JPS6226912B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、インクジエツト記録装置における噴
射ヘツドの駆動方法に関する。

（従来技術） 入力信号に応じてインクを噴射しつつ記録を行
うインクジエツト記録装置の噴射ヘツド９は、通
常第１図に示したような構造、つまり、一方をイ
ンクタンク２０に他方をノズル４に連通させたイ
ンク室１の壁面一部に振動板３を介して圧電素子
２を取付け、電圧を印加することによつてこの圧
電素子２を変形させつつインク室１の容積を増減
させて、インク室１へのインクの供給とノズル４
からのインク滴の噴射を行なわせるように構成さ
れている。

ところで、かかる噴射ヘツドの駆動法として
は、特開昭52−56928号公報で提案されているよ
うな、はじめのパルス信号によつてインク室の内
容積を増加させる方向に圧電素子を変形してイン
ク室内にインクを供給し、つぎのパルス信号によ
りインク室の内容積を減少させる方向に圧電素子
を変形してインク滴を噴射するようにしたもの、
あるいは、実開昭53−23237号公報に見られるよ
うに、はじめにインク室の内容積を減少させる方
向に圧電素子を変形してインク滴を噴射させ、つ
ぎにインク室の内容積が徐々に増加するように圧
電素子を逆方向に変形させてインク室内にインク
を供給するようにしたもの等がある。

しかしながら、前者の駆動方法では、１印字サ
イクル中に、インク室へのインクの吸込み→
インク滴の噴射→インク室へのインクの吸込みと
いう３つの行程が必要になるため、繰返し周波数
が低くなつて高速印字に適しないばかりでなく、
インク噴射行程でのストロークがインク吸込行程
でのストロークを上回るため、上回つた量以上の
部分にしか粒径調整ができず、この結果画像に階
調性を付与することがほとんどできないといつた
問題を有している。また後者の駆動方法は、イン
ク液滴の噴射とインク室へのインクの吸込みとい
う２つの行程よりなるもので、前者の駆動方法よ
りその繰返し周波数を高めることはできるが、イ
ンクの吸込み行程で生じるノズル側のインクの吸
込みを可及的に小さくするにはピエゾ素子を徐々
に復帰させる必要があるためその分印字周期が長
くなるといつた問題を有するほか、インク液滴の
噴射に際しては、初期状態から必要粒子速度まで
インクを加速しなければならないためノズル端か
らのインク突出量は必然的に大きくなつて、粒径
調整がほとんどできないといつた欠点を有してい
る。

（目的） 本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、高速印字が可能で、し
かもインク液滴を小粒径から大粒径まで任意に調
整して階調性の高い画像形成を可能とする新たな
インクジエツト記録装置における噴射ヘツドの駆
動方法を提案することにある。

（構成） すなわち本発明の特徴とするところは、はじめ
に電気パルスの前縁により圧電素子をインク室の
容積が増加する方向に変形駆動し、つぎに電気パ
ルスの後縁により圧電素子を初期状態に復元し、
これによつてインク室内へインクを供給し、供給
したインクをインク滴として外部に噴射させるよ
うにしたもので、以下に本発明の詳細を１つの好
ましい実施例に基づいて説明する。

第２図ａ，ｂは、電圧を解いた状態と電圧を印
加した状態における各噴射ヘツドを示しており、
また、第３図のａ乃至ｅは、これらの各状態にお
けるメニスカスを示している。

はじめに、記録信号が入力しない待期の状態に
おいて振動板３は第２図ａに示したように自由状
態にあり、ノズル４のインク空気界面１００は若
干インク室内へ引込まれたメニスカスを作つて平
衡している（第３図ａ）。

この状態のもとで記録信号が入力し、これに応
じて圧電素子２の分極方向に設けた電極１０に電
圧を印加すると、圧電素子２は第２図ｂに見られ
るように外方に変形し、振動板３を同方向に撓ま
せてインク室１の容積を増加させる。これにより
インク室１内の圧力は減少するから、第３図ｂに
示したようにノズル４側に位置するわずかな量の
インクはインク室１内に大きく吸引され、他方イ
ンク供給管５側の多量のインクも静止慣性に打勝
つてインク室１方向へ徐々に流動を始める。

そしてこの状態からつぎに圧電素子２への電圧
印加を解くと、振動板３は自己の弾性により再び
第２図ａに示した初期の状態へと復帰し、これに
よつて生じたインク室１内の圧力上昇によりノズ
ル４側のインクを吸引された位置から外方へ向け
て急速に押出しこれに必要な粒子速度を与える
（第３図ｃ）。他方、このインク室１内の圧力はイ
ンク供給管５側から流入したインクにも作用して
これを押戻そうとするが、すでに前の吸引行程に
よりインク室１方向への移動を始めたインクは、
その大きな慣性によりさらに前進し、振動板３が
初期の状態に復帰した後にはじめて逆流に転じて
ノズル４先端を負圧にし（第３図ｃ）の状態から
ｄの状態）、ノズル４端から必要な粒子速度を得
て外方へ突出したインクを切離してこれをインク
滴として記録紙上へ吐出させる。

ところで以上のような動作が終了すると、ノズ
ル１側ではインク滴として放出した分負圧となる
ため、一時的にインクを吸引してその空気界面１
００を後退させるが、インク供給管５側では、さ
らにインク室１の方へ流れるインクと、インク室
１から押戻されて逆流に転じたインクが互いに打
消し合つて急速にその動きを停止し、ノズル４側
のインクの後退を抑えてこれを第３図ａに示した
もとの待期状態に急速に復帰させて１印字サイク
ルを終了する。

以上は１印字サイクル中の各行程とその折々の
インクの動きを模式的に説明したものであるが、
以上の説明からも明らかなようにこの駆動方法で
は、インクの吸込行程におけるストロークと噴射
行程におけるストロークが等しく、しかも、ノズ
ル４側のインクを吸引した位置ａ，a′から必要な
粒子速度まで加速するようにしているため、第４
図に見られるように、ノズル４端からのインクの
突出量、つまり吐出させるべきインク室の粒径を
可及的に小さくすることができる一方、吸込行程
におけるストロークを大きくすることによつて、
吐出させるべきインクの粒径を任意に調節するこ
とができる。

（実施例） ノズル径が50μｍの噴射ヘツドを用いて実験を
行なつたところ、従来の圧力をかけて元に戻す方
法では、復帰に0.5乃至2.0msの時間を要したのに
対し、この実施例の駆動方法においてはこれを
0.2msまで短縮することができた。

（効果） 以上述べたように本発明によれば、はじめにイ
ンク室の容積を増加させる方向に電気機械変換手
段を変形させてインクを吸引し、ついでこれを元
の状態に復帰させてインク滴を噴射するようにし
たため、１印字に要する行程を最小限にしてその
繰返し周波数を高めることができるばかりでな
く、はじめのインク吸込み行程において生じたイ
ンク室方向へ流れるインクの慣性を利用してイン
ク噴射後のノズル端におけるインクの吸込量を可
及的に少なくし、かつインクの噴射終了状態を待
機の状態としたので、次の印字への応答性を高め
て印字速度を大幅に向上させることができる。

しかも、インクの吸込行程と噴射行程における
各変位量を等しくしているため、ノズルから噴射
するインク液滴を可及的に小径にすることがで
き、また吸込行程における変位量如何によつて粒
径を任意に調整することができるので、階調性の
高い画像を形成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、インクジエツト記録装置用噴射ヘツ
ドの構成図、第２図ａ，ｂは、本発明の駆動方法
による圧電素子及び振動板の変形状態を示す図、
第３図ａ乃至ｅは、上記各状態におけるノズル近
傍の状態を示す図、第４図ａ，ｂは吸込行程にお
けるストロークとインク滴の関係を示す図であ
る。 １…インク室、２…圧電素子、３…振動板、４
…ノズル、５…インク供給管、２０…インクタン
ク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一方をノズルに他方をインクタンクに連通し
   たインク室の壁面一部に電気パルスの印加によつ
   て変形するピエゾ素子を設けたインクジエツト記
   録装置用の噴射ヘツドにおいて、該噴射ヘツドを
   構成する上記ピエゾ素子を、はじめに上記電気パ
   ルスにより初期状態からインク室の内容積を増加
   する方向に変形駆動し、ついで上記ピエゾ素子を
   上記初期状態に復元する２つの行程によつて、上
   記インク室内のインクを供給し、供給されたイン
   クを上記ノズルよりインク滴として外部に噴射さ
   せることを特徴とするインクジエツト記録装置に
   おける噴射ヘツドの駆動方法。