JP3227234B2 - 水硬性無機質成型製品 - Google Patents

水硬性無機質成型製品

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JP3227234B2 JP30355492A JP30355492A JP3227234B2 JP 3227234 B2 JP3227234 B2 JP 3227234B2 JP 30355492 A JP30355492 A JP 30355492A JP 30355492 A JP30355492 A JP 30355492A JP 3227234 B2 JP3227234 B2 JP 3227234B2
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B16/00Use of organic materials as fillers, e.g. pigments, for mortars, concrete or artificial stone; Treatment of organic materials specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone
    • C04B16/04Macromolecular compounds
    • C04B16/06Macromolecular compounds fibrous

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来一般的に用いられ
ていた石綿が使用されていないにもかかわらず、強度、
衝撃強度等の機械的性能と耐久性の双方に優れ、しかも
湿式抄造法により製造されたものである場合には抄造性
と波形付形性においても極めて優れている水硬性無機質
成型製品、特に水硬性無機質抄造製品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、セメントや石膏等の水硬性無
機質の抄造成型品を補強するのに石綿が使用されている
が、石綿は人体に有害であることから、石綿を使用しな
い技術が求められている。そしてこのような技術に関し
ての多くの提案が今までになされている。その代表的な
技術として、高度に叩解した木質パルプと補強繊維とし
ての合成繊維と、さらにセピオライト、スラグ、マイカ
等の無機物を配合することにより、石綿を使用しない場
合に生じる品質上の問題点や製造時の工程通過性等を改
善することが特開昭61−6167号公報、同61−1
97480号公報、同62−78136号公報、同62
−96354号公報等に提案されている。
【0003】しかしながら、これらの技術で得られる製
品は従来の石綿製品に代替して充分に満足のできるもの
であるとは言い難い。具体的には、従来の石綿スレート
板の製造に代表されるハチェックマシンによる抄造方法
では、抄造用スラリーを金網上に抄き上げる時の適切な
濾過抵抗と固形分捕捉率を得るための抄造助剤の選定が
重要である。従来は前述したように、高度に叩解した木
質パルプによりこの役目を持たせていた。しかし木質パ
ルプは長時間屋外に放置されると品質の低下が避けられ
ないという耐久性の点での欠点がある。また合成パルプ
と称されるポリオレフィン系のフィブリル化繊維は耐久
性能は木質パルプより優れているが、合成パルプは著し
く可燃性であるため、不燃性を確保するためには添加量
の点で制約される。したがって、満足できる捕捉率が得
られるに十分な量を添加することができない。さらに従
来の方法では、硬化前の抄造品に波型を付与する際に抄
造品表面に亀裂等が生じるという問題も有している。
【0004】本発明は、無機質成型製品の特長である不
燃性を保持しながら強度と靭性に優れ、具体的には従来
の石綿添加製品より大幅に優れた曲げ強度および衝撃強
度をもち、曲げ破壊時のたわみが大きく、さらに耐久性
に優れ、しかも成型製品が抄造製品である場合には波形
付与性および抄造性に優れた水硬性無機質成型製品を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
の結果、上記目的を達成する手段として、抄造助剤とし
て特定のポリビニルアルコール(以下PVAと略称す)
系のフィブリル状繊維を全固形分に対して0.5〜5重
量%、好ましくは1.5〜3重量%添加し、そして主体
補強繊維として繊度0.3〜20デニール、引張強度6
グラム/デニール以上、好ましくは10グラム/デニー
ル以上のPVA系またはポリアクリロニトリル(以下P
ANと略称す)系合成繊維を全固形分に対して0.5〜
3重量%、好ましくは1〜2重量%配合する手段が極め
て優れていることを見いだした。
【0006】すなわち本発明は、パルプ濾水度が200
〜500mlで膨潤度が80重量%以上であるPVA系
繊維状物(抄造助剤と称することがある)を全固形分に
対して0.5〜5重量%、繊度0.3〜20デニールで
引張強度6グラム/デニール以上で且つ膨潤度が50重
量%以下であるPVA系またはPAN系の繊維(主体繊
維と称することがある)を全固形分に対して0.5〜3
重量%含有する水硬性無機質成型製品である。
【0007】抄造助剤としてのPVA系繊維状物は抄造
用スラリーに適当な濾過抵抗とセメント等で代表される
無機質粒子の捕捉率を高めるため、木質パルプと同様に
いわゆるフィブリル状になっていることが必要である。
例えば繊度0.3デニール未満の通常の極細合成繊維と
多量の高分子凝集剤とを組み合わせることによっても適
当な濾過抵抗と無機質粒子の捕捉率を得ることは可能で
あるが、抄き上げられた固形分の柔軟性が不足して金網
とフェルトが汚れ易いなど工程通過性に問題を生じ易
く、波板製造時に型付け性が劣る。そのため木質パルプ
と同様に使用前に叩解処理を行うことが考えられるが、
一般にPVA系繊維は叩解処理によってフィブリル化さ
れ難い。しかし繊維の原料に、ケン化度が75〜95モ
ル%の部分鹸化PVA10〜60重量%とケン化度が9
7%以上の完全鹸化PVA90〜40重量%を用い、こ
れを水に混合溶解(例えば鹸化度88モル%、重合度1
700の部分鹸化度PVAを20〜40重量%、残部を
重合度1700の完全鹸化PVA)して芒硝系凝固浴に
紡糸した場合は延伸され難く、結晶化が阻害されるので
強度は低いが、ビーター等の叩解処理により容易にフィ
ブリル化する繊維を製造することが可能である。
【0008】なお、フィブリル化した繊維が絡まり合わ
ないようにするためには、叩解時の繊維長が5mm以
下、特に3mm以下になるように切断しておくことが好
ましい。以上の条件を満足する範囲をパルプの濾水度で
表せばカナダ標準形濾水度(JIS P8121)20
0〜550ml、好ましくは250〜450mlであ
る。フィブリル化の度合が大きいほど、すなわち濾水度
の数値が小さいほど濾過抵抗は増加し、捕捉率は向上す
るが、必要以上に叩解すると補強性能が低下するので上
述の範囲が適当である。
【0009】または抄造助剤としては、抄造した板材の
型付け性を満足させるために繊維が適当な伸びを有して
おり柔軟であることが必要である。この性質は、30℃
の水に60分間浸漬後重力加速度1000Gで10分間
遠心脱水した場合の膨潤度で表すことができ、満足でき
る膨潤度は80重量%以上である。この膨潤度も、前記
したように、繊維原料として完全ケン化PVAと部分ケ
ン化を混合使用することにより達成できる。
【0010】その添加量としては、0.5〜5重量%の
範囲であり、0.5重量%未満では効果が不足し、5重
量%を越えると繊維成分が多くなり過ぎて嵩比重が低く
なり、工程通過性、原材料費でも不利となる。特に難燃
性(JIS A 1321基材試験)に合格するために
は添加量が制約され、この点からも上記範囲が好まし
い。また同様に難燃性の点から、後述する主体繊維との
合計量は全固形分に対して5.5重量%以下、特に5重
量%以下が望ましい。抄造助剤としてPVA系合成繊維
のフィブリル化物が優れている理由は必ずしも明らかで
はないが、PVA繊維状物の際立って優れた親水性や水
硬性無機物との親和性等により少量であっても満足でき
る濾過抵抗と無機質粒子の捕捉性、形付け性が得られる
ものと思われる。
【0011】次に主体補強繊維について述べる。主体補
強繊維としては、繊度0.3〜20デニール、引張強度
が6グラム/デニール以上、好ましくは10グラム/デ
ニール以上のPVAまたはPAN系合成繊維が用いられ
る。繊度が0.3デニール未満の場合には均一に分散さ
れることが困難となり、また20デニールを越えると分
散は良好だが、繊維の表面積が減少するので補強性能が
不充分となる。繊維をスラリー中に均一に分散させるた
め長さは10mm以下にすることが好ましい。また引張
強度としては6グラム/デニール未満では補強性能が不
足することとなる。好ましくは10グラム/デニール以
上である。これらの特性を有する繊維の膨潤度は前述の
抄造助剤の80重量%以上と異なり、50重量%以下で
ある。すなわち膨潤度50重量%を越える場合には、充
分な補強性能が要求される主体繊維とはなり得ない。
【0012】主体補強繊維はPVA系またはPAN系の
繊維であらねばならない。PVA系またはPAN系の繊
維は、セメント等を主体としたき脆性物質の補強に特に
適しており、具体的には強度が高く伸びが小さく、脆性
物質等との接着性に優れており、耐アルカリ性、耐候性
等の耐久性にも優れており、さらに価格が比較的低い等
の特長を有している。なかでもPVA系繊維が抄造助剤
との均一分散性、水硬性無機物との親和性や接着性等の
点で特に好ましい。添加量としては、全固形分に対して
0.5〜3重量%の範囲である。0.5重量%未満で
は、補強性能が不足し、一方、3重量%を越えると成型
品中に繊維成分を均一に分散させることが困難となり補
強性能が劣る。また難燃性(JIS A 1321 基
材試験)に対しても悪影響を与える。このような要求性
能を満足するPVA系繊維またはPAN系繊維として
は、一般に市販されているPVA系繊維(ビニロン)や
PAN系繊維を用いることができる。特にPVA系繊維
に関しては、PVAの水系紡糸原液に硼酸または硼酸化
合物を添加し、アルカリ性凝固浴中に湿式紡糸し、得ら
れた紡糸原糸を全延伸倍率10倍以上となるように湿熱
延伸および乾熱延伸を行うことにより得られる繊維が好
適に用いられる。
【0013】本発明のポイントは、上述の通り抄造助剤
として特定のPVA系繊維状物を従来の木質パルプまた
は合成パルプに代替して用い、これと主体補強繊維とし
て用いる特定の物性値を有するPVAまたはPAN系合
成繊維とを組み合わせて使用すると、両者の相乗効果に
より驚くべき補強性能が得られることである。抄造助剤
として適当な柔軟さをもつ特定のPVA系繊維状物を用
いることにより、局部的に応力が集中することを避ける
ことができ、これにより大きな補強性能を示すものと思
われる。
【0014】従来よりこの様な現象は抄造助剤にポリオ
レフィン系合成パルプを使用した場合にもわずかに認め
られているが満足できる状態ではなく、さらにポリオレ
フィン系合成パルプでは水硬性無機質抄造製品に不可欠
の難燃性(JIS A 1321 基材試験)に合格す
ることが困難になる。また耐久性能も屋根材、外装材等
に使用する場合は特に重要であるが、木質パルプは品質
変化が避けられないのに対して、本発明のPVA系合成
繊維状物は安定である。
【0015】以上主としてセメントを主成分とするハチ
ェック式抄造機による場合について述べたが、本発明は
スラグ石こう系等他の水硬性物質の場合も同様に適用で
きる。また一層抄きのような長網抄造、または流し込み
プレス成型にも適用できる。その他製品物性または工程
通過性改善のため種々の添加材、例えばマイカ、シリ
カ、ワラストナイト等を必要に応じて混合使用すること
が出来る。また木質パルプ、合成パルプ、及び他の合成
繊維を本発明の目的を大きくそこなわない範囲内で混合
使用することも可能である。
【0016】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。抄造助
剤として下記の微細繊維状物を使用した。 ・PVA系フィブリル化繊維(以下VPFと呼称する) 重合度1700の完全鹸化PVA(ケン化度98モル
%)と重合度1700の部分鹸化PVA(ケン化度88
モル%)を重量比7/3の割合で混合し、水に溶解して
得た紡糸原液を飽和芒硝系凝固浴に紡糸した。湿熱延
伸、乾熱延伸、乾熱収縮の工程を経た繊維は全延伸倍率
8倍で繊度1.0デニール、引張強度5.3グラム/デ
ニール、伸度8.8%、溶解温度91℃の物性を有して
いた。これを繊維長2mmに切断して実験用小型ビータ
ーで所定の叩解度になるよう叩解処理を行った。 ・市販合成パルプ(SWP) 三井石油化学工業株式会社製 ケミベスト E−780
(ポリオレフィン系) ・市販パルプ(NUKP) 市販パルプを所定の叩解度(濾水度)になるよう実験用
小型ビーターで叩解したもの
【0017】次にこれらの抄造助剤の性質を下記の方法
で測定して結果を表1に記載した。 叩解度;パルプの濾水度試験方法(JIS P812
1)カナダ標準形測定法による。 膨潤度;試料を純分換算Aグラム(約1グラムを正確に
測定)を30℃の水100mlに1時間浸漬後遠心脱水
(1000G×10分)し、その時の重量Bグラムを測
定して膨潤度を次式により求めた。 膨潤度=100×(B−A)/A(%) スラリーの濾水度ならびに固形分捕捉率は下記の方法で
測定した。あらかじめ水中に分散させた抄造助剤(パル
プ類)3重量%、普通ポルトランドセメント97重量%
で固形分濃度20g/lのスラリーを調製して、ショッ
パー形パルプ濾水度試験器(JIS P8121但し金
網を60メッシュに変更)を使用して濾水度と固形分捕
捉率を測定した。
【0018】該スラリーの調製は、パルプ類をTAPP
I標準離解機にて離解処理(パルプ10グラム/0.5
リットル、3000rpm×8min)した後、パルプ
分散液を低速回転プロペラで撹拌しつつ、その液中に上
記配合量のセメントを投入し、約3分間撹拌する方法に
て行った。この方法で得られたスラリーをショッパー形
パルプ濾水度試験器に流し込み、定法の濾水テスト法に
より一定速度で円錐弁を定法に従って持ち上げて流下さ
せた。側管に排出される排水を集め、排出がほぼ止まっ
た時点での排水の量を計測した。また金網上の濾過捕捉
物を濾紙上に洗い出して乾燥した後、その重量を測定し
た(W1)。また流下液中の固形分を同様に採取して乾
燥後の重量を測定した(W2)。固形分捕捉率を次式よ
り求めた。 固形分捕捉率(%)=100×W1/(W1+W2)
【0019】次に抄造性ならびに製品物性測定用板材サ
ンプルの作製方法について説明する。配合は、表1に示
す実施例及び比較例の通りであるが、抄造時の固形分捕
捉率が低い場合は一部のセメント等の微細粒子が網目を
通過し、繊維等は殆ど全部捕捉されるので、原料スラリ
ーの組成と製品の組成の差が大きくなる。したがって実
際の原料スラリーの調製は上述の捕捉率を考慮して配合
した。あらかじめVPFおよびケミベストE−780は
分散機にて予備分散させ、叩解パルプ(NUKP)はカ
ナディアンフリーネス150mlに叩解したものを用
い、所定の固形分配合比率となるようスラッシャー付パ
ルパー内の抄造白水に添加し、約10分間撹拌処理し
た。その後無機質添加材として、シリカフューム(日本
重化学工業社製SFパウダー;平均粒子径0.36μ)
を最終全固形分(以下単に全固形分と称す)に対して6
重量%添加して10分間撹拌した後、マイカ((株)ク
ラレ社製クラライトマイカ60s;平均粒子径280
μ、平均アスペクト比70)を全固形分に対して5重量
%並びに水酸化アルミニウム(住友アルミニウム(株)
製C−303)を全固形分に対して8000ppm添加
して約5分間撹拌した。しかる後に補強繊維を添加して
2分間混合撹拌し、スラリーとした。
【0020】用いた補強繊維はPVA系繊維は(株)ク
ラレ社製ビニロンRM182×6mmで繊度1.8デニ
ール、強度13.5グラム/デニール、ヤング率330
グラム/デニール、膨潤度16重量%、繊維長6mmで
ある。またPAN系繊維は東レ(株)社製アトランで繊
度2デニール、強度14グラム/デニール、ヤング率1
80グラム/デニール、膨潤度12重量%、繊維長5m
mである。
【0021】実施例 表1に示す配合割合となるように、上記方法により調製
した水分散液に普通ポルトランドセメントを添加し、濃
度約120グラム/リットルのスラリーとして、約5分
間撹拌した後、チェストに移送した。抄造用スラリーに
アニオン系高分子凝集剤(市川毛織(株)製IKフロッ
クT−210)及び必要量の割水を添加しながら抄造槽
(バット)へ導入した。この時の高分子凝集剤の抄造固
形分に対する添加量を150〜180ppmとした。か
かるスラリーを60メッシュの丸網にて抄き上げ、フェ
ルト上に移してメーキングローラーに巻き取り切断し
た。さらにプレス処理(75kg/cm2)して厚さ約
6mmの平板状の生板を作製した。また同時に波板とす
るために型付けを行い、生板を作製した。生板は50℃
で24時間、その後室温で4週間放置して養生したの
ち、製品物性を測定した。評価基準や測定条件について
は以下に述べる方法で実施した。
【0022】抄造性に関しては、下記の通りの方法で測
定を行い、その結果を表2に示した。バット内水位は、
充分均一なシートが抄き上げ可能な場合を○、濾水抵抗
が小さすぎて水位が取れず均一なシートを抄き上げるこ
とができない場合を×、その中間を△とした。捕捉率は
抄造槽(バット)に流入するスラリーの濃度(W1)と
丸網を通過して排出される排水中の濃度(W2)から
{1−(W2/W1)}×100として求めた。また型
付け性に関しては、型付け時に生板の折り曲げ部に微細
な亀裂が無数に生じた場合を×、亀裂が殆ど生じなかっ
た場合を○、その中間の場合を△として表した。抄造性
の判定は、上述のバット内水位、捕捉率並びにシートの
均一性、層間剥離性等を考慮して総合的に判断した。充
分に良好で工業生産においても極めて優れている場合に
は○、工業生産の場合にはかなり問題があると判断され
る場合には×、工業生産の際にはいくぶん問題があると
判断される場合には△とした。
【0023】製品物性の測定は下記の通りであり、その
結果は表2の通りである。嵩比重はJIS A 541
8に準拠し、試験片をかきまぜ機付き空気乾燥器に入
れ、105±5℃で24時間乾燥し、その後シリカゲル
で調湿したデシケーターに入れて常温まで冷却したの
ち、その時の重量をWグラムとする。次に、長さ、幅及
び厚さを測定し、計算により体積(Vcm3)を求め
る。嵩比重は次式により求めた。 嵩比重=W/V 曲げ強度は、JIS A 1408「建築ボード類の曲
げ試験法」に準拠したが、試料のサイズと測定条件を幅
2.5cm、長さ(間隔)5cmに変更して実施した。
また同時にたわみの大きさを測定した。衝撃強度は、J
IS K−7110のアイゾット試験法によりノッチな
しで実施した。
【0024】難燃性はJIS A 1321「建築物の
内装材料及び工法の難燃性試験方法」に準拠して基材試
験及び表面試験を実施した。その結果を表2に示す。表
中、基材試験に合格した場合を○、表面試験1級に合格
した場合を○とし、それぞれ不合格の場合を×とした。
判定は、両方に合格した時を○、他を×とした。総合判
定は、抄造性と製品物性の両面より判定し、良好な場合
を○、不良な場合を×、その中間を△とした。また表中
の配合比はそれぞれ重量%である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】実施例1は良好な抄造性と優れた製品物性
を有している。従来のものに比較して曲げ強度、衝撃強
度が高く、靭性が優れており、さらに型付け性にも優れ
ており、しかも難燃一級合格とバランスのとれた性能を
もっている。実施例2は実施例1に比較して叩解の度合
が小さい{フィブリル化の度合が小さい(叩解度の数値
が小さい)}VPFを用いたので抄造性を確保するため
通常の叩解パルプを混合使用した。強度が若干劣るが、
抄造性・製品物性とも満足できる結果を得た。実施例3
は補強繊維にPAN系繊維を用いた場合である。PVA
系補強繊維を用いた場合に比較して曲げたわみ性、衝撃
強度および型付け性は少し劣るが、抄造性・製品物性と
も良好である。
【0028】比較例1は実施例1と同配合であるが、V
PFの叩解程度をさらに強めた場合である。フィブリル
化の度合と膨潤度が過大となって抄造時のバットの水位
差が大きくなり過ぎ、また抄造後の生板の水分が多く、
製品の嵩比重が低めとなり、曲げ強度も低下した。なお
この程度まで叩解するためには、叩解に長時間を要し、
コスト面でも不利である。比較例2も実施例1と同配合
であるが、VPFの叩解が不充分な場合である。スラリ
ーの濾水性、固形分捕捉率が不充分となって抄造性が不
満足となった。比較例3は実施例1の配合から補強繊維
を添加しない場合である。VPFのみでは抄造性は良好
だが、製品強度は大幅に低下した。
【0029】比較例4は抄造助剤に通常の市販ポリエチ
レン系合成パルプ(アスベスト代替用)を使用した場合
である。補強性能は優れているが、疎水性のため抄造時
バットの水位差が得られ難いこと、製品の難燃性(基材
試験)が不合格となった。比較例5は通常の木質叩解パ
ルプを用いた場合である。致命的な欠陥はないが、製品
の強度が低めである。また耐久性能面で他の合成物質に
比較して不利なことが予想される。比較例6は比較例3
と同様補強繊維を添加しない場合である。叩解パルプの
みでは抄造性は良好だが、製品強度は大幅に低下した。
比較例7は比較例5と同様通常の木質叩解パルプとPA
N系繊維を用いた場合である。抄造性は問題ないが実施
例3に比較して製品の強度が低めである。
【0030】以上の結果からVPFは単独で使用した場
合は叩解パルプの単独使用時と製品物性に大きい差はな
いが、補強繊維と組み合わせて使用した場合は相乗効果
により優れた補強性が得られることが判る。
【0031】
【発明の効果】本発明により、石綿が使用されていない
にもかかわらず、強度及び靭性が高く、かつ耐久性に優
れ、さらに湿式抄造法により製造されたものである場合
には抄造性に優れ且つ波形付与時に生板に亀裂が生じる
ことのない水硬性無機質成型製品を容易に製造すること
ができる。また難燃性に関しても優れた特長を有してい
る。本発明の水硬性無機質成型製品としては、ハッチェ
ック抄造機を用いて製造する抄造品がその代表として挙
げられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−96354(JP,A) 特開 昭61−163150(JP,A) 特開 平3−141140(JP,A) 特開 昭60−5049(JP,A) 特公 昭47−31376(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 16/06 C04B 28/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ濾水度が200〜550mlで膨
    潤度が80重量%以上であるポリビニルアルコール系繊
    維状物を全固形分に対して0.5〜5重量%、繊度0.
    3〜20デニールで引張強度6グラム/デニール以上で
    且つ膨潤度が50重量%以下であるポリビニルアルコー
    ル系またはポリアクリロニトリル系繊維を全固形分に対
    して0.5〜3重量%含有する水硬性無機質成型製品。
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