JPS6230438Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ガス保守を行う通信ケーブルに使
用するガスバルブ付ガスダムに関するものであ
る。

通信ケーブルでは、浸水障害等の予防のため
に、ケーブルのシース（外被）と心線との間に乾
燥空気等の気体を封入する、いわゆるガス保守が
広く行われている。このようなガス保守を行う場
合には、ケーブルの接続端などの心線露出部に、
ガス圧を封じておくためのガスダム（気密ダム）
を設ける必要がある。

従来、前記ガダとして、通信ケーブルの心線露
出部を、常温硬化性樹脂等によつて形成される充
填物層により気密に覆い、かつこの充填物層の周
囲を熱収縮性チユーブ等により成るスリーブで覆
い、このスリーブ上に前記通信ケーブルの外被内
に気体を封入するガスバルブや、通信ケーブルの
外被内のガス圧を検出する圧力検出センサーを設
けたガスバルブ付ガスダムが知られている。

ところで、前記スリーブは、充填物層による気
密性を高めることから、充填物層を外から保護す
る強度と、充填物層を密封する効果とを兼ね備え
ることが好ましいが、前述のような構成を成すガ
スバルブ付ガスダムは、該スリーブに、通信ケー
ブルの外被内とガスバルブとを連通する管路や、
通信ケーブルの外被内と圧力検出センサとを連通
する管路を挿通させるための挿通孔を形成しなけ
ればならず、該挿通孔のために強度や密封効果が
低下するおそれがあつた。また、充填層を形成す
る際には、前記ガスバルブや圧力検出センサーを
設ける位置に対応させて、あらかじめ心線の周囲
に前述のそれぞれの管路を位置決めし、その位置
がずれないように注意しながら慎重に充填作業を
行なわなければならないため、ガスダム形成時の
作業能率を向上させることが難しかつた。

この考案は、前記背影のもとに提案されたもの
で、その目的とするところは、接続箱の近傍にお
いてガスバルブと圧力検出センサーとを有したガ
スバルブ付ガスダムを形成する場合に、前記接続
箱を利用して、ガスバルブとケーブル外被内とを
連通する管路を布設することによつて、充填物層
を覆うスリーブに強度や密封効果の点で不利な孔
を形成する必要がなく、かつガスバルブや圧力検
出センサーと通信ケーブルの外被内部とを連通す
る管路の配設が容易に行え、ガスダム形成時の作
業能率を向上させることのできるガスバルブ付ガ
スダムを得ることにある。

以下、本考案の実施例を第１図〜第３図を参照
しながら説明する。

図中１は、ガス保守が行われる通信ケーブル、
２はその内部で前記通信ケーブル１と他のケーブ
ルまたは端子との接続が成される接続箱、３はガ
スバルブ付ガスダム（以下、ガスダムと略す）で
ある。

前記通信ケーブル１は、心線１ａに光フアイバ
ーが使用された光フアイバーケーブルであり、前
記心線１ａより径の太い線条を成し複数の心線１
ａ内に挿通されるテンシヨンメンバ１ｂと、心線
１ａをテンシヨンメンバ１ｂの周囲に束ねる内被
１ｃと、該内被１ｃの外周を覆うケーブル外被
（外被）１ｄとを備えている。該通信ケーブル１
は、前記接続箱２の直前で前記内被１ｃと外被１
ｄとが剥がされ、所要長さに渡つて心線１ａが露
出した心線露出部Ａが形成されている。

前記接続箱２は、前記通信ケーブル１と他のケ
ーブル等とを接続するスペースを確保する筒状の
本体２ａと、該本体２ａの一端側を開塞するとと
もに前記ガスダム３の支持を行うフランジ２ｂと
を備えている。このフランジ２ｂは、その中央に
心線１ａを挿通する挿通孔４が形成された筒状を
成しており、一端面（第１図で左側の端面）５に
はガスダム３を固定するための雌ねじ６が、また
他端面７には本体２ａに固定するための雌ねじ８
が設けられており、該雌ねじ８を介して本体２ａ
の一端に固定されている。前記挿通孔４の内周面
４ａは、本体２ａ側に近づくにしたがつて内径が
広がる曲面状になつている。このような曲面状に
形成することによつて、曲げ等に弱い光フアイバ
心線が小さな曲率で曲げられることを防止でき、
また、接続箱２内に引き込む前に心線１ａ相互の
間隔を適当に広げてやることができる。このよう
な挿通孔４の本体２ａ側の端部には、心線１ａを
挿通する孔（図示略）が適宜数形成されたフアイ
バーガイド板９，１０，１１が順次固定され、前
記フアイバーガイド板１０には、前記通信ケーブ
ル１のテンシヨンメンバ１ｂを固定する引留棒１
２がねじ止めされている。この引留棒１２は、金
属棒の一端に前記テンシヨンメンバ１ｂと嵌合す
る嵌合孔１２ａを穿設し、かつ他端に雄ねじ部１
２ｂを形成したもので、該雄ねじ部１２ｂがナツ
ト１３を介してフアイバーガイド板１０に固定さ
れている。この引留棒１２の嵌合孔１２ａに嵌合
されたテンシヨンメンバ１ｂは、矢印イで示すよ
うに引留棒１２を外周から加締めることによつて
引留棒１２に固定されている。

前記ガスダム３は、前記通信ケーブル１の心線
露出部Ａの周囲を気密に覆う充填物層１４と、該
充填物層１４を覆つて圧迫するスプリングパイプ
１５と、該スプリングパイプ１５の外周を覆うス
リーブ１６と、前記通信ケーブル１の外被１ｄ内
に気体を封入するガスバルブ１７と、前記通信ケ
ーブル１の外被１ｄ内のガス圧を検出する圧力検
出センサー１８とを備えている。

前記充填物層１４は、常温硬化性樹脂（例えば
ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等）を、前記通信ケ
ーブル１上にかぶせたスプリングパイプ１５内に
充填して固化させることによつて形成されてい
る。

前記スプリングパイプ１５は、第２図に示すよ
うに、鋼管の管壁を軸線方向に切り離して、該切
り離し部１５ａにくさびを打ち込むことによつ
て、管径を広げられるようにし、かつパイプの長
手方向中央に前記切り離し部１５ａを横切るスリ
ツト１５ｂを形成したもので、該パイプ１５の全
長は、その一端（第１図で左側）が通信ケーブル
１の外被１ｄ上にオーバラツプするように選定さ
れている。

前記スリーブ１６は、筒状をなす本体部１６ａ
の両端にフランジ部１６ｂ，１６ｃを形成したも
ので、一端側のフランジ部１６ｂが通信ケーブル
１の外被１ｄに固着された樹脂製スペーサ１９に
ねじ止めされ、他端側のフランジ部１６ｃが前記
接続箱２のフランジ２ｂにねじ止めされてダム部
を固定支持している。

前記ガスバルブ１７および圧力検出センサー１
８は、継手部材２０を介して前記接続箱２のフラ
ンジ２ｂに固定される。

前記継手部材２０は、第１図で上下方向に貫通
し上端に前記ガスバルブ１７が接続されるガス流
路２０ａと、該ガス流路２０ａの途中から側方
（第１図で左方）に分岐し前記圧力検出センサー
１８が接続される連絡路２０ｂとを有した略Ｔ字
状のもので、その下部側（ガス流路２０ａの下端
側）が前記フランジ２ｂの継手取付部２ｃに接合
されている。そしてこのような継手部材２０によ
り、前記ガスバルブ１７と圧力検出センサー１８
とは、圧力検出センサー１８の検出口１８ａが前
記ガスバルブ１７からのガス流路２０ａと連通し
た状態で接続箱２に固定されている。

前記ガス流路２０ａの下端には、前記スプリン
グパイプ１５内を挿通すべく側方に延出した延長
管２１が気密に接続されており、この延長管２１
の先端には誘導管２２が接続されている。該誘導
管２２は、スプリングパイプ１５内において、一
端を外被１ｄ内に、かつ他端を前記延長管２１内
に挿通させたもので、スプリングパイプ１５内に
充填された充填物層１４によつて、両端の挿通部
外周が気密に覆われ、これにより、ガス流路２０
ａとケーブル１の外被１ｄ内部とを気密に連通さ
せている。

なお、第１図について補足説明すれば、２ｄは
前記フランジ部２ｂの一端面からスプリングパイ
プ１５内に突出する気密用筒部で、フランジ部と
一体に形成されている。また、２３で示すもの
は、フランジ２ｂと継手部材２０とを接合部の気
密性を高めるためのパツキンである。

以下、前記ガスダム３の組立作業について、第
１図および第３図を参照しながら簡単に説明す
る。

まず、前記接続箱２内で接続処理する通信ケー
ブル１の先端から樹脂製スペーサ１９およびスリ
ーブ１６を挿通させておき、該ケーブル１の先端
部の外被１ｄおよび内被１ｃを剥いで所要長の心
線露出部Ａを形成する。そして、該心線露出部Ａ
を臨む外被１ｄと内被１ｃとの間に誘導管２２の
一端を挿入するとともに、該誘導管２２を心線１
ａに縦添えする。次いで前記切り離し部１５ａに
くさび２４を打ち込んでスプリングパイプ１５の
内径を広げ、このパイプ１５内に前記ケーブル１
の心線露出部Ａを挿通させる。一方、前記フラン
ジ２ｂに継手部材２０及び延長管２１を取り付け
た状態にし、該フランジ２ｂの気密用筒部２ｄを
スプリングパイプ１５内に挿通させながら、前記
延長管２１内に前記誘導管２２の他端を嵌合させ
る。次いで、離間している切り離し部１５ａから
常温硬化性樹脂を充填して、心線露出部Ａを覆う
充填物層１４を形成する。前記くさび２４は、前
記充填物層１４の表層側が固化してから抜き取
る。該くさび２４を抜き取ることによつて、スプ
リングパイプ１５は、切り離し部１５ａが密着す
る如く内径が縮んで充填物層１４を圧迫し、充填
物を心線１ａやケーブル外被１ｄ、気密用筒部２
ｄに高い圧力で密着させて気密性を向上させる。
くさび２４を抜いたら、前記スプリングパイプ１
５上にスリーブ１６をかぶせるとともに樹脂製ス
ペーサ１９をケーブル１の外被１ｄ上の所定位置
に固着させ、該樹脂製スペーサ１９および前記フ
ランジ２ｂにスリーブをねじ止めする。次いで前
記継手部材２０に、ガスバルブ１７、圧力検出セ
ンサー１８を溶接等の適宜手段で固定すれば、組
立作業は完了する。

なお、前記樹脂製スペーサ１９は、外被１ｄが
PVCシースの場合にはPVC、外被１ｄがLAPシ
ースの場合にはPE等、外被１ｄの材質に応じて
材質の選択がなされ、接着材による接着、もしく
は熱融着等の適宜手段で外被１ｄに固着される。

また、前述の実施例においては、誘導管２２の
他端を延長管２１の先端に差し込んで、両者の接
続を行つているが、要は通信ケーブル１の外被１
ｄ内とガス路２０ａとが気密に連通できればよ
く、両者をあらかじめ一体に形成することも考え
られる。そしてこのように一体化した場合には部
品点数を削減することができる。

以上の構成に示したように、本考案におけるガ
スダム３は、接続箱の近傍においてガスバルブと
圧力検出センサーとを有したガスバルブ付ガスダ
ムを形成する場合に、前記接続箱を利用してガス
流路を布設するもので、前記ガスバルブ１７と圧
力検出センサー１８とを連通させる継手部材２０
を前記接続箱２に設けるとともに、一端を通信ケ
ーブル１の外被１ｄ内に開口した管路（誘導管２
２、延長管２１）の他端を、心線とともに充填物
層１４内を挿通させて接続箱２側に導いて前記継
手部材２０に接続し、これによつて通信ケーブル
１の外被１ｄ内部をガスバルブ１７や圧力検出セ
ンサー１８に連通させる構成であるから、充填物
層１４の外周を覆うスリーブ１６に、前述の誘導
管２２や延長管２１等の管路を挿通させるような
孔を明ける必要がなく、スリーブ１６の強度や密
封効果に対する信頼性が高まり、ガスダム全体と
しての気密に対する信頼性が向上する。また、前
述のように、ガスバルブ１７と圧力検出センサー
１８とを継手部材２０によつて連通させたため、
充填物層１４内を通す管路が１本で済み、しかも
該管路は単に心線１ａに沿つて配置するだけでよ
く、正確な位置決め作業等が不要であるから、前
記充填物層１４を形成する際に前記管路の配設に
手間取るようなことがなく、ガスダム製作時の作
業能率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図は
第１図の要部の詳細図、第３図は本考案における
組立作業の説明図である。 １……通信ケーブル、１ａ……心線、１ｄ……
ケーブル外被（外被）、２……接続箱、２ａ……
本体、２ｂ……フランジ、２ｃ……継手取付部、
２ｄ……気密用筒部、３……ガスバルブ付ガスダ
ム（ガスダム）、Ａ……心線露出部、１５……ス
プリングパイプ、１６……スリーブ、１７……ガ
スバルブ、１８……圧力検出センサー、１８ａ…
…検出口、２０……継手部材、２０ａ……ガス流
路、２０ｂ……連絡路、２１……延長管、２２…
…誘導管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 接続箱の直前位置で通信ケーブルの心線露出部
   の周囲を気密に覆う充填物層と、該充填物層を覆
   うスリーブと、前記通信ケーブルの外被内に気体
   を封入するガスバルブと、前記通信ケーブルの外
   被内のガス圧を検出する圧力検出センサーとを備
   えるガスバルブ付ガスダムにおいて、前記接続箱
   の外側に、分岐した通路を有する継手部材を固定
   し、該継手部材に前記ガスバルブと圧力検出セン
   サーとを固定してこれらガスバルブと圧力検出セ
   ンサーとを連通させるとともに、該継手部材の通
   路の一端を前記通信ケーブルの外被内に連通させ
   たことを特徴とするガスバルブ付ガスダム。