JPS6236773B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は気密封着用部材の製造方法、特に低コ
ストで気密封着性を向上させた気密封着用部材の
製造方法に関するものである。

一般に、電子管において、電極間に絶縁性を十
分に持たせ、かつ強度および耐久性等を向上させ
るためにセラミツクと金属部材とを接合するろう
付け封着構造が多く用いられている。

第１図はセラミツクと金属部材とのろう付け封
着構造が用いられているマグネトロンの一例を示
したものである。同図において、１は筒状に形成
された陽極円筒であり、この陽極円筒１の中央内
壁部には放射状に分割された複数個の共振空胴を
形成するベイン２が設けられ、この陽極円筒１と
ベイン２によつて陽極３が構成されている。そし
て、この陽極３の中心部には電熱線をらせん状に
形成した陰極４が配置され、この陰極４とベイン
２との間は所定間隔に保持されて作用空間５が形
成されている。また、上記陽極３の両端部には、
円板状の端板６ａ，６ｂがその周縁部をろう付け
あるいはアーク付け等によつて溶着固定され、さ
らにその内面に永久磁石７ａ，７ｂが磁石保持体
８ａ，８ｂにより保持固定されて磁気回路Ａを形
成するとともに作用空間５に磁束を集束させてい
る。また、端板６ａの外面には、例えばコバール
で形成された金属円筒体９がろう付け手段によつ
て固着配置され、この金属円筒体９の他端側に
は、アルミナセラミツクによつて形成されたセラ
ミツク円筒体１０がろう付け手段により固着され
て構成された気密封着構造を有している。さら
に、このセラミツク円筒体１０の他端側には、銅
パイプをチツプオフして形成された排気管１１が
固着されて外囲器が構成されている。また、この
排気管１１は上記ベイン２の一部に接続されたア
ンテナ導線１２と気密圧接され、さらに、この排
気管１１の外周面には金属カバー１３が圧接固定
され、気密圧接部を保護し、かつこの部分に電界
集中によるスパークを防止させるとともに高周波
アンテナとしての機能を兼ね備えている。また、
上記端板６ｂの外面には、例えばコバールにより
形成された金属円筒体１４がろう付けにより固着
配置され、さらにこの金属円筒体１４の他端側に
は陰極４を支持するステム１５が同様にろう付け
によつて固着配置されている。

このように構成されたマグネトロンは、ステム
１５の先端入力部より所定の入力が供給されると
陰極４が加熱され、陽極３に所定の電圧が印加さ
れると、陰極４から熱電子が放射される。そし
て、この熱電子が作用空間５の磁界内で旋回運動
することにより、上記共振空胴内で高周波発振が
行なわれ、この発振出力がアンテナ導線１２を通
して高周波アンテナを兼ねる金属カバー１３から
例えば電子レンジのオーブン内に放射され、食品
を加熱、解凍させることができる。

また、第２図は第１図のろう付け封着構造の詳
細の一例を示したものである。同図において、９
はアルミナ等を主成分とするセラミツクを円筒状
に形成しかつその端面がモリブデン粉末の焼結に
よりメタライズ加工されたセラミツク円筒体であ
り、１０はコバールを肉厚0.3〜１mm程度の円筒
状に形成させた金属円筒体であり、このセラミツ
ク円筒体９と金属円筒体１０との端面間に銀―銅
合金などのろう材１６を介在させ、還元性もしく
は不活性雰囲気中で加熱し、ろう材１６を溶融さ
せることによつて、所望の気密封着を行なつてい
る。

しかしながら、このような気密封着構造におい
て、優れた品質を得るためには、ろう付け部の温
度、ろう材の純度、ろう付け時の部品間の加圧な
どについて綿密な配慮を必要とする。特に上述し
たように金属円筒体とセラミツク円筒体の突き当
てろう付け構造においては、セラミツク円筒体１
０と金属円筒体９の端面がそれぞれ十分な平坦度
をもつて仕上げられていることが必要であり、通
常これらの端面の凹凸は0.1mm以下に管理されて
いなければ、微少な隙間を生じて気密性破壊を発
生したり、接合強度が低下する。このため、金属
円筒体９の端面は、第３図に拡大断面図で示すよ
うに切削面Ｃからの切削仕上げ加工が施されるの
が普通である。このような切削仕上げ加工は、通
常、加工コストが極めて高価である。そして、こ
の金属円筒体９を製作するには、プレス加工の分
野において一般に第４図ａ〜ｃに示すような加工
手段がとられている。すなわち、同図ａに示すよ
うにコバール金属からなる板材１７を絞り成形加
工法により同図ｂに示すようにカツプ状に絞り加
工してカツプ１８を成形した後、同図ｃに示すよ
うに縁切り、底抜き加工を施して円筒体１９を形
成する。しかしながら、上記方法によると、縁切
り、底抜き加工の際、図示しない金型と円筒体１
９とのクリアランスを円周上に均一に形成するこ
とが困難であり、また、絞り加工の場合、肩部の
丸味が円周上で不均一となるため、製作された円
筒体１９の端面の平坦度が著しく低下する欠点を
有していた。

このような欠点を改善しようとしたものとして
は、円筒体１９の両端部を中心軸に対して垂直な
面となるようにせん断する方法が提案されている
が、順送形式の金型で上記せん断工程を同時に行
なうことは、設備、技術上の点において著しく困
難性を伴ない、さらにコストが大幅に上昇する欠
点を有していた。

したがつて本発明は、上記従来の欠点に鑑みて
なされたものであり、十分な端面平坦度を有する
円筒状気密封着部材を安価な加工法で得られる気
密封着用部材の製造方法を提供することを目的と
している。以下図面を用いて本発明の実施例を詳
細に説明する。

第５図ａ〜ｄは本発明による気密封着用部材の
製造方法の一実施例を説明するための拡大断面工
程図である。同図において、まず、同図ａに示す
ようにコバール金属からなる板材１７を絞り成形
加工法によりカツプ状に絞り、同図ｂに示すよう
にカツプ１８を成形した後、同図ｃに示すように
カツプ１８の入口部内側および底部外面側にそれ
ぞれ直径がD1＞D4，D2＞D3の関係を満足するよ
うに部分的に潰し加工を施した後、鍔部１８ａお
よび底部１８ｂをそれぞれ縁切りおよび底抜き加
工を施して同図ｄに示すように円筒状の気密封着
部材２０を完成させる。

このような方法によれば、潰し加工により端面
の平坦度が十分に確保されており、通常の順送形
式の金型に潰し加工の工程を増設するのみで実施
できるので、生産コストが極めて安価にしかも十
分な信頼性を有する気密封着構造が得られる。

なお、上記実施例において、気密封着部材にコ
バールを成形加工した場合について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、鉄、銅
などの金属を用いても前述と同様の効果が得られ
る。

以上説明したように本発明による気密封着用部
材の製造方法によれば、端面平坦度の高い金属円
筒体が簡単な工程で容易に得られるため、気密封
着性、接着強度、耐久性の高い、高品質、高信頼
性のろう付け気密封着構造が低コストで可能とな
る極めて優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はマグネトロンの一例を示す要部断面
図、第２図は第１図のろう付け気密封着構造の一
例を示す要部断面図、第３図は第２図の出力側絶
縁物の一例を示す拡大断面図、第４図ａ〜ｃは従
来の円筒状気密封止用部材の製造方法を説明する
ための要部断面工程図、第５ａ〜ｄは本発明によ
る気密封止用部材の製造方法の一例を説明するた
めの要部断面工程図である。 ９……出力側絶縁物、１０……気密封着部材、
１７……板材、１８……カツプ、１８ａ……鍔
部、１８ｂ……底部、１９，２０……気密封着部
材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 端面がメタライズ加工されたセラミツク円筒
   体と金属円筒体間にろう材を介在させて封着させ
   た気密封着構体において、前記金属円筒体は板材
   を絞り加工してカツプ体を成形する工程と、前記
   カツプ体のろう付けされる端部に相当する部分に
   環状の潰し加工を施す工程と、前記潰し加工の周
   端を切断する工程とを有することを特徴とした気
   密封着用部材の製造方法。