JPS6224962Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は３個以上の共振器からなる帯域波器
に関するもので、1/4波長共振器と、コイルとコ
ンデンサよりなる直列共振器とを併用することに
より、通過域の低周波側，高周波側に減衰極を設
けて遮断特性を向上させた帯域波器を提供しよ
うとするものである。 従来におけるこの種の帯域波器についてヘリ
カルフイルタを例に第１図の概略構成図により説
明する。第１図において、アルミニウムなどのシ
ールドケース１には複数個の隔壁２によつて複数
個の室３，３′が形成され、また前記各隔壁２に
は結合窓４が設けられている。このようなシール
ドケース１の各室３，３′には、プラスチツクボ
ビン等に銅線のような良導体を数10ターン程巻回
するとともに、一端を開放し、他端をシールドケ
ース１に接続することにより構成される1/4波長
共振器５がそれぞれ配置され、また両端部の室３
には銅線などを数ターン巻回することにより構成
される入力巻線６と出力巻線７が配置されてい
る。この入力巻線６と出力巻線７の一端はシール
ドケース１に接続され、他端はシールドケース１
と絶縁されてシールドケース１の外部に引出され
ている。 このヘリカルフイルタの等価回路を第２図に示
す。ここで、L₀，C₀は1/4波長共振器５の等価イ
ンダクタンスと等価容量である。L₁は入力巻線
６の等価インダクタンス、L₂は出力巻線７の等
価インダクタンスであり、C₁は各1/4波長共振器
５が結合する等価容量である。 このようなヘリカルフイルタにおいては、周波
数伝送特性が第５図の点線で示すようになり、す
なわち通過域の高周波側，低周波側には減衰極を
有さず遮断特性はなだらかである。従つて、帯域
波器は一般に遮断特性を急峻にする必要がある
ことから、従来のヘリカルフイルタにおいては、
必要に応じて1/4波長共振器をさらに何個か追加
しなければならないなどの欠点があつた。 本考案はこのような従来の欠点を除去しようと
するものである。以下、本考案の実施例を第３図
〜第５図により説明する。 第３図は本考案の一実施例を示す概略構成図
で、第３図において８はアルミニウムなどのシー
ルドケースで、このシールドケース８には２個の
隔壁９，９′が設けられており、この隔壁９，
９′とシールドケース８によつて３個の室１０，
１０′，１０″が構成されている。この室１０，１
０′，１０″のうち中央部の室１０′には、プラス
チツクボビン等に銅線などを数10ターン程度巻回
するとともに、その一端を開放し他端をシールド
ケース８に接続することにより構成される1/4波
長共振器１１が配置されている。また、両端部の
室１０，１０″と中央部の室１０′との間の隔壁
９，９′には結合窓１２が形成されている。ま
た、両端部の室１０，１０″には、プラスチツク
ボビン等に銅線などを数ターンから10数ターン程
度（1/4波長共振器１１の巻数よりは少ない）巻
回することにより構成されるコイル１３，１３′
が配置されている。このコイル１３，１３′の一
端をシールドケース８より絶縁してシールドケー
ス８の外部に引出して、入力端子，出力端子とす
るとともに、他端にコンデンサ１４，１４′を接
続することにより直列共振器が構成され、そして
コンデンサ１４，１４′の一端はシールドケース
８に接続されている。 第４図にこの第３図の実施例の等価回路を示し
ており、第４図においてL₂とL₄はコイル１３，
１３′の等価インダクタンス、C₂とC₇はコイル１
３，１３′の巻線分布容量、C₃とC₈はコンデンサ
１４，１４′の容量、C₄とC₆は1/4波長共振器１
１とコイル１３，１３′が結合する等価結合容量
である。また、L₃とC₅は1/4波長共振器１１の等
価インダクタンスと等価容量である。 この等価回路よりわかるように、

【式】

【式】 で減衰極を生ずる。1/4波長共振器１１の巻数よ
り少なくしたコイル１３のインダクタンスL₂
と、コイル１３の巻線分布容量C₂の並列共振器
の結合容量としてコンデンサ１４の容量C₃を選
ぶことにより、低域側に減衰極_１を設けること
ができる。また、同様にして、1/4波長共振器１
１の巻数より少なくしたコイル１３′のインダク
タンスL₄と、コイル１３′の巻線分布容量C₇の並
列共振器の結合容量としてコンデンサ１４′の容
量C₈を前記C₃より小さく選ぶことにより、高域
側に減衰極_２を設けることができる。更にコン
デンサ１４，１４′を接地側、すなわち、コイル
１３，１３′の下側に配置することにより1/4波長
共振器１１，コイル１３，１３′の結合を妨げる
ことなく帯域特性が得られ、シールドケース８内
に収納することにより、外部ノイズの影響を受け
にくいものとなる。 以上により、通過帯茨の低周波側と高周波側の
両方に減衰極が設けられることとなり、遮断特性
を従来より大幅に改善することができる。この周
波数伝送特性を第５図の実線で示す。 以上のように本考案による帯域波器は、通過
帯域の低周波側，高周波側の両方の遮断特性がす
ぐれているため、テレビジヨン受像機の映像中間
周波フイルタとして使用すると、隣接チヤンネル
映像搬送波周波数トラツプおよび隣接チヤンネル
音声搬送波周波数トラツプの設計が容易となり、
しかも阻止域の減衰量が大きく、構成が簡単であ
り、小形の映像中間周波フイルタ等に利用できる
という実用的価値の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の帯域波器の概略構成図、第２
図は第１図に示す波器の等価回路図、第３図は
本考案による帯域波器の一実施例を示す概略構
成図、第４図は第３図に示す波器の等価回路
図、第５図は従来の帯域波器と本考案による帯
域波器の周波数伝送特性を比較して示す特性図
である。 ８……シールドケース、１１……1/4波長共振
器、１３，１３′……コイル、１４，１４′……コ
ンデンサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端を開放し他端を接地した少なくとも１個の
   1/4波長共振器と、この1/4波長共振器と磁気的に
   結合されかつコイルとコンデンサとによつて構成
   される少なくとも１個の直列共振器とを有し、前
   記直列共振器のコンデンサ側を接地するととも
   に、コイル側を入力端子または出力端子とした帯
   域波器。