JPS6232144B2 - - Google Patents

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JPS6232144B2
JPS6232144B2 JP2970180A JP2970180A JPS6232144B2 JP S6232144 B2 JPS6232144 B2 JP S6232144B2 JP 2970180 A JP2970180 A JP 2970180A JP 2970180 A JP2970180 A JP 2970180A JP S6232144 B2 JPS6232144 B2 JP S6232144B2
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fiber
cement
fibers
reinforced cement
cement molded
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JP2970180A
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Arata Oka
Akio Mizobe
Junichi Hikasa
Masaki Okazaki
Akira Kubotsu
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、有機合成繊維で強化したセメント成
形品に関するものである。 従来、セメント、石膏等の水硬性原料を用いて
天井、壁、床仕上げを行なつたり、コンクリート
ブロツク、セメント瓦、舗道石、コンクリート管
などが製造されているが、周知の通りセメント成
形品は、引張り強度、衝撃強度に劣るため、これ
らのセメント製品を有効に使用するために、繊維
等で補強されて用いられることが一般に行なわれ
ている。 繊維等の補強材としては、4,5,6クラスの
石綿が代表的なものであるが、近年スチールフア
イバー、ガラス繊維等の無機補強材、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリビニールアルコール等の
有機合成繊維が単独、または複合で用いられてい
る。 石綿を用いてのセメント製品の補強の場合、石
綿の添加量は、15〜35%で、僅かな厚さでも比較
的大きな強度を有するが、衝撃強度の点で未だ充
分であるとは云えず、石綿補強のセメント基材を
管、スレート等の製造に用いるに対しては、尚お
問題を残す。また国内における石綿の需要は輸入
に依存しており、世界的に見た場合にも産出国に
片寄りが著しいことに加えて、資源が枯渇しつつ
あり、石綿の入手は益々困難になつてゆくことが
予想される。 ガラス繊維補強の場合通常のEガラスを原料と
したものでは、セメント混練時の浸出液の強いア
ルカリ性によつて、ガラス繊維が著しい損傷を受
け事実上補強材としての用をなさない。近年耐ア
ルカリ性を賦与した所謂耐アルカリガラス繊維が
開発されているが、高価であり、またこれとて耐
アルカリ性については万全とは云えず、セメント
補強材としては、耐久性になお問題があることが
判明した。また引張り強度、ヤング率等の機械的
物性は、セメント補強材として優れたものである
が、脆性が著しく、水へのスラリー分散時、或い
はセメントとの混練時に繊維の折損があり、添加
量の割には補強効果が発現し難い難点がある。 セルロース、木綿、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリオレフイン等の天然或は合成繊維が、石
綿代替又は、石綿添加量減少を目的として、セメ
ント基材中に添加されることが知られているが、
いづれの場合も、成形品の耐衝撃性の向上、ヘア
クラツクの発生防止に有用なのみであり、曲げ強
度向上への寄与は充分でない。 繊維状物質によるセメント成形品の補強の機構
は、単独ではないがモデル的には次の様に考えら
れる。即ち補強メカニズムは、応力の負担と補強
効率の問題である。前者については、短かく切断
した繊維物質で補強された複合体に引張りに代表
される様な外部応力が加わつた時の複合体全体に
働く応力は、理想的には、 補強材負担応力+マトリツクス負担応力 =複合体応力として表わされ、複合体形成材料
間の界面結合力が充分であれば、材料特性の加成
性が成り立つ。従がつて、各材料間の一定混合比
率下、複合体の強力を向上せしめるためには、補
強材負担応力を向上させるのが有効であつて、補
強材負担応力は補強材体積分率をVf、補強材の
ヤング率をEfとして複合体全体の変形(伸び)
をεcとすると、 補強材負担応力=VfεcEf で表わされ、Vfすなわち添加率一定、セメント
基材が特定の場合Efすなわちヤング率が大なる
程、補強材負担応力が大きくなり、従がつて複合
体の強力が向上する。これは複合体強度理論とし
て、公知の事柄で、繊維補強複合体では高ヤング
率繊維物質が補強材として用いられる所以であ
る。 また一方補強効率については、補強材のマトリ
ツクス中への分散、配向等の二次的な要因も存在
するが最も基本的な問題は、マトリツクスの補強
材捕捉性、即ち接着力、摩擦力、化学結合等の界
面結合力である。上記の如く、複合体に負荷され
た外部応力は、マトリツクスと補強材界面で剪断
力として作用し、その剪断力が補強物の引張り応
力に有効に転換されてはじめて応力分担を荷ない
得るわけである。従がつて、補強材のヤング率が
如何に高いものであつてもマトリツクスとの間の
親和性が良くなければその補強効果に期待は持て
ない。この様な補強のメカニズムから、補強材と
して求められる性能は、高いヤング率に加えて、
マトリツクスとの高度な界面結合力である。 ポリビニルアルコール(以下PVAと称す)
は、それ自体が高度な耐アルカリ性を有し、か
つ、水に対する親和性が極めて優れていることか
ら、セメントとの混合において安定であり、なじ
みが高度であることが期待され、補強繊維と、セ
メントとの結合力向上のため、成形物中へPVA
水溶液を添加したり(特公昭50―20094)或いは
繊維をPVAで表面処理して(特公昭53―6168)
セメント基材に用いられることが公開されてい
る。また高強力PVA繊維と石綿の併用(特開昭
54―31420)或は、PVA繊維とガラス繊維の併用
(特開昭54―31419)の湿式抄造法による繊維補強
セメント板製造方法が公開されている。本発明で
用いる高いヤング率のPVA繊維をセメント補強
材として使用することは、上述の補強のメカニズ
ムから、他の無機、有機繊維のもつセメント補強
材としての種々の欠点を克服してかつ強度の高い
耐久性の優れたセメント基材を提供するものであ
つて、通常の高強力、低伸度タイプのPVA繊維
で補強したものに比べて、曲げ強度を更に向上す
るものである。 我々は、上述の補強ムカニズムから繊維補強セ
メント基材の一層の強度向上を目差して、鋭意研
究の結果セメントマトリツクスとの結合力が高く
かつヤング率の高いPVA繊維の製造法を見出
し、またこの繊維を用いてのセメント成形品にお
ける破壊テストの結果、従来のPVA繊維補強セ
メント製品のそれより一段と高いレベルの曲げ強
度が発現することを確認した。 本発明者らは、特殊条件下の湿式紡糸法で得た
1〜25デニール、ヤング率1700Kg/mm2以上のビニ
ロン繊維少量と、石綿、水とを混合撹拌して後セ
メントスラリーとし、これを抄造して積層セメン
ト板とし、屋内で養生した処、340Kg/cm2以上の
曲げ強度の繊維補強セメント板を得ることが出来
た。高強力、高ヤング率のPVA繊維の製造法
は、基本的には高度な延伸の賦与により得られる
ことは公知で、具体的な方法としては、湿式紡糸
法を基本に高濃度アルカリ浴中へ紡出して延伸性
の向上を計つたり、多段延伸法によつてトータル
延伸倍率を上げたり或はPVA水溶液中に硼酸を
添加してアルカリ芒硝液中に紡出して、延伸性の
向上を計る等の技術がある。我々はこの様な高延
伸倍率によるヤング率の向上をはかると同時に、
セメント補強材用PVA繊維としてセメントとの
界面結合力を如何に向上するかを検討した。 即ち、本発明に用いるセメント補強用ビニロン
は、高ヤング率を確保し、かつセメントとの結合
力の向上を目差すもので、本発明においては、
1700Kg/mm2以上のヤング率、90Kg/mm2以上の強度
を有し、かつ繊維表面に繊維軸方向に伸びる大小
のひだ、殊に巾が0.5〜2ミクロンメーター、高
さあるいは深さが0.5〜1ミクロンメーターの1
次ひだと、該1次ひだの中または1次ひだとは独
立に0.05〜0.1ミクロンメーターの2次ひだとが
多数に存在するPVA繊維を用い、該繊維を2〜
15容量%配合することによつて、従来の繊維強化
セメント製品よりも一段と優れた曲げ強度を有す
る繊維強化セメント成形品が得られるものであ
る。 上述のPVA繊維は、PVA原液中に0.5〜3.0%の
硼酸を添加して、0.3〜20g/の濃度に硼酸を
添加した。苛性ソーダアルカリ性の芒硝浴中に紡
出した後、アルカリの中和、水洗工程を経て乾燥
に至るまでの湿潤状態で、4倍以上の延伸を付与
し、乾燥後更に紡糸凝固浴後の第1ロールから、
乾熱後の延伸ロールまでの全延伸倍率が、10倍以
上、望ましくは、13倍以上となるように乾熱延伸
を行なうことによつて得られる。 このようにして得られるPVA繊維は後述する
実施例の図面―1に示す様に繊維表面に前述した
大小様々で無数のひだを有しており、この表面の
複雑さが、セメントマトリツクスとの界面結合力
を強めるもので、この様な繊維表面は、凝固浴中
での硼酸の添加及び、湿潤状態での高度な延伸に
よつて得られる。乾熱延伸部分の比率を大きくし
てトータル倍率を大きくしても(凝固浴中の硼酸
添加量が少なかつたり、湿潤部での延伸倍率が低
レベルであれば)ヤング率は大きな値となるが繊
維表面は平滑でそのためセメントマトリツクスと
の間の界面結合力が弱いため繊維の性能を充分発
揮できず、曲げ強度はヤング率の高い割には低い
レベルに留まる。ここで凝固浴中の硼酸添加率が
0.3g/以下の場合有効な表面ひだが発現せず
また20g/以上になると浴中での繊維表面での
ゲル化が過度となつて最終繊維のヤング率を充分
高からしめるだけの延伸を引続く次工程で賦与す
ることができない。また湿潤部の延伸倍率が4倍
未満であれば繊維表面のひだは未発達でセメント
中での投錨効果は期待できない。また7倍以上で
は延伸が困難となり、安定生産がむずかしくな
る。この様な条件下で製造することにより繊維表
面に巾0.5〜2μm、高さ(深さ)0.5〜1μmの
ひだが繊維軸方向へ発生し、このひだの中又は独
立に更に巾0.05〜0.1μmを有する二次ひだが発
現したPVA繊維が得られるものである。この様
なPVA繊維をセメント成形品等の補強材として
用いると、繊維表面の粗雑さのため、所謂投錨効
果が発現し繊維とセメントマトリツクスとの界面
結合力が増大して、補強の効率を向上することが
出来る。PVA繊維の原料であるポリビニルアル
コールは水に溶解するもので、本来的には水硬性
物質であるセメントとのなじみは良く、従つて
PVA繊維はセメントマトリツクスに対して接着
性が期待されるものであるが、補強材としての高
度な強力或はヤング率を求められるため、その製
造段階で、延伸倍率を大きくして繊維中での分子
配向を高めたり、熱処理によつて結晶性を向上せ
しめることが一般に行なわれる(高分子工学溝座
―4、地人書館)。このため繊維は疎水化され、
水に対する親和性を減殺し、セメントマトリツク
スに対する接着性が不良化するものである。この
意味から、本発明による繊維表面の大小無数のひ
だを特色とする粗雑さは、高度な延伸、熱処理に
よつて減殺された繊維表面の親水性低下による接
着力を物理的な結合力を以つて補なうもので、従
来のPVA繊維補強で得られなかつた高い水準の
補強効率を発現せしめ、高ヤング率、高強度の繊
維特性を充分に活用できるわけである。また、セ
メントマトリツクスとの界面結合力が優れている
ため、ヤング率は1700Kg/mm2以上、強度としては
90Kg/mm2以上であればセメント成形品等の中で、
その補強効果が発現することを確認した。 また、セメント成形品等への添加量としては2
〜15容量%が適当である。経験によれば、2%以
下では曲げ強度に著しい改善が期待できず、15%
を越えると、成形品中への均一な分散が仕難くな
り、これがために添加量の割には、補強効果が小
さくなり、且つ、高価なものとなる。 繊維を切断して、成形品等の中に分散させて使
用する場合は、3〜25mmに切断して混合され、繊
維の太さに応じて、その長さは適宜選択されるべ
きで、切断繊維長をLmm、繊維の直径をDmmとす
るとL/Dに関して 200≦L/D≦470 が望ましい。L/Dが200未満の場合であれば補
強材としての機能が低下し、470を越えると成形
品中への分散が困難となる。 繊維の太さについては、均一分散さえ可能であ
れば、補強材としては細い方が望ましいが、繊維
の製造がむずかしくなり、高価なものとなると同
時に分散性が不良化するため1デニール以上が望
ましい。繊維が太くなると同一添加率であると、
分散繊維本数が減少して、均一分散となり易い
が、補強効果が減少するため繊維の添加率を増す
必要が生ずるので、経験的に25デニールが上限で
ある。繊維は成形品全体に平均的に均一分散させ
て用いることもできるし、機械的な力を受け易い
処に、局所的に高い濃度で分散させて用いること
も可能である。 本発明で得られるPVA系繊維の適用範囲は、
曲げ強さを必要とされるセメントを含む成形品或
は構築物の全て又は、それらの局所部分に適用し
得るし又、鉄筋、鉄骨等と組み合わせた部分的な
ひび割れ防止にも当然効果があり、又、適度の伸
度を有するため、耐衝撃性向上の効果も著しい。
該繊維は、単独又は、ガラス繊維、アスベスト等
の無機繊維との混合使用も可能である。又、使用
形態は1〜25デニールで3〜25mmのカツトフアイ
バー、フイラメント状、不織布、ネツト、織物等
適用対象物の特性に合わせて適宣選べる。 該繊維の適用例としては、ボード類(石綿スレ
ート、石綿セメント板、石綿パーライト板、パル
プセメント板、木毛及び木片セメント板、コンク
リート板等)、パイプ類(水道用石綿セメント
管、セメント円管、パルプセメント管)、かわら
類やその他種々の2次製品、又鉄骨、鉄筋との組
み合わせによるセメント、モルタル、コンクリー
ト構築物、成形品に適用可能であるが、上記以外
にも本発明の特質が生かせるセメントを使用する
総ての用途に適用可能なことは云うまでもない。 本発明のPVA繊維は単独で用いられることは
もちろんであるが、石綿、ガラス繊維、金属繊維
等無機質繊維との併用によつて、耐熱性、防火性
を付与することも可能である。また、パルプの様
なフイブリル繊維質を該PVA繊維と混合するこ
とにより、PVA繊維の分散性が向上し、セメン
ト成形品の性能向上がもたらされる。 以下更に本発明を実施例によつて説明する。し
かし本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。 実施例―1、比較例―1 1.8%の硼酸を添加した重合度1720のPVAの水
溶液(16重量%)を苛性ソーダ20g/芒硝330
g/、硼酸1g/を含む凝固浴中に紡糸し
て、中和、水洗の湿潤工程で5.5倍の延伸を施
し、乾燥後乾熱状態で更に延伸して、全延伸倍率
を15倍として、単繊の太さが2.0デニールのPVA
繊維を得た。この繊維の表面には図面―1に、レ
プリカ法による電子顕微鏡写真で示す様に巾0.5
〜2μm、高さ(深さ)0.5〜1μmの大きな一
次ひだと、この一次ひだの中又は独立に巾0.05〜
0.1μmの2次ひだが、繊維軸方向に平行に無数
形成された粗雑なものであつた。 上記実施例に対して、凝固浴中の硼酸含有量を
0.1g/とした以外は、実施例―1と全く同じ
条件の比較例―1を作つた。実施例―1の繊維表
面が粗雑であつたのに対し、比較例―1の試料の
表面は図面―2に示す通り平滑であつた。これら
の試料の単繊維の一端を水、セメント比1:1の
セメント中に埋設して引抜き試験を行なうととも
に、6mmに切断したものを2重量%、パルプ2重
量%、石綿(クリソタイル5R)を5重量%、残
部をポルトランドセメントとして湿式抄造して、
10枚重ね合わせてプレスを行ない厚さ4mmの積層
板として、28日養生後の曲げ強さの測定及び破断
面の走査型電子顕微鏡による観察を行なつた。表
―1に単繊維物性と共に、石綿、セメント板の曲
げ試験結果を、破断面写真を図面―3(実施例―
1)、図面―4(比較例―1)に示した。
【表】 実施例―2、比較例―2 重合度1720のPVAを用いて、16重量%の水溶
液とし、これにPVAに対して1.8重量%の硼酸を
添加して実施例―1と同じ凝固浴中に紡糸し、中
和水洗し湿潤状態で4.5倍の延伸を施し乾燥後更
に熱延伸を付与して、全延伸倍率を11倍とした単
繊維の太さが2デニールの試料を得た。得られた
繊維の繊維表面は、実施例―1の場合の繊維表面
と同様のひだが無数に存在しているものであつ
た。この繊維を実施例―1の場合と同様の条件
で、石綿セメント板を作つて実施例―2とする。 これに対し繊維製造条件として、湿潤状態での
延伸倍率を3.5倍とする以外は実施例―2の場合
と全て同一条件とする対照テストを行ない比較繊
維をつくつた。この繊維の繊維表面は比較例―1
の場合の繊維表面と同様表面平滑な繊維であつ
た。この繊維を用い実施例―1の場合と同様の条
件で石綿セメント板をつくり、これを比較例―2
とした。また、上記抄造法とは別に水とセメント
の比を50:50とする(ポルトランドセメント使
用)セメントペースト中に6mmにカツトした繊維
を5重量%添加し撹拌分散せしめた後、型枠へ流
し込みプレス後8mmの厚さのセメント板を作つ
て、28日間水中養生した後、その曲げ強さを測定
した。試験測定の結果を表―2に示す。
【表】 実施例―1及び2の場合凝固浴中の硼酸及び
(又は)湿潤部での高度な延伸倍率によつて繊維
表面上に粗雑なひだが発現しており、引抜きテス
トでの結果はこれらの実施例では、比較例に比べ
てすつぽ抜けが皆無で、引抜け時途中の短かい長
さで切断しており平均引抜長は極めて短かいもの
であつた。このことは繊維表面のひだがセメント
マトリツクスに対して所謂投錨効果を発揮して両
者間の界面結合力が強固であることを物語るもの
である。この界面結合力の強さが、セメント補強
時に補強効率の向上をもたらすもので、曲げ試験
の結果はヤング率、強度等の補強材としての基本
物性は寧る実施例の方が稍劣るにもかゝわらず高
い強度を示している。 実施例―2の場合全延伸倍率が実施例―2より
も低く、このため強度、ヤング率はPVA繊維と
しては特別な物性のものではなく、セメント補強
用繊維としてはその物性面からはやや性能不足の
感はぬぐえない程度のものであるが、その表面構
造の複雑さの故に優れた界面結合力を備え補強効
率が高いためセメント成形品に対して優れた性能
を保証している。実施例―1の如き高度な物性を
繊維に付与するためには、それなりの高度な技術
が要求されることは論を持たないが実施例―2の
場合の如き通常レベルでセメント成形品のレベル
を向上させ得ることは驚異と言わねばならない。 実施例―3,4、比較例―3,4 重合度1720、濃度17.5重量%のPVA水溶液に硼
酸をPVAに対して3重量%添加し苛性ソーダ40
g/、芒硝320g/、硼酸3g/からなる
凝固浴中に紡糸して中和、水洗の湿潤部で5.0倍
の延伸を付与し、全延伸倍率を14倍とする単繊維
の太さ15デニールの試料を得た。この試料繊維に
は、その表面に巾が0.5〜2μm、高さ(深さ)
が0.5〜1μmのひだと、該ひだより小の0.05〜
0.1μmのひだとが共に軸方向に伸びて無数に密
度高く存在していた。これに対し凝固浴中の硼酸
濃度を0g/とする以外は総ての条件を上記と
同じとする比較例3の試料を作つた。この比較試
料繊維の表面は平滑なものであつた。これらの繊
維を10mm(実施例―3、比較例―3)、20mm(実
施例―4)、30mm(比較例―4)にそれぞれ切断
したものを繊維5重量%、石綿(5R・クリソタ
イル)3%、パルプ2%、残りをポルトランドセ
メントとするスラリーとして抄造して10枚を重ね
てプレス後4mm厚のセメント板を作つた。これを
空気中で14日養生後曲げ試験に供した。繊維物性
と共に曲げ強度を表―3に示す。
【表】
【表】 比較例―3は比較例―1,2の場合と同様繊維
とマトリツクスとの間の界面結合力が低いためセ
メント板の性能が充分発現しないものと考えられ
る。 カツト長が長くなるに伴ない繊維同志のからみ
合いがほぐれにくくなり、スラリー撹拌時でも完
全に分散しない。更に長くなる。ほぐれないだけ
でなく撹拌によつて繊維の集合が生じフアイバー
ボールになる。この様に分散不良となつた場合は
分散斑、層間接合不良等が生じてセメント成形品
の性能が低下してしまう。
【図面の簡単な説明】
図面1,2は、繊維表面のレプリカ法による電
子顕微鏡写真(倍率はいずれも3600倍)で、図面
1は本発明で用いるPVA繊維の写真であり、図
面2は比較例繊維の写真である。図面3,4は石
綿セメント板の曲げ試験破断面における繊維の状
態を示す電子顕微鏡写真(倍率はいずれも800
倍)で、図面3は本発明例のもの、図面4は比較
例のものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維表面に繊維軸方向に伸びる大小のひだが
    多数存在し、1700Kg/mm2以上のヤング率、90Kg/
    mm2以上の強度、1〜25デニールの繊度を有するポ
    リビニルアルコール系繊維を2〜15容量%含有す
    ることを特徴とする繊維強化セメント成形品。 2 ひだとして、巾が0.5〜2ミクロンメータ
    ー、高さあるいは深さが0.5〜1ミクロンメータ
    ーのひだが少なくとも存在することを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の繊維強化セメント成
    形品。 3 ひだとして、巾が0.5〜2ミクロンメータ
    ー、高さあるいは深さが0.5〜1ミクロンメータ
    ーの1次ひだと、該1次ひだの中または1次ひだ
    とは独立に0.05〜0.1ミクロンメーターの2次ひ
    だとが存在することを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の繊維強化セメント成形品。 4 ポリビニルアルコール系繊維が切断長3〜25
    mmであることを特徴とする特許請求の範囲第1〜
    3項のいずれかに記載の繊維強化セメント成形
    品。 5 石綿を含有する特許請求の範囲第1〜4項の
    いずれかに記載の繊維強化セメント成形品。 6 ガラス繊維、金属繊維もしくは他の天然若し
    くは、合成繊維又は、繊維質を含有する特許請求
    の範囲第5項記載の繊維強化セメント成形品。 7 パルプ、木毛、木片を含有する特許請求の範
    囲第1〜6項のいずれかに記載の繊維強化セメン
    ト成形品。
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