JPS6222268Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はプレス絞り加工において、成形された
製品の縁を切取るいわゆるトリミング型、特にそ
の切取られた環ないし額縁形のスクラツプを小片
化するためのスクラツプ分断刃付トリミング型に
関するものである。

例えば自動車のルーフパネルの場合、第１図の
ようにプレス成形された製品Ｗの縁Ｆを第２図
F′のように切取り、スクラツプとして除去する
が、上記スクラツプF′は大きな額縁形となるた
め扱いにくく、また広い集積スペースを必要とす
る。そこで一般には第３図に示すように額縁形ス
クラツプF′を複数箇所で分断して小片ｆにして
いる。

上記トリミングとスクラツプ分断を同時に行う
プレス剪断型は、第４図に示すようにプレス機の
ポンチホルダ側に取付ける上刃１とダイホルダ側
に取付ける下刃２とから成り、上刃１は、一部に
刃方向に一定のシヤー角を与えた先行刃１１を有
するトリミング刃１２と、その先行刃１１の始端
１１１に直角に交わるスクラツプ分断刃１３を設
けている。下刃２は、上記上刃１のトリミング刃
１２とスクラツプ分断刃１３に対応する各刃２
２，２３を設けている。

ところが上記の型でトリミングを行うと、スク
ラツプを分断するとき各分断箇所で切粉が発生
し、その切粉が油等で上刃１のスクラツプ分断刃
１３に付着することがある。

そうすると、プレス機の１サイクルごとの停止
シヨツクや、上刃が上昇するときの負圧現象によ
り、製品の投入・取出し時に切粉が落ちてきて製
品の上に載る。この切粉はスクラツプ分断箇所の
近くに多く載る。

従つて切粉が載つたままの製品を、次の例えば
ベンド工程に移して加工すると、切粉が載つてい
る部分にちようど逆押し（製品押え）が作用する
ため、その部分がへこんでしまう。一般にゴミ咬
みといつている。また切粉は逆押しに付着して残
り、次の製品にまたへこみを生じさせる。

製品の検査時、へこみが発見されると、プレス
機を停止してトリミング型を清掃し、またベンド
型の逆押しに付着した切粉を取除く。へこみがで
きた製品は修正を行う。

以上のように、従来実施中のスクラツプ分断刃
付トリミング型には種々の不具合があり、余計な
作業を行わなければならない。

上記切粉が発生するのは次の理由からである。
すなわちトリミング刃１２，２２相互のかみ合い
ストロークを得るために、下刃２側のスクラツプ
分断刃２３の上端２３１はトリミング刃２２より
下がつている。

従つて先行刃１１と、その始端１１１に直角に
連なるスクラツプ分断刃の上端１３１とによるＬ
字形切込みが行われるとき、その先行刃１１はト
リミング刃２２と直ちにかみ合うが、スクラツプ
分断刃１３の上端１３１に対応する位置に刃はな
いので、スクラツプはその分断刃１３の上端１３
１の押圧力と、スクラツプ自身の張力によつてス
クラツプ分断刃１３の方向へ僅かに切断される。
いわゆる「空中カツト」と呼ばれる切断方法によ
つて切断され、その分断刃の上端１３１に沿う切
口はちぎれる格好となりバリが発生する。

更に上刃１が下降すると、刃１２と２２による
トリミングの進行と共に、スクラツプ分断刃１３
と２３による切断が行われる。このとき上記スク
ラツプ分断刃の上端１３１，２３１どうしのかみ
合いによつて先のバリが切り離される。すなわち
スクラツプの分断箇所に生じるバリが二度切りさ
れて切粉となる。

本考案はスクラツプ分断刃付トリミング型にお
ける上記切粉の発生を防ぐことを目的とするもの
で、下刃２のトリミング刃２２の側面にスクラツ
プ分断刃２３の上端２３１が交差する箇所におい
て、スクラツプ分断刃側を一部２３２切欠いたこ
とを要旨とする。

第５図は、下型すなわち下刃２の上にまだトリ
ミングしていない製品Ｗを載せた状態の正面図、
第６図はその横断側面図である。この状態からプ
レス機のラムを下降させると、第７図・第８図に
示すように、まず先行刃１１と下刃のトリミング
刃２２がかみ合い始めてＬ字形に切込が入る。こ
のとき第７図・第８図で明らかなように、先行刃
１１の始端１１１と直角に連なるスクラツプ分断
刃の上端１３１に対応する刃がないから、スクラ
ツプは、その分断刃１３の上端１３１に沿つてそ
の刃の押圧力とスクラツプ自身の張力で第８図に
おいて右方向へ少し空中カツトされるが、その分
断刃上端１３１に沿う切口の始端は、ａのように
引張られてちぎれる。

更に上刃１が下降すると、トリミング刃１２，
２２がかみ合つて第９図・第１０図（上刃は省
略）のようにトリミングが行われると同時に、ス
クラツプ分断刃１３，２３もかみ合つて、スクラ
ツプは第９図・第１１図（上刃は省略）ｆ，ｆの
ように分断される。

このとき、スクラツプ分断切口の始端には、空
中カツトによつて切断された引きちぎりによるバ
リｂを生じているが、そのバリｂは、下刃２のス
クラツプ分断刃２３の切欠部２３２の中に逃げ
て、刃１３１，２３１による剪断を免れる。

本考案スクラツプ分断刃付トリミング型は上記
の構成であるから、この種のトリミング型では下
刃を設けることなく上刃だけで切断時の押圧力
と、スクラツプ自身の張力を利用して切断する、
いわゆる空中カツトと呼ばれる方法で分断される
スクラツプに発生するのは止むを得ないスクラツ
プ分断切口のバリを二度切りすることがなくて切
粉は出ない。

従つてトリミング型清掃のためのプレス機停止
回数を減らすことができて稼動率が向上する。ま
た製品の修正の工数も削減できるものである。

スクラツプ分断刃付トリミング型において、バ
リの発生に伴う切粉の放出を防ぐ目的で、プレス
上型を、上型固定部とその上型固定部に摺動自在
に装着された上型可動部とから構成し、上型固定
部と上型可動部とで一連の被加工物切刃を形成す
ると共に、上型固定部にスクラツプ切刃を設け
て、上型固定部および可動部が一体的に下降して
被加工物を切断した後、上型可動部がスクラツプ
を下型との間に挟持して停止し、その後は上型固
定部のみが下降してスクラツプを分断するように
したものが知られている（実開昭52−23781号公
報参照）。

上下一対の金型で被加工物を切断する金型装置
は、ただでさえ上型と下型のクリアランス調整が
難しいのに、上記公知のスクラツプ分断刃付トリ
ミング型の場合、上型に更に可動型を組合せてい
るために、上型の固定部に対し可動部を摺動させ
るためのクリアランス調整に加えて、その上型可
動部が被加工物を切断するときの下型とのクリア
ランス調整、ならびに上型固定部と下型スクラツ
プ分断刃とのクリアランス調整も必要である。従
つて金型構造が複雑である上に、各型相互のクリ
アランス調整箇所が多くて調整が非常に困難であ
る。

しかるに本考案は、上刃１の被加工物を切断す
る切刃１２と、スクラツプを分断する切刃１３と
を一体にした上下型のクリアランス調整が簡単な
従来のスクラツプ分断刃付トリミング型（前記実
開昭52−23781号公報第２図ａ参照）において、
下刃２のトリミング刃２２の側面とスクラツプ分
断刃２３との交差箇所のスクラツプ分断刃側に切
欠部２３２を設けるだけの簡単な構造によつて前
記所期の目的を容易に達成することができる。

切断時に、上記スクラツプ分断刃２３の切欠部
２３２の中に逃げて、上下のスクラツプ分断刃１
３，２３の刃部１３１，２３１による剪断を免れ
たバリはスクラツプの分断面に残るけれども、ス
クラツプは廃棄するものであるから、バリが残つ
ていても何ら支障はない。

【図面の簡単な説明】

第１図はプレス成形製品の縦断正面図、第２図
は製品のトリミングを行つた状態の縦断正面図、
第３図は製品のトリミングおよびスクラツプの分
断を行つた状態の平面図、第４図は本考案スクラ
ツプ分断刃付トリミング型の要部の一部切欠斜面
図、第５図・第７図・第９図は上刃と下刃の作動
状態を示す正面図、第６図は第５図の横断面図、
第８図は第７図の横断面図、第１０図・第１１図
は第９図Ａ−Ａ線およびＢ−Ｂ線に沿う横断面
図。 １は上刃、２は下刃、１１は先行刃、１２，２
２はトリミング刃、１３，２３はスクラツプ分断
刃、２３２はバリ逃がし部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一部に先行刃を有するトリミング刃と、その先
   行刃の始端に直角に交わるスクラツプ分断刃とを
   設けた上刃と、上記トリミング刃とスクラツプ分
   断刃に対する各刃を形成した下刃とから成るスク
   ラツプ分断刃付トリミング型において、上記下刃
   におけるトリミング刃の側面とスクラツプ分断刃
   との交差箇所のスクラツプ分断刃側を一部切欠い
   てバリ逃がし部としたスクラツプ分断刃付トリミ
   ング型。