JPS6231204Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、チツプブレーカ溝を備えたスローア
ウエイチツプに係り、特にチツプブレーカ溝を含
めた切刃構成を改善することにより、中重切削に
好適するようにしたものである。

従来、この種のスローアウエイチツプは、高速
切削、自動化などの点から切屑処理が最も重要な
課題となつており、チツプブレーカ形状に関する
各種の提案がなされている。そして、これらのチ
ツプブレーカは、すべての切削作業をカバーする
ことができないため、例えば仕上げ用、中切削
用、中重切削用および重切削用などに分けて提案
され、また最近では難削材などの被削材に対する
ものとして提案されている。

しかしながら、例えば送りｆ＝0.3〜0.6mm／
rev、切込みｄ＝２〜６mmといつたような中重切
削用では、適当なものが見当らず、この切削領域
におけるチツプブレーカ溝の開発が要望されてい
る。

本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、す
くい面を構成する多角形面の周縁部分には、巾狭
のランドを備えたチツプブレーカ溝が形成される
とともに、その中央部分には、中央ボス部が形成
された多角形板状をなす改良されたスローアウエ
イチツプを提供するものである。

以下、本考案スローアウエイチツプの一実施例
について、図を参照しながら説明する。

第１図乃至第４図において、１は、３角形板状
をなすスローアウエイチツプであり、すくい面を
構成する３角形面の周縁部分には、巾狭のランド
２を備えたチツプブレーカ溝３が形成され、また
その中央部分には、中央ボス部４および中央取付
け穴５が形成されている。

前記ランド２は、前記中央ボス部４と同一平面
上にあるものであるが、中央ボス部４に向かう巾
方向では、ノーズ付近を巾狭部分として、これに
続いて凸に向かう凹凸形成の波形曲線が形成され
ている。これは、特に両面使用を配慮したもので
あり、スローアウエイチツプ１のすわりを良好に
することによつてチツプブレーカ溝３の巾を広く
採れるようにしたものである。したがつて、重切
削側の切削領域にも対処できるものである。な
お、中央に残存するボス部４は従来のものよりも
小形になるが、前記ランド２によつてチツプのす
わりがカバーされる。

また、前記チツプブレーカ溝３は、第３図およ
び第４図で示されるように、中央ボス部４に向か
う横断方向では、ランド２側から下りの斜面６、
平面的な底面７および上りの斜面８がそれぞれ連
続するようになつている。そして、これらの斜面
６，８および底面７は、前記ランド２に形成され
た波形曲線の凹凸に略一致させているため、略平
行巾をもつた凹凸形成を呈している。さらに中央
ボス部４およびチツプブレーカ溝３の斜面８にお
ける境界部分９には、前記ランド２の波形曲線に
依存した波形曲線が形成されている。

なお、平面的な底面８は、特に被削材から流出
してくる切屑を強制的に接触させて、いわゆる切
屑を拘束するためのものであり、また、波形曲線
の採用は、切削抵抗を小さくするためである。

また、前記ランド２は、ノーズ付近については
従来のものと同様に巾狭部分となつていることか
ら、直線的な切刃稜１０であつても軽切削におけ
る切屑処理が可能である。

第５図は、本考案品および比較品における切屑
の処理範囲を示したものである。この場合、被削
材は、S45Cで切削速度をＶ＝150m／minとした
ものである。また、工具仕様は、第１図〜第４図
に示されるような略三角形板状をなすもので、基
本形状として内接円直径を12.7mmφ、ノーズ半径
を0.8mmとしたものである。そして、ランド２の
巾についてはノーズ部分で0.2mm、第３図の部分
で0.7mm、第４図の部分で0.35mmとし、チツプブ
レーカ溝３の底面７は、第３図および第４図の部
分で0.4mmとなるようにしたものである。これに
対し、従来品である比較品は、0.2mmの一定巾の
ランドを有する全周ブレーカが備えられたもの
で、本考案品と基本形状を同じくするものであ
る。

切削試験の結果、第５図で示されるように所期
の目的である送りｆ＝0.3〜0.6mm／rev、切込み
ｄ＝２〜６mmの範囲で有効な切屑処理性を有して
いることが確認された。

このようにして構成された本考案のスローアウ
エイチツプ１は、全周ブレーカ付のものとして、
両面使用できるとともに中重切削に有効に適用で
きるものである。すなわち、ランド２の波形形状
から、チツプのすわりがよくなり、しかもチツプ
ブレーカ溝３の巾が広く採れるとともに、波形の
ため切削抵抗が減少し、かつ切屑処理領域も拡大
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案スローアウエイチツプの一実
施例を示す正面図、第２図は、その側面図、第３
図は、第１図中の−線に沿つて得られる拡大
断面図、第４図は、同じく第１図中の−線に
沿つて得られる拡大断面図、第５図は、本考案品
および従来品における切屑の有効処理範囲を示す
説明図である。 ２……ランド、３……チツプブレーカ溝、４…
…中央ボス部、６，８……斜面、７……底面、９
……境界部分、１０……切刃稜。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 すくい面を構成する多角形面の周縁部分には、
   巾狭のランド２を備えたチツプブレーカ溝３が形
   成されるとともに、その中央部分には、中央ボス
   部４が形成されている多角形板状のスローアウエ
   イチツプにおいて、 前記ランド２は、逃げ面を構成する側面側で
   は、直線的な切刃稜１０を形成し、またチツプブ
   レーカ溝３側では、ノーズ部分の巾狭部分に続い
   て凸に向かう凹凸形状の波形曲線が前記切刃稜１
   ０に沿つて形成され、 前記チツプブレーカ溝３は、前記ランド２から
   中央ボス部４に向かう横断方向では、前記ランド
   ２に形成された波形曲線の凹凸に合せた略平行巾
   を有する下りの斜面６、平面的な底面７および上
   りの斜面８がそれぞれ連設され、 前記中央ボス部４は、その表面部分が平面をな
   しているとともに、前記チツプブレーカ溝３の上
   りの斜面８に対する境界部分９には、前記切刃稜
   １０に沿つて上りの斜面８の凹凸に合せた波形曲
   線が形成されていることを特徴とするスローアウ
   エイチツプ。