JPS6239013Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エレベーターの制御装置に関し、特
に荷物用などのエレベーターにおいて、着床停止
後寸動運転（インチング）を行なうものに係る。

従来、ロープ伸び補正あるいは油圧エレベータ
ーの床沈下などに対するレベルエラー補正のため
の寸動装置は、かご内の運転盤に設けられた寸動
運転用スイツチ（例えば寸動用押ボタン）を押す
ことにより、エレベーターを寸動させるものであ
つた。この押しボタンは通常「上」「下」の２個
をもち、運転者はかごの床と乗場の床との段差方
向を確認し、補正方向のボタンを押すことにより
寸動運転を行なつていた。また、この押しボタン
を押し続けると、必要以上のレベル補正となり、
不馴れな人ではなんども操作を繰り返す必要があ
つた。

本考案の目的は、運転が不馴れの人でも、容易
に寸動操作ができるように制御するエレベーター
の制御装置を提供するにある。

本考案の特徴は、エレベーター乗りかご又は各
階床位置に少なくとも上下２個の位置検出器を備
え、この位置検出器の上下一方が動作しているこ
とにより寸動運転方向を判定する手段と、寸動運
転用スイツチが操作されている間判定した運転方
向に寸動運転を行なう手段と、位置検出器の上下
両方が動作したとき寸動運転を停止する手段とを
設けた点にある。これにより、寸動運転方向が自
動的に決定され、従来「上」，「下」の２個設けら
れていた寸動運転用スイツチ（押ボタン）を１個
にすることができ、かつ、適正位置に達すると寸
動運転が停止されるので操作に不慣れな者でも簡
単に寸動運転を行なうことができる。

更に、タイマーを備えることにより、寸動運転
用スイツチが操作されてから一定時限後寸動運転
を停止させることも可能であり、寸動運転用スイ
ツチが押され続け、誤動作等で適正な位置で停止
せず寸動運転が継続されるような場合でも、確実
に寸動運転を停止させるように制御できる。

以下、本考案を図に示した実施例を用いて詳細
に説明する。第１図は寸動運転用位置検出器を備
えたエレベーターの概略図である。１はレール、
２は乗りかご、３は乗場、４は寸動運転用の位置
検出器、５は位置検出器を駆動させるしやへい板
である。

第２図は第１図の位置検出器と位置検出器駆動
部であるしやへい板との関係を示したものであ
る。かご上に取付けられた２個の位置検出器、す
なわち、下降寸動運転指令、兼、下降運転制限用
位置検出器PDと上昇寸動運転指令、兼、上昇運
転制限用位置検出器PUとが、昇降路内に取付け
られた位置検出器駆動用のしやへい板と交差する
ことにより、位置信号を発するように構成されて
いる。相互の位置関係は乗りかごの床レベルと乗
場の床レベルが一致した時に、各々の位置検出器
の出力信号である接点がOFFするようにセツト
されている。いま、乗りかごの床レベルが乗場の
床レベルより高い場合は、位置検出器PUの接点
はOFFし、逆に位置検出器PDの接点はONして
いる。

第３図はモーターの主回路で、Ｒ，Ｓ，Ｔは３
相動力用電源、１１a₁，１１a₂は上昇運転する場
合ONする接触器のメイク接点、１２a₁，１２a₂
は下降運転する場合にONする接触器のメイク接
点、３φIMは３相誘導電動機で、Ｕ，Ｖ，Ｗは
その端子を示す。

第４図は本考案の一実施例を示す。Ｂは寸動運
転用ボタン、PUb，PDbは第２図の位置検出器
PUの接点、１１Ｅおよび１２Ｅはそれぞれ上昇
寸動運転用リレーおよび下降寸動運転用リレーコ
イル、１１Ea，１２Eaはそれぞれのリレーのメ
イク接点、１１および１２は上昇運転用接触器お
よび下降運転用接触器のコイル、Ｔはタイマー、
Tb₁，Tb₂はタイマーのオフデレイ接点で、これ
らが操作電源Ｐ，Ｎに図のように接続されてい
る。

次に、動作について説明する。

今、仮に乗りかごの床レベルが乗場の床レベル
より高い位置に停止し、床補正を行なう場合につ
いて説明する。位置検出器PU，PDの接点は前に
述べたように、PUbは開状態でPDbは閉状態とな
つており、下降寸動運転用リレー１２ＥはONし
ている。このため、寸動運転用ボタンＢを押す
と、Ｐ−Ｂ−１２Ea−Tb₂−１２−Ｎの回路によ
り、下降運転用接触器１２がONし、エレベータ
ーは下降運転を開始する。寸動運転用押ボタンＢ
を押している間下降運転がなされ、乗りかごの床
面が下降運転により乗場の床面に一致すると、前
述のように、位置検出器PUおよびPDの接点の
PUbおよびPDbは共にオープンし、寸動運転用リ
レー１１Ｅおよび１２ＥはOFFし、寸動運転は
停止する。一方、寸動運転用ボタンをONするこ
とによりＰ−Ｂ−Ｔ−Ｎの回路によりタイマーに
電源が接続され、設定された時限が経過すると、
タイマーのオフデイレイ接点が動作する。下降運
転用接触器のコイルはタイマーの接点Tb₂がオー
プンすることにより、電源から切放され、OFF
し、下降運転は停止する。従つて、タイマーに予
め適当な時限を設定しておき下降の寸動運転を停
止させることも可能である（寸動距離を任意に設
定できる）し、更に乗りかごと乗場の床面とが一
致したにもかかわらず誤動作等で寸動運転が継続
されて過寸動となるような場合でも、寸動用押ボ
タンが押されてから一定時限後に寸動運転が停止
されるように制御することもできる。尚、本動作
例の如く、下降方向に過寸動となつた場合には、
再度寸動用押ボタンを押せば上昇方向への寸動運
転も可能である。

したがつて寸動運転を必要とする場合、その寸
動方向を確認し、補正方向のボタンを押す選択も
不要となり、また、従来のように人間の感により
寸動運転を行なつていたのが、この制御装置によ
り感にたよることなく、適正な着床位置で自動停
止させ、かつ設定された時限で停止指令を発する
ことができるので、１，２回のボタン操作により
適正な補正が可能となる。一方、第２図で説明し
たように、２ケの位置検出器と１枚の位置検出駆
動用しやへい板の組合せにより、補正の行き過ぎ
を防止し、補正を必要としない方向に対する運転
阻止が行なえる。

尚、本実施例では、乗りかごに設けた上下２つ
の位置検出器と各階に設けた１枚の位置検出駆動
用しやへい板の組合せより寸動運転方向を判定し
たが、これに限定されず、各階側に上下２つの位
置検出器を設け、乗りかごに１つの位置検出駆動
用手段を設けるなどの変形は可能である。要する
に、上下方向の位置検出がなし得るものであれば
本発明は適用できる。

本考案によれば、寸動運転方向を自動判定し、
寸動運転用スイツチを１つにできるので、操作に
不馴れの人でも容易に寸動運転が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はエレベーターの概略図、第２図は位置
検出器と位置検出器駆動部の関係図、第３図はエ
レベーター駆動用モータの主回路図、第４図は本
考案の一実施例の回路図である。 １……レール、２……乗りかご、３……乗場、
４……位置検出器、５……位置検出器駆動部、
PD……下降寸動用位置検出器、PU……上昇寸動
運転用位置検出器、１１……上昇運転用接触器、
１２……下降運転用接触器、１１Ｅ……上昇寸動
運転用リレー、１２Ｅ……下降寸動運転用リレ
ー、Ｂ……寸動運転用ボタン、Ｔ……タイマー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ エレベーター乗りかごが着床停止後、寸動運
   転用スイツチを操作して寸動運転を行なうエレ
   ベーターにおいて、エレベーター乗りかご又は
   各階床位置に少なくとも上下２個の位置検出器
   を備え、この位置検出器の上下一方が動作して
   いることにより寸動運転方向を判定する手段
   と、前記寸動運転用スイツチが操作されている
   間前記運転方向に寸動運転を行なう手段と、前
   記位置検出器の上下両方が動作したとき寸動運
   転を停止する手段とを設けたことを特徴とする
   エレベーターの制御装置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項において、前
   記寸動運転用スイツチが操作されてから一定時
   限後寸動運転を停止させるタイマーを備えたこ
   とを特徴とするエレベーターの制御装置。