JPS6128133Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等の車輌に用いられる副変速
装置付車輌用変速機に係り、特にオイルポンプの
空気吸込み防止構造に係る。

自動車等の車輌に用いられる変速機として、手
にて操作されて複数の変速段の間で切換えられる
手動式の主変速装置と、これに付随して設けられ
主変速装置とは別に高速段と低速段との間で切換
えられる油圧作動式の副変速装置とを有する副変
速装置付車輌用変速機が知られている。

この種の副変速装置付車輌用変速機に於いて
は、メインケースによつて構成された第一の室内
に主変速装置が、また前記メインケースの一端に
装着されたサブケースにより構成された第二の室
内に副変速装置が各々配設され、前記第二の室内
の下部に副変速装置の油圧サーボに油を作動油と
して供給し、また前記主変速装置及び副変速装置
に油を潤滑油として供給するオイルポンプが設け
られている。このオイルポンプは第二の室内の下
部に溜まつている油を吸入してこれを主変速装置
及び副変速装置に供給するようになつている。一
般に、第一の室と第二の室とはメインケースの端
壁により与えられる隔壁により区分され、該端壁
には変速装置の各軸を支持するための軸受が設け
られており、前記第一の室と前記第二の室とはそ
れら軸受及び端壁の下部に設けられた連通孔によ
り互いに連通し、その両室に於ける油レベルは同
一になつている。このためエンジン及び変速装置
が横置きされた車輌に於て、車輌が或る方向に旋
回すると、遠心力により第二の室内の油が軸受や
連通孔を経て第一の室へ流れ、第二の室内の油レ
ベルが極端に低下し、オイルポンプが空気を吸込
むことがある。オイルポンプが空気を吸込むと、
油圧が極端に低下し、副変速装置の変速段が達成
させず、また潤滑油の不足により潤滑不良が生じ
る虞れがある。

本考案は従来の副変速装置付車輌用変速機に於
ける上述の如き不具合に鑑み、車輌が旋回しても
第二の室内の油が第一の室へ流出することを防止
して第二の室内に於ける油レベルを所要レベルに
保持し、オイルポンプが空気を吸込まないよう改
良された副変速装置付車輌用変速機を提供するこ
とを目的としている。

かかる目的は、本考案によれば、上述の如き副
変速装置付車輌用変速機に於て、前記隔壁に設け
られた前記軸の軸受はシールド型軸受として構成
され、前記隔壁は前記軸受より高い位置に前記第
一の室と前記第二の室とを連通する連通路を有
し、前記第一の室には該第一の室を飛散している
油を受止め該油を前記第二の室へ戻す油受けが設
けられている副変速装置付車輌用変速機によつて
達成される。

かかる構成によれば、前記連通路を設ける位置
によつて第二の室内に於ける油レベルが決定され
るから、その連通路を設ける高さ位置が適宜に設
定されることにより第二の室に於ける油レベルを
第一の室に於けるそれとは別に所定のレベルに設
定することができ、これによつて旋回時に於ても
第二の室に於けるオイルレベルを所要レベルに維
持することができ、オイルポンプの空気の吸込み
を回避することができる。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

図に於いて、１はメインケースを、２はメイン
ケース１の一端部に装着されたサブケースを各々
示している。メインケース１の一端部は端壁３に
より閉じられ、該端壁によりメインケース内とサ
ブケース内とが区分されている。メインケース１
内には複数個の歯車及び同期噛合装置等を備えた
それ自身の手動式主変速装置４が配設され、また
サブケース２内には遊星歯車装置５、摩擦係合装
置６及び摩擦係合装置６を切換制御する油圧サー
ボ７を備えた油圧作動式副変速装置８が配置され
ている。

端壁３は上下二本の軸９，１０を各々ラジアル
ボール軸受１１，１２によつて回転自在に支持し
ている。軸９及び１０は各々端壁３を貫通してサ
ブケース２内に延在しており、軸９は副変速装置
５の出力部材材に駆動連結され、また軸１０はサ
ブケース２の下部に配設されたオイルポンプ１３
に駆動連結され、該オイルポンプを駆動するよう
になつている。また軸９はその中空部に軸１８を
有し、この軸１８は副変速器５の入力部材に駆動
連結されている。

オイルポンプ１３はサブケース２の下部に溜ま
つている油を吸入し、該油を作動油としてサブケ
ース２内に設けられた油圧制御装置１４を経て油
圧サーボ７へ選択的に供給し、また前記油を図示
されていない油路を経て主変速装置４及び副変速
装置５の各潤滑部へ供給するようになつている。

軸１０のラジアルボール軸受１２はシール要素
１２ａを備えたシールド型軸受として構成され、
これに対し軸９のラジアルボール軸受１１はシー
ル要素を備えない非シールド型の軸受として構成
されている。ラジアルボール軸受１１はそのイン
ナーレースとアウタレースとの間の空間部によつ
てメインケース１内とサブケース２内とを互いに
連通し、その空間部が連通路として機能してい
る。またメインケース１には該メインケース内を
飛散している油を受止める油受け１５が設けられ
ており、この油受け１５はその一端にて端壁３に
設けられた連通孔１６に差込まれることによりメ
インケース１より支持され、また受止めた油をそ
の連通孔１６を経てサブケース２内へ戻すように
なつている。尚、連通孔１６はラジアルボール軸
受１２より高い位置に設けられている。

上述の如く、ラジアルボール軸受１２がシール
ド型軸受として構成されていることにより、この
軸受を経てサブケース２内の油がメインケース１
へ流れることが回避され、サブケース２に於ける
油のレベルは、この実施例に於ては下側の連通孔
１６の高さ位置により決まり、それは比較的高い
レベルに設定される。これにより車輌の旋回時に
サブケース２内の油がメインケース１内へ流出す
ることが回避され、この旋回時に於いてもサブケ
ース２内に於ける油のレベルが所要レベルに保た
れ、オイルポンプ１３が空気を吸入することが回
避される。

メインケース１内とサブケース２とを連通する
連通路の高さ位置はサブケース２内に於いて必要
とされる油レベルに応じて決定されればよく、こ
れは、図にて仮想線で示されている連通孔１７の
如く、軸受１２の下部位置より高い位置に設けら
れていれば有効である。

以上に於いては本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案はこれに限定されるも
のではなく、本考案の範囲内にて種々の実施例が
可能であることは当業者にとつて明らかであろ
う。

【図面の簡単な説明】

添付の図は本考案による副変速装置付車輌用変
速機の一つの実施例をその要部について示す断片
的な断面図である。 １……メインケース、２……サブケース、３…
…端壁、４……主変速装置、５……遊星歯車機
構、６……摩擦係合装置、７……油圧サーボ、８
……副変速装置、９，１０……軸、１１，１２…
…ラジアルボール軸受、１３……オイルポンプ、
１４……油圧制御装置、１５……油受け、１６，
１７……連通孔、１８……軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第一の室内に主変速装置がまた第二の室内に副
   変速装置が各々配置され、前記第一の室と前記第
   二の室とが隔壁により区分されており、前記第二
   の室内の下部に該第二の室内の油を吸入して該油
   を前記主変速装置及び前記副変速装置に供給する
   オイルポンプが設けられ、該オイルポンプが前記
   第一の室より前記隔壁を貫通して前記第二の室に
   延在する前記主変速装置の軸により駆動されるよ
   う構成された副変速装置付車輌用変速機に於て、
   前記隔壁に設けられた前記軸の軸受はシールド型
   軸受として構成され、前記隔壁は前記軸受より高
   い位置に前記第一の室と前記第二の室とを互いに
   連通する連通路を有し、前記第一の室には該第一
   の室を飛散している油を受止め該油を前記第二の
   室へ戻す油受けが設けられている副変速装置付車
   輌用変速機。