JPS6231728Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は動力伝達装置の潤滑装置、詳しくは、
ケーシング内に、ギヤにより跳ね上げられる潤滑
油を収容してケーシング内の可動部分に供給する
油供給樋を設けた動力伝達装置の潤滑装置に関す
る。

（従来の技術） 一般に動力伝達装置の可動部分は、該装置のケ
ーシング内に貯溜する潤滑油により潤滑すべくし
ているが、前記可動部分が前記オイルレベルより
も上方に位置すると、該可動部分への潤滑油の供
給が困難である。

そこで従来では、例えば実開昭56−162357号公
報に示されているごとく、前記ケーシング内に油
供給樋をもうけ、動力伝達装置のギヤによつて跳
ね上げられる潤滑油を、前記樋を介して前記可動
部分に供給するようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、以上の構造のものでは、前記ギヤの
回転数の如何により、前記樋を流れる潤滑油の量
が変化して、前記樋の開口から流れ出す潤滑油の
落下位置も変わるのであつて、具体的には、ギヤ
の回転数が高くて樋を流れる潤滑油の量が多い時
には第６図矢印S₁で示す如く前記潤滑油は樋Ａの
開口Ｂから遠い位置に落下するのに対し、ギヤの
回転数が低くて樋Ａを流れる潤滑油の量が少ない
時には、第６図矢印S₂で示す如く前記潤滑油は樋
Ａの開口Ｂ近くに落下するのである。

そのため前記した従来の潤滑装置では、前記ギ
ヤの回転数の如何により可動部分Ｃへの潤滑油の
供給が行なえなくなる虞れがあつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は以上の問題点を解決すべく、前記潤滑
油には粘性があることから、前記樋を流れる量の
如何にかゝわらず、常時該潤滑油の一部が、第６
図矢印S₃で示す如く樋の開口から下面に伝つて流
れていることに着目し、前記油供給樋の先端部
を、前記可動部分における給油部位より延長して
開口させると共に、前記油供給樋の下面における
前記給油部位の上方位置で、かつ先端部の開口縁
に対し延長方向内方位置に前記樋の開口縁から下
面に伝う潤滑油を誘導して前記可動部分に落下さ
せる誘導体を垂設したのである。

（作 用） 而して本考案は、斯く構成することにより前記
誘導体を介して、前記油供給樋の下面を伝つて流
れる潤滑油を動力伝達装置の可動部分に常時供給
し得るように成したのである。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図面の動力伝達装置は、自動車のトランスミツ
シヨンを示し、図中１は、該トランスミツシヨン
を収容すケーシング、２はこのケーシングの一側
に組付けたエクステンシヨンハウジングであつ
て、前記ケーシング１内からエクステンシヨンケ
ース２内にはトランスミツシヨンの出力軸３がボ
ールベアリング３１を介して回転自由に軸架され
ている。

前記出力軸３のケーシング１側には、既知の通
りカウンターギヤ（図示せず）と噛み合う変速ギ
ヤ３２，３３を回転自由に支持するとともに、こ
れら変速ギヤ３２，３３と該出力軸３とを任意連
動連結する同期噛合装置３４を設けている。

尚、この同期噛合装置３４は周知の構造のもの
であるので、詳細な説明は省略する。

又前記出力軸３のエクステンシヨンケース２側
には、スピードメータのドリブンギヤ４を駆動す
るドライブギヤ４０を設けている。

５は、前記出力軸３の軸端部にスプライン結合
したスリーブヨークであつて、該スリーブヨーク
５は、前記エクステンシヨンハウジング２にブツ
シユ５０を介して回転並びに軸方向摺動可能に支
持されている。

又６は前記ケーシング１内から該ケーシング１
の側壁を貫通して前記エクステンシヨンハウジン
グ２内に所定の勾配で配置した油供給樋であつ
て、図に示す実施例では、この油供給樋６に、そ
の長さ方向に沿う仕切壁６０を設けて独立した２
つの油通路６１，６２を形成し、エクステンシヨ
ンハウジング内の２ケ所の可動部分にそれぞれ前
記各油通路６１，６２を介して個別に潤滑油を供
給するごとく成している。

具体的には。前記油供給樋６における一方の油
通路６１のエクステンシヨンハウジング２側端部
を前記スピードメータのドライブギヤ４０乃至ド
リブンギヤ４上で開口６３させるとともに、この
油通路６１を構成している樋６の下面でかつ前記
開口６３近くに、前記ドリブンギヤ４に向つて下
方に延びる誘導体７を垂設し、前記開口６３から
樋６の下面に伝う潤滑油を、前記誘導体７により
誘導して前記ドリブンギヤ４に供給する如く成し
いる。

又前記樋６における他方の油通路６２のエクス
テンシヨンハウジング２側端部をスリーブヨーク
５側に延設し、その延設端部を前記エクステンシ
ヨンハウジング２とブツシユ５０との間に挿嵌し
て、前記ブツシユ５０乃至スリーブヨーク５に該
油通路６２を介して潤滑油を供給する如くしてい
る。

又前記ケーシング１側に位置する仕切壁６０を
油供給樋６よりも高く形成して、前記変速ギヤ３
２，３３乃至同期噛合装置３４のギヤ３５の回転
により跳上げられた潤滑油を受止める受止部６４
を設けている。

次に以上の如く構成した潤滑装置の作動を説明
すると、エンジン駆動に伴なう前記変速ギヤ３
２，３３乃至同期噛合装置３４のギヤ３５の回転
により、前記ケーシング１内の潤滑油が跳ね上げ
られて、その一部が第３図矢印で示す如く直接前
記受止部６３で受止められたり、あるいはケーシ
ング１の内側壁に当つて跳ね返つた後、前記受止
部６３で受止められるなどして各油通路６１，６
２内にそれぞれ流入し、エクステンシヨンハウジ
ング２側に流れる。そして一方の油通路６１内の
潤滑油は、流量に関係なく常時その一部が第３図
矢印で示すように前記開口６３から樋６の下面に
伝つて流れて前記誘導体７により下方に誘導さ
れ、前記ドリブンギヤ４に落下するものである。

又、他方の油通路６２内を流れる潤滑油は、ブ
ツシユ５０乃至スリーブヨーク５にそれぞれ供給
される。

（考案の効果） 以上の如く本考案によれば、油供給樋の先端部
を、可動部分における給油部位より延長して開口
させると共に、前記油供給樋の下面における前記
給油部位の上方位置で、かつ先端部の開口縁に対
し延長方向内方位置に前記樋の開口縁から下面に
伝う潤滑油を誘導して前記可動部分に落下させる
誘導体を垂設したから、前記油供給樋を流れる潤
滑油の流量の多少に関係なく、該樋の開口縁から
常時下面に伝う一定量の潤滑油を誘導して可動部
分における給油部位に連続して落下させることが
でき、従つて、該可動部分が動力装置のギヤの回
転数の変化で、前記樋を流れる流量が変化して
も、この変化如何に拘わらず、常に一定量の潤滑
が過不足なく確実に行なえるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す断面図、第２
図は油供給樋の平面図、第３図は第２図−線
拡大断面図、第４図は第２図−線拡大断面
図、第５図は、従来装置の要部の断面図である。 １……ケーシング、４……ドリブンギヤ（可動
部分）、６……油供給樋、７……誘導体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシング内に、ギヤにより跳ね上げられる潤
   滑油を収容してケーシング内の可動部分に供給す
   る油供給樋を設けた動力伝達装置において、前記
   油供給樋の先端部を、前記可動部分における給油
   部位より延長して開口させると共に、前記油供給
   樋の下面における前記給油部位の上方位置で、か
   つ先端部の開口縁に対し延長方向内方位置に前記
   樋の開口縁から下面に伝う潤滑油を誘導して前記
   可動部分に落下させる誘導体を垂設したことを特
   徴とする動力伝達装置の潤滑装置。