JPS6234015Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、各種の部品類を所要の取付壁にワン
タツチで取り付ける場合等に使用されるクリツプ
に関するものである。

従来この種のクリツプとしては、例えば、第１
図に示すように、所要の取付壁ａの表面ｂに当接
させるべきクリツプ本体ｃの端面ｄから、外側面
に抜止用の係止段部ｅを有した複数本の弾性爪ｆ
……を同一円周上に並ぶようにし且つその内側面
f₁……全体が空間ｓに臨むようにして突出させた
ものが知られており、このものは、前記各弾性爪
ｆ……を内側面側へ弾性変形させつつ前記取付壁
ａに穿設した貫通孔ｇに押入することによつて、
これら各弾性爪ｆ……の抜止用係止段部ｅ……を
前記取付壁ａの裏面ｈにおける貫通孔ｇの開口縁
部に係合させることができるようになつている。
しかして、このようなクリツプによれば、前記ク
リツプ本体ｃに所要の部品類を保持させた上で、
前記弾性爪ｆ……を取付壁ａの貫通孔ｇに押入し
さえすれば、ワンタツチで前記部品類を前記取付
壁ａに取着することができるため、ビス等を用い
て部品類の取り付けを行なうような場合に比べて
組立作業をはかるに簡略なものにすることができ
るわけであるが、単にこれだけのものでは、横荷
重に弱いという欠点がある。すなわち、このよう
に弾性爪ｆ……の内側面f₁……全体が空間ｓに臨
むように構成して弾性係合を円滑に行なえるよう
にしたクリツプでは、第２図に示すように、クリ
ツプ本体ｃに横荷重Ｐがかかつた場合、特定の係
合爪ｆだけに大きな力が集中的に作用して該係合
爪ｆが第２図に想像線で示すように大きく内側面
側へ変形することがある。そのため、このような
状態でクリツプ本体ｃに何らかのこじ上げ力等が
作用すると該クリツプが取付壁ａから簡単に外れ
てしまつたり、前記弾性爪ｆが折れてしまうとい
う不都合を招き易い。

なお、このような不都合を解消する方策として
は、例えば、弾性爪ｆ……を肉厚なものにした
り、隣接する各弾性爪ｆ，ｆ間に設けた補強リブ
ｉを弾性爪ｆの先端部にまで延長することによつ
て、前記各弾性爪ｆ……の剛性を高め、これら弾
性爪ｆ……が大きく変形しないようにすることが
考えられる。ところが、このようにすると、前記
弾性爪ｆ……を取付壁ａの貫通孔ｇに押入する際
にも大きな押圧力を要することになるため、挿入
作業性が悪化するという不都合を招く。

本考案は、このような事情に着目してなされた
もので、前述のように弾性爪の内側面全体を空間
に臨ませた形式のクリツプにおいて、クリツプ本
体から剛性の高い中実の心棒を弾性爪の配列中心
に位置させて突出させ、この心棒と前記各弾性爪
の内側面との離間距離を所要の値に設定すること
によつて、挿入作業性を悪化させることなく、横
荷重に弱いという欠点を無くすことができるよう
にしたクリツプを提供するものである。

以下、本考案の一実施例を第３図〜第５図を参
照して説明する。

図中１は、鉄板等により構成される取付壁２に
図示しない部品類を取着する場合に用いられる合
成樹脂製のクリツプである。このクリツプ１は、
前記取付壁２の表面２ａに当接させるべきクリツ
プ本体３の端面３ａに、外側面に抜止用の係止段
部４ａを有した複数本の弾性爪４……を同一円周
上に並ぶように突出させてなるもので、これら各
弾性爪４……を内側面側へ弾性変形させつつ前記
取付壁２に穿設した貫通孔５に押入することによ
つてこれら各弾性爪４……の係止段部４ａ……を
第４図に示すように前記取付壁２の裏面２ｂにお
ける貫通孔５の開口縁部に係合させることができ
るようになつている。クリツプ本体３は、例え
ば、対をなす鍔部３ｂ，３ｃ間に所要の部品を保
持するための溝部３ｄを形成してなる糸巻状のも
ので、一方の鍔部３ｂの端面３ａの中心部に前記
弾性爪４……が配列されている。各弾性爪４は、
断面やじり形のもので、その外側面における係止
段部４ａよりも基端側は、前記貫通孔５の内周面
に対応する円柱面４ｂをなし、係止段部４ａより
も先端側は、弾性爪４を前記貫通孔５に押入する
力によつて該弾性爪４を内側面側へ一時的に弾性
変形させるための傾斜面４ｃをなしている。な
お、これら弾性爪４は図面に示すように、その内
側面４ｃ全体が空間Ｓに臨むようになつている。
そして、前記クリツプ本体３から剛性の高い円柱
状の中実な心棒６を前記弾性爪４……の配列中心
に位置させて突出させている。そして、この心棒
６の外周面と前記各弾性爪４……の内側面４ｃと
の離間距離ｌを、所要の値、つまり、前記弾性爪
４が前記係止段部４ａを前記貫通孔５の開口縁部
に係合させるのに必要かつ十分な変形位置を越え
てさらに内側面側へ変形するのを前記心棒６によ
り阻止することができる値に設定している。換言
すれば、各弾性爪４を均等に弾性変形させつつ取
付壁２の貫通孔５に押入する場合には、これら各
弾性爪４が前記心棒６に触れないかまたは軽く接
触するだけであるが、かかる通常の弾性変形範囲
を越えて前記弾性爪４がさらに内側面側に変形し
ようとした場合には、該弾性爪４が前記心棒６に
当接してその変形が阻止されるようになつてい
る。

このような構成のクリツプ１であれば、取付壁
２に装着した状態でクリツプ本体３に横荷重がか
かつて特定の弾性爪４に集中的な曲げ力が作用す
るようなことがあつても、該弾性爪４が大きく変
形するのを心棒６によつて阻止することができ
る。そのため、弾性爪４の内側面４ｃ全体を空間
Ｓに臨ませて貫通孔５への装着力を軽減させてい
るにもかかわらず、横荷重に基づくクリツプ１の
外れや弾性爪４の折損事故を有効に防止すること
ができるものである。しかも、前記心棒６は、弾
性爪４……から離れた位置に配設されており、該
心棒６と各弾性爪４……との離間距離ｌは、該心
棒６が弾性爪４の極端な変形を阻止する作用のみ
を発揮し貫通孔５へ押入する際に生じる弾性爪４
……の通常の弾性変形に対しては何ら関与しない
ような値に設定されているため、弾性爪４……の
剛性が高まつてクリツプ１を取付壁２に装着する
場合に大きな押入力が必要になるという不都合は
全く生じない。その上、前記弾性爪４……は、中
実なものであるため、全体を比較的小径化して
も、必要な剛性を確保することが容易である。

したがつて、本考案によれば、挿入作業性が良
好で、しかも、横荷重が作用しても外れにくいク
リツプを提供できるものである。

なお、クリツプ本体の形状は、前記のものに限
られないのは勿論であり、保持すべき部品等に対
応させて種々変形させることが可能である。

また、弾性爪の本数も４本に限られないのは勿
論である。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来例を示し、第１図は斜視
図、第２図は一部切欠した正面図である。第３図
〜第５図は本考案の一実施例を示し、第３図はク
リツプの斜視図、第４図はクリツプを取付壁に装
着した場合の一部切欠した正面図、第５図はクリ
ツプの底面図である。 １……クリツプ、２……取付壁、２ａ……表
面、３……クリツプ本体、４……弾性爪、４ａ…
…係止段部、４ｃ……内側面、５……貫通孔、６
……心棒、Ｓ……空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 取付壁の表面に当接させるべきクリツプ本体の
   端面から、外側面に抜止用の係止段部を有した複
   数本の弾性爪を同一円周上に並ぶようにし且つそ
   の内側面全体が空間に臨むようにして突出させ、
   これら各弾性爪を内側面側へ弾性変形させつつ前
   記取付壁に設けた貫通孔に押入することによつて
   これら各弾性爪の係止段部を取付壁の裏面におけ
   る貫通孔の開口縁部に係合させることができるよ
   うにしたクリツプにおいて、前記クリツプ本体か
   ら剛性の高い中実の心棒を前記弾性爪の配列中心
   に位置させて突出させ、この心棒と前記各弾性爪
   の内側面との離間距離を、前記弾性爪が前記係止
   段部を前記貫通孔の開口縁部に係合させるのに必
   要かつ十分な変形位置を越えてさらに内側面側へ
   変形するのを前記心棒により阻止すことができる
   値に設定したことを特徴とするクリツプ。