JPS6245999Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動二輪車のドライブチエーンの張
りを調整するチエーンアジヤスタに関するもので
ある。

なお、本明細書中、自動二輪車とは、自動二輪
車、同三輪車等のリヤホイールをリヤフオークで
支持する構造を有する跨乗型走行車輛を意味して
いる。

従来技術 チエーンアジヤスタは、トランスミツシヨンの
出力軸に配設されたドライブスプロケツトとリヤ
ホイールに一体に取りつけられたドリブンスプロ
ケツト間に架度されたドライブチエーンの張り具
合を調整するもので、同チエーンアジヤスタはリ
ヤホイールを枢支する左右リヤフオークパイプ内
に摺動可能に嵌装されており、チエーンアジヤス
タおよびリヤホイールを一体に貫通してアクスル
シヤフトが取りつけられている。

しかして従来のチエーンアジヤスタは上下にリ
ブを突出して形成し、該リブをリヤフオークパイ
プ内に接触させることによりチエーンアジヤスタ
の上下位置決めを行ない、その結果リヤホイール
の上下位置決めを行なつていた。

考案が解決しようとする問題点 そのため前記チエーンアジヤスタをリヤフオー
クパイプに挿入するに際して、前記リブが妨げと
なり、挿入組み付けに手間を要していた。

また、前記した作業でリヤフオークパイプ内に
嵌装した左右チエーンアジヤスタとリヤホイール
とを一体に貫通してアクスルシヤフトで通すため
に、左右チエーンアジヤスタおよびリヤホイール
に芯ずれがないことが必要である。しかるに、左
右チエーンアジヤスタの上下位置はリヤフオーク
パイプとの当接により決まつてしまうため、左右
チエーンアジヤスタおよびリヤフオークパイプ内
面のいずれの寸法精度も所定の精度に維持しなけ
れば両者間の芯ずれを防止できなかつた。その結
果、加工コスト上昇の要因となつていた。

さらに従来のチエーンアジヤスタは、別体のア
ジヤストボルトをアルミダイカスト等により一体
に鋳込んでいたため、加工が困難であり、製作コ
ストが比較的高かかつていた。

なおリブを有しないものとして、断面が略長方
形で中央に孔を設けたパイプ状の押出し材を軽合
金で形成して所定の巾に切断してアジヤスタ金具
とした例がある。

軽合金を押出し機でパイプ状に押出して成形す
るので寸法精度に優れ芯ずれを防止することがで
きるが前記の如く押出し材を所定の巾に切断した
後、同成形材に横孔を設けて後端にボルトを連結
しなければならず、その横孔はボルトの頭部が略
正確に嵌合するように形成する必要があり、加工
が困難である。

また該アジヤスタ金具は左右対称形状をしてい
るため、リヤフオークパイプに嵌装するときに左
右反対に嵌装するおそれがあり、そのため嵌装後
アジヤスト用目盛が見えないといつた不具合も生
じ易い。

問題点を解決するための手段および作用 本考案はこのような難点を克服したチエーンア
ジヤスタの改良に係り、その目的とする処は、リ
ヤフオークパイプに左右間違うことなく容易に嵌
装することができ、しかもリヤホイールの組付け
作業性が良好で、簡単な構造のチエーンアジヤス
タを供することにより、組立コストおよび製作コ
ストの低減をはかることにある。

すなわち本考案は、リヤフオークパイプ内に摺
動可能に嵌装されたチエーンアジヤスタにおい
て、プレス成形によりコ字状に屈曲された成形材
の一方の側部片が他方の側部片より幅広でかつ先
細状に形成されており、その両側部片をアクスル
シヤフトにより嵌合されスライダと、該スライダ
ーに一体に固着されたアジヤスタボルトからなり
前記スライダの何れか一方の側部片にアジヤスト
用目盛を設けたチエーンアジヤスタである。

プレス成形によりコ字状に屈曲成形されたスラ
イダにアジヤストボルトを固着するというように
加工が極めて簡単である。

該スライダは一方の側部片が他方の側部片より
幅広でかつ先細状に形成されていることからリヤ
フオークパイプへの嵌装に際し、左右を間違える
誤組のおそれはなくかつ組付け性が良い。

実施例 以下第１図ないし第８図に図示する本考案の一
実施例について説明する。

１は自動二輪車で、同自動二輪車１のフレーム
２には、その前端にヘツドパイプ３が一体に固着
されており、同ヘツドパイプ３に前輪５を支持す
るフロントフオーク４が操向自在に枢支されてい
る。そして前記フロントフオーク４の上端に配設
されたトツプブリツジ６上にハンドル７が配設さ
れている。

前記フレーム２はヘツドパイプ３の上部から後
方に若干下傾して延出されるメインパイプ８、前
記ヘツドパイプ３の下部から垂下されたダウンチ
ユーブ９、同ダウンチユーブ９の下端から左右に
分岐されて後方へ延出されたダウンチユーブロア
１０、同ダウンチユーブロア１０と前記メインパ
イプ８の後端とが接続されるセンターパイプ１
１、同センターパイプ１１のメインパイプ８との
接続部近傍から後方へ延出されたシートレール１
２、前記センターパイプ１１とシートレール１２
とが連結されるサブチユーブ１３等から構成され
ている。そしてメインパイプ８、ダウンチユーブ
９、ダウンチユーブロア１０およびセンターパイ
プ１１で囲まれた空間内にエンジン１４が配設さ
れている。

また前記センターパイプ１１の下部にはボトム
プレート１５が一体に固着されており、同ボトム
プレート１５によりリヤフオーク１６が揺動自在
に枢支されている。

すなわち第２図に図示されるように、リヤフオ
ーク１６は支持パイプ１７と同支持パイプ１７の
両端近傍に固着されて後方へ延びたリヤフオーク
パイプ１８等からなつており、同支持パイプ１７
内にカラー１９、プツシユ２０，２０を装着し、
さらに同支持パイプ１７および前記ボトムプレー
ト１５にピポツトボルト２１を挿通し、キヤツプ
３８を介してナツト２２を締着することにより、
リヤフオーク１６はボトムプレート１５に枢支さ
れている。なお３９はチエーンスライダである。

さらに左右リヤフオークパイプ１８の後端部に
はブラケツト２３が添設されており、同ブラケツ
ト２３にリヤクツシヨン２４の下端が取りつけら
れ、同リヤクツシヨン２４の上端は、シートレー
ル１２およびサブチユーブ１３に一体に固着され
たブラケツト２５に取りつけられている。

さらにまた、前記リヤフオークパイプ１８内に
摺動可能に嵌装されるチエーンアジヤスタ２６は
第６図ないし第８図に図示されるように、鋼板を
コ字形状にプレス成形したスライダ２７と、同ス
ライダ２７の側部片２７ａ，２７ｂ間に一体に固
着されたカラー２８と、側部片２７ａ，２７ｂを
連結している連結部片２７ｃに一体に固着された
アジヤストボルト２９からなり、側部片２７ａの
上下端は内方に折曲されるとともに、同側部片２
７ａは先端（連結部片２７ｃと反対側）に向かつ
て次第に先細状に形成されている。

また前記側部片２７ａ，２７ｂにおいて、カラ
ー２８が固着された部分は、カラー２８の内径と
ほぼ同径のボルト挿通孔２７ｄが形成されてい
る。そして前記側部片２７ａには、左右チエーン
アジヤスタ２６，２６のアジヤスタ位置を合わせ
るために刻印Ｓが打刻されている。

一方、前記左右リヤフオークパイプ１８，１８
の後端部近傍には、側方より貫通して長溝１８ａ
がそれぞれ形成されており、同長溝１８ａよりア
クスルシヤフト３０が挿通されるようになつてい
る。

しかして第２図ないし第５図に図示するよう
に、左右チエーンアジヤスタ２６，２６をそれぞ
れ左右リヤフオークパイプ１８，１８内に挿入
し、アジヤストボルト２９，２９にキヤツプ３
４，３４を嵌装するとともに、同キヤツプ３４，
３４を左右リヤフオークパイプ１８，１８の開口
端に嵌合し、さらに左右リヤフオークパイプ１
８，１８間にリヤホイール３１を嵌装する。

このときリヤホイール３１に一体に取りつけた
ドリブンスプロケツト３２とトランスミツシヨン
の出力軸に配設したドライブスプロケツト（図示
せず）間にドライブチエーン３３を架渡する。そ
して左右リヤフオークパイプ１８，１８の長溝１
８ａ，１８ａ、左右チエーンアジヤスタ２６，２
６およびアクスルカラー３５を装着したリヤホイ
ール３１をそれぞれ挿通して前記アクスルシヤフ
ト３０を装着し、ドライブチエーン３３の張り具
合を最適の状態にするため、左右チエーンアジヤ
スタ２６，２６の位置を調整し、位置が決まつた
ら、アクスルナツト３６を締付ける。

このとき左右チエーンアジヤスタ２６，２６の
刻印Ｓが同位置になるように位置決めがなされ
る。そして最後にアジヤストボルト２９に螺合し
たアジヤストナツト３７を締め付ければチエーン
アジヤスタ２６は堅固に固定できる。

このようにしてリヤフオーク１６に装着された
リヤホイール３１は、アクスルシヤフト３０によ
り回転自在に軸支され、同アクスルシヤフト３０
はリヤフオークパイプ１８の長溝１８ａに直接支
持されており、第３図に図示されるようにチエー
ンアジヤスタ２６とリヤフオークパイプ１８の上
下面には隙間が形成されていて、このチエーンア
ジヤスタ２６はアクスルシヤフト３０の上下の位
置決めには関与しないようになつている。

第１図ないし第８図に図示された実施列は前記
したようにチエーンアジヤスタ２６は鋼板をプレ
ス成形したスライダ２７と、同スライダ２７の側
部片２７ａ，２７ｂ間に一体に固着されたカラー
２８と、側部片２７ａ，２７ｂを連結している連
結部片２７ｃに一体に固着されたアジヤストボル
ト２９からなつており、従来のようにアジヤスト
ボルトをアルミダイカスト等により一体に鋳込む
必要がなく、スライダ２７にカラー２８とアジヤ
ストボルト２９を溶接等により固着するだけで製
作できる。したがつて製作コストの低減をはかる
ことができるとともに、材質も鋼材を使用するこ
とができるため、この点からもコスト低減をはか
ることができる。

また本実施例においては、チエーンアジヤスタ
２６のリヤフオークパイプ１８への挿入端側を次
第に先細状にしたため、同チエーンアジヤスタ２
６をリヤフオークパイプ１８内へ挿入し易く組付
作業性が良好となり、組立コストの低減をはかる
ことがでる。

チエーンアジヤスタ２６自体左右非対称な形状
をしているのでリヤフオークパイプ１８への挿入
に際し左右を間違えて挿入するおそれはなく、し
たがつて挿入後、アジヤスト用目盛が見えないと
いうような不具合は生じない。

さらに本実施例では、リヤフオークパイプ１８
の上下面とチエーンアジヤスタ２６との間には、
隙間があり、同チエーンアジヤスタ２６を上下に
移動させることができるため、左右チエーンアジ
ヤスタ２６，２６およびリヤホイール３１の芯ず
れを調整することができ、アクスルシヤフト３０
をチエーンアジヤスタ２６，２６およびリヤホイ
ール３１に容易に嵌入することができる。したが
つて組立作業性が良好となり、またリヤフオーク
パイプ１８および同リヤフオークパイプ１８に嵌
装されるチエーンアジヤスタ２６の寸法精度が多
少悪くても、前記したようにチエーンアジヤスタ
２６を上下に適宜に移動させることにより芯ずれ
を解消することができるため、チエーンアジヤス
タ２６およびリヤフオークパイプ１８の加工コス
ト低減も期待できる。

考案の効果 本考案は、プレス成形等で一体成形したスライ
ダにアジヤストボルトを固着するだけでチエーン
アジヤスタを製作できるため、該チエーンアジヤ
スタの製作性が極めて良好であり、製作コストの
低減をはかることができる。

またスライダの一方の側部片が他方の側部片よ
り幅広でかつ先細状に形成されて左右非対称であ
るので誤組を防止し、かつ先細状であるので組付
性が良く組立てコストの低減をはかることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るチエーンアジヤスタの一
実施例を使用した自動二輪車の側面図、第２図は
同実施例における要部分解斜視図、第３図はその
要部縦断側面図、第４図はその縦断平面図、第５
図は第３図における−線に沿つて截断した断
面図、第６図は同実施例におけるチエーンアジヤ
スタの右側面図、第７図はその平面図、第８図は
その左側面図である。 １……自動二輪車、２……フレーム、３……ヘ
ツドパイプ、４……フロントフオーク、５……前
輪、６……トツプブリツジ、７……ハンドル、８
…メインパイプ、９……ダウンチユーブ、１０…
…ダウンチユーブフロア、１１……センターパイ
プ、１２…シートレール、１３……サブチユー
ブ、１４……エンジン、１５……ボトムプレー
ト、１６……リヤフオーク、１７……支持パイ
プ、１８……リヤフオークパイプ、１９……カラ
ー、２０……プツシユ、２１……ピボツトボル
ト、２２…ナツト、２３……ブラケツト、２４…
…リヤクツシヨン、２５……ブラケツト、２６…
…チエーンアジヤスタ、２７……スライダ、２８
……カラー、２９……アジヤストボルト、３０…
…アクスルシヤフト、３１……リヤホイール、３
２……ドリブンスプロケツト、３３……ドライブ
チエーン、３４……キヤツプ、３５……アクスル
カラー、３６……アクスルナツト、３７……アジ
ヤストナツト、３８……キヤツプ、３９……チエ
ーンスライダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リヤフオークパイプ内に摺動可能に嵌装された
   チエーンアジヤスタにおいて、プレス成形により
   コ字状に屈曲され、その一方の側部片が他方の側
   部片より幅広でかつ先細状に形成され、該両側部
   片をアクスルシヤフトにより嵌合されているスラ
   イダと、該スライダに一体に固着されたアジヤス
   タボルトからなり前記スライダの何れか一方の側
   部片にアジヤスト用目盛を設けたことを特徴とす
   るチエーンアジヤスタ。