JP2004074614A

JP2004074614A - 二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法及びその方法に用いる治具

Info

Publication number: JP2004074614A
Application number: JP2002238960A
Authority: JP
Inventors: Daisuke Uesugi; 上杉　大輔; Yoshihiro Iimura; 飯村　好宏; Tadao Hirasawazu; 平沢津　忠雄; Sachiro Kawahara; 河原　幸朗
Original assignee: Yoshino Kogyosho Co Ltd
Current assignee: Yoshino Kogyosho Co Ltd
Priority date: 2002-08-20
Filing date: 2002-08-20
Publication date: 2004-03-11
Anticipated expiration: 2022-08-20
Also published as: CN1675048A; EP1535721A1; KR20050056987A; JP4147863B2; US20090261506A1; EP1535721A4; CN100381271C; US20050248059A1; EP1535721B1; AU2003262254A1; US7981351B2; WO2004018182A1; KR100988091B1

Abstract

【課題】単層又はガスバリア材を設けて積層構造とした二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品を、熱結晶化処理のため加熱した後、口頸部のカブラを締め付けて、口頸部のカブラの変形を防止することを課題とし、もって熱結晶化処理後の口頸部の機能部をシール性許容変形寸法範囲内に縮径する二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の熱結晶化方法およびその方法に用いる治具を提供することを目的とする。
【解決手段】ＰＥＴを主体とする樹脂にて形成され、口頸部４の上位に螺条８と、下位にカブラ６を有する機能部５と、口頸部４の下端部にネックリング７とを設けた二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品１の熱結晶化処理方法において、口頸部を加熱した後、熱変形する温度を保持しているカブラ６を、外方から締め付けて、カブラ６の変形をシール性許容変形寸法範囲内に縮径する二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法およびその方法に用いる治具１３である。
【選択図】　　　　　　図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単層又はガスバリア材を積層した二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法、および一次成形品の口頸部の熱結晶化方法に用いる治具に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート樹脂（以下、ＰＥＴ樹脂とも云う）等の二軸延伸ブロー成形壜体は、コスト面等を考慮し、近年においてより薄肉化している。薄肉化した壜体においては、壜体内部に充填する飲料等のシェルフライフを延ばすため、ガスバリア性に対する要求が一層高まっている。
【０００３】
このような要求に対して、ＰＥＴ樹脂／ガスバリア材／ＰＥＴ樹脂の積層構造を有する壜体成形用の一次成形品（以下、プリフォームとも云う）を成形するか、或いは、ＰＥＴ樹脂にナイロン（ＭＸＤ−６）などのガスバリア材をブレンドした一次成形品を射出成形し、これを二軸延伸ブロー成形することにより、二次成形品である壜体にガスバリア性を付与することが行なわれている。
【０００４】
成形するプリフォーム（一次成形品）は、先ず、所定の射出圧に調整した射出機のノズルから、ＰＥＴ樹脂をキャビティ内に射出し、次いで、ガスバリア材を、ノズルからキャビティ内のＰＥＴ樹脂間に射出し、更に、再び所定の射出圧を調整したＰＥＴ樹脂をキャビティ内に射出して積層構造を形成する。
【０００５】
ガスバリア材は、先に射出されたＰＥＴ樹脂により、成形型に接触しないため、温度低下が少なく、流動性が大きいままであり、ＰＥＴ樹脂間を早いスピードで移動し、ＰＥＴ樹脂／ガスバリア材／ＰＥＴ樹脂の積層構造を形成する。
【０００６】
ＰＥＴ樹脂及びガスバリア材のキャビティ内の流動性は、射出機の温度、射出圧、射出速度、樹脂とガスバリア材との粘度差、樹脂の水分率、マニホールドの温度等の様々な要因により変化し、特に、温度による影響が大きく、射出機の設定温度等を規定しても、精密に射出機内の樹脂及びガスバリア材の温度を制御することは難しく、ガスバリア材層は、射出圧、射出速度、温度等の諸条件の変動による微妙な流動性の変化によって、プリフォーム成形時に、口頸部の円周上でガスバリア材層の流動端部となるリーディングエッジの一部が、設定位置よりも口頸部の端部側に変位し、リーディングエッジの他部が、胴部側に変位する。
【０００７】
射出成形したプリフォームの口頸部は、二軸延伸ブロー成形による二次成形時に延伸されない部分であって、二軸延伸ブロー成形後の肉厚は他の部位よりも厚くなっているので、特に、ガスバリア材層を設ける必要がなく、充分なガスバリア性を有している。
【０００８】
二軸延伸ブロー成形壜体が十分なガスバリア性を発揮するためには、少なくとも、成形される壜体の肩部及び胴部にガスバリア材層が存在している必要があり、プリフォーム成形時に、口頸部のネックリングの位置にガスバリア材層のリーディングエッジを設定してプリフォームを成形する。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のように、射出成形時にガスバリア材層のリーディングエッジの位置を精密に規制することは難しく、口頸部のネックリングの位置をリーディングエッジの設定位置として射出成形した場合であっても、口頸部の円周上、リーディングエッジの一部が口頸部の機能部を構成するカブラまで達し、リーディングエッジの他部が設定位置であるネックリング位置に、射出成形される場合がある。
【００１０】
耐熱壜体として、二軸延伸ブロー成形した壜体を用いる場合は、二軸延伸ブロー成形時に、延伸されない口頸部を白化（熱結晶化）処理する必要があり、ＰＥＴ樹脂層とガスバリア材層の積層構造となっているプリフォームを熱結晶化処理すると、口頸部に存在するガスバリア材層とＰＥＴ樹脂層との結晶化度の違いにより、収縮率が相違し、設定値ほど収縮が進まず、口頸部が設定値よりも拡径変形する、と云う問題がある。
【００１１】
また、ガスバリア材層のリーディングエッジの位置を精密に規制できないため、口頸部の円周上で傾いた状態でリーディングエッジが射出成形されていると、ガスバリア材層とＰＥＴ樹脂層との結晶化度の違いによる収縮率の相違によって、口頸部が楕円形状に変形しやすくなる、と云う問題がある。
【００１２】
特に、口頸部の機能部が、設定寸法通りに成形されないと、キャップのシール不良およびキャップの螺合組み付け不良等が発生する、と云う問題を生じる。
また、ポリエチレンテレフタレート単層の壜体においても、射出成形時の樹脂の流動性に起因して、口頸部形状が出にくい場合があり、この場合本来真円形状となるべき口頸部形状が楕円形状となってしまう、と云う問題もある。
【００１３】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、単層の二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品若しくはブロー成形壜体のガスバリア性を補うためにガスバリア材を設けて積層構造とした二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品において、熱結晶化処理により加熱完了後のカブラを締め付けて、口頸部の機能部の変形を防止することを技術的課題とし、もって結晶化処理した口頸部の機能部のシール性を確保した二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法およびその方法に用いる治具を提供することを目的とする。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項１記載の発明の手段は、ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂にて形成され、口頸部の上位に螺条と、該螺条の下位にカブラを有する機能部と、前記口頸部の下端部にネックリングとを設けた二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化処理方法であること、加熱完了後、熱変形する温度を保持しているカブラを、外方から締め付けて、カブラの変形を、シール性許容変形寸法範囲内に縮径すること、にある。
【００１５】
請求項１記載の発明の手段にあっては、射出成形した一次成形品の口頸部において、加熱完了後のカブラを締め付けて、カブラの変形を防止し、カブラの外径をシール性許容変形寸法範囲内まで縮径することができる。
【００１６】
また、加熱完了後のカブラを締め付けることによって、カブラの楕円変形も防止されるため、熱結晶化処理によりキャップとの螺合組み付け不良、シール不良を解消することができる。
【００１７】
請求項２記載の発明の手段は、請求項１記載の発明の構成に加え、ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂層（２）内に、ガスバリア材層（３）を少なくとも一層以上積層したこと、にある。
【００１８】
請求項２記載の発明の手段にあっては、射出成形した一次成形品の口頸部において、ガスバリア材層のリーディングエッジの一部が口頸部のカブラまで達し、他部がネックリング位置に変位している場合であっても、加熱完了後のカブラを締め付けて、カブラの変形を防止し、カブラの外径をシール性許容変形寸法範囲内まで縮径することができる。
【００１９】
請求項３記載の発明の手段は、請求項１または２記載の発明の構成に加え、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ締め付け、縮径すること、にある。
【００２０】
請求項３記載の発明にあっては、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍカブラを締め付けると、熱変形する温度を保持している状態のカブラの外形を変化させることなく、プリフォーム成形したカブラの形状を保持したまま、カブラの外径を、シール性許容変形寸法範囲内まで縮径することができる。
【００２１】
請求項４記載の発明の手段は、請求項１、２または３記載の発明の構成に加え、加熱完了直後から１０秒乃至４０秒経過した後、カブラの締め付けを開始すること、にある。
【００２２】
加熱完了直後の口頸部は、熱変形しやすい高温を保持した状態であり、締め付けによって、カブラを縮径しやすい状態である。しかし、高温の状態でカブラの締め付けを開始してしまうと、締め付け終了後にも口頸部に存在するガスバリア材層とＰＥＴ樹脂層との結晶化による収縮が促進し、ＰＥＴ樹脂層とガスバリア材層との収縮率の相違によって生じる拡径変形を、シール性許容変形範囲内まで縮径することが困難になる。尚、ＰＥＴ樹脂層とガスバリア材層との収縮率の相違は上記の他カブラとネックリング間のずぐみ変形による首曲がり等の発生原因ともなる可能性が存在する。
【００２３】
請求項４記載の発明にあっては、加熱完了後のカブラが熱変形する温度を保持している状態で、かつ、締め付け終了後におけるＰＥＴ樹脂層とガスバリア材層との結晶化の促進による収縮率の相違によって生じる拡径変形を防止できる状態において、カブラの締め付けを開始し、カブラの締め付けによって、カブラの変形を、シール性許容変形寸法範囲内に縮径することができる。
【００２４】
請求項５記載の発明の手段は、請求項１、２、３または４記載の発明の構成に加え、カブラを締め付ける時間を、３秒乃至１５秒以内とすること、にある。
【００２５】
カブラを締め付ける時間を３秒乃至１５秒以内とすると、生産ラインにおいて、熱結晶化処理工程中に、無理なく締め付け工程を設定することができる。
【００２６】
請求項６記載の発明の手段は、ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂にて形成され、口頸部の上位に螺条と、該螺条の下位にカブラを有する機能部と、口頸部の下端部にネックリングとを設けた二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法に用いる治具であること、加熱した直後の熱変形する温度を保持している状態のカブラの外径に対して、０．１ｍｍないし０．４ｍｍ小さい内径部及び端部に外方に広がるテーパ部を設けた、口頸部に被嵌する円筒と、該円筒内に、口頸部の端部に当接して、円筒の引き上げとともに引き上がる一次成形品を定位置に支持するピストンロッドとから成ること、にある。
【００２７】
請求項６記載の発明にあっては、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ小さい内径部を有する治具の円筒を、口頸部に被嵌して、カブラの外形を変化させることなく、プリフォーム成形時のカブラ形状を保持したまま、円筒の内径部でカブラを外方から締め付けることができる。
【００２８】
円筒の端部には、外方に広がるテーパ部を設けているため、熱変形する温度を保持している状態のカブラに、円筒を被嵌する際に、円筒の端部がカブラ以外の部分にさわって、口頸部の外形を変化させることなく、円筒を口頸部に被嵌する。
【００２９】
また、円筒内には、ピストンロッドを設けたため、該ピストンロッドを、口頸部の端部に当接して、円筒の引き上げとともに引き上がる一次成形品を定位置に支持し、円滑に次工程に移ることができる。
【００３０】
請求項７記載の発明の手段は、請求項６記載の発明の構成に加え、ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂層（２）内に、ガスバリア材層（３）を少なくとも一層以上積層した二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法に用いる治具であること、にある。
【００３１】
請求項７記載の発明にあっては、請求項６に記載する治具を積層構造の一次成形品に対して使用することにより、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ小さい内径部を有する治具の円筒を、口頸部に被嵌して、カブラの外形を変化させることなく、プリフォーム成形時のカブラ形状を保持したまま、円筒の内径部でカブラを外方から締め付けることができる。
【００３２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品であるプリフォーム１の一部縦断面図を含む側面図を図１に示す。プリフォーム１は、ＰＥＴ樹脂層２／ガスバリア材層３／ＰＥＴ樹脂層２の積層構造を形成する。
【００３３】
本例において、ガスバリア材はＰＥＴ樹脂との粘度差及び結晶化速度差等、およびガスバリア性等を考慮して、ｍ−キシリレンジアミン含有ポリアミド（商品名ＭＸＤ−６、（三菱ガス化学（株））製を使用した。
【００３４】
図１に示すように、プリフォーム１は、口頸部４の上位の外周面に形成した螺条８、および螺条８の下部外周面に突周設したカブラ６からなる機能部５と、口頸部４の下端部に、ネックリング７とを設けて形成する。
【００３５】
プリフォーム１は、口頸部４から連続して、円筒状の肩部９と、胴部１０と、底部１１とを形成する。
【００３６】
プリフォーム１は、ガスバリア材層３の上端となるリーディングエッジ３ａをネックリング７の中心部の位置に設定して形成する。
【００３７】
ガスバリア材層３のリーディングエッジ３ａは、射出機の温度、射出圧、射出速度、樹脂とガスバリア材との粘度差、樹脂の水分率、マニホールドの温度等の様々な要因により変化するため、精密にリーディングエッジ３ａの位置を規制することは難しく、口頸部４の円周上で、リーディングエッジ３ａの一部がカブラ６近傍まで達し、他部は、ネックリング７下位近傍まで傾く場合がある（図１中、破線参照）。
【００３８】
リーディングエッジ３ａの位置が設定位置から変位しているプリフォーム１の口頸部４を熱結晶化処理すると、ＰＥＴ樹脂層２とガスバリア材層３との結晶化度の違いによる収縮率の相違により、加熱完了後に口頸部４が設定寸法まで収縮せず、設定寸法値以上に拡径変形するという傾向にある。また、リーディングエッジ３ａの位置が口頸部４の円周上で傾いていると、口頸部４が楕円変形するという傾向にある。
【００３９】
次に、耐熱性を付与するために、プリフォーム１の口頸部４の熱結晶化処理する方法について説明する。図２は、口頸部４の熱結晶化処理する方法の各工程を示すフローである。
【００４０】
図２に示すように、熱結晶化処理は、先ず、（Ａ）加熱工程として、プリフォーム１の口頸部４を加熱炉１２に入れ、所定温度まで加熱する。次に、（Ｂ）除冷工程として、加熱炉１２から出した、加熱完了後のプリフォーム１を、２０秒間、室温で除冷する。次に、（Ｃ）締め付け工程として、除冷後、プリフォーム１の口頸部４に、治具１３の円筒１４を被嵌し、５秒間、カブラ６を締め付ける。最後に、再び、（Ｄ）除冷工程として、カブラ６を締め付けていた円筒１４を、カブラ６から外し、所定時間、室温にて除冷を行い、熱結晶化処理を終了する。
【００４１】
図３は、上述の熱結晶化処理方法に用いる治具１３の拡大図であり、図３（ａ）及び（ｂ）に示すように、治具１３は、プリフォーム１の口頸部４に被嵌する円筒１４と、加熱完了直後のカブラ６の外径Ｘに対して、（Ｘ−０．２）ｍｍ、（Ｘ−０．３）ｍｍ、（Ｘ−０．４）ｍｍの内径となる内径部１５、及び端部にテーパ部１６とを設けた円筒１４と、該円筒内１４に設けたピストロッド１７とから構成されている。なお、図中１８は、プリフォーム１を支持する支持台である。
【００４２】
治具１３の円筒１４をプリフォーム１の口頸部４に被嵌する際には、円筒１４を引き下げて、内径部１５の内面をカブラ６に対面させ、内径部１５でカブラ６を締め付けて、ＰＥＴ樹脂層２とガスバリア材層３との結晶化度の違いによる収縮率の相違によって生じる拡径変形を防止し、カブラ６の外径をシール性許容変形寸法範囲内に縮径する。
【００４３】
治具１３を外す場合は、ピストンロッド１７を口頸部４の端部に当接して、円筒１４の引き上げとともにプリフォーム１が引き上がらないように、ピストンロッド１７でプリフォーム１を所定位置に支持して、円筒１４を引き上げる。
【００４４】
円筒１４の端部にはテーパ部１６を設けたため、口頸部４に円筒１４の端部が接触することなく、スムーズに円筒１４を口頸部４に被嵌し、また外すことができる。
【００４５】
尚、円筒１４の内径部１５の最大値を（Ｘ−０．１）ｍｍを下回る値とした場合、内径部１５が加熱完了直後のカブラ６の外径とあまり差がなくなり、良好な締め付けを行うことができなくなり、内径部１５の最小値を（Ｘ−０．４）ｍｍを超える値とした場合、内径部１５でカブラ６を押し潰してしまい、カブラ６の外形を変形させ、プリフォーム１成形時のカブラ６の外形を保つことができなくなる。また、円筒１４の端部には、外方向に広がるテーパ部１６を設けたため、熱変形可能な状態の口頸部４に円筒１４を被嵌する際に、円筒１４の端部に螺条８やカブラ６等が接触して、螺条８やカブラ６の外形が変形することはない。
【００４６】
また、加熱完了直後から２０秒、徐冷経過後の口頸部４に、治具１３を被嵌したのは、加熱完了後のカブラ６が熱変形する温度を保持している状態で、かつ、締め付け終了後におけるＰＥＴ樹脂層２とガスバリア材層３との結晶化の促進による収縮率の相違によって生じる拡径変形を防止できる状態において、カブラ６の締め付けを開始し、カブラの締め付けによって、カブラの変形を、シール性許容変形寸法範囲内に縮径するように規制するためである。尚、カブラの締め付け開始は、加熱完了直後から１０秒乃至４０秒経過後であれば、問題なく縮径規制することが可能である。
【００４７】
カブラ６の締め付け時間を３秒乃至１５秒以内としたのは、生産ラインにおいて、熱結晶化処理工程中に無理なく締め付け工程を設定することができる時間範囲内だからである。
【００４８】
以下に、前述の熱結晶化方法により、治具１３でカブラ６を締め付け、カブラの変形をシール性許容変形寸法範囲内に縮径した結果を示す。図４は、前述の熱結晶化方法において、加熱完了直後のカブラ６の外径（Ｘ）に対して、（Ｘ−０．２）ｍｍ、（Ｘ−０．３）ｍｍ、（Ｘ−０．４）ｍｍの内径部１５を備えた各円筒１４によりカブラ６を締め付けた結果、カブラ６の外径の寸法変化を示す図であり、図５は、同様にカブラ６の下径の寸法変化を示す図である。
【００４９】
図４に示すように、治具１３なし（Ｘ）の場合は、カブラ６の外径が設定寸法値よりも拡径していることが確認できる。
【００５０】
加熱完了直後のカブラ６の外径に対して、小さい内径部１５により締め付けたカブラ６の外径は、内径部１５が小さいほど、縮径し、設定寸法値に近づき、シール性許容変形寸法範囲内となっていることが確認できる。
【００５１】
図５においても、同様に、治具１３なし（Ｘ）の場合は、カブラ６の下径が設定寸法値よりも拡径している。一方、加熱完了直後のカブラ６の外径に対して、小さい内径部１５により締め付けたカブラ６の下径は、設定寸法値に近づき、カブラ６がシール性許容変形寸法範囲内となっていることが確認できる。
【００５２】
なお、加熱直後のカブラ６の外径に対して、各径の内径部１５を備えた円筒１４をカブラ６に被嵌して、カブラ６を締め付けた場合の、カブラ６以外の口頸部４の他の部位の寸法変化を調べた結果、ネックリング７では、カブラ６を締め付けた場合と締め付けない場合とでは、ほとんど外径の変化はなく、螺条８では、円筒１４を被嵌して、カブラ６を締め付けた場合の方が、螺条８の外径がやや大きくなる傾向にあるものの、キャップの螺合組み付け、シール性には影響を与えない範囲であることが確認できた。
【００５３】
次に、治具１３なしの状態のカブラ６の外径（Ｘ）の楕円度と、各内径部１５を備えた円筒１４を被嵌したカブラ６の外径の楕円度とを測定した結果を図６に示す。図７は、カブラ６の下径の楕円度を測定した結果である。
【００５４】
楕円度とは、カブラ６の外径の円周上の二点の最短軸を、最長軸で除した値をいう。楕円度が小さくなるほど、中心からの半径距離の等しい真円に近づき、変形が防止されていることになる
【００５５】
図６に示すように、治具１３なしの状態（Ｘ）のカブラ６の外径の楕円度は、０．０５以上あり楕円形状となっていることが確認できる。これに対し、加熱直後のカブラ６の外径Ｘに対して、小さい内径部１５を備えた各円筒１４でカブラ６を締め付けると、カブラ６の外径の楕円度は小さくなっており、（Ｘ−０．４）ｍｍの内径部１５で締め付けた場合は、カブラ６の外径の楕円度が０．０３となっており、カブラ６を締め付けると、カブラ６が真円に近づき、カブラ６の変形が防止されていることが確認できた。
【００５６】
また、図７に示すように、カブラ６の下径においても、治具なしの状態のカブラ６の下径の楕円度０．０８程度と比較して、（Ｘ−０．４）ｍｍの内径部１５で締め付けた場合は、楕円度が０．０５以下と小さくなり、真円に近づいていることが確認できたため、内径部１５による締め付けにより、カブラ６の変形が防止されていることが確認できた。
【００５７】
以上の結果から、熱結晶化処理のため、加熱処理した口頸部４を２０秒間除冷した後、熱変形する温度を保持している状態の口頸部４に治具１３を被嵌して、治具１３の内径部１５でカブラ６を、５秒間、外方から締め付ける、締め付け工程により、カブラ６附近までガスバリア材層が達している場合であっても、カブラ６の変形を防止して、カブラ６をシール許容変形寸法範囲内に縮径し、良好なキャップの螺合組み付け性と、シール性を確保することができる。
【００５８】
なお、ガスバリア材としては、本例のｍ−キシリレンジアミン含有ポリアミド（商品名ＭＸＤ−６）や、エチレンビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）等のガスバリア性樹脂や、このガスバリア性樹脂等に脂肪族ナイロンおよび芳香族ナイロンのマトリックス中に、遷移金属系触媒（例えばＣｏ、Ｆｅ、Ｍｎ、Ｎｉ、Ｔｉ）を含む無機酸塩、あるいは有機酸塩の錯塩の形で一般に使用されている酸素吸収樹脂及び／またはポリオレフィンオリゴマーを含有させたものが好適である。
【００５９】
本実施例では、ＰＥＴ／ガスバリア材／ＰＥＴの２種３層の例を示しているが、本発明はこれに限られることはなく、内外層をＰＥＴ樹脂にガスバリア材をブレンドした材料で構成したプリフォーム、或いは、層構成を、例えばＰＥＴ／ガスバリア材／ＰＥＴ（再生材使用の場合を含む）／ガスバリア材／ＰＥＴの２種５層若しくは３種５層構成したプリフォームを熱結晶化する方法として用いることも可能である。また、本実施例では積層構造の一次成形品を例に挙げて説明を行ったが、単層の壜体においても、射出成形時の樹脂の流動性に起因して、口頸部形状が出にくい場合があり、本発明は当該構造にも採用することが可能である。
【００６０】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
請求項１記載の発明の手段にあっては、射出成形した一次成形品の口頸部において、加熱完了後のカブラを締め付けて、カブラの外径をシール性許容変形寸法範囲内に縮径し、良好なシール性、キャップ組み付け性を確保した状態で、二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化処理を行うことができる。
【００６１】
請求項２記載の発明の手段にあっては、射出成形した一次成形品の口頸部において、ガスバリア材層のリーディングエッジの一部が口頸部のカブラまで達し、他部がネックリング位置に変位している場合であっても、加熱完了後のカブラを締め付けて、カブラの変形を防止し、カブラの外径をシール性許容変形寸法範囲内まで縮径することができる。
【００６２】
請求項３記載の発明にあっては、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍカブラを締め付けると、熱変形する温度を保持している状態のカブラの外形を変化させることなく、プリフォーム成形したカブラの形状を保持したまま、カブラの外径を、シール性許容変形寸法範囲内まで縮径することができる。
【００６３】
請求項４記載の発明にあっては、加熱完了直後から１０秒乃至４０秒経過後、カブラが熱変形する温度を保持している状態で、かつ、締め付け終了後におけるＰＥＴ樹脂層とガスバリア材層との結晶化の促進による収縮率の相違によって生じる拡径変形を防止できる状態において、カブラの締め付けを開始し、この締め付けによって、カブラの変形を、シール性許容変形寸法範囲内に縮径することができる。
【００６４】
請求項５記載の発明にあってはカブラを締め付ける時間を３秒乃至１５秒以内とし、生産ラインにおいて、熱結晶化処理工程中に、無理なく締め付け工程を設定することができる。
【００６５】
請求項６記載の発明にあっては、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ小さい内径部及び端部に外方に広がるテーパ部を設けた、カブラに被嵌する円筒と、該円筒内に、口頸部の端部に当接して、円筒の引き上げとともに引き上がる一次成形品を定位置に支持するピストンロッドとから成る治具を用いて、熱変形可能な温度を保持しているカブラを締め付けたため、カブラの外形を変化させることなく、確実にカブラの拡径変形を防止して、シール許容設定寸法範囲内に縮径することができる。
【００６６】
治具は、テーパ部によって円滑にカブラに被嵌することができ、また、ピストンロッドでプリフォームの口頸部を支持して、円滑に治具を一次成形品から外すことができる。
【００６７】
請求項７記載の発明にあっては、治具を積層構造の一次成形品に対して使用することにより、加熱完了直後のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ小さい内径部を有する治具の円筒を、口頸部に被嵌して、カブラの外形を変化させることなく、プリフォーム成形時のカブラ形状を保持したまま、円筒の内径部でカブラを外方から締め付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のプリフォームの一実施例を示す、一部縦断面図を含む全体正面図。
【図２】本発明の一実施例を示す、二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の熱結晶化方法を示す工程図。
【図３】一次成形品に被嵌する治具を示す、断面図。
【図４】治具なしの状態と、各内径部を備えた治具を被嵌した場合の、各カブラの外径変化を示す図。
【図５】治具なしの状態と、各内径部を備えた治具を被嵌した場合の、各カブラの下径変化を示す図。
【図６】治具なしの状態と、各内径部を備えた治具を被嵌した場合の、各カブラの外径の楕円度の変化を示す図。
【図７】治具なしの状態と、各内径部を備えた治具を被嵌した場合の、各カブラの下径の楕円度の変化を示す図。
【符号の説明】
１　；　プリフォーム（一次成形品）
２　；　ポリエチレンテレフタレート樹脂層
３　；　ガスバリア材層
３ａ；　リーディングエッジ
４　；　口頸部
５　；　機能部
６　；　カブラ
７　；　ネックリング
８　；　螺条
９　；　肩部
１０　；　胴部
１１　；　底部
１２　；　加熱炉
１３　；　治具
１４　；　円筒
１５　；　内径部
１６　；　テーパ部
１７　；　ピストンロッド
１８　；　支持台

Claims

ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂にて形成され、口頸部（４）の上位に螺条（８）と、該螺条（８）の下位にカブラ（６）を有する機能部（５）と、前記口頸部（４）の下端部にネックリング（７）とを設けた二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品（１）の口頸部（４）の熱結晶化処理方法において、加熱完了後、熱変形する温度を保持しているカブラ（６）を、外方から締め付けて、前記カブラの変形を、シール性許容変形寸法範囲内に縮径する二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法。
ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂層（２）内に、ガスバリア材層（３）を少なくとも一層以上積層した請求項１記載の二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法。
加熱完了直後のカブラ（６）の外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ締め付け、縮径する請求項１または２記載の二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法。
加熱完了直後から１０秒乃至４０秒経過した後、カブラ（６）の締め付けを開始する請求項１、２または３記載の二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法。
カブラ（６）を締め付ける時間を、３秒乃至１５秒以内とする請求項１、２、３または４記載の二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法。
ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂にて形成され、口頸部（４）の上位に螺条（８）と、該螺条（８）の下位にカブラ（６）を有する機能部（５）と、前記口頸部（４）の下端部にネックリング（７）とを設けた二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法に用いる治具（１３）であって、加熱した直後の熱変形する温度を保持している状態のカブラの外径に対して、０．１ｍｍ乃至０．４ｍｍ小さい内径部（１５）及び端部に外方に広がるテーパ部（１６）を設けた、前記口頸部に被嵌する円筒（１４）と、該円筒（１４）内に、前記口頸部（４）の端部に当接して、前記円筒（１４）の引き上げとともに引き上がる一次成形品（１）を定位置に支持するピストンロッド（１７）とから成る、二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法に用いる治具。
ポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂層（２）内に、ガスバリア材層（３）を少なくとも一層以上積層した請求項６記載の二軸延伸ブロー成形壜体の一次成形品の口頸部の熱結晶化方法に用いる治具。