JPS62437Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は金属製の中空トーシヨンバーに関す
る。自動車においては車両懸架用あるいはキヤ
ブ・テイルト・スプリングなどとしてトーシヨン
バーが用いられている。この種のトーシヨンバー
においては、両端外周部にセレーシヨン加工また
は６角加工等を施す必要があるが、中空材ではそ
れらの加工が困難であるため従来から中実の棒状
に形成されており、自動車の軽量化を推進する上
で一つの障害となつていた。 そこでトーシヨンバー本体に中空材を用い、こ
の本体の両端内部に中実の補強部材を挿入し、溶
接等によつて固着することも考えられるが、この
場合、上記本体と補強部材とが連接する境界部に
おいて肉厚が急激に変わるために、トーシヨンバ
ーがねじられる際に応力集中が生じ易く、耐久性
が低下するという問題があつた。 また、上記のような補強部材を用いる代りに、
中空トーシヨンバー本体の端部つまりセレーシヨ
ン等の非円形状加工を施す部位の肉厚を局部的に
厚くすることによつて端部加工を行ない易くする
こともできるが、端部の内側に中空部分が存在す
るためにセレーシヨン加工のように非常に大きな
外力を加える場合には加工に伴なつて端部の潰
れ、変形を生じ易く、寸法精度が非常に悪くなる
とともに、このようにトーシヨンバー端部に厚肉
加工を施すためには外型と内型を用いて強加工す
る必要があるため、加工が難かしくかつ大掛りな
装置が必要となる。しかも内型を繰り返し使用す
ると内型の摩耗、変形等を生じ、成形すべきトー
シヨンバー端部の断面形状が変化し、ばね定数等
に悪影響を与えるおそれがある。 本考案は上記事情に基づいてなされたもので、
その目的とするところは、セレーシヨン加工等の
ようにトーシヨンバー本体の端部に大きな外力を
与える端部加工を容易に行なうことができ、かつ
中実のものと同等なばね定数を有するとともに、
トーシヨンバーがねじられた際に両端部の応力集
中を防ぐことができ、耐久性が高く、より軽量な
金属製中空トーシヨンバーを提供することにあ
る。 すなわち本考案は、中実棒状をなすトーシヨン
バーにおける捩り応力が半径に比例して増大する
ので中心部近傍における材料効率が悪いことに着
目し、これを中空状にすることにより材料効率の
向上と軽量化を図るとともに、中空状に形成する
ことに基づく端部強度の低下を補うために両端内
部に中実の補強部材を挿入して密接固着させ、か
つこの補強部材の内側の端面には端面中央部が深
く、かつトーシヨンバー本体内面と接する外周部
側が次第に浅くなるような凹部を設けた金属製中
空トーシヨンバーである。 以下本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。第１図に示す第１の実施例においてトーシヨ
ンバー本体１は、たとえばばね鋼などのような弾
性を有する金属材から直管状に形成され、両端部
（図は一方のみを示す）には外周面２が断面非円
形状をなすように、たとえば第３図に示すような
セレーシヨン部３が形成されている。なお、この
セレーシヨン部３に代えて、第４図に示すように
６角形状部４を形成するようにしてもよく、非円
形であればその他の任意の形状であつてもよい。 また、上記本体１の両端部には補強部材５が内
挿されている。この補強部材５は、上記セレーシ
ヨン部３や６角形状部４を設ける位置よりも奥の
位置まで挿入されており、たとえば溶接の一種で
ある摩擦圧接などの手段により外周部が本体１の
内周部と密接固着されている。また、補強部材５
の内側の端面６には、たとえば球面凹状または円
錐凹面状などのように補強部材５の外端側に向つ
て内径が次第に減少する凹部７が形成されてい
る。 このような凹部７を形成することにより、補強
部材５と本体１とが連接する境界部の肉厚が外端
側に向つて漸増し、急激な肉厚の変化をなくすこ
とができるので、本体１がねじられたときに応力
が集中することを防止できるものである。 第２図に示す第２の実施例においては、両端部
が中間部よりも大径に形成されている他は第１の
実施例におけるのと実質的に同等に形成されてい
るので、相対応する部分に第１図におけると同一
記号を付して示し、説明を省略する。 上述のように構成された中空トーシヨンバーに
おいては、本体１の端部に補強部材５を内装した
状態で外周面２におけるセレーシヨン３または６
角形状部４等が形成されるので、この端部加工を
実施する際にアプセツトまたは転造などの大きな
加工度を与えても本体１が潰れたり、有害な変形
等を生ずることがなく、また、端部を径方向に強
固に締付ける得るので確実に取付けることができ
る。 また、本体１を中空の直管状に形成したのでこ
れと同一材料から同一ばね定数を有するように形
成した中実棒状のものと比較すれば、重量を大幅
に軽減することができる。すなわち、外径d₀の中
実トーシヨンバーと同一ばね定数を有する中空ト
ーシヨンバーの内径をd₁、外径をd₂とし、d₀とｎ
（＝d₁／d₂）の種々な組合せについてd₁，d₂、重量
減少割合ωおよび応力増加割合σを求めると次表
に示すようになる。なお、表中d₀，d₁，d₂の単位
はmm，ω，σの単位は％であり、両端部を除く有
効長部分についての計算結果を示す。

【表】 本考案は前記したように、直管状の金属材から
なるトーシヨンバー本体の両端部に補強部材を密
接固着したから、同一ばね定数を有する従来のト
ーシヨンバーに比べて重量を大幅に軽減すること
ができ、かつ端部には中空部がなく充分な強度を
有しているので、セレーシヨン加工のように端部
外面を径方向に大きな外力を与えて加工しても管
が潰れるなどの有害な変形を生じることがなく、
外周面加工を簡単に行ない得るとともに確実に取
付けることができる。 しかも上記補強部材の内端面には、端面中央部
が深くかつトーシヨンバー本体と接する外周部側
が次第に浅くなるような形状の凹部を設けたか
ら、中実の補強部材を挿入・圧着させた場合に問
題となるトーシヨンバー本体と補強部材との連接
部の急激な肉厚の変化が緩和され、従つて中実の
補強部材を内装していてもトーシヨンバーがねじ
られた際の応力集中を防止することができ、耐久
性を向上できる。 また、本考案は上記したようにトーシヨンバー
本体とは別体に形成した補強部材によつてトーシ
ヨンバー本体端部の補強をなすものであるから、
たとえば中空状のトーシヨンバー端部の肉厚を局
部的に厚くして端部を補強する場合のような内型
と外型を用いた強加工は不要であり、加工が容易
であるとともに、内型を必要としないから内型の
摩耗、変形等によつて製品の断面形状や寸法、ば
ね定数等に誤差を生じるといつた不具合もないな
ど、実用上の効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は本考案の他の一実施例を示す断面図、第３図
および第４図は端部外周面の相異なる断面形状を
例示する説明図である。 １……トーシヨンバー本体、２……外周面、３
……セレーシヨン部、４……６角形状部、５……
補強部材、６……内側の端面、７……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性を有する直管状の金属材からなり両端部外
   周面が断面非円形状に形成されるトーシヨンバー
   本体と、この本体の両端部内部に上記断面非円形
   状の部分よりも奥の位置まで挿入されて外周面を
   上記本体の内面に密接固着した中実の補強部材と
   を有し、かつこの補強部材の内側の端面には、端
   面の中央部が深く、かつトーシヨンバー本体内面
   と接する外周部側が次第に浅くなるような形状の
   凹部を設けたことを特徴とする金属製中空トーシ
   ヨンバー。