併なう可能性がある場合にはIEC推
奨方法であるIECトラツキング試験において高い
値を有することが要求される。 一方、従来ポリマーにトラツキング特性を付与
する方法としては、各種の添加剤を添加する方法
が知られているが、いまだ満足できるレベルの
IECトラツキング特性が得られなかつたり、また
はIECトラツキング特性が向上する反面ポリマー
の機械的性質が低下するなどの問題があつた。 そこで本発明者らはエンジニアリングプラスチ
ツクとして有用なポリアルキレンテレフタレート
のIECトラツキング特性と機械的性質の両者を改
善することを目的として検討した結果、ポリアル
キレンテレフタレートに対し、特定の微小中空球
体を配合することによつて、上記目的が解決でき
ることを見い出し、本発明に到達した。 すなわち本発明はポリアルキレンテレフタレー
ト100重量部に対し、アルミナ、シリカ、ジルコ
ニアおよびマグネシアから選ばれた平均粒径２mm
以下の微小中空球体の少なくとも１種を３〜200
重量部配合してなる耐トラツキング性と機械的性
質の改善されたポリエステル組成物を提供するも
のである。 本発明において使用されるポリアルキレンテレ
フタレートとはテレフタル酸（あるいは、そのエ
ステル形成性誘導体）とジオール（あるいはその
エステル形成性誘導体）とを主成分とする縮合反
応により得られる重合体ないしは共重合体であ
る。なお酸成分の40モル％以下をテレフタル酸以
外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、フタル
酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸、
２・６−ナフタレンジカルボン酸、２・７−ナフ
タレンジカルボン酸、１・５−ナフタレンジカル
ボン酸、ビス（ｐ−カルボキシフエニル）メタ
ン、アントラセンジカルボン酸、４・4′−ジフエ
ニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボ
ン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、
コハク酸などの脂肪族ジカルボン酸、１・３−シ
クロヘキサンジカルボン酸、１・４−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸など
で置換してもよい。ポリアルキレンテレフタレー
トを形成するジオール成分は、一般式 HO（CH₂）_oOH （ｎ＝２〜12） で示されるものであり、これらの一種または二種
以上の混合物であつてもよい。 上記一般式で表わされるジオールとして代表的
なものはエチレングリコール、１・３−プロパン
ジオール、１・４−ブタンジオール、１・５−ペ
ンタンジオール、１・６−ヘキサンジオールが挙
げられる。 また、ジオール成分のうち、その一部をネオペ
ンチルグリコール、１・３−ブタンジオールなど
の他の脂肪族ジオール、１・４−シクロヘキサン
ジメタノールなどの脂環族ジオール、ハイドロキ
ノン、レゾルシンなどのジヒドロキシベンゼン
類、２・２−ビス（４−ヒドロキシフエニル）−
プロパン、２・２−ビス（４−ヒドロキシフエニ
ル）−スルホンなどのビスフエノールなど他種の
ジオールで置換してもよい。 また、ε−オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息
香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのオキシ
カルボン酸を少量共重合してもよい。 さらに、上記のポリアルキレンテレフタレート
に1.0モル％以下であれば、トリカルバリル酸、
トリメシン酸、トリメリツト酸などの三官能ある
いは四官能の多価カルボン酸、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど
の三官能あるいは四官能のアルコールなどのエス
テル形成能を有する分岐成分を共重合せしめても
よい。 具体的なポリアルキレンテレフタレートの例と
してはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリデ
カメチレンテレフタレートなどがあげられる。こ
れらのポリアルキレンテレフタレート中、特に好
ましいものは結晶化速度の速いポリブチレンテレ
フタレートである。 また、これらのポリアルキレンテレフタレート
は、0.5％のオルソクロロフエノール溶液を25℃
で測定したときの相対粘度が1.3〜1.8の範囲にあ
ることが好ましい。ポリアルキレンテレフタレー
トの相対粘度が1.3未満の場合は、十分な機械的
性質が得られず、また1.8以上では表面の光沢の
良好な成形品が得られないため、いずれも好まし
くない。 本発明において使用される微小中空球体は、
各々アルミナ（Al₂O₃）、シリカ（SiO₂）、ジルコ
ニア（ZrO₂）およびマグネシア（MgO）を主成分
とするものから選ばれた少なくとも一種であり、
第二成分以下の総量は10％未満であることが好ま
しい。これらの微小中空球体は一般に、原料素材
を融解し、その粘性と表面張力を利用して、空気
ジエツトによつて空気泡を包蔵させて球穀体を形
成することにより、製造される。 上記の微小中空球体は二種類以上併用してもよ
く、その添加量はポリアルキレンテレフタレート
100重量部当り３〜200重量部、好ましくは５〜
150重量部である。添加量が３重量部より少ない
とIECトラツキング性の改良が十分でなく、200
重量部を越えると機械的性質を損なう傾向がある
ため好ましくない。また上記の微小中空球体は一
般に粒子径が大きくなるとポリアルキレンテレフ
タレートとの混合時に破壊する傾向が大きくなる
ため、平均粒子径２mm以下、好ましくは500μ以
下のものを使用する必要がある。 本発明組成物の配合方法は特に限定されるもの
ではないが、好ましくは溶融状態のポリアルキレ
ンテレフタレートに微小中空球体を添加し、混合
する方法、ポリアルキレンテレフタレートと微小
中空球体とを予め混合し、次いで更に溶融混合す
る方法などが挙げられる。微小中空球体をあらか
じめ、シラン系あるいはチタン系などのカツプリ
ング剤で処理して用いてもよい。 本発明組成物には、本発明の目的を損なわない
範囲でさらに他の各種の添加剤を配合することが
できる。これら他の添加剤としては例えばガラス
繊維（中空であつてもよい）、アスベスト繊維、
岩綿などの繊維状強化剤、炭酸カルシウム、ケイ
砂、ベントナイト、カオリン、タルク、クレー、
ワラステナイト、硫酸バリウム、ガラスビーズ、
マイカなどの粒状の強化剤、充填剤、核化剤ある
いは酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑
剤、離型剤、染料および顔料を含む着色剤、難燃
剤（ハロゲン系、リン系など）、難燃助剤（三酸
化アンチモンに代表されるアンチモン化合物、酸
化ジルコニウム、、酸化モリブデンなど）、発泡
剤、架橋剤（例えば、多価のエポキシ化合物、イ
ソシアネート化合物、酸無水物、など）などが挙
げられる。また他の合成樹脂（例えば、ポリエス
テル、ポリアミド、ボリカーボネート、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル
樹脂、エチレン／酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン／メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレ
ン／酢酸ビニル／メタクリル酸グリシジル共重合
体、エチレン／プロピレン共重合体、プリブタジ
エン、フエノール樹脂、シリコーン樹脂など）を
本発明の目的を損なわない範囲で１種以上ブレン
ドしてもよい。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 実施例 １ 相対粘度が1.48のポリブチレンテレフタレート
100重量部に対し、ガラス繊維（３mmチヨツプス
トランド）30重量部と表１に示す微小中空球体を
添加し、250℃に設定した30mmφスクリユー押出
機により溶融混合−ペレタイズした。得られたポ
リエステル組成物をスクリユーインライン型５オ
ンスの射出成形機を用いて、成形温度250℃、金
型温度80℃、形成サイクルを射出15秒、キユアリ
ング20秒として成形し、厚さ1/8インチ、100mmφ
の円板および厚さ1/8インチ、幅1/2インチ、長さ
５インチの曲げ試験片を各々得た。 IECトラツキング試験は上記の円板を使用し、
IEC publication 112に従つて測定して比較トラ
ツキング指数（CTI値と略）を求めた。この試験
方法においては交流電圧下に一定濃度の塩化アン
モニウム水溶液を滴下し破壊に到るまでの滴数を
求め、50滴に対応する電圧をCTI値とする。 また上記の曲げ試験片を使用し、ASTM D790
に従つて曲げ試験を行ない曲げ強さおよび曲げ弾
性率を求めた。

【表】

【表】 表１から明らかなように微小中空球体を添加す
ることによつてIECトラツキング性が大きく向上
し、機械的性質にも優れたポリエステル組成物が
得られることがわかる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリアルキレンテレフタレート100重量部に
   対し、アルミナ、シリカ、ジルコニアおよびマグ
   ネシアから選ばれた平均粒径２mm以下の微小中空
   球体の少なくとも１種を３〜200重量部配合して
   なるポリエステル組成物。