JPS6234850B2 - - Google Patents

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JPS6234850B2
JPS6234850B2 JP16590279A JP16590279A JPS6234850B2 JP S6234850 B2 JPS6234850 B2 JP S6234850B2 JP 16590279 A JP16590279 A JP 16590279A JP 16590279 A JP16590279 A JP 16590279A JP S6234850 B2 JPS6234850 B2 JP S6234850B2
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JP
Japan
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yarn
stretching
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undrawn
marbled
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JP16590279A
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JPS5691019A (en
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Taketoshi Sugimoto
Nobuyuki Matsubara
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Publication of JPS5691019A publication Critical patent/JPS5691019A/ja
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は繊維軸方向に染着性能差を有する改良
されたポリエステル加工糸の製造方法に関するも
のであり、さらに詳しくは残留水分率が1.5%以
下の未延伸糸を出発原料として、該未延伸糸を延
伸ピンを用いて不均一延伸した後、ただちに仮撚
加工工程で連続して仮撚加工を行ない、繊維軸方
向に適度に管理された繊度変動と染着性能変動を
有する改良されたポリエステル加工糸の製造方法
に関する。 従来、糸条の繊維軸方向に染着性能差を有する
ポリエステル加工糸の製造方法に関しては多数の
検討がなされている。 従来技術は、いずれも繊維軸方向に直径の変化
を有する太細糸を出発原料としたものであり、例
えばその1つとして特開昭51−147618号公報に記
載の方法「繊維軸方向に直径の変化を有し、太い
部分の複屈折が15〜80×10-3で細い部分の複屈折
が90〜200×10-3であるポリエステル糸条を加工
温度180℃以上、加撚張力0.05〜0.8g/d、平均
加撚張力に対する加撚張力変動±5〜20%で反撚
加工することを特徴とする繊維軸方向に染着能力
差を有するポリエステル加工糸の製造方法」をあ
げることができる。特開昭51−147618号公報記載
の方法で得られる加工糸の品質は他の従来技術で
得られるものに比べて、織編物で染色加工した際
の濃染部と淡染部の比率および濃淡コントラスト
の点において好ましい霜降り調を呈する良好なも
のである。 しかしながら、出発原料として太細糸を使用す
るため太細糸の太細斑の特徴によつて加工糸の繊
度変動と染着性能変動に重大な影響を受け、かつ
出発原料としての太細糸自体が未延伸糸ドラムの
巻層間差や経時的変化に起因する太細斑の生成変
動を生じやすい性質を有しているため加工糸の繊
度変動と染着性能変動の管理に多大の困難を伴う
こと、さらに出発原料である太細糸の製造工程と
仮撚加工工程が分離しているため、取扱いの難し
い太細糸の製造において、多くの工程を経ること
となり、毛羽が発生しやすくかつ最終製品の加工
糸の製造コストが高くなることなどの欠点を有す
る。 前記従来技術の欠点を改善するため鋭意検討を
続けた結果、本発明に到達したものである。 すなわち、本発明は前述したような公知の染着
性能差を有するポリエステル加工糸の欠点を改善
し、織編物で染色加工した際に好ましい霜降り調
の色相とスパンライクな風合いを有するポリエス
テル加工糸の安定したかつ低コストなる製造方法
の提供を目的とするものである。 本発明の目的は残留水分率が1.5%以下のポリ
エステル未延伸糸を下記(1),(2)式を満足する延伸
ピンを用いて、下記(3)式を満足する延伸倍率で延
伸し、引き続いて下記(4)式を満足する仮撚張力を
かけながら仮撚加工を施すことによつて達成する
ことができる。 1/3(40logV−56)≦D≦1/3(40logV−35)……
(1) 70≦θp≦90 ……(2) 1+0.5L<R<1+1.2L ……(3) 0.08<S<0.35 ……(4) V:延伸速度(m/min) D:延伸ピン直径(mmφ) θp:延伸ピン表面温度(℃) L:未延伸糸の自然延伸比 R:延伸倍率 S:仮撚加工時の加撚部張力(g/d) 本発明の第1の特徴は残留水分率が1.5%以下
のポリエステル未延伸糸を出発原料とすることで
ある。 すなわち、従来技術ではいずれも繊維軸方向に
直径の変化を有する太細糸を出発原料として仮撚
加工がなされていたのに対して、本発明では事実
上、繊維軸方向に直径の変化を持たないかつ残留
水分率が1.5%以下の未延伸糸を出発原料とし直
接加工糸を作ることで太細糸を製造し、加工機へ
供給するまでに経る工程、取扱い上発生しやすい
トラブル(毛羽を発生しやすい、糸質変化を発生
し製品品質の管理が難しい)などをなくすことが
出来るとともに工程省略で製造コストの大巾低減
を可能ならしめたのである。 通常、紡糸直後の未延伸糸は3〜4%前後の残
留水分を有する。高速紡糸などで水分が飛散しや
すい方法によつて巻取られた場合であつても2.5
%前後の残留水分を有するのが普通であり、この
ような未延伸糸を本発明の出発原料とした場合
は、延伸ピンを用いて延伸する際に延伸ピン上で
の糸条の昇温速度によつて糸条の繊維軸方向およ
び構成単糸間でバラツキが生じやすく、かつ糸条
が延伸を開始するまでに到達する温度も低くなる
ため、延伸張力が高くなり、張力変動も大きくな
りやすい。 したがつて、このような状態で延伸した糸条を
仮撚工程へ供給し仮撚加工しても得られる加工糸
は濃淡差が強すぎたり、濃染部と淡染部の発生に
かたよりが生じやすくなつたりして、織編物で染
色加工した際に好ましい霜降り調の色相とスパン
ライクな風合いを有するポリエステル加工糸とは
ならない。 本発明者が鋭意検討した結果、出発原料の残留
水分率を1.5%以下、望ましくは1.0%以下にコン
トロールすることによつて好ましいランダムな繊
度変動と染着性能差を有し、織編物で染色加工し
た際に好ましい霜降り調の色相とスパンライクな
風合いを有する加工糸が得られることを見出した
のである。 未延伸糸の残留水分率をコントロールする方法
としては風乾による自然乾燥または温湿度をコン
トロールする方法のいずれであつても良い。 本発明で使用するポリエステル未延伸糸とはポ
リエチレンテレフタレートまたはエチレンテレフ
タレート単位を主たる構成成分とするコポリエス
テルからなる未延伸糸をいい、上記ポリエステル
のチツプを溶融紡糸機で紡糸し、冷却後、巻取機
により巻取ることによつて得られるものであれば
すべて有効であるが、未延伸糸の複屈折(Δn)
は該未延伸糸を用いて本発明の目的とする加工糸
を得て染色加工した際に生じる濃染部と淡染部の
染着性能差の点で望ましくは10×10-3〜80×
10-3、さらに望ましくは20×10-3〜60×10-3の範
囲が好ましい。 本発明の第2の特徴は前記未延伸糸を下記(1),
(2)式を満足する延伸ピンを用いて、下記(3)式を満
足する延伸倍率で延伸することである。 1/3(40logV−56)≦D≦1/3(40logV−35)……
(1) 70≦θp≦90 ……(2) 1+0.5L<R<1+1.2L ……(3) V:延伸速度(m/min) D:延伸ピン直径(mmφ) θp:延伸ピンの表面温度(℃) L:未延伸糸の自然延伸比 R:延伸倍率 すなわち、前記未延伸糸を出発原料として前記
特定条件下で延伸することにより、該未延伸糸は
均一に延伸されず、不完全未延伸糸部分がマルチ
フイラメントおよびマルチフイラメントを構成す
る全フイラメントの繊維軸方向にランダムに残留
し、しかも不完全未延伸糸部の長さが30cm以下
で、かつ大部分は20cm以下であるような不完全延
伸糸となる。 不完全延伸糸中の不完全未延伸糸部分は全く延
伸されていないか、たとえ延伸されていても規定
の延伸倍率よりも低倍率延伸となつているため、
分子配向が低いのに対して、延伸糸部分は分子配
向が高くなり、結晶化も進んだものとなつてい
る。 しかしながら、延伸速度が変化すると延伸ピン
前後における張力レベルや糸条の昇温カープが変
化するなどの理由で不完全未延伸糸部分の発生
量、発生周期、および単位長さが変化する。多少
の延伸速度差であれば延伸ピン温度で補正可能で
あるが速度差が大きい場合には延伸ピン温度のみ
で補正するのは困難である。 したがつて、延伸速度の異なる条件で延伸した
不完全延伸糸を仮撚加工して得られる加工糸の霜
降り調は、それぞれ異なつたものとなり、同一品
として同時使用できないばかりでなく、望ましい
霜降り調の色相とスパンライクな風合いを有する
仮撚加工糸を得るのが極めて困難となる。 本発明における延伸現象は、延伸点が延伸ピン
上で常時固定している通常の延伸現象と異なり、
延伸点が延伸ピン上または延伸ピン外へ移動しな
がら延伸されるのが特徴であり、移動の微妙な差
によつて不完全延伸糸の太細パターンが変化し、
仮撚加工後の加工糸の霜降り調の色相とスパンラ
イクな風合いが変化するのである。 したがつて仮撚加工糸の霜降り調の色相とスパ
ンライクな風合いをコントロールするためには、
延伸ピン上の延伸点を規制する要因を見い出しこ
れをコントロールする必要がある。 延伸点を規制する主な要因としては、(1)未延伸
糸の性質、(2)延伸張力、(3)延伸温度、(4)延伸速度
の4点があり、この4点についてさらに検討し
た。 すなわち、未延伸糸の性質は事実上一定として
残留水分率のコントロールが不可欠な要因である
ことは前述したとおりである。 延伸張力に関して、延伸ピンへの巻数が一定で
延伸ピン温度が同じ場合には、延伸速度が速い程
延伸ピン前後の張力比は大きくなりやすく、延伸
点は延伸ピン上へ集中しやすくなり、不完全延伸
糸の延伸糸部および付完全未延伸糸部の単位長さ
は短くなりやすい。 延伸ピンン温度と延伸ピン径が一定で、延伸速
度が速くなれば延伸ピン上の糸条の温度勾配が小
さくなり、延伸点は延伸ピン上に固定されにくく
なり、逆に延伸速度が遅くなれば延伸ピン上の糸
条の温度勾配が大きくなり、延伸点は延伸ピン上
に固定されやすくなる。 したがつて、延伸速度が異なる場合にも、同等
の繊度変動と染着性能差を有し、織編物で染色加
工した際に好ましい霜降り調の色相とスパンライ
クな風合いを有する加工糸を得るためには、延伸
ピン径と延伸ピン温度を適正化しなければならな
いのである。 延伸速度は前述したごとく延伸張力や糸条の昇
温状態を左右する最も重要な要因の一つである。 したがつて、本発明のような延伸方式において
延伸速度が異なる場合も同じ品質の不完全延伸糸
を得るのは、従来困難であつたが、延伸速度に対
応して延伸ピン径を適正化していくことであらゆ
る延伸速度について同等の繊度変動と染着性能差
を有する不完全延伸糸を径て、同等の好ましい霜
降り調の色相とスパンライクな風合いを有する仮
撚加工糸を得ることが可能なことを見い出したの
である。 第1図は前述した考え方に基づき、延伸速度の
対数(logV)と延伸ピン径(D)の関係を得ら
れた仮撚加工糸が織編物で染色加工した際に呈す
る霜降り調の色相とスパンライクな風合いの状態
で整理したものでる。(実施例表2参照) 第1図において、直線(1)はD=1/3(40logV− 32),(2)はD=1/3(40logV−35),(3)はD=1/
3 (40logV−44),(4)はD=1/3(40logV−56),(5)
は D=1/3(40logV−59)なる関係式で表わされる直 線を図示したものであり、表2◎印は得られた仮
撚加工糸を織編物で染色加工した際に本発明の目
的とする上品で好ましい霜降り調の色相とスパン
ライクな風合いが得られることを示し、〇印は霜
降り調を形成するための濃、淡染部の単位長さが
やや短くなつたり、あるいは濃、淡染部の発生に
やや周期性が認められるようになり、霜降り調の
上品さがやや低下するが実用可能なことを示し、
×印は濃、淡染部の単位長さが著しく短くなつた
り、あるいは濃、淡染部の発生に明確な周期性が
生じるようになり、本発明の目的とする上品で好
ましい霜降り調の色相とスパンライクな風合いが
得られなくなることを示す。 第2図は延伸ピン径(D)とその延伸ピンを使
用して延伸した際に得られる不完全延伸糸を採取
し、その太細周期斑をウースターむら測定器を用
いて測定した場合のウースターむら波形および斑
のスペクトル分布の関係を示したものである。 すなわち、延伸速度200m/minの条件におい
て延伸ピン径がD=1/3(40logV−44)なる関係で 示される延伸ピンを使用した場合は、本発明の目
的とする上品で好ましい霜降り調の色相とスパン
ライクな風合いを有する仮撚加工糸が得られたの
に対して、同じ延伸速度においても延伸ピン径が
D=1/3(40logV−32)なる関係で示される大きさ まで大きくした延伸ピンを使用した場合は不完全
延伸糸の太細斑に明確な周期性が認められるよう
になる。 したがつて、このような不完全延伸糸を仮撚加
工して得られる加工糸の霜降り模様も周期性の強
いものとなり、織編物の模様荒れを生じるととも
に濃、淡染部のコントラストが強すぎて、本発明
の目的とする上品で好ましい霜降り調の色相とス
パンライクな風合いは得られない。他方、延伸ピ
ン径がD=1/3(40logV−59)なる関係で示される 大きさまで小さくした延伸ピンを使用した場合は
不完全延伸糸の太細斑の単位長さが著しく短くな
り、かつウースターむら波形の振巾で示される太
い部分と細い部分の大きさの差が減少するため、
このような不完全延伸糸を仮撚加工して得られる
加工糸の霜降り模様も濃、淡染部の単位長さが短
く、かつ濃、淡染部のコントラストも弱いものと
なり、鮮明な霜降り調の色相とスパンライクな風
合いを有する織編物は得られない。 延伸速度を100,400m/minに変更した場合も
上記200m/minの場合と同じ現象となつた。 上記の知見に基づき実験した結果実施例1の結
果のとおり延伸ピン径(D)は1/3(40logV−56) ≦D≦1/3(40logV−35)で示される領域でなけれ ばならない。 延伸ピンの摩擦係数は延伸速度の対数に比例し
て変化するが、魔擦係数の変化に対する加工糸織
編物の霜降り調の色相とスパンライクな風合いの
変化は比較的緩やかである。 したがつて、本発明で用いる延伸ピンの摩擦係
数は延伸される未延伸糸との関係で0.15〜0.30μ
の範囲の延伸ピン材質を選択するのが好ましい。 次に延伸状態を左右する要因の一つは糸温度で
あり、糸温度に直接的な影響を持つのは延伸ピン
温度である。 延伸ピン温度を70℃未満にすると不完全延伸糸
中の延伸糸部分と不完全未延伸糸部分の生成がマ
ルチフイラメント単位にそろつて生じるとともに
延伸が不安定で糸条に損傷を与えるためこのよう
な不完全延伸糸を仮撚加工して得られる加工糸の
霜降り模様は周期性の強いものになるとともに加
工糸の毛羽が多発するのでよくない。 他方、延伸ピン温度が90℃を越えると糸条が均
一延伸されやすくなり、不完全未延伸糸部分を残
留させるのが困難で仮に残留しても残留比率が小
さく十分な霜降り調の色相とスパンライクな風合
いを発現できなくなる。 したがつて、延伸ピンの温度は前記(2)式で示さ
れた範囲でなければならない。 前記(3)式において延伸倍率が(1+0.5L)倍以
下となると不完全延伸糸中の不完全未延伸糸部分
の比率が高くなり、仮撚加工時の糸切れおよび加
工糸毛羽が増加するとともに、得られる加工糸の
濃染部比率が増加するため上品で好ましい霜降り
調の色相とスパンライクな風合いが得られなくな
る。 他方、延伸倍率が(1+1.2L)倍以上になると
不完全延伸糸中の不完全未延伸糸部分の比率が著
しく減少するため得られる仮撚加工糸の濃染部比
率が著しく減少し、織編物で染色加工した際の霜
降り模様が著しく弱いものとなり、本発明の目的
とする上品で望ましい霜降り調の色相とスパンラ
イクな風合いが得られなくなる。 したがつて、本発明の目的とする上品で望まし
い霜降り調の色相とスパンライクな風合いの織編
物となる仮撚加工糸を得るための延伸倍率は、前
記(3)式で示された範囲でなければならない。 前記(3)式で用いる「L=未延伸糸の自然延伸
比」は下記(5)式で定義した値を用いるものとす
る。 第3図はテンシロンと呼ばれる引張試験機を用
いて試長l0(cm)の未延伸糸を引張速度V1(cm/
分)、引張試験機と連動した記録計のチヤート速
度V2(cm/分)の条件下で試料が破断するまで
引き伸した際に記録計に描かれた張力伸長曲線A
を示したものである。 第3図において、伸長量に張力が正比例して上
昇する領域l1(cm)、張力の極大値Bを通る水平
線と張力伸長曲線Aの交点Cで定義される張力が
ほぼ一定の領域l2(cm)を求め、これらの数値を
下記(5)式へ代入して算出された値を本発明で用い
る未延伸糸の自然延伸比とする。 L=V/l×V(l1+l2) ……(5) 本発明の第3の特徴は前記した延伸工程を終了
することによつて得られた不完全延伸糸を前記延
伸工程に直結した仮撚加工工程へ連続して供給
し、仮撚加工を施すことである。 すなわち、仮撚加工工程へ供給される前記不完
全延伸糸を仮撚加工工程で前記(4)式を満足する仮
撚張力をかけながら仮撚加工を施すことにより、
該不完全延伸糸の延伸糸部分は仮撚変形を受けな
がら、さらに結晶化が進行する。 他方、不完全未延伸糸部分は選択的に追加延伸
されながら仮撚変形を受けるために得られる仮撚
加工糸は見掛上繊維軸方向に直径の変化を持たな
いか、あるいは直径の変化を有していても出発原
料である未延伸糸の直径以下で、大部分は延伸糸
部分の直径に近づいたものとなり、配向も進んだ
ものとなる。 したがつて、従来技術で得られる繊維軸方向に
染着能力差を有する加工糸に比べて、不完全未延
伸糸部の繊維強度が大巾に向上していることか
ら、加工時の糸切れや加工糸毛羽の発生が少なく
なるとともに得られる加工糸の濃淡差も従来品の
ように濃淡コントラストが強く、かつ単調なもの
ではなく、マルチフイラメントおよびマルチフイ
ラメントを構成する個々のフイラメントの繊維軸
方向に未延伸糸の染着性能に近い染着性能を有す
る部分と延伸糸の染着性能に近い染着性能を有す
る部分、さらには両者の間で様々に変化した染着
性能を有する部分がランダムに存在したものにな
るため、得られた加工糸を織編物で染色加工した
際に複雑で深味のあるきわめて上品な霜降り調の
色相とスパンライクな風合いが得られるのであ
る。 ここで仮撚加工張力が0.08g/d以下になると
仮撚加工時の糸切れが多発し、他方0.35g/d以
上になると、得られる加工糸の毛羽数が増加する
ため、織編物工程での糸切れが多発する。 したがつて、仮撚張力は前記(4)式で示された範
囲でなければならない。 本発明の方法を図面によつて説明する。 第4図は本発明のポリエステル特殊加工糸を得
るための好ましい製造工程の一例を示す概略図で
ある。 第4図において、未延伸糸パツケージ1から手
き出されたポリエステル未延伸糸Y1をデリベリ
ローラ2とデリベリローラ4の間で、この間に前
記した延伸ピン3を設け、延伸ピン3へ1/2〜2
回巻付けて前記した延伸条件下で延伸し、該未延
伸糸の繊維軸方向に不完全未延伸糸部分がランダ
ムに残留した不完全延伸糸Y2を製造する。前記
Y2はデリベリローラ4から直結した仮撚加工工
程へ連続して供給され、デリベリローラ4とデリ
ベリローラ7の間で仮撚装置6によつて最良の捲
縮性を示す撚数に加撚され、熱板5により熱セツ
トされ、仮撚装置6とデリベリローラ7の間で解
撚後、加工糸Y3となり巻取ローラ9で巻取ら
れ、チーズ10を形成するか、またはデリベリロ
ーラ7からリラツクスローラ8を経て巻取ローラ
9で巻取られてチーズ10を形成し、工程は完了
する。 なお、リラツクスローラ8を使用する場合はデ
リベリローラ7とリラツクスローラ8との間にヒ
ーターを設けて形態固定することやデリベリロー
ラ7とデリベリローラ8の間、またはリラツクス
ローラ8と巻取ローラ9の間へ流体乱流ノズルを
設けて単糸間の相互交絡性を高めることもでき
る。 仮撚装置6は仮撚スピンドル方式、摩撚仮撚方
式のいずれの装置でもよい。 本発明は以上説明したように延伸工程と仮撚加
工工程を直結するに際し、残留水分率が1.5%以
下のポリエステル未延伸糸を出発原料とし、前記
(1)および(2)式を満足する延伸ピンを用いて前記(3)
式を満足する延伸倍率で延伸することにより、不
完全未延伸糸部分がマルチフイラメントおよびマ
ルチフイラメントを構成する全フイラメントの繊
維軸方向にランダムに残留した不完全延伸糸とな
し、該不完全延伸糸を連続して仮撚加工工程へ供
給して前記(4)式を満足する仮撚張力をかけながら
仮撚加工を施すことによつて、繊維軸方向に適度
に管理された繊度変動と染着性能変動を有する加
工糸を製造し、該加工糸を織編物で染色加工する
ことにより、濃淡差がきわめて上品で糸斑周期性
の少ない好ましい霜降り調の色相とスパンライク
な風合いを有する加工糸を安定して生産可能なら
しめるとともに、延伸後の巻取工程を省略するこ
とができたので高速度生産が可能になり、製造コ
ストを大巾に低減することができる効果を奏し、
さらに前記巻取工程を省略したことにより、同工
程で糸条が受ける物理的擦過作用を除去できたた
め、加工工程での糸切れや加工糸の毛羽発生など
のトラブルを未然に防止できる。 実施例 ポリエチレンテレフタレートを仮撚加工後のデ
ニールが150Dになるように吐出量を調整して溶
融紡糸し、複屈折(Δn)が42×10-3、紡糸直後
の残留水分率が2.5%で48フイラメントからなる
高配向未延伸糸を得て、紡糸巻取後の放置条件を
変えることにより、残留水分率の異なる各種未延
伸糸を得た。 なお、延伸仮撚加工開始直前に測定した該未延
伸糸の自然延伸比は0.45であつた。 前記未延伸糸を第4図の装置を用い、表1の条
件を基本に表2の種々条件を用いて検討を行な
い、表2の結果を得た。 表2において実験No.1〜4は出発原料である未
延伸糸の残留水分率の効果を検討したものでNo.1
は残留水分率が高いため、延伸ピン前後の張力変
動が大きくなり、加工時の糸切れや加工糸毛羽の
発生が多く、かつ加工糸を織編物で染色加工した
際の霜降り状態も極めて不均一で濃淡差の少ない
ものとなつた。 No.2は霜降りの濃淡差はやや弱いが実用可能で
あり、No.3およびNo.4は糸切れや加工糸毛羽の発
生もほとんどなく、極めて上品で好ましい霜降り
調の色相とスパンライクな風合いを有するもので
あつた。 実験No.5〜10は延伸倍率の効果を検討したもの
である。No.5は延伸倍率が低すぎるため、加工時
の糸切れがやや多く、加工糸毛羽が多発した。さ
らに加工糸の濃染部比率が高すぎるため好ましい
霜降り調の織編物が得られなかつた。No.6は織編
物の霜降り調がやや濃染傾向にあるが実用可能で
あり、No.7およびNo.8は延伸仮撚加工時の糸切れ
や加工糸毛羽の発生もほとんどなく、織編物は本
発明の目的とする最も上品で好ましい霜降り調の
色相とスパンライクな風合いを有するものであつ
た。 No.9は加工糸の濃染部比率が減少するため、織
編物の霜降り調がやや淡染化するが実用可能なも
のであつた。 No.10は延伸倍率が高すぎるため、加工糸の濃染
部比率が急速に減少するため、織編物の霜降り調
が著しく、粗なものとなり、商品価値のないもの
であつた。 実験No.11〜21は延伸速度と延伸ピン径の関係を
検討し、前記(1)式の関係がすべての延伸速度にお
いて成立することを確認したものである。No.11お
よびNo.18は、延伸ピン径が小さすぎるため、加工
糸の濃染部および淡染部の単位長さが短すぎるも
のとなり、織編物で染色加工した際の霜降り調の
色相とスパンライクな風合いの発現が不十分なも
のとなつた。No.12およびNo.19は加工糸の濃染部お
よび淡染部の単位長さがやや短かい傾向にある
が、織編物の霜降り調の色相とスパンライクな風
合いは実用可能なものであつた。No.13、No.16およ
びNo.17はいずれも延伸仮撚加工時の糸切れや加工
糸毛羽の発生もほとんどなく織編物の霜降り調の
色相とスパンライクな風合いは本発明の目的とす
る最も上品で好ましいものであつた。No.14および
No.20は加工糸の濃染部および淡染部の発生にやや
周期性が認められるが、織編物の霜降り調の色相
とスパンライクな風合いは実用可能なものであつ
た。 No.15およびNo.21は加工糸の濃染部および淡染部
の発生に明確な周期性が認められ、織編物の霜降
り模様も周期性を有するものとなり、模様荒れを
生じて実用価値のないものであつた。 実験No.22〜26は延伸ピン温度の効果を検討した
ものである。 No.22は温度が低すぎるため、加工糸の濃染部と
淡染部の発生が構成単糸間で分散することなく、
マルチフイラメント単位で生じるため、周期性が
あり織編物の霜降り調は濃淡コントラストが強
く、模様荒れを生じやすいものであつた。No.23は
織編物の霜降り調の濃淡コトラストはやや強いが
実用可能なものであり、No.24は延伸仮撚加工時の
糸切れや加工糸毛羽の発生もほとんどなく、織編
物の霜降り調の色相とスパンライクな風合いは本
発明の目的とする最も上品で好ましいものであつ
た。 No.25は加工糸の濃染部が減少し、織編物の濃淡
コントラストがやや弱いものとなつたが実用可能
なものであり、No.26は濃染部が極端に少なく、良
好な霜降り調の色相とスパンライクな風合いは得
られなかつた。 実験No.27〜33は仮撚加工張力の効果を検討した
ものである。No.27は張力が低すぎるため加工時の
糸切れ発生が多く、安定加工が不可能であつた。 No.28は加工時の糸切れはやや多いが操業可能な
レベルであり、No.29,No.30およびNo.31は加工時の
糸切れおよび工糸の毛羽発生ともに少なく、得ら
れた加工糸を織編物で染色加工した際の霜降り調
の色相とスパンライクな風合いは本発明の目的と
する最も上品で好ましいのであつた。 No.32は加工糸毛羽の発生がやや増加するが、実
用可能なレベルであり、No.33は加工糸毛羽の発生
が多く、したがつて織編物工程での糸切れが増大
するため採用不可能であつた。
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は延伸速度の対数と延伸ピンの径との関
係を示すグラフである。第2図は延伸ピン径と得
られた糸のむら特性を示すグラフである。第3図
は未延伸糸の自然延伸比を説明するためのグラフ
である。第4図は本発明のポリエステル特殊加工
糸を得るための好ましい製造工程の一例を示す概
略図である。 1:未延伸糸パツケージ、9:巻取ローラ、
2,4,7:デリベリローラ、10:チーズ、
3:延伸ピン、Y1:未延伸糸、5:仮撚熱板、
Y2:不完全延伸糸、6:仮撚装置、Y3:仮撚加
工糸、8:リラツクスローラ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 残留水分率が1.5%以下のポリエステル未延
    伸糸を下記(1),(2)式を満足する延伸ピンを用い
    て、下記(3)式を満足する延伸倍率で延伸し、引き
    続いて下記(4)式を満足する仮撚張力をかけながら
    仮撚加工を施すことを特徴とするポリエステル特
    殊加工糸の製造方法。 1/3(40logV−56)≦D≦1/3(40logV−35)……
    (1) 70≦θp≦90 ……(2) 1+0.5L<R<1+1.2L ……(3) 0.08<S<0.35 ……(4) V:延伸速度(m/min) D:延伸ピン直径(mmφ) θp:延伸ピン表面温度(℃) L:未延伸糸の自然延伸比 R:延伸倍率 S:仮撚加工時の加撚部張力(g/d)
JP16590279A 1979-12-20 1979-12-20 Production of polyester special processed yarn Granted JPS5691019A (en)

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