JPS6315643Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は、自動車等車両における変速機の潤滑
装置に関する。更に詳しくは、上方位置に設ける
ブリーザから潤滑油が洩れることのない変速機の
潤滑装置に係る。

〔従来技術〕

従来の変速機、例えば、平行に二軸が配設され
た自動変速機では、自動変速機構が内蔵された変
速機ケースの後部に、リヤカバーが取付けられ
る。変速機ケースとリヤカバーとの間にはカウン
タ室が形成されており、このカウンタ室に、前述
の二軸に取付けられたカウンタギヤ対が配設され
る。このカウンタギヤ対およびカウンタギヤ対を
支承するベアリング等の潤滑のため、潤滑油が前
述の二軸の軸心に設けられた潤滑通路等を通つて
カウンタ室に供給され、このカウンタ室に供給さ
れた潤滑油は、カウンタ室の下部における変速機
ケースに設けられた排出孔より、再び変速機ケー
ス内に戻されるようになつている。

なお、カウンタ室の上方位置の変速機ケースあ
るいはリヤカバーには、ブリーザが設けられてお
り、自動変速機内の内圧増加を防止している。

上述のような従来の変速機においては、カウン
タ室に供給された潤滑油は、カウンタギヤ対の回
転により撹拌されて飛散され、この飛散された潤
滑油により所定の潤滑個所の潤滑をおこなうよう
になつているが、潤滑油の変速機ケース内への戻
りが悪いときには、カウンタ室内の潤滑油の飛散
量も過度に多くなり、特に、高温、高速（高スロ
ツトル開度）運転状態では、飛散された潤滑油が
泡状となつて、カウンタ室内に充満するため、長
時間運転あるいはアクセル操作時等において、自
動変速機内の内圧が増大し、空気がブリーザから
カウンタ室外に放出されるとき、一緒に泡状の潤
滑油が外部に放出されるという不具合を生じるこ
とがある。

〔考案の目的〕

而して、本考案の目的は、カウンタ室に供給さ
れた潤滑油を、カウンタギヤ対の回転を利用して
排出孔に導くようにして、変速機ケース内に戻す
ことにより、ブリーザから潤滑油が放出されるこ
とを防止ないしは減少することにある。

〔考案の構成〕

この目的を達成する本考案の変速機の潤滑装置
は、上述した従来のこの種の変速機の潤滑装置に
おいて、カウンタギヤ対のギヤの回転に伴つて潤
滑油を排出孔に導くリブが、排出孔の近傍位置に
配設され、リヤカバーあるいは変速機ケースに取
付けられて成つている。

このようにリブが設けられることにより、カウ
ンタ室に供給された潤滑油は、カウンタギヤ対の
ギヤの回転に伴つて排出孔に導かれ、半強制的に
変速機ケース内に戻される。

〔考案の効果〕

本考案は、上述したようにして、カウンタ室に
供給された潤滑油が半強制的に変速機ケース内に
戻されるため、カウンタ室における潤滑油量は適
正量とすることができ、カウンタギヤ対によつて
撹拌され飛散される潤滑油も、過度に多くなるこ
とがない。

その結果、高温、高速運転状態で潤滑油が泡状
となる場合であつても、充満状態とはならないた
め、カウンタ室の内圧変化によつて空気がブリー
ザから放出されるとき、泡状の潤滑油が外部に放
出されることが防止ないしは減少される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示
す。なお、この実施例は平行に二軸が配設された
自動変速機の場合を示す。

第１図はカウンタ室を示す断面図、第２図は変
速機ケースとカウンタギヤ対等の配置関係を示す
説明図、第３図はリヤカバーの正面図を示す。

第１図において、１０は変速機ケースを、１１
はリヤカバーを示しており、リヤカバー１１は変
速機ケース１０の後部に配置され、ボルト１３に
より変速機ケース１０に取付けられる。この変速
機ケース１０とリヤカバー１１との間にはカウン
タ室１４が形成される。変速機ケース１０内には
通常の方法にて自動変速機構が組み込まれてお
り、後方にはインタミデイエイトシヤフト１５と
カウンタシヤフト１６の二軸が延在してきてい
る。

インタミデイエイトシヤフト１５とカウンタシ
ヤフト１６には、カウンタ室１４内において、カ
ウンタギヤ対を構成するカウンタドライブギヤ１
７とカウンタドリブンギヤ１８が取付けられてい
る。カウンタドライブギヤ１７は、ベアリング１
９，２０によりリヤカバー１１および変速機ケー
ス１０に回転可能に支承されている。カウンタド
リブンギヤ１８は、ベアリング２１により変速機
ケース１０に回転可能に支承されている。

また、インタミデイエイトシヤフト１５とカウ
ンタシヤフト１６には、それぞれ軸心に潤滑通路
２８，２９が設けられており、変速機ケース１０
内から潤滑油がカウンタ室１４に供給されてくる
ようになつている。

第２図において、カウンタ室１４の下部には、
変速機ケース１０に排出孔２２，２３，２４が設
けられており、この排出孔２２，２３，２４を通
つてカウンタ室１４の潤滑油は変速機ケース１０
内に戻されるようになつている。

排出孔２３と２４との間の位置には、Ｔ字状の
リブ２５が配設されている。リブ２５は、第３図
に示すように、リヤカバー１１に一体的に形成さ
れている。リブ２５のＴ字状の上辺は、カウンタ
ドライブギヤ１７の外周に沿うように形成されて
いる。その結果、カウンタドライブギヤ１７が矢
印方向に回転すると、カウンタ室１４の下部の潤
滑油は、その回転に伴つて回転方向に撹拌移動す
るが、多量の潤滑油はリブ２５によりせき止めら
れ、かつ、このリブ１２により排出孔２３に導か
れて、変速機ケース１０内に戻される。

カウンタ室１４の上方位置には、第１図および
第２図に示すように、ブリーザ２７が設けられて
おり、カウンタ室１４と外部とを連通し、自動変
速機の内圧増加を防止している。

次に、上記実施例の作用を説明する。

カウンタ室１４には、インタミデイエイトシヤ
フト１５およびカウンタシヤフト１６に設けられ
た潤滑通路２８，２９を通じて、潤滑油が変速機
ケース１０内から供給されてくる。

カウンタ室１４内に供給された潤滑油は、カウ
ンタドライブギヤ１７とカウンタドリブンギヤ１
８のカウンタギヤ対の回転により撹拌されて、飛
散され、この飛散された潤滑油により、カウンタ
ギヤ対の噛合等の潤滑がおこなわれる。

カウンタ室１４の潤滑油は、排出孔２２，２
３，２４を通じて変速機ケース１０内に戻され
る。なお、この作用は、Ｔ字状のリブ２５が排出
孔２３と２４との間に配設されていることによ
り、第２図に示すように、上方位置にあるカウン
タドリブンギヤ１８から落下する潤滑油は、排出
孔２４から戻され、カウンタ室１４の下部にある
潤滑油はカウンタドライブギヤ１７の回転によ
り、その回転方向に移動してリブ２５によりせき
止められ、かつ、リブ２５により排出孔２３に導
かれて戻される。

なお、潤滑油は排出孔２２からも戻され、更に
は、カウンタドライブギヤ１７を支承するベアリ
ング２０、およびカウンタドリブンギヤ１８を支
承するベアリング２１を潤滑して、直接変速機ケ
ース１０内に戻される場合もある。

上述のようにして、カウンタ室１４の潤滑油
は、Ｔ字状のリブ２５が設けられていることとに
より、速やかに変速機ケース１０内に戻されるた
め、カウンタ室１４の潤滑油量は適正な量とな
り、その結果、高温、高速運転状態等で潤滑油が
泡状となる場合であつても、カウンタ室１４内に
充満状態とはならないため、自動変速機の内圧変
化によつて、空気がブリーザ２７から放出される
とき、従来のように潤滑油が外部に放出されるこ
とを防止することができる。

以上、本考案を図示した特定の実施例について
説明したが、本考案はかかる実施例に限定される
ものではなく、本考案の範囲内にて、その他種々
の実施例が可能なものである。

例えば、上述の実施例では、Ｔ字状のリブ２５
をリヤカバー１１に設けた場合について説明した
が、変速機ケース１０に設けてもよい。この場合
でも、上述の実施例と同様の作用がなされる。

また、上述の実施例は、自動変速機の場合につ
いて説明したが、手動変速機の場合でも、カウン
タ室にカウンタギヤ対が配置される同種の構成の
ものには適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示
し、第１図はカウンタ室を示す断面図、第２図は
変速機ケースとカウンタギヤ対等の配置関係を示
す説明図、第３図はリヤカバーを示す正面図であ
る。 符号の説明、１０……変速機ケース、１１……
リヤカバー、１４……カウンタ室、１７……カウ
ンタドライブギヤ（カウンタギヤ対）、１８……
カウンタドリブンギヤ（カウンタギヤ対）、２３
……排出孔、２５……リブ、２７……ブリーザ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 変速機ケースとこの変速機ケースに取付けられ
   て配置されるリヤカバーとの間に形成されるカウ
   ンタ室に、変速機のカウンタギヤ対が配設され、
   このカウンタ室の上方位置の変速機ケースあるい
   はリヤカバーにブリーザが設けられており、カウ
   ンタ室の潤滑油は変速機ケース内から供給され、
   変速機ケースの下部に設けられた排出孔より変速
   機ケース内に戻されるようになされた変速機の潤
   滑装置において、 前記カウンタギヤ対のギヤの回転に伴つて潤滑
   油を排出孔に導くリブが、排出孔の近傍位置に配
   設され、リヤカバーあるいは変速機ケースに取付
   けられていることを特徴とする変速機の潤滑装
   置。