JPS6246874Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、複数の圧縮機を並列接続した冷凍装
置の改良に関するものである。

複数の圧縮機を並列に接続して能力制御を行な
うようにした冷凍装置においては、各圧縮機内の
潤滑油量を適量に保つことが圧縮機の焼付を防止
する上で重要である。

第１図は従来の冷凍装置の一例を示すもので、
１ａ，１ｂは、吐出管２及び吸入管３に対して並
列に接続した圧縮機、４は凝縮器、５はレシー
バ、６は膨張弁、７は蒸発器、８は油分離器、９
は冷媒配管、１０は圧縮１ａ，１ｂのクランク室
間を接続する均圧・均油管、１１は例えば１台の
圧縮機が修理のため分解され、他の圧縮機みで運
転する場合等に閉じられ、それ以外の通常運転時
には常に開らかれているストツプ弁であり、圧縮
機１ａ，１ｂのクランク室は太い水平な均圧・均
油管１０で接続され、吸入管３からの潤滑油の戻
りが不均一であつても、両圧縮機１ａ，１ｂのク
ランク室内の油面が同一（水平）になるように構
成されている。

上記において、２台の圧縮機１ａ，１ｂが同時
運転されているときは、両圧縮機の油面は適正に
なつているが、１台のみの運転では、停止中の圧
縮機のクランク室内圧力が、運転中の圧縮機のク
ランク室内圧力より高く、停止中の圧縮機のクラ
ンク室内潤滑油が運転中の圧縮機のクランク室内
へ均圧・均油管を通つて流れる。また、停止中の
圧縮機の高いクランク室内圧力が運転中の圧縮機
のクランク室内圧力を高め、クランク室内圧力が
モータ室内圧力より高くなるおそれがあつた。

このため、長期間運転を続け、いままで停止さ
れていた圧縮機をあらたに運転すると、潤滑油不
足による摺動部の焼付事故の危険性があると共に
運転中の圧縮機において、モータ室からクランク
室へ油が流れ込まない現象が生じ、停止中の圧縮
機と同様焼付事故の危険性があつた。

本考案は、上記した点に鑑み提案されたもの
で、その目的とするところは、圧縮機内の潤滑油
を適正に確保し、焼付事故を確実に防止すること
のできる冷凍装置を提供することにある。

本考案は、複数の圧縮機を並列接続した冷凍装
置において、前記各々の圧縮機の吸入室とクラン
ク室の均圧通路断面積Ａと、モータ室とクランク
室の返油通路断面積Ｂと、各圧縮機のクランク室
間を接続する均油通路断面積Ｃとの関係をＡ＞Ｂ
＞Ｃとすると共に前記均油管を各圧縮機における
クランク室の適正高さ油面付近に開口接続したこ
とを特徴とする冷凍装置を要旨とするもので、上
記によると、停止中の圧縮機があつて、同圧縮機
のクランク室内に油が入つてきたとしても、クラ
ンク室内圧力の差圧により、停止中の圧縮機から
運転中の圧縮機へ返油でき、この際、均油通路は
クランク室の適正高さ油面付近に開口接続されて
いるため、圧縮機が運転中、停止中を問わず、適
正油面以下に他の圧縮機へ潤滑油が流出するおそ
れがなく、また、均圧通路、返油通路及び均油通
路の断面積の関係が上記のように設定されている
ため停止中の圧縮機があつても圧縮機起動時を除
き、運転中の圧縮機のクランク室内圧力はモータ
室内圧力より低くなるので、モータ室内に潤滑油
が溜るおそれがなく、潤滑油不足による摺動部の
焼付事故を確実に防止することができる。

以下、本考案を図示実施例に基いて説明する。
複数の圧縮機を並列接続した冷凍装置のサイクル
図は、第１図に示したものと同様であり、第２図
に本実施例において用いる圧縮機の断面図を、第
３図に要部の拡大断面図を示す。

クランク室２０には圧、均油用通路として、モ
ータ室２１との間にチエツク弁２２が設けられ、
また、吸入室２３との間には均圧管２４が設けら
れている。

また、モータ室２１と吸入室２３との間には吸
入通路２５が設けられている。なお、吸入室２３
は吸入弁直前の空洞で、クランク室２０、モータ
室２１より圧力が低くなつている。さらに、他の
圧縮機との間で、潤滑油の油面の適正化を計るた
め、均油装置２６が設けられている。この均油装
置２６は、クランクケース２７の側壁の穴部にボ
ルト２８を介して取付けられたつば部２９、同つ
ば部２９に、クランク室２０内に適正高さの油面
３０が得られるように取付けられた小穴３１を有
するニツプル３２、他の圧縮機のニツプル３２と
の間に接続された小径の均油用水平管３３、つば
部２９のクランク室内側にロー付け又は圧入等に
より取付けられた油面安定筒３４、同油面安定筒
３４の端部にロー付けされた複数の小穴３５を有
する端板３６、及び油面安定筒３４内に端板３６
により形成された空洞３７から構成されている。

なお、適正高さの油面３０とは、運転停止時の
油面を許容油面高さにおさえる、概ね運転時の油
面高さの3/4の位置とする。

また、均圧管２４の通路断面積Ａと、チエツク
弁２２の通路断面積Ｂ（弁全開時の最小通路断面
積）と、均油用小穴３１の断面積Ｃとの関係がＡ
＞Ｂ＞Ｃとなるように設定されると共にＢ＋Ｃの
通路断面積がＡの通路断面積以下で、概ね1/4に
なつている。

さらに、均油用水平管３３及び同管中に設けら
れたストツプ弁は従来のものより小さくなつてお
り、従来の水平管の管径が30mmであるのに対し、
本実施例では６mmとなつている。

上記構成によると、油面安定筒３４は、はねか
け式給油方式のようにクランク室２０内に多量の
油滴がある場合でも端板３６の小穴３５と空洞３
７との作用により空洞３７内の油面変動を抑える
ことができ、停止中の圧縮機のクランク室に例え
ば吐出弁漏れ等によりわずかに潤滑油が入つて来
たとしても両圧縮機クランク室内の圧力の差圧
（停止中の方が圧力が高い）を利用し、停止中の
圧縮機の適当な油面高さ位置から、少量ずつ均油
用水平管３３を介して運転中の圧縮機へ返油させ
ることができる。

また、均圧、均油用通路としての均圧管２４、
チエツク弁２２、及び小穴３１の通路断面積Ａ，
Ｂ，ＣをＡ＞Ｂ＞Ｃとなるようにしているため、
停止中の圧縮機があつても圧縮機起動時を除き運
転中の圧縮機のクランク室２０内の圧力をモータ
室２１内の圧力より低くすることができる。

従つて、圧縮機が運転中、停止中を問わず適正
油面以下に他の圧縮機へ潤滑油が流出するおそれ
はなく、常にクランク室内に適正量の潤滑油を確
保できると共に、クランク室内の圧力がモータ室
内の圧力より高くなつて、モータ室内に潤滑油が
溜るおそれがなく、潤滑油不足による摺動部の焼
付事故を確実に防止することができる。

また、均油用水平管３３及び同管中のストツプ
弁を小サイズ化できるためコストダウンを計るこ
とができ、さらには、圧縮機の据付高さの許容差
を大きくできるため、据付性を向上させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のものの一例を示す構成図、第２
図は本考案の実施例において用いる圧縮機の断面
図、第３図はその要部の拡大断面図である。 １ａ，１ｂ：圧縮機、４：凝縮器、６：膨張
弁、７：蒸発器、２０：クランク室、２１：モー
タ室、２２：チエツク弁、２３：吸入室、２４：
均圧管、２６：均油装置、３１：小穴、３３：均
油用水平管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の圧縮機を並列接続した冷凍装置におい
   て、前記各々の圧縮機の吸入室とクランク室の均
   圧通路断面積Ａと、モータ室とクランク室の返油
   通路断面積Ｂと、各圧縮機のクランク室間を接続
   する均油通路断面積Ｃとの関係をＡ＞Ｂ＞Ｃとす
   ると共に前記均油通路を各圧縮機におけるクラン
   ク室の適正高さ油面付近に開口接続したことを特
   徴とする冷凍装置。