JPS6230093Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、シフトレバーの変速操作を二本のプ
ツシユプルケーブルを通じてパワープラントの変
速機側に伝える形式の車両用変速操作機構におけ
るプツシユプルケーブル支持構造に関するもので
ある。

【従来の技術】

従来から、特にフロントエンジン・フロントド
ライブ方式（FF方式）の車両においては、車両
フロアに配設されたシフトレバーとエンジン側部
に配設された変速機とを、二本のプツシユプルケ
ーブルを使用して連結した構成が採用されてい
る。一般に、従来汎用の車両用変速操作機構のプ
ツシユプルケーブル支持構造は、第１図に示すよ
うな構造となつている。 第１図において、１はシフトレバー、２はシフ
トレバーリテーナである。シフトレバー１はシフ
トレバーリテーナ２から突設されたホルダ３に軸
４により矢印Ｂ方向に揺動可能に支持され、更に
軸５により矢印Ａ方向に揺動可能に支持されてい
る。矢印Ａ方向は変速操作のシフト操作を示し、
矢印Ｂ方向は変速操作のセレクト操作を示す。シ
フトレバー１のシフト操作は、第１のプツシユプ
ルケーブル６により変速機（図示せず）に伝達さ
れる。また、シフトレバー１のセレクト操作は、
ベルクランク７を介してこのベルクランク７と連
結した第２のプツシユプルケーブル８により変速
機に伝達される。 これら二本のプツシユプルケーブル６および８
は互いに平行に、かつ近接して配置されている。
そして、そのアウタケーブル６ａおよび８ａは、
シフトレバーリテーナ２の前方直立部材２ａにＵ
字形クリツプ９および１０により固定されてい
る。更に、シフトレバーリテーナ２は車両フロア
１１に直接ボルト、溶接等の適宜手段により固定
されている。

【考案が解決しようとする問題点】

しかしながら、上記従来のプツシユプルケーブ
ル支持構造にあつては、シフトレバー１をシフト
又はセレクト操作する場合、その操作によつて衝
撃力が生じ、それが車両フロア１１に伝わつて不
快音が発生し、シフト操作感を悪化させていた。 すなわち、上記従来のプツシユプルケーブルの
支持構造にあつては、シフトレバー１を操作する
ことにより二本のプツシユプルケーブル６，８を
作動させることができる。しかし、両プツシユプ
ルケーブルのアウタケーブル６ａおよび８ａは、
シフトレバーリテーナ２に対してＵ字形クリツプ
９および１０によつてしつかりと固定されてい
る。このため、シフトレバー操作時に衝撃力が生
じ、その衝撃力が直接接触しているシフトレバー
リテーナ２を通じてフロア１１に伝達され、不快
音が発生することがあつた。 ところで、プツシユプルケーブルを用いたクラ
ツチ操作装置において、プツシユプルケーブルの
アウタケーブルを車両フロア側に合成樹脂製ブツ
シユ（弾性体）を介して取り付けることにより、
タラツチ操作によつて生じる振動がプツシユプル
ケーブルを介して車室内に伝達されることを防止
するようにした防振支持構造が知られている（例
えば、実開昭54−43732号公報参照）。故に、上記
不快音対策として、この構造を車両用変速操作機
構におけるプツシユプルケーブル支持構造に適用
することが考えられる。 しかしながら、上記実開昭54−43732号公報に
記載された防振支持構造を、そのまま前記第１図
に示す車両用変速操作機構におけるプツシユプル
ケーブル支持構造に適用しようとしても、シフト
レバー操作時に生じる衝撃力を十分に吸収緩和す
ることができず、不快音の発生を有効に防止する
ことができない。 すなわち、上記防振支持構造にあつては、アウ
タケーブルと車両フロア側の筒状ブラケツト間の
環状空間に弾性ブツシユを介在する構造となつて
いる。これに対し、車両用変速操作機構において
は二本のプツシユプルケーブルが互いに平行に、
かつ近接して配置されている。このため、二本の
アウタケーブルとシフトレバーリテーナの取付孔
間に介在する弾性ブツシユは、取付スペースおよ
び取付支持強度の点から大きな断面積のものを使
用することができない。従つて、十分な衝撃力吸
収性能を有する弾性ブツシユの設計が困難であ
る。シフトレバー操作時の衝撃力を十分に吸収緩
和するためには、比較的柔らかい弾性ブツシユを
使用する必要がある。しかし、弾性ブツシユの断
面積が小さいと、シフトレバー操作時に弾性変形
し易く、無効ストロークが増加して操作フイーリ
ングが悪化してしまう。逆に、硬い弾性ブツシユ
を使用して操作フイーリングを良好にすると、十
分に衝撃力を吸収緩和することができない。つま
り、上記衝撃力の吸収緩和性能と操作フイーリン
グ向上とは相反する関係にあり、両立が困難であ
る。 従つて、本考案の目的は、シフトレバーの操作
フイーリングを悪化させることなく、シフトレバ
ー操作時に発生する衝撃力を簡単な機構で吸収緩
和し、不快音の発生を防止することにある。

【問題点を解決するための手段】

そこで本考案は、上述の問題点を解決するため
の手段として、次のような構成を採用したもので
ある。 すなわち、本考案は、上述した車両用変速操作
機構におけるプツシユプルケーブル支持構造にお
いて、シフトレバーリテーナの前方における二本
のプツシユプルケーブルを挟む両側の位置に一対
の直立部材を設ける一方、両プツシユプルケーブ
ルのアウタケーブルを支持板に固定し、更にその
支持板を上記直立部材に対してゴムマウントを介
して取り付けたことを特徴とする。 具体的には、第１図および第２図を例をとつて
説明すると、車両用変速操作機構におけるプツシ
ユプルケーブル支持構造は、シフトレバー１が車
両フロア１１に固定されたシフトレバーリテーナ
２上に揺動可能に支持されており、そのシフトレ
バー１の変速操作を二本のプツシユプルケーブル
６，８を介して変速機に伝達するように構成され
ている。 シフトレバーリテーナ２の前方における両プツ
シユプルケーブル６，８を挟む両側の位置には、
一対の直立部材２ａ，２ａが設けられている。 そして、両プツシユプルケーブルのアウタケー
ブル６ａ，８ａは、支持板１２に固定され、更に
その支持板１２が上記直立部材２ａ，２ａに対し
てゴムマウント１３，１３を介して取り付けられ
る。

【作用】

上述の手段によれば、シフトレバー１のシフト
又はセレクト操作時において、プツシユプルケー
ブルのアウタケーブル６ａ，８ａの取付支持部に
発生する衝撃反力をゴムマウント１３，１３で受
ける。 そして、この反力はゴムマウント１３，１３に
よつて吸収緩和される。 また、両プツシユプルケーブル６，８を挟む両
側の位置において、そのアウタケーブル６ａ，８
ａを固定した支持板１２とシフトレバーリテーナ
の直立部材２ａ，２ａとの間にゴムマウント１
３，１３を配設した構造としたので、断面積の大
きなゴムマウント１３，１３を使用することがで
きる。この場合、比較的柔らかいゴムを使用して
も弾性変形量が少なく、無効ストロークの増加が
小さく抑えられる。

【実施例】

以下、本考案の実施例を第２図および第３図に
基づいて詳細に説明する。 第２図は本考案の主要部である二本のプツシユ
プルケーブルのアウタケーブル支持部を示す。な
お、その他の構造は第１図に示す構造と同一であ
るので省略する。 第２図において、６はシフト操作用の第１のプ
ツシユプルケーブルであり、８はセレクト操作用
の第２のプツシユプルケーブルである。二本のプ
ツシユプルケーブル６および８は、それぞれアウ
タケーブル６ａおよび８ａと、アウタケーブル内
に摺動可能に挿入されたインナケーブル６ｂおよ
び８ｂから構成されている。二本のアウタケーブ
ル６ａおよび８ａは、Ｕ字形クリツプ９および１
０によつてシフトレバーリテーナ２と別体の支持
板１２に固定される。 一方、シフトレバーリテーナ２の前方における
両プツシユプルケーブル６，８を挟む両側の位置
には、一対の直立部材２ａが折り曲げ成形又は溶
接にて一体に設けられている。そして、支持板１
２はシフトレバーリテーナの直立部材２ａに対し
てゴムマウント１３を介して取り付けられてい
る。 ゴムマウント１３は、第３図に示すように上下
のプレート１３ｂ，１３ｃ間に断面四角形をなす
柱状の弾性体１３ａが接着されており、両プレー
ト１３ｂと１３ｃの中央部からネジ棒１３ｄおよ
び１３ｅが突設されて構成されている。また、ゴ
ムマウントの弾性体１３ａは中央部にまゆ形の貫
通孔１３ｆがあり、弾性変形し易いように形成さ
れている。そして、貫通孔１３ｆの上下部には凸
部１３ｇおよび１３ｈがあり、弾性体１３ａがそ
れ以上圧縮変形したとき、この凸部１３ｇと１３
ｈが当接してばね定数が高くなり、それ以上の圧
縮変形を困難として不必要な変形を防止する。つ
まり、弾性体１３ａは非線形特性を有する。 このゴムマウント１３の取付方法は、先ずシフ
トレバーリテーナ２の前方両側の直立部材２ａに
あけられている取付孔１４にゴムマウント１３の
一方のネジ棒１３ｄを挿入してナツト１５により
締め付けて固定いる。次いで、二本のアウタケー
ブル６ａ，８ａを取り付けた支持板１２の両側に
あけられた取付孔１６に前記ゴムマウント１３の
他方のネジ棒１３ｅを挿入してナツト１７により
締め付けて固定し、支持板１２をシフトレバーリ
テーナ２の前方直立部材２ａに取り付けるもので
ある。 なお、シフトレバーリテーナ２の前方直立部材
２ａは両側のみに設けられており、中央部は第１
図に示す従来構造とは異なり欠如している。この
中央部を二本のアウタケーブル６ａ，８ａが貫通
してアウタケーブルがいずれにおいても、シフト
レバーリテーナ２に直接に接触しないように構成
されている。 以上の構成からなる本実施例においては、前述
したようにプツシユプルケーブルのアウタケーブ
ル６ａ，８ａを固定した支持板１２を、弾性体の
ゴムマウント１３を介してシフトレバーリテーナ
２の前方両側の直立部材２ａに取り付けたので、
シフトレバー１のシフト又はセレクト操作時にア
ウタケーブル６ａ，８ａの取付支持部に発生する
衝撃反力をゴムマウント１３で受ける。そして、
この反力をゴムマウント１３によつて吸収若しく
は緩和するため、不快音の発生を防止することが
できる。 また、二本のプツシユプルケーブル６，８を挟
む両側の位置において、そのアウタケーブル６
ａ，８ａを固定した支持板１２とシフトレバーリ
テーナの前方直立部材２ａとの間にゴムマウント
１３を配設した構造としたので、ゴムマウント１
３は取付スペースおよび取付支持強度の点から大
きな制約を受けることがなく、設計自由度が大き
い。更に、断面積の大きなものを採用することが
できるので、比較的柔らかいゴムを使用しても弾
性変形量が少なく、無効ストロークを小さく抑え
ることができる。それ故、操作フイーリングを大
幅に悪化させることがない。 また、プツシユプルケーブルの所謂ごつごつ感
もゴムマウント１３により吸収されるので、操作
フイーリングも向上させることができる。 更にまた、ゴムマウント１３として第３図に示
されるものを使用した場合には、弾性体１３ａは
非線形特性を有するものであり、最初は柔らかく
所定の変形以上では硬くなるため、衝撃反力を十
分に吸収できると共に、過度の変形を抑制して、
安定した支持構造とすることができる。 以上、本考案を特定の実施例について説明した
が、本考案は、上記実施例に限定されるものでは
なく、実用新案登録請求の範囲に記載の範囲で
種々の実施態様が包含されるものであり、例え
ば、前述の実施例においては、ゴムマウントは断
面四角形をなす柱状のものについて説明したが、
その他の断面形状、例えば丸形、六角形等のもの
であつても良い。また、これらの断面中央部を中
空とした筒状のものであつても良い。なお、柱状
を卵形とすることも勿論可能である。

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、シフトレバー操
作時に発生する衝撃力を簡単な機構で有効に吸収
緩和することができる。従つて、シフトレバー操
作時における不快音の発生を防止することが可能
である。 更に、二本のプツシユプルケーブルを挟む両側
の位置において、そのアウタケーブルを固定した
支持板とシフトレバーリテーナの前方直立部材と
の間にゴムマウントを配設した構造としたので、
ゴムマウントはスペースおよび取付支持強度の点
から大きな制約を受けることがなく、設計自由度
が大きい。また、断面積の大きなものを採用する
ことができるので、比較的柔らかいゴムを使用し
ても弾性変形量が少なく、無効ストロークを小さ
く抑えることができる。また、プツシユプルケー
ブルの所謂ごつごつ感もゴムマウントにより吸収
することができる。従つて、操作フイーリングも
良好である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の車両用変速操作機構におけるプ
ツシユプルケーブル支持構造を示す斜視図、第２
図は本考案の一実施例に係る車両用変速操作機構
におけるプツシユプルケーブル支持構造を示す一
部断面平面図、第３図は前記本考案の一実施例に
使用されるゴムマウント単品を拡大して示すもの
であり、第３図ａは平面図、第３図ｂは側面図で
ある。 符号の説明、１……シフトレバー、２……シフ
トレバーリテーナ、２ａ……シフトレバーリテー
ナの前方直立部材、３……ホルダ、４，５……
軸、６……第１のプツシユプルケーブル、６ａ…
…第１のプツシユプルケーブルのアウタケーブ
ル、７……ベルクランク、８……第２のプツシユ
プルケーブル、８ａ……第２のプツシユプルケー
ブルのアウタケーブル、９，１０……Ｕ字形クリ
ツプ、１１……車両フロア、１２……支持板、１
３……ゴムマウント、１３ａ……柱状の弾性体、
１３ｂ，１３ｃ……プレート、１３ｄ，１３ｅ…
…ネジ棒、１３ｆ……貫通孔、１３ｇ，１３ｈ…
…凸部、１４，１６……取付孔、１５，１７……
ナツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シフトレバーが車両フロアに固定されたシフ
   トレバーリテーナ上に揺動可能に支持され、そ
   のシフトレバーの変速操作を二本のプツシユプ
   ルケーブルを介して変速機に伝達するように構
   成した車両用変速操作機構において、 前記シフトレバーリテーナの前方における前
   記両プツシユプルケーブルを挟む両側の位置に
   一対の直立部材を設ける一方、前記両プツシユ
   プルケーブルのアウタケーブルを支持板に固定
   し、更にその支持板を前記直立部材に対してゴ
   ムマウントを介して取り付けたことを特徴とす
   る車両用変速操作機構におけるプツシユプルケ
   ーブル支持構造。 (2) 前記ゴムマウントは、非線形特性を有するこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の車両用変速操作機構におけるプツシユプ
   ルケーブル支持構造。