JPS6244130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の吸気加熱装置に関する。

内燃機関、殊にデイーゼル機関のような圧縮着
火式の内燃機関においては、寒冷時の始動性、暖
機特性の向上、白煙、臭い等の低減を図るために
吸気通路に加熱装置を設け吸気を加熱するように
しているものがある。

このような吸気加熱装置としては電気ヒータ或
いはバーナを用いるものがあるが、電気ヒータの
場合には寒冷時にはバツテリの起電力が低下して
いるのでスタータと共に併用する際にスタータに
出力不足が生じて機関のクランキング速度が低下
し機関の始動性を悪化させる。またバーナの場合
には効率が悪く高価であると共に、吹き消えの心
配がある等の問題があつた。

そこで、従来これらの問題点を解決するものと
して、貯溜する燃料をヒータ等で加熱し燃料蒸気
を発生させる蒸発室を設けると共に、この蒸発室
をインテークマニホルドに連通させ、蒸発室内の
燃料蒸気をインテークマニホルド内の吸入空気に
よる吸入負圧を利用して該マニホルド内に導き燃
焼して吸気を暖めるようにしたものがある。

ところが、インテークマニホルド内の空気流速
が速くなつて燃料蒸気の吸引量が多くなると、一
部は未燃焼のまま燃焼室に送り込まれ機関がオー
バランしてしまう可能性があつた。

本考案は上記の実情に鑑みてなされたもので、
インテークマニホルドに設けた吸気のバイパス通
路に燃料蒸発室を介装すると共に、このバイパス
通路の下流端をインテークマニホルド内に設けた
予燃焼室に接続し、この予燃焼室の燃焼ガス出口
をマニホルド内の吸気流通方向に開口させる一
方、バイパス通路に弁前後差圧が所定値以上にな
ると閉動作する通路開閉弁を介装する様構成し、
吸気の流速が速くなり予燃焼室開口部に発生する
負圧が大きくなつた時にバイパス通路を遮断して
燃料蒸気の供給を押えるよう構成することによ
り、従来の問題点を解決することを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図において、内燃機関の燃焼室（図示せ
ず）に供給される吸入空気が流通するインテーク
マニホルド１には、該マニホルド１をバイパスし
て吸入空気の一部が導入されるバイパス通路２が
設けられている。このバイパス通路２には吸気加
熱用の燃料を貯溜する燃料の蒸発室３が介装さ
れ、底部に装着した電気ヒータ等の加熱装置４に
よつて燃料を加熱して燃料蒸気を発生させる。５
は燃料タンク（図示せず）に接続された燃料通路
で、蒸発室３側の開口部はニードル弁６により蒸
発室３の内燃料液面高さに応じて開閉される。７
は加熱装置用の電源、８は加熱装置４への通電回
路を開閉するスイツチである。

また、蒸発室３より下流側のバイパス通路２の
下流側はインテークマニホルド１内に延設され、
インテークマニホルド１内に装着された吸気加熱
用の予燃焼室９に接続している。前記予燃焼室９
の燃焼ガス出口９ａは吸気流通方向と同じ方向に
開口している。１０は着火装置である。そして、
本実施例では蒸発室３より上流側のバイパス通路
２に弁前後差圧によつて開閉動作する通路開閉弁
１１が介装されている。この通路開閉弁１１は第
２図に示す如く、弁座１１ａの上流側に弁体１１
ｂを設け該弁体１１ｂをスプリング１１ｃにより
常時開弁方向に付勢している。即ち、開閉弁１１
の下流側が負圧となり上流側と所定値以上の圧力
差が生じた時に閉弁するよう構成してある。１１
ｄは弁開成時に吸入空気が通過する開口部であ
る。

かかる構成において、機関の始動により吸入空
気がインテークマニホルド１を通つて燃焼室（図
示せず）内に供給される。この吸入空気は予燃焼
室９の周囲を流れ、該予燃焼室９の燃焼ガス出口
９ａ近傍に負圧が発生する。すると、この負圧が
蒸発室３及びバイパス通路２に作用し、インテー
クマニホルド１内を流通する吸入空気の一部がバ
イパス通路２を介して蒸発室３内に導かれる。前
記蒸発室３内の燃料は機関の始動時に通電される
加熱装置４により加熱され蒸発し気体状態で蒸発
室３内に充満しており、蒸発室３内に導かれた前
記吸入空気により撹拌され、吸入空気と共にバイ
パス通路２を通つて予燃焼室９に導かれる。ここ
で、着火装置１０により着火燃焼され、その燃焼
ガスが燃焼ガス出口９ａより排出され吸入空気が
暖められ通常の吸気加熱が行なわれ寒冷時等の始
動性、暖機性を向上させる。

その後、次第に機関回転が上昇し吸入空気の流
速の増大に伴ない燃焼ガス出口９ａの負圧も増大
し蒸発室３内から予燃焼室９へ搬送される燃料量
も増大する。ところが、前記負圧が増大すること
により、バイパス通路２に設けた通路開閉弁１１
の前後の圧力差が大きくなる。そして、所定値以
上の圧力差になつた時にスプリング１１ｃの弾性
力に抗して弁体１１ｂが移動し弁座１１ａに着座
し通路開閉弁１１によりバイパス通路２は遮断さ
れ蒸発室３内への吸入空気の流入は停止される。
このため、予燃焼室９へ搬送される燃料量が減少
し予燃焼室９で燃料はほとんど燃焼され未燃燃料
が吸入空気と共に燃焼室へ入り込むことはなくな
る。従つて、機関のオーバーランの危険を防止す
ることができる。

上記実施例では通路開閉弁を蒸発室３より上流
側のバイパス通路２に介装したが、この開閉弁を
蒸発室３と予燃焼室９とを接続するバイパス通路
２、即ち第１図中Ａで示す部位に介装してもよ
い。

この場合の通路開閉弁構造は例えば第３図及び
第４図に示すよう通路開閉弁１２，１３の弁体を
スプリングによつて常時蒸発室３側に弾性付勢す
る構成となる。

このように、通路開閉弁１１，１３を蒸発室３
と予燃焼室９との間のバイパス通路２に設ける
と、機関回転の上昇により弁前後差圧が所定値以
上となつて開閉弁１２，１３がバイパス通路２を
遮断した時には予燃焼室９へは燃料は全く供給さ
れなくなる。従つて、未燃燃料の吸い込みによる
機関のオーバーラン現象は完全に防止できる。

尚、これら実施例では通路開閉弁に機械式のも
のを用いたが、電磁開閉弁のような電気式のもの
でもよい。この場合には開閉弁の前後差圧を検出
し、検出値を電気信号に変換して開閉弁を開閉作
動させればよい。

以上述べたように本考案によれば、機関回転が
所定以上に上昇すると、これに対応して予燃焼室
の燃焼ガス出口に発生する負圧を利用して予燃焼
室への燃料供給量を低減又は零にするよう構成し
たので、インテークマニホルドからの未燃燃料の
吸い込みがなくなり吸気加熱した時に機関がオー
バーランする危険を確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す概略構成図、
第２図は同上実施例における通路開閉弁の拡大構
成図、第３図及び第４図は他の実施例におけるそ
れぞれ別の通路開閉弁の構成図を示す。 １……インテークマニホルド、２……バイパス
通路、３……燃料蒸発室、４……加熱装置、９…
…予燃焼室、９ａ……燃焼ガス出口、１１，１
２，１３……通路開閉弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インテークマニホルド内の機関吸気の一部を導
   くバイパス通路を前記マニホルドに設け、該バイ
   パス通路に吸気加熱用の燃料蒸気が充満する燃料
   蒸発室を介装すると共に、前記バイパス通路の下
   流端をインテークマニホルド内に設けた予燃焼室
   に接続し、かつ該予燃焼室の燃焼ガス出口をイン
   テークマニホルド内の吸気流通方向に開口させる
   一方、前記バイパス通路に弁前後差圧が所定値以
   上になると閉動作する通路開閉弁を介装したこと
   を特徴とする内燃機関の吸気加熱装置。