JPS6220005B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製
積層成形品の１次成形品の成形方法に関するもの
で、さらに詳言すれば、他の合成樹脂材料と積層
構造にインジエクシヨン成形されるポリエチレン
テレフタレート樹脂製の１次成形品部分、特にゲ
ート部分が他の合成樹脂材料の射出成形により白
化しないようにすることを目的としたものであ
る。

ポリエチレンテレフタレート樹脂（以下、単に
PETと呼ぶ）およびPETを主成分とする共重合
樹脂により成形された製品、特に延伸ブロー成形
された壜体容器は、透明性が良く、耐内容物性が
優れており、ガスバリヤー性が比較的高く、剛性
が高く延伸により機械的強度が著しく向上し、さ
らに衛生上も食品容器として、優れている等の多
くの長所をもつているため、食品、化粧品、洗剤
等の分野で多量に使用されている。

しかしながら、上記した数多くの優れた特徴を
もつPET製品は、全く欠点がないわけではな
く、例えば延伸ブロー成形されたものにあつて
は、口元とか底部に延伸を与えることが難しいこ
と、製品のデザイン等により、フイルムの様な均
一な延伸ができないこと、同様に製品のデザイン
によつては、十分な熱固定ができないこと等の欠
点をもつている。

これらの上記した欠点は、PET自体のもつ材
質的な問題ではないので、その成形方法、製品の
形状、さらには加熱処理等により比較的簡単に解
決することができるのであるが、PETには材質
的に酸素に対するガスバリヤー性が充分でないと
いう重大な欠点がある。

このPETのもつ酸素に対するガスバリヤー性
の低さは、他のバリヤー性の高い合成樹脂に比べ
てPETのもつガスバリヤー性の低さに原因する
ことで、PET製品は、一般にガスバリヤー性を
必要とする分野には利用されなかつた。

このため、酸素の影響を受け易い内容物、たと
えばジユースとか、ガス体の漏出により味が変化
する内容物、たとえばビール等の容器として使用
しようとすると、保存期間が極めて短いものとな
り実用にはほとんど供し得ないと考えられる。

このように、容器としての種々の優れた特徴を
もつPET製品は、そのガスバリヤー性が充分で
ないことから、利用範囲が大幅に限定されること
になつていた。

上記したPET製品の欠点を解消するものとし
て、PET製品をPETとガスバリヤー性の高い合
成樹脂とによる積層構造とする構成が創案されて
いる。

上記した積層構造は、PETのもつ種々の優れ
た特長をそのままにしてガスバリヤー性の低さだ
けを高めているので、ガスバリヤー性の高い
PET製品を得ることのできる極めて優れたもの
なのであるが、この積層構造製品を実際に成形す
るに際して、下記の如き問題が発生した。

すなわち、この種のPET積層製品を成形する
に際しては、通常のPET製品と同様に、２軸延
伸成形しなければならないのであるため、１次成
形品をインジエクシヨン成形し、この１次成形品
を２軸延伸ブロー成形する。

この１次成形品をインジエクシヨン成形する際
に、まずPETにより有底筒形状をした内層体を
成形し、次いでこの内層体の外表面を覆う形態
で、内層体を成形型の一部としてガスバリヤー性
の高い樹脂によりバリヤー層体をインジエクシヨ
ン成形によつてインサート成形するのである。

このバリヤー層体をインジエクシヨン成形する
際に、このバリヤー層体を成形する溶融樹脂の射
出圧および温度により、内層体の一部が白化する
不都度が発生する。

本願発明者は、種々の実験および観察により、
上記した内層体の白化は内層体をインジエクシヨ
ン成形した際におけるゲート部分附近の部分に限
定されていることをつきとめた。

すなわち、PETは結晶性樹脂であるため、成
形後ただちに急冷する必要があるが、ゲート部は
冷却効果も悪く、またインジエクシヨン成形での
圧力の影響を受けて結晶化し易い状態にあり、肉
眼ではみえなくても、結晶の核になり得るような
微結晶が多数発生しているものと思われる。

このため、この内層体のゲート部に対向する筒
所にゲート部を設けてバリヤー層体をインジエク
シヨン成形すると、このバリヤー層体成形用の溶
融樹脂の熱および射出圧のため、内層体の前記し
たゲート部附近の結晶化し易くなつた部分が結晶
化し、容易に白化をひき起すものと思われる。

このように、内層体のゲート部とバリヤー層体
のゲート部とが一致したのは、有底筒形状をした
製品をインジエクシヨン成形する際には、型抜き
とか、溶融樹脂の流れとか、熱制御の点から有底
筒形状製品の底部にゲートを設けるのが有利であ
るため、内層体およびバリヤー層体共にその底部
にゲート部を設けたからである。

本願発明者は、上記した種々の実験の結果、前
記した白化発生の不都合を解消すべく本発明を創
案した。

本発明は、第３図に示したような２軸延伸成形
されたPET製積層成形品Ｓを成形するための１
次成形品１の成形方法に関するもので、まず第１
図に示す如く、PETにより有底筒形状をした内
層体２をインジエクシヨン成形し、この内層体２
をコアベース７に取付けられたコア６に組付けた
まま冷却固化し、次いでキヤビテイ８だけをキヤ
ビテイ８′に換えて型締めし、ガスバリヤー性の
高い合成樹脂の溶融樹脂を、このコア６に組付け
られたままの内層体２を成形型の一部としてイン
サート成形してバリヤー層体４をインジエクシヨ
ン成形する。

このバリヤー層体４のインジエクシヨン成形に
際して、バリヤー層体４のゲート部５を内層体２
のゲート部３から所望距離だけ離れた位置に設定
する。

この両ゲート部３，５間の距離は、内層体２の
肉厚および成形時の冷却制御とか、バリヤー層体
４を成形する溶融樹脂の温度、射出圧力等によつ
てその下限が設定されるのであるが、要は、内層
体２のゲート部３附近の部分が、バリヤー層体４
を成形する溶融樹脂の熱および射出圧の影響によ
り白化しない値とすれば良い。

第２図に示した図示実施例の場合、熱制御の難
しいPETの内層体２のゲート部３を内層体２の
底部下端に位置させて溶融樹脂の流れを均一化さ
せ、PETに比べて熱制御の容易な樹脂によつて
成形されるバリヤー層体４のゲート部５を底部下
端から外れた胴部下端部附近に位置させている。

このように、本発明は、PET製の内層体２の
ゲート部３に対して、この内層体２を成形型面の
一部としてインジエクシヨン成形されるバリヤー
層体４のゲート部５を、対向しないよう所望距離
だけ離したので、バリヤー層体４を形成する溶融
樹脂の熱および射出圧が内層体２のゲート部３附
近に直接大きく作用することがなく、このため、
この内層体２のゲート部３附近の部分を白化させ
ることなく積層構造をした１次成形品１を成形す
ることができる。

また、ゲート部３に対するゲート部５の位置設
定は、前記した如く、所定以上の距離が離れてい
れば良いのであるから、その設定自体はほとんど
自由であり、このため容易に実施することができ
ることになる。

なお、上記の実施例は内層体２とバリヤー層体
４との２層構造の場合を説明したが、このバリヤ
ー層体４の外側に、さらにPETにより外層体を
インジエクシヨンによりインサート成形しても良
いが、この場合、前記したゲート部の位置に関す
る限定は考慮する必要がない。

以上の説明から明らかな如く、本発明はPET
製の内層体２のゲート部３附近を白化させること
なく、バリヤ層体４を積層成形することができる
ので、成形品Ｓの底部が白化して外観を劣化させ
たり、成形品Ｓの底部の機械的強度を劣化させた
りするような不都合の発生する恐れが全くなく、
またゲート部５はゲート部３に対して所定距離以
上離れてば良いのであるからその実施が容易であ
る等優れた作用効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はポリエチレンテレフタレート樹脂製の
内層体の成形を示す金型装置の縦断面図である。
第２図は内層体にバリヤー層体を積層成形して１
次成形品を成形する金型装置の縦断面図である。
第３図は成形された１次成形品とこの１次成形品
を２軸延伸ブロー成形により２点鎖線で示した成
形品に成形した状態を示す縦断面図である。 符号の説明、１；１次成形品、２；内層体、
３；ゲート部、４；バリヤー層体、５；ゲート
部、６；コア、７；コアベース、８，８′；キヤ
ビテイ、Ｓ；成形品。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ２軸延伸ブロー成形されるポリエチレンテレ
   フタレート樹脂製積層成形品の１次成形品の成形
   方法であつて、ポリエチレンテレフタレート樹脂
   により有底筒形状の内層体２をインジエクシヨン
   成形により成形し、該内層体２を成形型の一部と
   して該内層体２の外表面を覆う形態でガスバリヤ
   ー性の高いポリアミド樹脂等の合成樹脂材料によ
   りバリヤー層体４をインジエクシヨン成形により
   インサート成形し、前記内層体２のゲート位置３
   と前記バリヤー層体４のゲート位置５とを、該バ
   リヤー層体４のインジエクシヨン成形時に成形樹
   脂材料の射出圧および射出温度が前記ゲート位置
   ３附近のポリエチレンテレフタレート樹脂に大き
   な影響を与えなくなる所望距離だけ離したポリエ
   チレンテレフタレート樹脂製積層成形品の１次成
   形品成形方法。