JPS6240892Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は合成樹脂製容器に関し、全体の強度
を高め、特に従来容器の縁部に形成していた補強
用の玉縁を不要にするものである。

従来より発泡樹脂シートからなる容器が食品等
の収納用に使用されており、軽量で取扱い易く安
価なことから木製あるいは陶磁器製の容器に代わ
つて各種用途に使用されている。

しかしながら上記発泡シートを素材とした場
合、強度的に若干劣るため容器の縁部等を補強す
るべく玉縁（タマブチ）といわれる弧状の折返し
部や折曲部を縁部に形成して剛性を高め全体の補
強にも役立てていたが、例えば幕内容器などの場
合玉縁があると、容器の外観を損なうほか成形加
工も手間がかかり、また容器全体の割れや変形に
対しては上記補強部のみでは必ずしも有効ではな
く、一層の改善が要望されていた。

そこでこの考案においては、素材となる発泡シ
ートを積層シートとなし、容器全体の強度を高め
て縁部の補強を不要にするものであり、その構成
としては、容器全体が積層シートにて形成されて
なり、該積層シートは容器内面側より容器外面側
にむかつて二軸延伸ポリスチレンシート或はフイ
ルム、発泡ポリスチレンシート、ハイインパクト
ポリスチレンシート或はフイルム、および二軸延
伸ポリスチレンシート或はフイルムの各層が順次
積層されたものからなり、容器本体は玉縁等の補
強部を形成していない口縁部を有していることを
特徴とするとしている。

次いで、この考案の実施態様について図を参照
しながら以下に例示する。

１が容器を形成する積層シートであり、１０が
好ましくはゴム系よりなる二軸延伸ポリスチレン
シート或はフイルムであつて例えばポリスチレン
樹脂に合成ゴム等を配合したものからなる。２０
は発泡ポリスチレンシート、３０はハイインパク
トポリスチレンシート或はフイルムであり、４０
は二軸延伸ポリスチレンシート或はフイルムであ
る。

これら四種類の素材を互いに接合一体化させて
なる積層シート１から真空成形等の手段にて各種
形状の容器を形成するものである。特に容器本体
Ａの下部は積重ね時に蓋体Ｂの凸部b₁と嵌合でき
るような凹部a₁を形成しておくと積重ね状態を安
定でき実施上至便である。

なお、容器の形状としては、図示した半月形の
弁当容器のほか円形、方形等各種形状のものが実
施でき、また容器本体Ａと蓋体Ｂを組合せるもの
のほか、蓋体の無いものであつてもよい。

そして特にこの考案の容器の場合、容器本体Ａ
の上端口縁部ａには玉縁等の湾曲された補強部を
一切設けておらず、積層シートが切断さらたまま
の状態の口縁部になつており、蓋体Ｂについても
縁部におけるリブ状の屈曲部等の補強部は全く設
けていない（第２図参照）。

なお、容器の内面側となる二軸延伸ポリスチレ
ンシート或はフイルム１０および容器外面側とな
る二軸延伸ポリスチレンシート或はフイルム４０
に印刷または着色しておけば、容器の外観上美麗
なものとなる。また容器の外面側については、最
外側の二軸延伸ポリスチレンシート或はフイルム
４０を透明に形成し、該シート或はフイルム４０
の内面に積層したハイインパクトポリスチレンシ
ート或はフイルム３０に塗り容器状の黒色或は朱
色等の着色あるいは印刷による模様付け等を施し
ておけば、容器の使用時に摩擦による色落ちや模
様の剥落を防ぎ、長期にわたつて塗り容器状の美
麗な外観を保ち得る好適なものとなる。

次に上記素材からなる積層シート１の製造につ
いては、各層をそれぞれ別個にシート或はフイル
ムとして成形し、その後各層間に接着剤を介して
接合するもの、または直接に熱融着等の手段にて
接合することによつて積層シート１を得るもの、
さらには一部の素材については予め同時成形によ
つて複数の層が積層されたシートを形成し、これ
に残りの層となる素材を接合して積層シート１と
なすものなどが実施できる。

上記のごとく構成されたこの考案によれば、容
器を形成する積層シートとして、容器外面側にむ
かつて二軸延伸ポリスチレンシート或はフイル
ム、発泡ポリスチレンシート、ハイインパクトポ
リスチレンシート或はフイルム、および二軸延伸
ポリスチレンシート或はフイルムの各層が順次積
層されたものからなり、基材となる発泡ポリスチ
レンシートの持つ軽量性、緩衝性、断熱性等の優
れた性能を生かすとともに、これと積層してなる
他の三層にて、発泡ポリスチレンシートの有する
欠点を解消し、より一層使用に適した容器とする
ものである。

すなわち、ハイインパクトポリスチレンシート
或はフイルムは非常に強度に優れ、特に耐衝撃
性、剛性が大きく、容器全体の強度向上に大きく
貢献し、自己支持性にも優れるため容器としての
使用中における外力または内容物の重量による変
形や歪み、反り等の発生を防ぐことができ、特に
従来の発泡ポリスチレンシートのみからなる容器
のような割れ、破損等の心配が無く耐久性のある
容器となり得る。次に容器の内外面になる二軸延
伸ポリスチレンシート或はフイルムは、機械的強
さが大きく耐衝撃性にも優れるため容器の強度向
上に有効であるほか、容器の内外面を滑らかな光
沢のあるものと出来、汚れ、傷がつきにくく、耐
水性があるため食品収納用としての衛生上も好適
なものとなる。また上記内外面の二軸延伸ポリス
チレンシートは着色性も良く容器の外観を塗り容
器状の美麗なものにできる。特に内面側の二軸延
伸ポリスチレンシートをゴム系のものとすれば収
納物に対する緩衝性が良好となり、各種物品を容
器内に直接収納する場合にも好都合である。

上記のごとき諸性質を有する積層シートにて形
成したこの考案の合成樹脂製容器によれば、強度
が非常に優れているため、従来発泡ポリスチレン
製容器の縁部に形成していた玉縁等の補強部が無
くとも、使用中に変形や破損を生じる心配は無く
なり、よつて外観上口縁部等の補強部分を省き得
て簡素且つ美麗で使用し易いものとなり、しかも
上記口縁部での玉縁による補強部分を形成する必
要が無いため、成形し易い形状となり、金型作製
等の加工上の手間及び製造コストを低減すること
も可能となる。

従つて、従来簡便な使い捨て容器としてのみ使
用されることの多かつた発泡ポリスチレン等の容
器を、繰返し使用も可能で耐久性に優れ、外観上
も塗りによる木製品等に劣らず美麗で取扱い易い
ものとすることができ、合成樹脂製容器の用途拡
大にも大きく貢献できるものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施態様を例示するものであ
り、第１図は容器の斜視図、第２図は前図のもの
の嵌合時における一部拡大断面図である。 １……積層シート、１０……内面側の二軸延伸
ポリスチレンシート或はフイルム、２０……発泡
ポリスチレンシート、３０……ハイインパクトポ
リスチレンシート或はフイルム、４０……二軸延
伸ポリスチレンシート或はフイルム、Ａ……容器
本体、ａ……口縁部、a₁……容器本体の凹部、Ｂ
……蓋体、b₁……蓋体の凸部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 容器全体が積層シートにて形成されてなり、
   該積層シートは容器内面側より容器外面側にむ
   かつて二軸延伸ポリスチレンシート或はフイル
   ム、発泡ポリスチレンシート、ハイインパクト
   ポリスチレンシート或はフイルム、および二軸
   延伸ポリスチレンシート或はフイルムの各層が
   順次積層されたものからなり、容器本体は玉縁
   等の補強部を形成していない口縁部を有してい
   ることを特徴とする合成樹脂製容器。 ２ 容器本体下部は積重ね時に蓋体の凸部と嵌合
   できるような凹部を形成してなる上記実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の合成樹脂製容器。