JPS6219399Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、バリ抜型に関し、一層詳細には、鋳
造製品、鍛造製品等の周壁の厚みのあるバリ等を
せん断加工により除去するのに用いるバリ抜型に
関する。

鋳造製品や鍛造製品の身切り部分等に生ずるバ
リは、従来、一般にグラインダー等を用いて手作
業により除去しているが、この方法は手間が掛か
る上に作業員が怪我する危険があり、仕上つた製
品の仕上げ精度にもバラツキがある等の難点があ
る。

そこで、近年抜型を装備したプレス機を用いて
せん断加工により上記製品の身切り部分等のバリ
を一度に除去する方法（特開昭56−41069等）が
開発されたが、この方法で製品周壁のバリを除去
しようとすると、鋳造物や鍛造物は一般に抜型内
でのすわりが悪く、抜型になじみにくいので、抜
型内でバリを打抜く際に、鋳造物等が抜型内で正
常の位置から若干傾いたり、ずれたりして、鋳造
物等の周壁のバリをその根元からせん断できずに
根元部分を鋳造物等の周壁に若干残してしまつた
り、逆に鋳造物等の周壁内へと抜型がくい込んで
鋳造物等の形状を狂わせてしまつたり、あるいは
抜型の鋳造物等の周壁内へのくい込みが大きい
と、せん断時に過大な応力が働いて激しい騒音が
発生すると共に、抜型を破損等してその寿命を縮
めてしまうことが多々生じる難点がある。

また、鋳造物等の周壁のバリ等が薄片状でなく
厚みがあると、プレス機の力不足でバリ等をせん
断除去できなかつたり、あるいは無理に分厚いバ
リ等を過大な応力で除去しようとすると鋳造物等
のバリ等の根元部分の周壁がもぎ取られていわゆ
る身くいが生じたり、抜型を破損してしまい、鋳
造物等の周壁の厚みのあるバリ等をせん断加工に
より除去するのは困難である。

本考案は、上述の難点を解消するものであり、
その目的は、製造物の周壁のバリを抜型内でせん
断加工により除去する際に、製造物がずれたり傾
いたりせずに抜型内の正常位置に位置し、常に製
造物周囲のバリをその根元から残さず美麗に、か
つ、抜型が製造物周壁にくい込むことなくせん断
除去できると共に、製造物周囲の分厚いバリ等を
過大な応力を掛けずとも無理なく身くいを生じさ
せることなくせん断除去することが可能な、鋳造
物、鍛造物等の製造物の形状を抜形状とする雌抜
型と、該雌抜型に装着した製造物を押圧する圧子
とを除去装置に取り付けて製造物の周壁のバリ等
をせん断加工等により除去する雌抜型と圧子とか
らなるバリ抜型において、前記雌抜型の製造物が
侵入する開口部の内周面の略全体に亘つて雌抜型
の上面に対して垂直な製造物のガイド面を形成
し、かつ、前記の雌抜型の開口部の内周縁周囲の
上端部の分厚いバリをせん断除去する箇所に、順
次バリもせん断除去すべく、その上部に行くに従
い漸次雌抜型の開口部の内周縁外側へと向かう階
段状等のバリ取り刃を刻設したことを特徴とする
バリ抜型を提供することにある。

以下、図面に従つて本考案の実施例を説明する
と、第１図には、製造製品の形状をその抜形状と
する本考案の一対の雄雌バリ抜型の一方の雌抜型
１０の断面図が示され、１２はその周壁に分厚い
バリ１４等を有する製造製品例えば鋳造物であ
る。

本考案において特徴的なことは、この一対の雄
雌バリ抜型の一方の雌抜型１０内部の鋳造物１２
等と雌抜型が侵入する開口部１６の内周面の略全
体に亘り、その上部に幅広な抜型上面に対して垂
直な雌抜型１０内で鋳造物１２等をガイドするガ
イド面２０が雄抜型に対して所定のクリアランス
分あけて形成され、かつ、上記雌抜型１０内部の
開口部１６の内周縁周囲の上端部のうち、鋳造物
１２等の周壁の分厚いバリ１４等をせん断除去す
る箇所に、その上部に行くに従い漸次雌抜型１０
の開口部１６の内周縁外側へと階段状の複数のバ
リ取り刃２２が刻設されていることである。ま
た、各バリ取り刃２２の間の壁面は外側（雌抜型
１０方向）に切り込んだ壁面を形成し、切り粉が
収納可能に形成されている。

しかして以上の構成の一対の雄雌バリ抜型を用
いて鋳造物等の周壁のバリを除去するには、プレ
ス機内に上述の一対の雄雌バリ抜型を装着し、バ
リを除去する鋳造物１２等の下部を雌抜型内側の
開口部１６に倣つて該開口部内に挿入して鋳造物
１２等を雌抜型１０上面に載置した後、雌抜型１
０上面へと雄抜型をプレス機を用いて降下嵌入さ
せ、鋳造物１２等の周囲のバリ１４を上記一対の
バリ抜型でせん断除去しつつバリ１４を除去した
鋳造物１２等を雌抜型１０内側開口部１６内下方
へと挿通落下させてバリ抜型内より取り出す。

すると、雌抜型１０内側の開口部１６に倣つて
該開口部内にその下部が挿入されて雌抜型１０上
面に載置された鋳造物１２等は、その側面周囲を
幅広な雌抜型内側の開口部１６の内周縁周囲上部
の垂直なガイド面２０にガイドされて雌抜型１０
に対して傾いたり、一方へずれて寄つたりするこ
となく正常位置に常に位置するので、鋳造物１２
等の周壁のバリ１４等はその根元から余すことな
く、かつ、鋳造物１２等の周壁内に抜型がくい込
むことなく、美麗にせん断除去される。

また、鋳造物１２等の周壁の分厚いバリ１４等
は、雌抜型１０の上端部に刻設された階段状のバ
リ取り刃２２にその外側から漸次根元まで削り込
まれてせん断除去される。

なお、上述実施例において、雌抜型１０の内側
の開口部１６の内周縁周囲上部に形成するガイド
面２０は、バリ１４等を除去する際にのみ鋳造物
１２等を抜型内の正常位置に位置するようにガイ
ドさせれば良く、ガイド面２０の形成幅は必要最
小限に止め、それ以下の雌抜型の開口部１６の内
周縁周囲壁面下部は、第１図に示されるように逃
げ２４を設けて広く開口し、バリ１４等を除去し
た鋳造物１２等を抜型内下方へと落下し易くする
と良い。

以上のように本考案のバリ抜型を用いてせん断
加工により鋳造物等の周壁のバリ等を除去すれ
ば、せん断加工時に鋳造物等が雌抜型内の正常位
置に水平に位置し、抜型内でずれたり傾いたりす
ることがないので、常に鋳造物等の周壁のバリ等
をその根元から余すことなく、かつ、鋳造物等の
周壁内に抜型がくい込むことなく除去し、鋳造物
等を所定寸法に精度良く美麗に仕上げることがで
きる。

また、鋳造物等の周壁の分厚いバリ等は、雌抜
型内の開口部の内周縁上端部の階段状のバリ取り
刃により漸次削り込まれて除去されるので、製造
物周壁の分厚いバリ等をさほどに応力を掛けるこ
となく大きな騒音を立てずに無理なく、かつ、製
造物周壁に身くいを生ぜしめることなくせん断除
去でき、抜型にもせん断時に過大な力が加わつて
破損等することがなくその寿命を延ばすことが可
能となる等の著効を奏する。

以上本考案につき好適な実施例を挙げて種々説
明したが、本考案はこの実施例に限定されるもの
ではなく、考案の精神を逸脱しない範囲内で多く
の改変を施し得るのはもちろんのことである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一対のバリ抜型の一方の雌
抜型内開口部に周壁にバリ等を有する鋳造物の下
部を挿入した状態の側面断面図である。 １０……雌抜型、１２……鋳造物、１４……バ
リ、１６……開口部、２０……ガイド面、２２…
…バリ取り刃、２４……逃げ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋳造物、鍛造物等の製造物の形状を抜形状とす
   る雌抜型と、該雌抜型に装着した製造物を押圧す
   る圧子とを除去装置に取り付けて製造物の周壁の
   バリ等をせん断加工等により除去する雌抜型と圧
   子とからなるバリ抜型において、前記雌抜型の製
   造物が侵入する開口部の内周面の略全体に亘つて
   雌抜型の上面に対して垂直な製造物のガイド面を
   形成し、かつ、前記の雌抜型の開口部の内周縁周
   囲の上端部の分厚いバリをせん断除去する箇所
   に、順次バリをせん断除去すべく、その上部に行
   くに従い漸次雌抜型の開口部の内周縁外側へと向
   かう階段状等のバリ取り刃を刻設したことを特徴
   とするバリ抜型。