JPS62386B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、シンクロメツシユ機構を備えた変
速機のクラツチギヤに関する。

従来のこの種変速機のクラツチギヤとしては、
例えば第１図および第２図に示すようなものがあ
る。すなわち、第１図中１はクラツチハブであ
り、このクラツチハブ１はリング状をなし、その
内外周両面には、夫々スプライン１ａ，１ｂが設
けてあり、内側のスプライン１ａは、メーンシヤ
フト２のスプライン２ａと嵌合して、クラツチハ
ブ１とメーンシヤフト２とを回転方向に一体とす
るとともに、このクラツチハブ１の軸方向の移動
をストツプリング３により制限する。メーンシヤ
フト２は、図示しないプロペラシヤフトや終減速
装置等を経て、同様に図示しない駆動輪に連絡す
る。

図中４はカツプリングスリーブであり、このカ
ツプリングスリーブ４もリング状をなし、その内
周面に設けたスプライン４ａが、前記クラツチハ
ブ１外側のスプライン１ｂに嵌合している。この
カツプリングスリーブ４の外周には、シフトフオ
ーク（図中略）の入る溝４ｂが設けてあり、シフ
トレバー（図中略）の操作で移動するシフトフオ
ークにより、カツプリングスリーブ４は軸方向に
摺動して、ドツククラツチの役目をする。

また、図中６はメーンギヤであり、このメーン
ギヤ６には、これと同心をなし、かつ、セレーシ
ヨンによつてメーンギヤ６のボス６ａ外周に嵌合
するクラツチギヤ７が設置される。そして、クラ
ツチギヤ７側をクラツチハブ１に対向させて、メ
ーンギヤ６をメーンシヤフト２に回転自在に取付
け、このメーンギヤ６の軸方向への移動をクラツ
チハブ１により制限する。

前記クラツチギヤ７には、その外周に形成され
たスプライン７ａと、クラツチハブ１側に向かつ
て小径となるテーパコーン７ｂとが各設けてあ
る。前記テーパコーン７ｂには、シンクロナイザ
リング８が外嵌し、このシンクロナイザリング８
のスプライン８ａが、クラツチハブ１内側のスプ
ライン１ａとクラツチギヤ７のスプライン７ａと
の間に介在して、これらクラツチハブ１、カツプ
リングスリーブ４、シンクロナイザリング８およ
びクラツチギヤ７により、同期作用を行うように
なつている。そして、クラツチギヤ７とメーンギ
ヤ６との間には、クラツチギヤ７よりも外径の大
きいリング状のシフトストツパ９が挿着してあ
り、このシフトストツパ９により、メーンギヤ６
側へのカツプリングスリーブ４のオーバシフトを
防止している。

第２図は、カツプリングスリーブ４のオーバシ
フトを防止するための、従来の他の例を示してい
る。この例は、クラツチギヤ７スプライン７ａの
各歯のカツプリングスリーブ４とは反対側の端部
外周に、夫々突起７ｃを設け、オーバシフト時に
は、この突起７ｃがカツプリングスリーブ４のス
プライン４ａ端部に当接するようにして、該カツ
プリングスリーブ４のオーバシフトを防止する。

しかしながら、このような従来の変速機のクラ
ツチギヤにあつては、メーンギヤ６側へのカツプ
リングスリーブ４のオーバシフトを防止するた
め、クラツチギヤ７のメーンギヤ６側の端面に、
クラツチギヤ７とは別体のシフトストツパ９を設
けたり、あるいは、スプライン７ａ各歯の歯先先
端に特別な突起７ｃを設ける等、各種の特別なオ
ーバシフト防止手段を設けているが、これらのオ
ーバシフト防止手段は、スプライン７ａ各歯の強
度とは無関係で、もつぱらカツプリングスリーブ
４のオーバシフトを防止するためにのみ機能する
ようになつていた。このため、クラツチギヤ７と
の別体のシフトストツパ９の製作のみならず、こ
のシフトストツパ９を取付けるためのクラツチギ
ヤ７等の機械加工が必要であつた。しかも、スプ
ライン７ａ各歯の強度は、その歯元の寸法のみで
決定されるため、歯元の寸法は、伝達される力に
十分耐えられるよう予め大きく設定する必要があ
つた。

この発明は、このような従来の不具合に着目し
てなされたものであり、前記スプラインのカツプ
リングスリーブとは反対側の端部に、前記カツプ
リングスリーブの移動を制限するフランジを、こ
れを積極的に厚肉に形成して一体に設けることに
より、カツプリングスリーブのオーバシフトを防
止するとともに、クラツチギヤ全体の強度を向上
させ、もつて、上記不具合を解決することを目的
としている。

以下、この発明を図面に基づいて説明する。

第３図ないし第５図は、この発明の一実施例を
示す図である。

まず構成を説明すると、第３図中、１はクラツ
チハブであり、このクラツチハブ１はリング状を
なし、その内外周両面には、夫々スプライン１
ａ，１ｂが設けてあり、内側のスプライン１ａ
は、メーンシヤフト２の小径部２ｂ外周に設けた
スプライン２ａと嵌合して、これにより、クラツ
チハブ１とメーンシヤフト２とを回転方向に一体
とするとともに、このクラツチハブ１の軸方向へ
の移動を、ストツプリング３により制限する。メ
ーンシヤフト２は、図の右端側に連結される、図
示しないプロペラシヤフトや終減速装置等を経
て、同様に図示しない駆動輪に連絡する。

図中４はカツプリングスリーブであり、このカ
ツプリングスリーブ４はリング状をなし、その内
周にはスプライン４ａが設けてあつて、このスプ
ライン４ａが、前記クラツチハブ１外周のスプラ
イン１ｂに嵌合する。さらに、カツプリングスリ
ーブ４の外周には、シフトフオーク（図中略）の
入る溝４ｂと、他のギヤ（図中略）と噛合う歯４
ｃとが各設けてあり、前記溝４ｂに係合し、か
つ、シフトレバー（図中略）の操作で移動するシ
フトフオークにより、当該カツプリングスリーブ
４は、メーンシヤフト２の軸方向に摺動してドツ
ククラツチの役目をなす。

また、図中６はメーンギヤであり、このメーン
ギヤ６の内側には、外周にセレーシヨン６ｃを備
えたボス６ａが設けてあり、さらに、外周には、
アイドラギヤ（図中略）と噛合う歯６ｂが設けて
ある。そして、前記ボス６ａには、内周にセレー
シヨン７ｄを設けた、メーンギヤ６よりも小径の
クラツチギヤ７がセレーシヨン結合し、これによ
り、メーンギヤ６とクラツチギヤ７とが回転方向
に一体となる。そして、クラツチギヤ７側をクラ
ツチハブ１に対向させて、メーンギヤ６をメーン
シヤフト２の中径部２ｃに回動自在に外嵌し、こ
のメーンギヤ６の軸方向への移動をクラツチハブ
１により制限する。

前記クラツチギヤ７は、第４図および第５図に
拡大して図示するように、その外周に形成された
スプライン７ａと、このスプライン部分よりも小
径で、しかも、クラツチハブ１側に向かつて小径
となるテーパコーン７ｂと、前述のセレーシヨン
７ｄとを備えている。さらに、スプライン７ａの
クラツチハブ１とは反対側の端部には、精密鍛
造、焼結等によりこのクラツチギヤ７を成形する
際に、これを積極的に厚肉として形成したフラン
ジ７ｅを設けている。そして、フランジ７ｅの外
径は、スプライン７ａ部分の外径よりも大きく形
成してあり、このスプライン７ａ各歯の間に形成
された閉鎖部７ｆと、歯先より外側に突出した突
起部７ｇとにより、カツプリングスリーブ４のオ
ーバシフトを防止する。

また、クラツチギヤ７のテーパコーン７ｂに
は、この円錐面に合致する傾斜面を内周に備えた
シンクロナイザリング８が外嵌し、このシンクロ
ナイザリング８の外周に設けたスプライン８ａ
を、クラツチハブ１内側のスプライン１ａとクラ
ツチギヤ７のスプライン７ａとの間に設定する。
そして、これらスプライン１ａ，７ａ，８ａは、
その外周およびモジユールを同一としてカツプリ
ングスリーブ４のスプライン４ａと単独で、また
は一連に噛合うことができるようにする。

次に作用を説明する。

クラツチギヤ７のフランジ７ｅは、スプライン
７ａの成形と同時に形成する。すなわち、精密鍛
造によりクラツチギヤ７を形成する場合には、予
め素材寸法にフランジ７ｅのための寸法を見込ん
でおき、スプライン７ａの成形と同時に、積極的
に厚肉の当該フランジ７ｅを形成する。また、焼
結によりクラツチギヤ７を形成する場合には、予
め焼結前のクラツチギヤの原型にフランジ７ｅを
形成しておき、この原型を焼硬める等して、当該
フランジ７ｅを積極的に形成する。このフランジ
７ｅの肉厚は、シフトレバー操作時に、万一カツ
プリングスリーブ４がオーバシフトされて、フラ
ンジ７ｅの閉鎖部７ｆまたは突起部７ｇに突当つ
た場合、少なくとも衝突後のカツプリングスリー
ブ４のメーンギヤ６側への移動を制限し得るだけ
の強度を有する厚味に設定する。

これにより形成されたフランジ７ｅは、スプラ
イン７ａに連続してこれと一体をなし、しかも、
スプライン７ａが延びる方向と交差する円周方向
に連続するよう形成されるため、各歯がフランジ
７ｅによつて一体に連続し、かつ歯元の断面積を
著しく大きくすることができる。したがつて、フ
ランジ７ｅがスプライン７ａ各歯の補強をなし、
このスプライン７ａの強度を高めてその寿命を向
上することができるとともに、クラツチギヤ７全
体の強度を向上することができる。そして、従来
行なつていた、機械加工工程の短縮化およびバリ
取り加工を廃止することが可能となり、クラツチ
ギヤ７が簡単に成形できて加工費の軽減を図るこ
とができる。

かかるクラツチギヤ７を、セレーシヨン結合に
よりメーンギヤ６に嵌合して、両ギヤ６，７を回
転方向に一体となし、これをメーンシヤフト２に
転動自在に遊嵌する。クラツチギヤ７のテーパコ
ーン７ｂには、予めシンクロナイザリング８を外
嵌しておく。

而して、メーンシヤフト２の回転は、小径部２
ｂのスプライン２ａに嵌合するスプライン１ａを
有するクラツチハブ１を回転させ、同時に、クラ
ツチハブ１外側のスプライン１ｂに嵌合するスプ
ライン４ａを有するカツプリングスリーブ４を回
転させる。この状態から、シフトレバーを操作し
て図示しないシフトフオークを、第３図中右側へ
移動させると、このシフトフオークに係合された
カツプリングスリーブ４が同様に右動する。カツ
プリングスリーブ４が右動してそのスプライン４
ａがシンクロナイザリング８のスプライン８ａと
接触する当初は、クラツチギヤ７のテーパコーン
７ｂとシンクロナイザリング８内周面との摩擦力
が、全くないか、または極めて小さいため、メー
ンシヤフト２側の回転力はクラツチギヤ７側には
伝達されない。さらに、カツプリングスリーブ４
が右動してスプライン４ａがシンクロナイザリン
グ８のスプライン８ａと接触し、クラツチギヤ７
とシンクロナイザリング８との間の摩擦力が大き
くなると、クラツチギヤ７側がメーンシヤフト２
側の回転速度に同期するようになる。そして、メ
ーンシヤフト２側の回転速度にクラツチギヤ７側
の回転速度が同期したところで、さらにカツプリ
ングスリーブ４を右動させると、該カツプリング
スリーブ４はシンクロナイザリング８のスプライ
ン８ａに案内されて右動し、スムースにクラツチ
ギヤ７のスプライン７ａに嵌合する。この結果、
カツプリングスリーブ４を介してクラツチハブ１
とクラツチギヤ７とがスプライン結合され、メー
ンシヤフト２の回転力がメーンギヤ６に伝達され
る。

この際シフトフオークの過大移動により、カツ
プリングスリーブ４が所定の移動量よりも大きく
移動した場合にも、クラツチギヤ７のスプライン
７ａの端部にはフランジ７ｅが設けられているた
め、このフランジ７ｅがカツプリングスリーブ４
の過大移動を制限して、カツプリングスリーブ４
とメーンギヤ６との干渉を防止することができ
る。

なお、この発明は、メーンギヤ６とクラツチギ
ヤ７とが一体に形成されたギヤにも実施できるこ
とは、もちろんである。

以上説明してきたように、この発明では、前記
スプラインのカツプリンクスリーブとは反対側の
端部に、前記カツプリングスリーブの移動を制限
するフランジを、これを積極的に厚肉に形成して
設ける構造とした。このため、スプラインに噛合
うカツプリングスリーブのオーバシフトを防止す
るシフトストツパが簡単に形成できるとともに、
当該スプラインの強度を向上することができるこ
とはもちろんのこと、クラツチギヤ全体の強度を
高めることができる。しかも、従来行なつてい
た、バリ取り加工やその他の機械加工を廃止し、
または軽減することができて、経済的なクラツチ
ギヤを得ることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の変速機のギヤを示
すものであり、第１図は取付状態を示す図、第２
図はギヤの拡大断面図、第３図ないし第５図はこ
の発明の一実施例を示すものであり、第３図は取
付状態を示す図、第４図はギヤの拡大断面図、第
５図は同平面図である。 １……クラツチハブ、１ａ……スプライン、２
……メーンシヤフト、４……カツプリングスリー
ブ、４ａ……スプライン、６……メーンギヤ、６
ｃ……セレーシヨン、７……クラツチギヤ、７ａ
……スプライン、７ｂ……テーパコーン、７ｄ…
…セレーシヨン、７ｅ……フランジ、７ｆ……閉
鎖部、７ｇ……突起部、８……シンクロナイザリ
ング、８ａ……スプライン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ メーンギヤに設けられ、かつ、外側のスプラ
   インがカツプリングスリーブ内側のスプラインと
   噛合う変速機のクラツチギヤにおいて、スプライ
   ンのメーンギヤ側の端部に、クラツチギヤと一体
   のフランジを設けたことを特徴とする変速機のク
   ラツチギヤ。