JPS6245293Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えばカセツト式磁気テープの録音
もしくは再生に際し、このテープの走行方向を自
動（または手動）によつて反転させ、このテープ
上における他のトラツクに対する録音・再生をな
し得るオートリバース機構を備えた録音・再生装
置に関するもので、特に録音用ヘツドまたは再生
用ヘツドの垂直調整（アジマス調整）のための機
構に関するものである。

上記ヘツドの垂直調整は、忠実な録音・再生を
行うためにきわめて重要な作業であることは周知
のとおりであるが、ここでよく問題となるのは上
記のオートリバース機構を備えた録音・再生装置
の場合、テープのフオワード走行とリバース走行
とのそれぞれにおいてヘツドの垂直調整を必要と
することである。ただし、この種の録音・再生装
置においてはフオワード用ヘツドならびにリバー
ス用ヘツドを別個に備えた形式（デユアルヘツド
タイプ）のものと、単一のヘツドでフオワードお
よびリバースのそれぞれに兼用する形式のものと
がある。このデユアルヘツドタイプのものは、テ
ープのフオワード走行、リバース走行に対してそ
れぞれの専用ヘツドを個別に垂直調整し得るた
め、フオワード，リバースともに適正な録音・再
生特性が得られる反面、製品コストが非常に高価
なものとなる。これに対し、単一ヘツドタイプの
ものは、製品コストが著しく低減されるものの、
ヘツドの垂直調整をテープのフオワード走行およ
びリバース走行のいずれにも片寄ることなく、そ
れぞれにほぼ満足できる調整で妥協しなければな
らず、結局は高忠実度の録音・再生特性を得るこ
とが困難である。

このような従来の事情にかんがみて本考案は、
フオワード，リバース兼用の単一ヘツドを用いた
コストの安価な形式のものにおいて、構成を少し
改良することにより、テープのフオワード走行時
およびリバース走行時ともに高忠実度の録音・再
生特性を得ることができるヘツド調整機構の提供
を、その目的とするものである。

次に本考案の構成を、図面で示す実施例に従つ
て詳細に説明する。

オートリバース機構を備えた車載用のカセツト
式磁気テープ再生装置の要部を表した第１図およ
び第２図において、この装置のシヤーシ１上面に
はヘツドベース２が組みつけられている。なお、
図示のヘツドベース２はカセツトテープ（図示し
ない）が挿入された状態を表しており、カセツト
テープのエジエクト操作に伴い、ヘツドベース２
はシヤーシ１に対して第１図の右方向へスライド
し得るのである。このヘツドベース２とシヤーシ
１との間にはリバース板８が配設されており、こ
のリバース板８はヘツドベース２と共に上記のス
ライド動作が可能であり、かつこのヘツドベース
２とは無関係に例えば第１図の状態から下方向へ
スライド操作可能である。すなわち、このリバー
ス板８の一方端部（第１図の上端部）に形成され
た長孔８ａには、フオワード，リバースの切替ピ
ン９が係合されていて、この切替ピン９はカセツ
トテープがテープエンドに達した際の電気信号に
基く電磁ソレノイド等のプランジヤ動作、あるい
は手動によるテープ走行反転操作に連動して例え
ば第１図の状態から下方向へ作動し、これによつ
てリバース板８が同方向へスライド操作されるの
である。なお、このリバース板８に対する上記切
替ピン９の係合部を長孔８ａとしたのは、このリ
バース板８が上述したようにヘツドベース２と共
にスライドするのを許容するためである。

上記ヘツドベース２の上面には、フオワード，
リバース兼用の再生用（あるいは録音用）ヘツド
３が設けられているとともに、このヘツド３を境
として一方側にはフオワード用のピンチローラ４
が、他方側にはリバース用のピンチローラ５がそ
れぞれ配設されている。これら両ピンチローラ
４，５の構成は、それぞれのピンチローラアーム
１２がヘツドベース２に対し、アーム軸１３を回
転軸芯として回転自在に支持されている。そし
て、両ピンチローラ４，５のアーム軸１３の外周
にはこれらのピンチローラアーム１２に対し、各
ピンチローラ４，５をそれぞれのキヤプスタン
６，７に圧接させる方向へ弾性力を与えるねじり
コイルスプリング１４が組みつけられている。ま
た、両ピンチローラアーム１２の一部にはヘツド
ベース２を貫通して下面に位置するローラ１６が
それぞれ備えつけられており、これらの各ローラ
１６は前記リバース板８の二個所に形成されたカ
ム孔１０内に位置している。すなわち、リバース
板８が前記切替ピン９の動きに連動してスライド
操作されると、上記の両カム孔１０とここに位置
する各ローラ１６との作用に基き、両ピンチロー
ラ４，５がそれぞれのキヤプスタン６，７に対し
て交互に圧着および離反動作をなすものである。

上記再生ヘツド３は板ばねよりなるヘツド台板
１７を備えており、このヘツド台板１７の一方端
は固定軸１８によつてヘツドベース２に支持され
ている。そして、ヘツド台板１７の他方端は第１
図から明らかなようにＵ字状の切込溝１７ａを有
する自由端となつている。この自由端の切込溝１
７ａは第１図の−断面を表した第３図から明
らかなようにヘツドベース２の上面に一体的に立
てられた支持軸１９に対し、上下方向の変位可能
に係合させている。つまり、ヘツド台板１７はヘ
ツドベース２に対し、上記の固定軸１８で片持ち
支持された状態となつており、その自由端をヘツ
ド台板１７の弾性に基いて上下方向に変位させる
ことで、前記再生ヘツド３の垂直調整（テープの
トラツクに対するヘツドの磁極ギヤツプの垂直調
整）がなされるのである。

また、上記の支持軸１９にはヘツド台板１７の
切込溝１７ａを係合させるに先立つてヘツド調整
部材２０が、この支持軸１９の軸芯まわりの回転
ならびに軸線に沿つて上下方向へ変位可能に取り
つけられている。ここで重要なことは、板ばねよ
りなる上記のヘツド台板１７が、その取りつけ荷
重によつて上記ヘツド調整部材２０を第２図，第
３図で示す下向きの矢印Ｗ方向へ押し下げるよう
に作用していることである。このため、ヘツド調
整部材２０が支持軸１９に沿つて上下方向へ変位
すると、これに追従してヘツド台板１７の自由端
が上下方向に変位することとなる。

上記ヘツド調整部材２０には、フオワード用の
調整スクリユー２２およびリバース用の調整スク
リユー２３が、この調整部材２０の上面から下面
に貫通させ、かつこの下面からの突出量を調整し
得るようにねじ込まれている。しかも、調整部材
２０のアーム端部２０ａには下方に向けて延びる
突出ピン２１が一体に形成されていて、この突出
ピン２１は前記リバース板８の一部に形成した切
欠部２４に係合している。従つて、上記ヘツド調
整部材２０は、前述したリバース板８のスライド
操作により、上記支持軸１９を中心として両調整
スクリユー２２，２３と共に回動することとな
る。

上記ヘツド調整部材２０の下方におけるヘツド
ベース２上面には、第３図の−断面を表した
第４図で示す如き平面形状のカム部材２５が固定
されている。すなわち、このカム部材２５はその
組付孔２５ａが前記支持軸１９の基部に組みつけ
られていることと、カム部材２５と一体に形成し
たピン２５ｂがヘツドベース２の孔に挿入されて
いることとによつて、ヘツドベース２に対する固
定がなされている（第３図，第４図参照）。この
カム部材２５の上面には、上記支持軸１９を中心
とするヘツド調整部材２０の回動に伴う両調整ス
クリユー２２，２３の移動軌跡上において凸状の
調整基準面２６が一体に形成されている。すなわ
ち、ヘツド調整部材２０がリバース板８のスライ
ド操作に連動して回動することにより、両調整ス
クリユー２２，２３の下端が上記基準面２６に対
して交互に接触し、第５図から明らかなように一
方のスクリユー２２の下端が基準面２６に接触し
ているとき、他方のスクリユー２３はカム部材２
５の片側の低部２７に対向位置している。

以上のように構成したカセツトテープの再生装
置において、いまこの装置はカセツトテープ（図
示しない）が挿入されてフオワード再生を行つて
いる状態（第１図，第２図で示す状態）にあるも
のとする。この状態でのテープは再生ヘツド３の
前面に密着し、かつヘツド３とプリアンプ（図示
しない）との間のスイツチはテープのフオワード
用トラツクの再生をなす状態になつている。ま
た、フオワード用のピンチローラ４はそのキヤプ
スタン６に対し、相互間にテープを挾み込んだ状
態で圧接回転しており、これに伴つて送られるテ
ープは図示しないリール軸の駆動により、そのリ
ールに順次巻き取られる。このフオワード状態に
おいて、前記のヘツド調整部材２０はそのフオワ
ード用調整スクリユー２２の下端がカム部材２５
の調整基準面２６に接触した回動位置にある（第
３図〜第５図参照）。

ここで、リバース再生への切り替え指令に基い
て前記リバース板８が第１図の状態から第６図の
状態にスライド操作されると、これに連動してフ
オワード用のピンチローラ４はそのキヤプスタン
６から離反し、これに代わつてリバース用のピン
チローラ５がそのキヤプスタン７に圧接回転す
る。また、これと同時に図示しないリール軸の駆
動も切り替えられてテープの走行方向が反転する
とともに、ヘツド３とプリアンプとの間のスイツ
チがテープのリバース用トラツクの再生をなす状
態に切り替えられる。一方、上記リバース板８の
スライド動作に連動してヘツド調整部材２０が第
６図で示す状態に回動する。この結果、第７図，
第８図で示すようにリバース用の調整スクリユー
２３の下端がカム部材２５の調整基準面２６に接
触し、それまでこの基準面２６に接触していたフ
オワード用の調整スクリユー２２はカム部材２５
の低部２７に対向位置する。

この場合において注目すべきは、上記の両調整
スクリユー２２，２３の下端が交互に上記の基準
面２６に接触することにより、ヘツド調整部材２
０の上下方向に関する位置がそれぞれ個別に決定
されることである。この調整部材２０の上下位置
の決定は、先に述べたようにヘツド台板１７の自
由端の上下位置が決定されることがあり、延いて
はヘツド３の垂直調整がそれぞれ個別に決定され
るのである。従つて、フオワード用の調整スクリ
ユー２２はフオワード再生に適したヘツド３の垂
直調整が得られるように、そのねじ込み量を決定
し、またリバース用の調整スクリユー２３はリバ
ース再生に適したヘツド３の垂直調整が得られる
ようにこのねじ込み量を決定しておけば、前記リ
バース板８の切り替え操作に伴い、フオワード，
リバースに最適なヘツド垂直調整が自動的に得ら
れる。

なお、上記の調整基準面２６はヘツドベース２
の所定個所に凸状の面を一体もしくは別体に形成
することによつて代えてもよいが、本実施例のよ
うに基準面２６と低部２７とを有するカム部材２
５を用い、これを合成樹脂等で形成することによ
り、調整部材２０の回動に伴う調整スクリユー２
２，２３移行が円滑となる。また、本実施例は再
生ヘツドの垂直調整について述べたが、録音ヘツ
ドの垂直調整にも適用し得ることは言うまでもな
い。

以上のように本考案は、録音あるいは再生ヘツ
ドがフオワード，リバース用ともに単一ヘツドで
共用される形式の録音・再生装置において、テー
プの走行状態がフオワード，あるいはリバースに
切り替えられると、これに伴つてヘツドの垂直調
整もそれぞれに最適な状態に切り替えられるの
で、コスト的に有利な単一ヘツド形式であつても
フオワード，リバースともに良好な録音・再生が
得られる。しかも、本考案のヘツド調整機構は、
既存のリバース板の動きを利用し、かつ簡単な構
成であるから、この機構の付設に伴う製作コスト
等の増加を抑えることができる。

特に本考案はフオワードあるいはリバースの切
り換えにより、これらフオワード及びリバース用
の各調整スクリユーを備えた調整部材をヘツドベ
ース上の調整基準面に対して回動する構成である
から、各調整スクリユーの突出量の調整は共に上
記調整基準面の位置、つまり同一位置で行なうこ
とができる。このことは、装置の完成後において
前記の各調整スクリユーを調整する目的で、この
装置のケースや上ぶたにあけられる工具用の孔あ
るいは窓が一箇所で済むといつた利点を有する。

さらに本考案は、ヘツドが支持されているヘツ
ド台板の上下方向の動きを案内する支持軸に対し
て上記の調整部材を上下方向の移動及び回転可能
に取りつけているので、フオワードあるいはリバ
ースの切り換えに伴う上記調整部材の上下方向の
変位が直接かつ正確にヘツドに伝えられ、前述し
たヘツドの垂直調整がより高精度になされるとと
もに、支持軸が二つの役割を兼用することで、ス
ペースならびにコストの低減を図ることができる
といつた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はオート
リバース機構を備えたカセツトテープ再生装置の
要部を表した平面図、第２図は第１図の右側面
図、第３図は第１図の−線断面図、第４図は
第３図の−線断面図、第５図はフオワードお
よびリバース用の各調整スクリユーとカム部材と
の関連を拡大展開状態で表した第１図の−線
断面図、第６図は第１図の状態からオートリバー
ス機構を切り替えたときの平面図、第７図および
第８図は第６図の切り替え状態を第４図，第５図
との対応にて表したそれぞれの作動図である。 ２……ヘツドベース、３……ヘツド、８……リ
バース板、１７……ヘツド台板、１９……支持
軸、２０……ヘツド調整部材、２１……突出ピ
ン、２２，２３……調整スクリユー、２５……カ
ム部材、２６……調整基準面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 録音用ヘツド、あるいは再生用ヘツドがフオワ
   ード，リバースともに単一ヘツドで共用される形
   式の磁気テープ用録音・再生装置であつて、前記
   のヘツドが配設されるヘツドベース上にたてた支
   持軸に対し、ヘツド調整部材をその軸線に沿つて
   上下方向へ変位可能で、かつこの支持軸の軸芯ま
   わりに回転するように取付けるとともに、この調
   整部材にはフオワード用及びリバース用の各調整
   スクリユーを、前記のヘツドベース上に配置した
   調整基準面に向けて突出量の調整可能にねじ込
   み、一方前記のヘツドを支持しているヘツド台板
   はその一端をヘツドベース側に固定し、他端を前
   記支持軸の軸線に沿つて上下方向へ移動可能で、
   かつ調整部材の上端面に押付けた状態で配置し、
   さらに前記調整部材をフオワード，リバースの切
   換え操作に伴つて作動するリバース板に対し、こ
   のリバース板の動きによつて前記支持軸の軸芯ま
   わりに回転するように連繋させ、このリバース板
   の動きによる調整部材の回転により、前記のフオ
   ワード及びリバース用の各調整スクリユー先端が
   調整基準面に対して交互に接触するように、これ
   ら調整部材と調整基準面との位置関係を設定して
   なる磁気テープ用録音・再生装置におけるヘツド
   調整機構。