JPS624192Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は移動棚の自走防止装置に関するもので
ある。限られた空間を有効に利用するため多数の
書架または棚をその開放面方向に移動可能に並列
させ、これらの棚を移動させることにより所望の
棚正面に通路を形成させるようにした移動棚は既
に知られている。各棚には滑車が設けられ、手動
ハンドルもしくはモータによつて駆動される。ま
たこれらの棚は縦寸法が大きいため、移動時の転
倒防止策として上方にもレールが設置されてい
る。更に棚の移動を停止させたり、或いは作業時
に震動で棚が自走しないように最近ではブレーキ
やロツク装置が取付けられている。しかしこれま
でのロツク装置は作業前に予め手動でロツクせね
ばならず、緊急の事態、例えば地震等が発生した
場合には充分対処できなかつた。つまり棚が自走
してからブレーキを踏んでも慣性や停止時の衝撃
によつて棚上の書類や磁気テープ等が落下するこ
ととなり、また各移動棚の間に作業者がいる場合
は人身事故につながる。

そこで本考案は、棚が自走する程度の地震が発
生した際、自動的に棚移動を阻止する装置を提供
せんとする。而も本考案装置は簡単な構造であり
且つ確実に自走防止を行なえる。この目的を達成
するため本考案では棚移動用の上方レールに自走
防止板を設置する一方、棚の上面にはこの防止板
に係合するピンを設けてある。自走防止板はその
自重により旋回してピンと係合するように取付け
られており、通常はフツクによつてピンの上方に
固定されている。フツクは地震感知器と連動して
いて、地震が発生すると自走防止板の固定作用を
解く。地震感知器は公知のものを採用でき、例え
ば鋼球落下式等が市販されている。更に各フツク
の押上板をコンロツドで連結しているから、地震
感知器が作動すると各自走防止板からフツクが同
時に外れる。このような特徴を有する本考案の実
施例を以下添付図面に従つて詳述する。

第１図は移動棚１の正面図でこれは複数の棚に
区画されており、その上面及び下面に棚移動用の
車輪２，３が設けられている。第２図に示すよう
に移動棚１がレール４上を移動することによつて
棚の正面に通路が形成される。移動時には移動棚
１の側面に設けられた引手５を使用するが、回転
ハンドルやモータ駆動を採用してもよい。また移
動棚１の上方にもレール６が設置され、棚の転倒
防止を図つている。第４図に示すように車輪３，
３が移動棚１上にヨーク１６を介して軸支され、
各車輪３，３はリツプみぞ形のはレール６の内面
に当接している。

本考案の自走防止装置は上方レール６上に取付
けられ、これは自走防止板７、フツク８、支台
９、押上板１０、コンロツド１１、ソレノイド１
２及び地震感知器から成り、更に移動棚１の上面
に自走防止用のピン１３が設けられている。自走
防止板７は第４図から判るように断面コ字形で、
丁番１４を介してレール６の角縁に旋回可能に取
付けられている。また自走防止板７には長手方向
に亘つて複数の孔１５，１５…が穿設され（第５
図参照）、本装置が作動したときに棚上のピン１
３にこれらの１つが嵌合して移動棚１をレール６
に対して固定する。自走防止板７の内端にはフツ
ク８が係合して自走防止板７をこの位置に保持し
ており、フツク８の他端は押上板１０に固着され
ている。押上板１０は円板形状でレール６の上面
に固着された支台９にレール６に対して直交する
向きの軸を介して旋回自在に枢着されている。こ
の枢着点は第３図から判るように押上板１０の偏
心位置であり、各押上板１０，１０はコンロツド
１１によつて連結されている。コンロツド１１の
各連結点となるピン１７，１７は、押上板１０と
支台９との枢着点よりも図上右側に位置している
から、コンロツド１１が左方に移動すると押上板
１０はフツク８と共に押上げられて自走防止板７
の係合を解く。コンロツド１１と押上板１０，１
０とを連結するピン１７，１７は、各自走防止板
７，７を単独でセツトし易くするために押上板１
０，１０に穿たれた長孔１８，１８に遊嵌されて
いる。押上板１０及びコンロツド１１の駆動はロ
ツド１９を介してソレノイド１２によつて行なわ
れ、ロツド１９の一端は押上板１０とコンロツド
１１の連結点と同じ位置に枢着されている。ロツ
ド１９の他端はソレノイド１２のプランジヤ２０
に枢着され、プランジヤ２０が矢印方向に突出し
たときに本装置が作動する。ソレノイド１２は地
震感知器（図示せず）に接続され、感知器は所定
の震度に達したら作動するように予めセツトして
おく。地震感知器自体は既に市販されているもの
でよく、この実施例では鋼球落下型を採用してあ
る。自走防止板７の旋回落下時にこの孔１５が棚
上のピン１３にうまく嵌合するとは限らないが、
本装置の作動時には移動棚１が動いているため加
速度がつかないうちにピン１３はいずれかの孔１
５に嵌合する。この実施例では押上板１０として
円板を採用し、偏心位置を支点及び連結点として
あるが、円板をリンクに置換することも可能であ
る。また自走防止板７は断面コ字形であるが、ピ
ン１３と嵌合さえすれば目的は達せられ、従つて
種々の形状が考えられるであろう。

叙上の如く本考案の自走防止装置によれば、地
震発生による移動棚の自走を確実に阻止できる。
しかも本考案は、旋回自在な押上部材によつて自
走防止板を上方位置に係止し、各押上部材をコン
ロツドによつて連結してあるので、１個のソレノ
イド等の駆動部材によつて多数の押上部材を駆動
できるから部品点数が少なくてすみ、安価で且つ
簡単に製作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は移動棚の正面図、第２図は側面図、第
３図は自走防止装置の側面図、第４図はその縦断
面図、第５図は自走防止板の斜視図である。 １……移動棚、２，３……車輪、４，６……レ
ール、７……自走防止板、８……フツク、９……
支台、１０……押上板、１１……コンロツド、１
２……ソレノイド、１３……ピン、１４……丁
番、１５……自走防止板の孔、１９……ロツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 移動棚１の上面に設けられたピン１３と、 移動棚１の上方に設けられ、移動棚１の移動を
   案内するレール６と、 レール６に丁番１４を介して旋回自在に取付け
   られ、レール６に沿つて延びる断面コ字形状の自
   走防止板７と、 自走防止板７の一側面に長手方向に亘つて穿設
   され、下方に旋回した時にいずれか１個がピン１
   ３に係合する複数の孔１５，１５，…と、 レール６上に固着された支台９にレール６と直
   交する向きの軸をもつて旋回自在に取付けられ、
   自走防止板７を上方位置に係止するフツク８を上
   端に有する押上部材１０と、 レール６上に取付けられ、押上部材１０を駆動
   するソレノイド１２と、 各押上部材１０に連結され、各押上部材１０を
   連動するコンロツド１１と、 地震発生時にソレノイド１２に作動信号を送る
   地震感知器とから成ることを特徴とする移動棚の
   自走防止装置。