JPS6246877Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、フアン本体およびフアンボスを鋼
板製とし、フアンボスのフランジを上記フアン本
体に固定する鋼板製フアンに関するものである。

従来、鋼板製フアンを回転軸に取付けるための
支持方式としては、第１図及至第３図に示すもの
があつた。これらの図において、１は鋼板製のフ
アンボス、２は鋼板製のフアン本体であり、フア
ンボス１の軸３に嵌まる部分の上下両側にフラン
ジ１ｃを設け、これらのフランジ１ｃに形成した
抜き穴１ａにフアン本体２に形成したバーリング
部２ａに嵌めてかしめ付け、フアンボス１とフア
ン本体２とを一体に固定している。そして、軸３
にフアン本体２およびフアンボス１を嵌合させ、
このボス１の軸３の軸方向と平行に設けた穴１ｄ
に締付ねじ４をねじ嵌合させ、このねじ４の先端
部を軸３の凹部３ａに係合させて締付け固定する
ことにより、フアンを軸３に固定していた。

しかし、前述のように構成した従来の鋼板製フ
アンは、回転機が始動、停止あるいは正転、逆転
を操返すと、締付ねじ４を介してフアンボス１と
フアン本体２とのかしめ付け部に衝撃荷重が作用
するために、かしめ部が緩んで破損する恐れがあ
つた。これを防止する対策として、フアンボス１
とフアン本体２とを補強溶接すると、工数が増加
し、またフアン本体の板厚を増し単体の強度向上
をはかつたり、あるいはかしめ付け部の数を増加
することが考えられるが、これらは材料費が高く
なつたり、かしめ工数が増加したりするという問
題がある。

また、バーリング押出部２ａの外周と、これが
嵌合する抜き穴１ａの内周間には必ず隙間があ
り、このため、バーリング部２ａをかしめ加工す
ると、フアンボス１の軸嵌合穴中心とフアン本体
２の軸嵌合穴中心がずれて偏心するおそれがあ
り、この偏心状態で軸嵌合穴に軸３を嵌合してフ
アンを固定し回転した場合、フアンが振れ回転し
て振動および騒音発生の原因となつてしまう。

そこで、従来は、フアンボス１とフアン本体２
とを特殊治具により保持することで、かしめに伴
う偏心を防止するようにしている。しかし、この
方式を利用しても、かしめ時の変形応力でフアン
ボスとフアン本体との中心を偏心させようとする
力が発生し、かしめ後の特殊治具の取外しが困難
になり、作業性が悪くなるほか、最悪の場合に
は、特殊治具を取外した後にフアンとボスとの中
心がずれてしまう問題がある。

また、鋼板製フアンを回転軸に取付ける別の手
段として、実開昭54−153402号公報に示すものが
ある。これはフアンボスのフランジおよびフアン
本体のいずれか一方に半抜き押出部を、他方に抜
き穴をそれぞれ形成し、これらを互いに嵌合する
ことによりフアンボスとフアン本体とを定着結合
するものである。従つて、フアンが回転した場
合、その反抗トルクが上記突部と穴部との嵌合部
に作用し、特に始動、停止等による衝撃トルクが
作用した場合には、その衝撃トルクに耐えられな
くなつた嵌合部が破損する危険性があつた。

この考案は上記のような問題を解決するために
なされたもので、フアンボスとフアン本体の取付
強度を向上させた鋼板製フアンを得ることを目的
とする。

この考案は上記目的を達成するために、フアン
ボスのフランジに、軸の直径延長線を中心とする
抜き穴と、抜き穴の軸回転方向両側方に半抜き押
出部とを形成し、抜き穴の中心と半抜き押出部の
中心とにより三角形状を形成するようにし、半抜
き押出部をフアン本体に形成した係合穴に嵌合さ
せ、フアン本体に形成したバーリング部を抜き穴
に係合させてかしめ付けたかしめ固定部を設けた
ものである。

この考案は、上記構成により、バーリング部の
かしめによる変形応力でフアンボスとフアン本体
の相対位置関係を狂わすことを、回転方向と半径
方向の両方について防止でき、フアンボスの軸穴
とフアン本体の軸穴との中心を一致状態に確保で
きるものである。

以下、この考案の一実施例を第４図、第５図に
基いて説明する。これらの図において、１はフア
ンボス、２はフアン本体、３は軸である。前記フ
アンボス１は、ほぼ短冊状鋼板を横断面〓状に形
成したものからなり、開口端から外方へ直角に折
曲がるフランジ１ｃには、軸３の直径延長線を中
心とする抜き穴１ａと、抜き穴１ａの軸３回転方
向両側方に位置する半抜き押出部１ｂとが形成さ
れている。即ち、これら抜き穴１ａおよび半抜き
押出部１ｂは、抜き穴１ａを頂点とする三角形状
に配設されている。また、前記フアン本体２は鋼
板材から成形されるもので、その中央平板部に
は、上記抜き穴１ａおよび半抜き押出部１ｂにそ
れぞれ対応してバーリング部２ａおよび抜き穴か
らなる係合穴２ｂが形成されている。

なお、前記半抜き押出部１ｂの突出高さは、フ
アンボス１の板厚の50％程度にすることが好まし
い。

上記のように構成されたフアンボス１とフアン
本体２とを結合する場合は、まず、フアンボス１
のフランジ１ｃの抜き穴１ａをフアン本体２のバ
ーリング部２ａに係合させて、フランジ１ｃをフ
アン本体２の中央平板部に重ね合わせると共に、
各半抜き押出部１ｂをそれぞれぞれのケ合穴２ｂ
に押込み係合させてフアンボス１とフアン本体２
とを相対的に位置決めする。即ち、フアンボス１
の軸穴１ｅとフアン本体２の軸穴２ｅとの軸心が
互いに一致する状態に予め位置決めし結合する。
その後、バーリング部２ａをかしめ加工すること
により、かしめ固定部を設けてフアンボス１のフ
ランジ１ｃとフアン本体２とを一体に固定する。
また、軸３はフアンボス１の軸穴１ｅおよびフア
ン本体２の軸穴２ｅに嵌合しており、締付けねじ
４は、フアンボス１の軸３と平行な部分に設けた
穴１ｄにねじ嵌合させ、かつ先端部を軸３の外周
面に設けた凹部３ａに係合させて締付け、フアン
を軸３に固定している。

なお、この実施例では、かしめ固定部を円形の
ものを示したが、楕円状のかしめ固定部としても
よく、楕円状とするとフアンボス１とフアン本体
２が摩擦係合する面積を大きくでき結合を強固に
できる。

以上説明したように、この考案による鋼板製フ
アンは、フアンボス１のフランジ１ｃに、軸３の
直径延長線を中心とする抜き穴１ａと、抜き穴１
ａの軸回転方向両側方に半抜き押出部１ｂ，１ｂ
とを形成し、抜き穴１ａの中心と半抜き押出部１
ｂ，１ｂの中心とにより三角形状を形成するよう
にし、半抜き押出部１ｂ，１ｂをフアン本体２に
形成した係合穴２ｂに嵌合させ、フアン本体２に
形成したバーリング部２ａを抜き穴１ａに係合さ
せてかしめ付けたかしめ固定部を設けたものであ
り、この構成により、バーリング部２ａのかしめ
による変形応力でフアンボス１とフアン本体２の
相対位置関係を狂わすことを、回転方向と半径方
向の両方について防止でき、フアンボス１の軸穴
とフアン本体２の軸穴との中心を一致状態に確保
できるものである。

従つて、この考案によれば、バーリング部のか
しめに伴うフアンボスとフアン本体との中心ずれ
を未然に防止でき、フアンボスとフアン本体の取
付強度を向上させることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の鋼板製フアンの一例を示す正面
図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、第
３図はフアンボスの拡大正面図、第４図はこの考
案の一実施例による鋼板製フアンのフアンボス部
の拡大正面図、第５図は第４図の−線に沿う
断面図である。 １…フアンボス、１ａ…抜き穴、１ｂ…半抜き
押出部、１ｃ…フランジ、２…フアン本体、２ａ
…バーリング部、２ｂ…係合穴、３…軸、４…締
付けねじ。なお、図中同一符号は同一または相当
部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心部に軸３が嵌まるフアン本体２と、上記軸
   ３が嵌まる部分の両側方にフアン本体２に固定す
   るフランジ１ｃが形成されたフアンボス１とを、
   それぞれ鋼板製とし、フアンボス１に軸３の軸方
   向と平行に形成した部分に設けた穴１ｄに締付ね
   じ４を締付け、このねじ４の先端部を軸３の外周
   面に設けた凹部３ａに係合させたフアンにおい
   て、フアンボス１のフランジ１ｃに、軸３の直径
   延長線を中心とする抜き穴１ａと、抜き穴１ａの
   軸３回転方向両側方に配置した半抜き押出部１
   ｂ，１ｂとを、抜き穴１ａの中心と半抜き押出部
   １ｂ，１ｂの中心とにより三角形状を形成するよ
   うに配設し、上記半抜き押出部１ｂ，１ｂをフア
   ン本体２に形成した係合穴２ｂ，２ｂに嵌合さ
   せ、フアンボス１をフアン本体２に位置決め結合
   すると共に、フアン本体２に形成したバーリング
   部２ａを抜き穴１ａに係合させてかしめ付けたか
   しめ固定部を設けたことを特徴とする鋼板製フア
   ン。